『電通社長、株主に五輪談合「おわび」』 毎日新聞3月30日付夕刊はこう報じている。 広告国内最大手の電通グループは30日、定時株主総会を東京都内で開いたという。東京オリンピック・パラリンピックの大会運営事業を巡る談合事件で同社と、電通の元幹部が起訴されたことについて五十嵐博社長が「極めて重大な事態を発生させ、多大な心配をかけたことをお詫びする」と株主に謝罪したという(⇒全く不十分である。株主だけでなく、記者会見して、国民一般にも謝罪をすべき問題だ)。五十嵐氏は、事件の原因究明や検証を進めているとして「コンプライアンス(法令順守)の徹底で信頼の回復に努める」としたが口頭だけでは信用できない。この問題の根底には、電通が巨大化し、電通をトップとするピラミッド方式の広告業界の再編を行い、下請け会社を電通が差配し、文句を言わせず、支配し、一方電通一社が発注元(経産省)と交渉を行う構造になっていたことだ。発注元にとって電通とだけ交渉を行えばよく、実態は丸投げで、発注者は最終的な絵が描けない状態ではなかったか。発注者・受注者双方にとっても、電通をトップとする丸投げは都合よかったのだろう。電通にとっても一社ですべてが決められる構造は好都合であったのではないか。日本固有の多段階下請け構造(⇒下請け会社は上部構造に意見が言えない。言えば、その会社には仕事を取り上げる)が出来上がっていたのではないか。なお、検察は贈収賄を個人レベルで捜査をしているだけのようであるが、今回の問題の本質はそこにはなく、国をはじめとする公共事業が多段階下請け構造になっていることではないか。問題の本質は贈賄問題ではなく、不当な事業構造ではないか。発注者側にとっては、頭を使わず、丸投げをするだけでよく、しかし、正当な競争が行われず、経費は増加する一方で、その分は国民の税金にしわ寄せがきているのだ。公正取引委員会は「公共事業の多段階下請け構造を追及し構造改善を図るべきだろうをすべきだろう。それによって、日本の古い体質である「不用意な発注受注構造・賄賂体質」の改善を図るべきではないか。これはまた、労働者の働き方改革にもつながる。また、国民の税負担も減る。検察、公取とも表面的な捜査だけでは、問題は根絶されない。限りない国費の濫用が今後も続く。