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近年の日本では、人口減少、高齢化、産業の低成長率化等の中で、各産業とも、技術伝承・若手技術者の教育等に苦慮している現状がある。地熱産業でも同様な問題に直面している。技術専門誌「火力原子力発電」2017年2月15日発行の第68巻2号に2つの注目すべき記事が掲載されているので紹介したい。1つは巻頭言「技術伝承への思い」で、もう1つは解説記事で「原動機(蒸気タービン・ガスタービン)国産化の軌跡」である。前者については、やや長いが、主要部分を抜粋させていただく。・・・・近年ではプラントの建設が滞り、実務経験の場が減少しているため、若手が技術をどのように習得していくか、言い換えるならば、先人が蓄積してきた技術を知恵と工夫でどのように伝承していくかが大きな課題であると感じている。また、この問題は原子力固有のものではなく、国内の他産業においてもあてはまるものではないかと考えている(同感である)。日本の高度経済成長時代には、ベテランも若手も目の前の大量の仕事に死にもの狂いで立ち向かい、確たる技術伝承の仕組みがなくとも、その中で技術が習得/伝承されていた。バブル崩壊以降、長期にわたる低成長時代を経て経済活動が鈍化し、実務経験の場が減少してきたことに加え、バブル期以前の高度経済成長を支えたいわゆる団塊の世代がリタイア期を迎えており、実務経験の乏しい若手へ技術を如何に伝承していくか、またその仕組みやシステムの構築が、国内産業共通の課題となっているように思える(同感である)。技術伝承の手段としては、暗黙知の可視化、マニュアル化、熟練者のノウハウを取り入れた作業の標準化など、文書化による方法が一般的である。一方、洗練された活きた技術は、実際の業務経験の中で人を介して伝承されるということも確かであり、このような伝承を後押しするような取り組みも必要であると考えている(同感である)。技術伝承を要する対象は幅広く、設計等のエンジニアリング、プロジェクト管理等のマネージメント、製作技能など、あらゆる分野に亘るであろう。・・・・・・「熟練者によるノウハウの明確化」「職場一体のバックアップのよるモチベーションの維持/向上」「指導員と後継者の双方向での切磋琢磨」に重きを置いて取り組んできた。・・・・確かな技術伝承が行えるか否かは、熟練者の洗練された技術を如何に的確に伝えるか、また、後継者にその技術を自分のものにする熱意を如何に強く持たせるかに係っている。経験を積む機会が減っている現在、これらの点を踏まえた確実な技術伝承プロセスと風土を如何に構築できるかが鍵となるであろう。技術は一旦途切れると元に戻すことは容易でない。先人がこれまでに蓄積してきた財産を無にすることなく伝承していくことは、我々に課された責務である。・・・・・・・・・・・・ 地熱産業においても同じ状況があり、最近、技術伝承、人材教育に関して論じられている。当面2030年度までに発電量を現在の3倍に増加するという国家的目標がある。これを超えて、さらに発展することが期待されている。時間は限られている。早急に確実に進めていく必要があると考えられる。 詳細は原文を参照されたい。前述した、後者の解説「原動機国産化の軌跡」については別立で紹介したい。
(前項のつづき)引き続き、「原動機(蒸気タービン・ガスタービン)」について紹介する。この解説記事では、広く原動機一般の国産化の軌跡が紹介されているが、1.はじめに、2.事業用タービンの開発 に続いて、3.地熱発電用蒸気タービンの開発 があり、わが国最初の地熱発電所「松川地熱発電所」における地下調査・発電設備の設置等の開発初期の状況が簡潔に紹介されている。種々の困難を解決し、わが国最初の地熱発電所の運転開始に至った、先人の苦労・努力が紹介されている。この短い紹介記事の中からも、多くのことを学べる(詳細は原著をお読みください)。さらに、日本最初の地熱発電所運開の経緯は、より詳細に伝承されるべきであろう。それも、関与した地熱技術者の手によって。一部については、関係する技術者によって、最近講演会等で発表されたり、小冊子が作られているが、松川地熱発電所あるいは大岳地熱発電所の建設経緯は、技術伝承の好例となろう。関係者の貢献を期待したい。
毎日新聞2月23日付夕刊によると、地球から39光年離れた恒星の周りに、地球に似た惑星が7個あるのを発見したと、ベルギーのリエージュ大学や米航空宇宙局(NASA)の国際チームが22日付の英科学誌ネイチャーに発表したという。大きさや重さ、温度が地球に近く、水や大気が存在して生命を育むことができる地球型惑星の可能性がある。同様な惑星は太陽系外に多く見つかっているが、一つの恒星系で7個も見つかるのは珍しいとのことである。専門家は「銀河系は予想以上に地球に似た惑星であふれているのかも知れない」と指摘している。チームは南米チリにある欧州南天文台の望遠鏡などを使い、みずがめ座の方角にあって直径が太陽の10分の1ほどの赤色矮星「TRAPPIST1」を観測。手前を天体が通り過ぎる際に起きるわずかな明るさの変化から、少なくとも7個の惑星が回っていると結論付けたという。赤色矮星は恒星の中でも特に小さく温度が低い。見つかった惑星との距離は、太陽と地球の距離の100分の1~16分の1とかなり短いが、表面温度が太陽の半分以下のため、どの惑星も水が液体で存在できる程度に温暖と見られる。特に内側から4~6番目の惑星には海や大気圏が存在する可能性がある。最も外側のものを除いた惑星6個は詳しい公転周期が判明。1日半~12日余りで構成を一周していたという。惑星上に人類に近いかそれ以上の進化を遂げた生物がいれば、交信することも可能となる日がいつか来るかもしれない。また、これまでに、地球から、地球の情報を載せたロケットが打ち上げられているが、これがとらえられ、地球への交信が届くかもしれない。地球上にもまだ多くの未知の現象が多く興味が尽きないが、宇宙の謎も果てしない。詳細をお知りになりたい方は以下の原論文まで。Gillon et al.,(2017) Seven temperature terrestrial planets around the nearby ultracool dwarf starTRAPPIST-1, Nature 542,456-460(23 February 2017).
毎日新聞2月23日付朝刊によると、地球は現在、六つの大陸があるが、かつてはもう一つの「ジーランディア」大陸が存在し、現在は、大半が豪州の東の海域に沈んでおり、この地層を掘削し、誕生や水没の謎を解き明かそうとする国際プロジェクトが本格的に動き出したという。「ジーランディア」の面積は約500万平方キロで、豪州大陸の6割程度ある。元は豪州と南極、インドと同じ東ゴンドワナ大陸の一部だったが、8000年万年前ごろに豪州から分裂し、2500万~2000万年前にほぼ全域が水没したと考えられている。現在は隆起しており、約6%が海面上にある。標高3724mの最高峰マウントクックがそびえるニュージーランドやニューカレドニアはその一部。海洋開発研究機構(JAMSTEC)掘削情報科学研究開発グループの斎藤実篤グループリーダーによると、ジーランディアが大陸だったと言えるのは、ニュージーランド近海で掘削すると、大陸の特徴と見られる花崗岩など軽い岩石が確認されるため。最初から海底なら、玄武岩などの重い岩石が主体となるはず。ジーランディアが形成された原因は二つの仮説が提唱されているという。一つは、大陸性地殻の下にあるマントルが上昇し、大陸が突き上げられて分断されたと考える。もう一つは、東側から深く沈み込む海洋プレートの動きで大陸プレートの端が東側に引っ張られ、陸地が裂けたとする「ローリングバック説」だと言われる。二つの仮説のうち、どちらの仕組みで分裂したか、なぜ水没したかなどを明らかにする取り組みが、日豪などを中心に進む国際計画「ロードハウライズプロジェクト」である。世界最高の能力を持つ、JAMSTECの海洋深部探査船「ちきゅう」を使い、大陸の一部であるロードハウライズ(豪州ブリスベン沖約600キロ)と呼ばれる海域(水深約1600メートル)で約3500m掘るという。採取した岩石に含まれる元素の同位体の分析などで、解明が図れるという。JAMSTECは今年末に深海調査研究船「かいれい」を2度目の事前調査として出発させ、2019年の前半の「ちきゅう」による本格掘削を目指しているという。前述の斎藤氏は「日本ではジーランディアの存在があまり知られていない。だが、このプロジェクトが成功すれば、日本がどのように大陸から分裂し、日本海が形成されたかについて、理解を深める成果が得られる可能性もある」と話しているという。ところで、日本東方の太平洋で海底火山西ノ島が巨大な火山噴火を長期間続け、大陸形成に関して重要な情報がもたらされたことなどもあり、地球科学においては、大陸や海洋底の形成に関する基本的課題の追求が続く。これらはいずれも地球深部のマグマ活動あるいは熱いマントルの上昇等、広く地球の熱的現象に関係しており、浅部の地熱発電と直接結びつくものではないが、地球内部の熱構造に関する基礎情報を与えてくれるものと考えられ、注目していきたい。
毎日新聞2月22日付朝刊によると、国際環境NGO「世界自然保護基金(WWF)ジャパン」は、国内の原発廃止や化石燃料の使用中止を段階的に進め、2050年には再生可能エネルギーで全電力を賄う場合、10年から40年間の設備投資が365兆円に達する一方、燃料費の減少などで84兆円の黒字になるとの試算をまとめたという。試算では、人口減少や省エネ技術の普及で50年時点のエネルギー消費量は10年比47%減できると想定。全電力を太陽光や風力などの再生可能エネルギーで賄うことが可能だとしている。省エネで設備の運転費281兆円の節約が可能なうえ、火力発電などの削減により40年間で化石燃料の費用が168兆円抑えられ、再エネへの設備転換費用を投じても84兆円が浮くという。50年時点で再エネ100%を達成するには、30年時点で37%にしておく必要があり、政府目標(30年時点で22~24%)の引き上げが必要という。地熱発電に関連して言えば、2030年度の目標を実現し(発電量を現在の3倍)、2050年までにさらに上積みを図り、2100年には100%再生可能エネルギーの実現にできるだけ多くの寄与(10%程度のシェア)を目指したいものである。
毎日新聞2月21日付朝刊によると、昨年4月に発生した熊本地震の後、熊本県阿蘇市の内牧温泉で一時的に湯が出なくなったのは、地下約50mから上の地表部分の地層(布田層)が水平方向に約1.5m移動したことが原因だったと、九州大学などのチームが20日、英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」(電子版)に発表したという。九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所の辻健准教授(地球物理学)を中心とした研究チームは、熊本地震後、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の衛星データを解析し、地震の揺れによる地表変動を調べた。その結果、内牧温泉周辺の地表が、北西の阿蘇外輪山方向に移動していたことが分かった。移動方向の北西側の端では、水田脇のコンクリートブロックが持ち上がるなど地層が圧縮された形跡が見られ、逆に南東側の端には最大で1m以上の大きな亀裂が多数できていた。研究チームは、この亀裂について、熊本地震を起こした布田川断層の横ずれではなく、地層が移動して引っ張られたことによると結論付けた。北西側の端から南東側の端まで焼く2kmあり、全体で数平方kmが移動したことになる。研究チームがさらに、温泉の井戸をカメラで調査したところ、5つの井戸の深さ約50m付近で、湯をくみ上げる管が破損したり、曲がったりしていた。内牧温泉付近では、地下約50mに温泉脈から上がってきた湯がたまる「温泉帯水層」があり、その上は水を通しにくい泥の地層(布田層)となっている。昨年の熊本地震発生後、温泉が止まったり、池の水が減少したことが報じられ、上部地層(布田層)の移動が温泉の湧出量減少や池の水の現象の原因ではないかと想定されていたが(2016年4月26日毎日新聞夕刊記事)、地球物理学的データから実証されたことになる。
毎日新聞2月19日付朝刊によると、東海地震の直前予知を目的に、気象庁などが静岡、愛知、長野県に設置している「ひずみ計」について、気象庁が観測データを迅速に公開する方向で検討を始めるという。ひずみ計のデータは、東海地震に関する情報の発表基準に使われているが、これまで一部の関係機関を除いて地震研究者にもリアルタイムのデータは公開されていなかった。公開の方向は妥当と言えるだろう。観測データについては、「加工していない生データは専門家しか理解できず、公開の必要はない」などの意見もあるが、防災科学技術研究所の上田英樹・火山観測管理室長は「専門家と社会との信頼関係を構築するためにもデータ公開は不可欠。さらに正確で分かりやすい説明をつける努力をすべき」と話している。公開は望ましいが、問題は、むしろ、大地震直前に「前兆すべり」(これがひずみ計で検出されると言われているが、これまで大地震発生前に「前兆すべり」が観測された例がない)が観測されるかどうかである。一方、再生可能エネルギーの観点から見た場合、太陽光発電や風力発電の設備が大きな震動で破壊されないかどうかが問題である。地熱発電の場合は、2011年3月11日の東日本大地震の際、大きな震動の到達により設備が破壊された例はないが、設計通り、自動的に発電は停止した。すなわち、発電設備自体には損傷等はなかった。そして、点検の数日後には発電は可能であったが、送電線が損壊したため、発電した電気を送ることができない事態が発生した。このような大災害に備えて、集中型の送配電システムだけでなく、ローカルな分散型送配電システムを事前に検討しておく必要があると思われる。
2月16日 原発に頼らず、100%自然エネルギー(再生可能エネルギー)を目指すことを訴える、監督 河合弘之氏(弁護士)、企画・監修 飯田哲也氏(環境学者、ISEP所長)の自然エネルギー映画「日本と再生 光と風のギガワット作戦」(音楽:新垣 隆氏、エンディング テーマ:坂本龍一氏)が完成。原発に代わるものとして、再生可能エネルギーが十分役割を果たし得ること、また、世界の多くの国ではすでにその方向に舵を切っており、わが国は立ち遅れていること、わが国が3.11を経験したはずなのに、逆行している矛盾も指摘されている。普通の映画館では上映されないが、多くの中小の映画館で上映の企画がある。より多くの人に見てもらいたい映画である。関心ある方は、インターネットで「日本と再生、光と風のギガワット作戦」で検索すれば必要な情報が得られる。映画の概要とともに、いつ、近くのどこで上映されるかがわかる。映画は、太陽光・風力が進んでいる現状から、光、風関係が多く収録されているが、地熱発電利用・地中熱利用も紹介されている。
毎日新聞2月10日付朝刊によると、企業や自治体が地球温暖化防止などの環境対策に必要な資金を集める債権「グリーンボンド」の発効が増えているという。ロンドンに拠点を置く国際NPO「気候ボンドイニシアチブ」によると、2016年に発効されたグリーンボンドは810億ドル(約9兆円)と前年からほぼ倍増したという。初めて発行された2007年は8億ドルだったが、急速に拡大していることになる。契機の一つは、国際的な温暖化対策ルール「パリ協定」が2015年12月に採択されたことのようである。協定には、日米欧のほか(米国は批准したが、政権が変わり、不透明になっている)、中国やインドなど新興・途上国も加わり、機運が高まったことも起因しているという。温暖化対策には多額の費用がかかり、各国の支出だけでは賄いきれない分を民間資金で補う役割も果たしているという。当初は世界銀行など国際金融機関が発行し、集めた資金を途上国の温暖化対策などに充てるのが中心だった。欧米では現在、企業や金融機関、自治体も活発に発行しているという。主な事例としては、米国のスターバックスが約560億円を集め、同社の環境基準などを満たしたコーヒー豆の購入や農家への融資があるという。環境対策に積極的な姿勢を示し、企業イメージも高めることができるという。日本では、東京都の小池百合子知事が16年秋に100億円相当の発行計画を表明し、話題になったが、欧米に比べると、規模はまだ小さいようである。このグリーンボンドを後押ししようと環境省も欧米のような指針の日本版を年度内に策定したい考えのようであり、16年秋に有識者検討会を発足させているという。
毎日新聞2月2日付朝刊によると、今年、南極「昭和基地」設置60周年を迎えるが、温暖化観測の重要拠点になっていることが紹介されている。設置当時、各国の基地建設場所を決める国際会議では、第二次世界大戦で敗戦国となった余波で条件の悪い場所を割り当てられた日本であるが、その周辺は今、地球温暖化を占う重要な観測エリアとなっているという。日本の南極観測隊は、初期太陽系の特徴を残す大量の隕石や成層圏のオゾン濃度が低下する「オゾンホール」の発見等多くの業績を残してきたが、地球温暖化が大きな課題になっている現在、温暖化の氷床への影響という観点から特に注目されている。氷床の融解が進む西南極に比べ、東南極は今のところ目立って融けていない。しかし、もし、氷の量が圧倒的に多いこの地域でも氷床が融け出せば、著しい海面上昇を引き起こす恐れがあるという。これに関しては、従来、アクセスの難しかった昭和基地周辺は観測データが少なかったが、東南極を重点観測すべきだという考え方が国際学会でも出始めており、ここに足場を持つ日本の活動の重要性が増していると、第32次越冬隊に参加した大島慶一郎北大教授(海洋物理学)は指摘している。
毎日新聞1月26日付夕刊によると、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は25日、米当局者の話として、トランプ政権が国連などへの拠出金の削減や、一部の多国間条約からの離脱を目指す二つの大統領令署名を検討していると報じている。同紙によると、離脱が検討される条約には、新たな地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」が含まれる可能性があるという。もしそうなると、「発展途上国での温暖化対策実行のための先進国の拠出金が不足することになるだけでなく、「パリ協定」自体の実現が危ぶまれ、グローバルな温暖化対策が大幅に後退することが懸念される
毎日新聞1月26日付朝刊によると、トランプ米政権は、環境保護局(EPA)を含む複数の政府機関に対し、気候変動などに関して職員がメディアの取材に応じたり、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に投稿したりすることを規制すると通達したという(ロイター通信などが報じたという)。ロイター通信によれば、農務・内務・厚生の各省職員も情報発信を制約されるという。また、EPA広報に対しては、ホームページから気候変動に関する部分を削除するよう指示が出たという(なお、日本時間26日午前9時過ぎ、EPAの関連ホームページは見ることができる)。政権発足後、ホワイトハウスのホームページは刷新され、すでに地球温暖化に関する記述が消えているという。政権交代に伴って懸念されていたことだが、現実化してきた。米国の研究者・関連学会あるいはマスコミ等は声を上げるだろう。
毎日新聞1月22日付朝刊によると、米国トランプ大統領の始動に伴って、エネルギー・環境分野をはじめ、種々の政策分野で、問題が生じる懸念が広がっている。それらに共通する基盤は、「長期的な理念よりも、短期的な実利」に尽きると言わざるを得ない。エネルギー・環境問題に関して言えば、「オバマ前政権による地球温暖対策の行動計画などを撤廃し、国産石油の増産や石炭産業の復活を挙げている」。完全に歴史の進行に逆行している。オバマ政権下で早期の国内批准を果たし、パリ協定の実現に向けて世界をリードした米国であるが、完全に逆行することになる。パリ協定には批准国が「4年間は脱退できない決まり」があるが、トランプ政権はこれに反し、離脱を試みる可能性がないとは言えない。しかし、協定上、4年間は離脱できないのである。しかし、トランプ大統領の発言を見る限り、そのようなことをしかねない懸念がぬぐえない。少なくとも、4年間は手を付けないでほしい。今後、この種の政策実行により、4年後の再選はなくなるだろう。場合によっては4年を待たず、途中で政権を投げ出すことになるかもしれない。理念なき政権は、米国民だけでなく世界から見放されるだろう。わが国にとって、多くの面で従来行われてきた米国協調・追従ではなく、自らの考え方を世界に発信していく良い機会と捉えれば、若干の救いがある。パリ協定批准に遅れ、世界に失態をさらしたわが国であるが、今後のやり方によっては、挽回が可能になる局面が来るかもしれない。まさに、ピンチをチャンスに変えるチャンスにもなる。大いに期待したい。
当研究所では2012年5月8日より、当所敷地内(埼玉県狭山市)で1m深地温の連続観測をしており、興味ある結果が得られている。少々遅くなったが、地温に関係したインターネット情報(Yahoo Japanのニュース。オリジナルは日本農業新聞1月8日付)があるので紹介したい。それによると、「地球温暖化でマツタケの収穫期間が短くなっていることが、長野県林業総合センターの調査で分かった。36年間の地温、気温、降水量などの気象観測データとマツタケの発生時期、発生量を調べて結論付けた。現状のままでは減収の恐れがある。収穫を安定させるため、同センターは地温の上昇を避ける施業方法の見直しを提案している」。具体的には、「標高800mの地域では、収穫開始時期が特に遅くなっている。豊丘村の平均の初収穫日は、81年~90年は9月24日だったが、07~14年は9月30日、収穫最終日の遅れは開始日ほど大きくはないため、結果として収穫期間全体が短くなっているという」。 当研究所の地温測定では、最近の数年間ではあるが、経年的変化が明らかにされているが、年平均地温の変化だけではなく、地温の年最高地温を示す日が年々早くなるなどの変化の位相も変化する傾向が見られている。地温変化は基本的には気温変化を反映したものではあるが(地温変化振幅は気温変化振幅より小さく、また、地温変化は気温変化より位相が遅れるという特徴がある)、地温が直接的に影響を与えている現象があることは興味深い。
毎日新聞2017年1月11日付朝刊によると、環境省は10日、沖縄・八重山諸島の石垣島と西表島の間にある国内最大のサンゴ礁「石西礁湖」で、70.1%のサンゴが白化死滅したと発表したという。同省那覇自然環境事務所が昨年2016年11月~12月、水深2~7mの35地点で調査した結果分かったという。石西礁湖は東西に約20km、南北に約15kmに広がる。昨夏の高い海水温が続いたことが影響したと見られている。依然として、地球温暖化が進行していることを示している。ただ、当研究所(埼玉県狭山市)は敷地内で、2012年5月8日以降、1m深地温の毎日観測をしているが、年平均地温は2015年17.70℃、2016年17.40℃、年最高地温は2015年28.72℃、2016年は26.11℃となっている。地球温暖化が指摘される中、気温・海水温・地温も長期的には上昇する傾向がある中で、短期的な変動もあり、気温・海水温・地温も相互に関係していることは確かであるが、それぞれの熱輸送のメカニズムとも関係しているので、今後議論していきたい。
毎日新聞12月8日付朝刊によると、トヨタ自動車は7日、提携企業などを公募し、新サービスの共同開発を進める取組み「トヨタネクスト」を始めると発表したという。少子高齢化などを背景に国内販売の低迷が懸念される中、異業種連携を通じて車の魅力を高める新サービスを創出したい考えという。ホームページでアイデアを募り、早ければ来年夏にも新サービスを始めるという。主な提携対象は国内の企業や個人。安心・安全性能や車の快適性を高めたり、販売店が提供するディーラーサービスを拡充したりするアイデアを来年2月まで募集するという。外部のコンサルティング会社の協力も得て、7月下旬に提携先を決定するという。開発費用はトヨタが全額か一部を負担し、連携企業との資本提携も検討するという。対象に地熱発電も含まれるとすれば、是非とも地熱開発企業が手を挙げることを期待したい。
毎日新聞12月8日付朝刊によると、東京電力が、送電事業で他社と提携する検討に入ったことが7日、分かったという。社をまたいで電力の需給を調整する組織を新設し、発電や送電を効率的に行い、収益を向上させる狙いだという。関係者によると、東電はすでに他社に協議を持ちかけ、経済産業省の有識者会議「東京電力改革・1F問題委員会」(東電委員会)にも構想を示しているという。東日本を中心にした広域連携を目指すという。大手電力会社は現在、各社が個別で、需要と供給が一致するよう発電している。東電は、他の大手と組んで需給の調整機能を一元化したい考え。たとえば、東北電力の再生可能エネルギーで発電した電力が余った場合、東電に融通して、火力発電の出力を抑え、燃料費を削減する効果などが期待できる。東電が送電事業の効率化を急ぐのは、1Fでの処理費用が2013年に見積もった計11兆円から20兆円超を膨れ上がる見込みの中、収益力の強化を迫られているからだという。発送配電を広域で効率化することによって、再生可能可能エネルギーの導入にプラスになることは賛成であるが、その意図が必ずしも明瞭でなく、提携する側がすぐ同意するとも考えにくい。動機が不純である。まず、従来からの、東電の唯我独尊的な姿勢を改める必要があるだろう。東電は、政府から(したがって、国民から)の特別な支援を受け、辛うじて存続しているわけで、やはり一度清算し、区切りを付け、出直すべきである。東電処理問題はいろいろな方面に影響を与えている。日本の電力システムは後世に向けて改めて、根本的に改善していくべきであると思われる。東電事故の処理都合で、新しい電力システムが作られていくことは将来に禍根を残すことになろう。
毎日新聞12月6日付夕刊によると、環境省は6日、2015年度の国内の温室効果ガス排出量(速報値)が、二酸化炭素(CO2)換算で前年度比3%減の13億2100万トンだったと発表したという。東京電力福島第1原発事故後、2年連続で減少したのは初めて。省エネが定着し、電力消費量が減少したことが主な原因と考えられている。原発事故後、火力発電所の稼働が増えて排出量は13年度にピークの14億500万トンに達したが、翌年度から省エネや再生可能エネルギーの拡大でCO2排出量の減少が続いた。政府が掲げる「20年度までに原発ゼロでも05年度比3.8%減」の目標も、15年度は5.2%減と原発事故後で初めて達成した。一方、冷凍冷蔵庫やエアコンの冷媒として使われる代替フロン「ハイドロフルオロカーボン(HFC)」の排出量はCO2換算で前年度より360万トン増え、今後に課題を残している。国連に提出している「30年までに13年比26%減」という温室効果ガスの削減目標について、環境省の担当者は「毎年3%減を維持すれば達成できる」と述べているという。前述の提出目標より、今後の国際的な地球温暖化に関する議論では、より多くの削減が求められることは明らかであり、今年度目標をクリアしたからと言って安心できるわけではない。引き続き、省エネと再生可能エネルギーによる発電の進展が必要である。
毎日新聞11月26日付夕刊によると、南極の海氷の面積が100年前に比べ変わっていないという結果が得られたという。英国レディング大学は、南極大陸を取り巻く海氷の大きさについて、約100年前と現在でほとんど変わっていないことがロバート・スコットやアーネスト・シャックルトンらの当時の南極探検隊の日誌から分かったと発表したという。研究チームによると、20世紀には増加した時期と減少した時期があり、減少を続けているのではないことが分かったという。欧州地球科学連合の機関誌に発表された研究結果によると、スコット隊やシャックルトン隊のものを含む、1897年~1917年の間に航海した九つの船の探検日誌を分析した。記録にある氷の端の位置を基に分析した海氷の大きさは530万~740万平方キロ。衛星観測から現在は約600万平方キロとしている。1950年代にはこれよりかなり大きかったことがわかっており、研究チームは縮小する一方ではないと指摘。最近ではわずかに大きくなっているといい、南極の海氷は北極よりも温暖化の影響を受けにくいと見られるとしている。チームを率いるジョナサン・デイ博士は「スコット隊などが収集したデータは南極の海氷の拡大や縮小について、われわれの見方を変える可能性がある」と指摘している。興味ある結果だが他のデータで検証する必要があると考えられる。温暖化は単調に一方向に進むのではなく、変動を繰り返すもので、また地域によってもその表れ方が違うからである。
毎日新聞11月25日付朝刊によると、11月22日に起きた福島県沖の地震(M7.3 最大震度5弱 津波高仙台港で最大1.4m)は、旧磐城沖ガス田付近の海底活断層が動いて発生した可能性が高いとする分析結果を、東北大と広島大の研究チームが明らかにしたという。断層は少なくとも30kmを超えるとみられ、断層と直交する向きで地盤が大きくずれたことが、延長線上にある仙台港の津波が最大1.4mと高くなった一因だと考えられるという。研究チームは、海底地形や地質構造と今回の地震の余震分布との関係を調べた。その結果、今回の震源域は同県楢葉町の沖合40キロで2007年まで操業していた同ガス田の近くで、過去の海底掘削調査などから北東-南西方向に延びる断層の存在が報告されている海域と判明。地震前の海底地形データを詳しく判読したところ、この断層に沿うように東側が5~10mほど落ちた崖が確認できたほか、今回の地震の余震もこの断層に沿う形で発生していることが分かった。研究チームの東北大学災害科学国際研究所の遠田晋次教授(地震地質学)は「一度の地震活動で10mもの崖ができるとは考えにくく、何度もずれ動いた活断層が今回動いたと考えられる」と指摘したという。海底活断層に関する情報は不十分で、今回のように他の目的で調査した結果が防災に生かされていない例は他にもあると見られ、「情報を収集し、詳しい調査を進めるべきだ」と話しているという。ところで、地熱発電所でも発電に伴って、種々のモニタリングを行っているが、地殻活動の監視に有用なものもあると考えられ、地熱発電関係者もモニタリング結果を発電の維持に活かすだけでなく、今回の例のように、広く考えることで、火山防災・地震防災に活かすことができるのではないか。このことはすなわち、地域防災に貢献することができるわけで、地熱発電所ができることのメリットを地域に説明する手段の1つとなり得るのではないか。地熱事業者の検討を期待したい。
毎日新聞11月23日付朝刊によると、地熱発電開発が大きく進展しつつある東アフリカ諸国において、地熱発電システムの管理をIoTで管理するという先端技術の提供に日本が取り組むとの報道がなされている。報道によると、日本政府が国連工業開発機関(UNIDO、本部ウィーン)と協力し、東アフリカ諸国で地熱発電設備をインターネットでつなぎ、生産効率の向上につなげる「モノのインターネット(IoT)」化に取り組むことが分かったという。わが国の既設地熱発電所のほとんどはすでに遠隔監視化されており、「新設地熱発電所が次々と建設されるが、地熱発電所運転の経験に乏しい東アフリカ地熱発電所国」には有効な支援になる可能性がある。その前に、まず持続可能な適切な規模の地熱発電所が建設されることが肝要であると思われる。
毎日新聞11月19日付夕刊によれば、モロッコ・マラケシュで開催されているCOP22は、18日、温暖化対策のパリ協定に実効性を持たせるルール作りを2018年までに終える工程表を採択したと報じている。合意文書は、以下の3項目からなっている。(1)2018年までにパリ協定のルール作りを完了する。17年には進捗状況を確認する会合を開催する。(2)温暖化による被害軽減対策のための基金について、特別協議を開始する。募金に関し、締約国は17年3月31日までに意見を提出する。(3)17年5月の会合で、18年に各国の温室効果ガス削減目標を引き上げるための仕組み作りを議論する。なお、日本は、パリ協定の批准が遅れ、今回開かれた第1回パリ協定締約国会議には議決権のないオブザーバーとして出席している。山本環境相は以下のようなことを述べているという。「会議では、世界各国がパリ協定を一致して守っていくという思いが出せ、全体としてこの流れは変わらないということが示された(全く第三者的なコメントである。当事者意識が極めて薄い。わが国は実質的に関与できなかったので積極的なコメントができないということか)。(今世紀後半以降の大幅削減に向けた)長期戦略を多くの国が作ってきている状況なので、日本としてもそれをきちんと仕上げていく必要がある(積極性がない。数値作りをするという程度の考えか)。会期中、日本は(不名誉な)化石賞を受けたし、石炭火力発電はどの国でもいい評価は得ていない(当然である)。石炭に関する環境省としての考えを今後、はっきり申し上げていきたい」(国内意見をまとめ、それを国際的に公表し、世界をリードしていくことが環境省にできるか)。環境省の動きを見守りたい。
毎日新聞11月19日付朝刊によると、「COP22閉幕へ向け パリ協定のルール作りの工程表採択へ大詰め」 と報道されている。マラケシュで開かれているCOP22は最終日の18日、「パリ協定」のルール作りを2018年までに終えることを盛り込んだ工程表の採択を目指して最終調整が行われている。交渉関係者によると、温暖化の影響が大きい島しょ国を中心に、17年にもルール作りの経過を検証する会議を開き、項目ごとに採択すべきだとの意見が根強いという。18年まで協議して一括で採択するとする先進国などの案との間で協議が行われているという。また、温暖化による被害を防止するための途上国向けの資金について、先進国は20年までに官民合わせて年1000億ドル(約11兆円)の支援を可能にするとの報告書をまとめたが、途上国は拠出額の算定方法などを疑問視し、意見が対立しているという。なお、開幕に先立ち、「(パリ協定は)あらゆる立場の人が支持するもので、政府だけの力で交代させることはできない」とする「マラケシュ宣言」も採択されたという。名指しこそしないものの、温暖化対策に後ろ向きな次期米国大統領のトランプ氏をけん制する内容になっている。当然のことと思われる。はたして、大統領選挙期間中、否定的な見解を述べてきたトランプ氏は具体的にどのような対応をとることになるだろうか。注目したい。
毎日新聞11月18日付夕刊には3件の地球温暖化関連の記事が掲載されている。大きい扱いから順に紹介する。1)脱炭素市場 日本影薄く: マラケシュで開催中のCOP22においては「脱炭素市場」を狙い、各国の企業が多数参加しているが、日本企業の姿はほとんど見られないという(日本の見本市出展は、世界各国約150社中わずか2社)。パリ協定は、産業革命前からの世界の平均気温上昇を2℃未満に抑えることを目標とする。各国の研究機関などで作る「ニュー・クライメート・エコノミー」は、この達成に今後15年間で90兆ドル(9900兆円)の投資が必要と試算しているという。世界各国の企業が再生可能エネルギーは十分成長可能なビジネスととらえている一方、日本企業の関心の低さはいったいどこからきているのだろうか。パリ協定批准が遅れに遅れた、温暖化対策に消極的な国の姿勢が反映されているのか。2)日本-温暖化対策「落第」:ドイツの環境シンクタンク「ジャーマンウオッチ」などが世界の主要58の国と地域の地球温暖化対策を評価したランキングを発表したという。日本は下から2番目(最下位はサウジアラビア)。再生可能エネルギーが増えていることは評価されたものの、二酸化炭素排出の多い石炭火力発電を推進し、原発頼みの削減策に固執していることなどが理由という。チームは、温室効果ガス排出量や再生可能エネルギーの比率などのデータに、独自の政策の分析結果を加えて採点したという。なお、十分な対策を実施している国はなかったことから、1~3位は前年同様「対象国なし」。トップの4位はパリ協定を議長国としてまとめたフランスで100点満点中66.17点、ちなみに日本は35.93点で60位。残念ながら、日本の評価は最低レベルである。3)日本に「化石賞」:世界の環境保護団体で組織する「気候行動ネットワーク」は17日、地球温暖化対策の前進を妨げている国に贈る「化石賞」に日本を選んだという。温暖化対策の新枠組み「パリ協定」を批准しながら、二酸化炭素排出の多い石炭に依存し、石炭火力発電技術を海外輸出する矛盾した行動が理由という。  以上の3件を見ると、政治的、経済的、技術的観点いずれから見ても、残念ながら、温暖化対策において、世界から低く見られていることになる。COP22でいったいどのような発言をするのか。
毎日新聞11月17日付夕刊によると、今年も気温が過去最高になったという。世界気象機関(WMO)は、今年の世界の平均気温が観測史上最高になるとの見通しを発表したという。WMOによると、今年1~9月の平均気温は基準値(1961年~90年の平均)より、0.88℃高かったという。10月も高い状態が続いたため、年平均では過去最高だった昨年(基準値より0.77℃上昇)を上回る見込みだという。過去30年間で気温上昇が顕著になっている。ところで、当研究所では2012年5月8日より、1m深地温の毎日観測を行っているが、地温(年最高地温、年平均地温)が昨年までは上昇傾向にあったが、今夏は低下に転じており、考察が必要である。
米国がトランプ政権に移行する中で、米国が温暖化対策に後ろ向きとなり、パリ協定が形骸化するとの懸念が根強いが、毎日新聞11月17日付夕刊によると、米国の現オバマ政権は16日、温室効果ガス排出量を2050年に05年比で80%以上削減することを目指すとの長期戦略を、モロッコ・マラケシュで開催中のCOP22で発表したという。米国ケリー国務長官は「米国の温暖化対策は後退しない」と述べ、他国に先駆けて長期目標を掲げることで先導する姿勢を強調したという。しかし、トランプ氏が大統領に就任後どうなるかは予断を許さない。
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