地熱情報研究所

地熱情報研究所の立ち上げにあたって
地熱から少し離れて
最近の日本の地震活動 最近の日本の火山活動

地熱研News

地熱に関する最新の動き 地熱に関する最新の動き  意見 意見
1 |  2 |  3 |  4 |  5 |  6 |  7 |  8 |  9 |  10 |   Next >> 
『電力融通 連携線増強 有識者会議案 設備仕様共通化も』 毎日新聞11月15日付朝刊はこう報じている。 北海道地震や台風21号で停電が相次いだことを受け、経済産業省の有識者会議は14日、電力供給体制の災害対策案をまとめたという。各地域間で電力を融通し合う連携線を増強することなどが柱だという。政府が11月末に策定する防災対策に反映させるという。9月の北海道地震に伴い発生した広域停電(ブラックアウト)では、北海道と本州を結ぶ連携線の容量が60万キロワットと限られ、北海道に電気が十分送れなかった。連携線は来年3月に90万キロワットまで増強されるが、対策案は来春までに更なる増強計画を具体化させるように提言したという。また、九州などで大量導入が進む再生可能エネルギーを他の地域に送電しやすくするため、全国的な地域間連携線の強化も検討するという。増強にかかる費用負担のあり方も検討していくという。委員からは「電気料金の上昇が懸念され、連携線の増強は慎重に検討すべきだ(⇒明らかに後ろ向きの議論だ)」などの意見が出たという。このほか、気候や時間帯によって出力が変動する太陽光や風力発電の需給調整を効率的に行うため。モノのインターネット(IoT)を活用したネットワークを推進することや、大手電力の送配電線設備の部材の仕様を共通化し、災害時に融通し合うことで復旧を迅速化する案なども示されたという。⇒いわゆる3.11以降、日本の電力システム、電力構成などの抜本的な改革が求められている中で様々な問題が噴出しているが、当面の対策を講じることは必要であるが、場当たり的な対応ではなく、将来に向けたビジョンを掲げ、電力システム・体制・構成等抜本的に変革していくことが求められている。ここは改めて一度立ち止まり明確な新らしいビジョンを掲げながら、2050年~2100年を見据えた議論が必要だろう。
『九電 太陽光発電の「出力制御」 再エネ主力化への試金石』 毎日新聞11月15日付朝刊の毎日記者によるオピニオン欄はこう報じている。九州電力は10月、事業用の太陽光発電を一時的に停止する「出力制御」を全国(離島を除く)で初めて実施した。出力制御した日は晴天の休日で太陽光発電が増える一方、工場の稼働や冷房利用が少なかったため、制御しなければ電力の需給バランスが崩れ、大規模停電につながる恐れがあったという。政府や九電は「かねて想定された事態」(経済産業省幹部)とするが、政府が掲げる再生可能エネルギーの「主力電源化」に向けて大きな課題を浮き彫りにしたと指摘できる。⇒恐らく根本的問題は、個別事業者レベルではなく、国レベルの問題であろう。国は、再生可能エネルギー発電を「主力電源化」するといっているが、依然、原発の再稼働、石炭火力発電の稼働という相反する課題を維持しており、この問題の根本的解決は、国の電源構成・配送電に関する考え方(優先給電ルール、電力間連携線、蓄電池等)を抜本的に改めることであろう。根本的な問題に手を付けず、当面を繕う政策ではすでに限界が来ていることを示していると思われる。先進の欧州の経験を学ぶべきだろう。世界の後方に置かれている日本の電力政策の抜本的改革が必要と思われる。
『1キログラム定義 130年ぶり変更 分銅から物理定数に 国際機関来年5月施行』 毎日新聞11月17日付朝刊はこう報じている。 質量、時間など単位の定義を議論する国際度量衡総会が16日、フランスであり、130年ぶりに質量「キログラム」の単位を見直すことに決めたという。1キログラムは1889年以降、パリ近郊の国際度量衡局に保管されている金属製分銅「国際キログラム原器」が基準だったが、物理学で使う「プランク定数」をもとに計算する方式に変更するという。新定義は来年5月から適用されるが1キログラムの重さは変わらず、今回の変更で人々の日常生活に影響は出ない。同総会は単位を定義するメートル条約に基ずく決定機関。ナノテクノロジーなど先端技術ではごくわずかな誤差が影響するため、単位の定義には普遍性のあるプランク定数など物理定数に基づく方式の導入が求められており、この日はキログラムだけでなく物質量のモル、電流のアンペア、温度のケルビンの見直しも決まったという。2004年から進められてきたキログラムの定義改定では、(日本の)産業技術総合研究所のチームも参加。定義となる物理定数を小数点以下43位まで求めることに成功したという。地道な分野での国際貢献であるが、大いに敬意を表したい。
『ちきゅう プレート境界断層へ 大地震懸念の南海トラフ 海底下5200㍍掘削計画』 毎日新聞11月15日付朝刊はこう報じている。近い将来、大地震を起こすと懸念されている南海トラフで、海洋研究開発機構の地球深部探査船「ちきゅう」が海底で掘削を続けている。目指すのは海底下約5200㍍。過去に何度も地震を引き起こしたプレート境界断層の岩石を採取する世界初の試み。掘削により、地震発生個所の固着域を直接観測し、岩石を採取し、ひずみの蓄積具合や断層のずれ方などの特徴に迫ろうとしている。共同首席研究者の木村学・東京海洋大特任教授は「巨大地震の切迫度を評価できるようにしたい」と意気込んでいるという。・・・・海洋機構は掘削完了後、孔内に圧力計などの観測機器を設置し、リアルタイムで固着域を観測したい考えだという。首席研究者の一人、東京大地震研究所の木下正高教授は「巨大地震までの準備の過程を、発生の前に捉えたい」と話しているという。⇒このプロジェクトが順調に進めば、地震発生メカニズムなどの科学的成果が得られるとともに、地震防災に大きな貢献をする可能性がある。南海トラフ地震は数10年のスケールで迫りつつある。掘削孔を使った圧力など諸量のモニタリングができるだけ早く開始されることを期待したい。やはり、その場(in situ)観測の威力は大きいだろう。新しい現象の発見に期待したい。
『M8級「半割れ」なら住民避難 M7級「一部割れ」避難先確保 南海トラフ 政府が対応骨子』 毎日新聞11月14日付朝刊はこう報じている。 政府の中央防災会議の作業部会は13日、南海トラフ地震の発生可能性が平常時より高まっていると判断された場合の避難のあり方など、防災対応に関する骨子をまとめたという。大地震の前兆と疑われる三つの異常現象に応じた警戒レベルを示し、住民らが取るべき対応を盛り込んでいる。発生可能性が高い場合は政府が情報発信し、津波到達が早い地域に避難を呼びかけるほか、震度6弱以上が予測される自治体などに防災計画を策定するよう求めるという。・・・いずれのケースでも、異常現象を受けて気象庁が「南海トラフ地震に関する情報」の臨時情報を発表し、地震の発生の可能性が高まっていることを周知するという。ただ、臨時情報が発表されても長期間にわたって大地震が起きない可能性もあり、「半割れ」「一部割れ」のケースでは、警戒期間は1週間程度を基本にすることにしているという。作業部会は年内に報告書をまとめるという。これを受け、政府は来年度中にも住民や自治体、企業など各分野の対応を例示したガイドラインを策定する方針という。⇒なお、「半割れ」の場合の対応は一番確実ではないか。しかし、「半割れ」でもM8級地震は大きな被害をもたらすだろう。直前予知が困難な状況では、仮に大地震が発生したとしても被害が最小限になるよう各人が努力することが大事だろう。夜間、寝ているとき、地震動による家具などの倒壊による被害を受けないような寝室内の家具整理、昼間、ビルからのガラス破片・看板・壁の落下等を避けるため、ビルから離れる、運転中の車の路肩への停車等個人レベルでもできることは多い。直前予知ができない現状では、自分の命は自分で守ることを肝に銘じるしかない(もちろん社会的弱者に対しては関係者の特別の努力が必要であることは言うまでもない)。それができずに命を落とす場合、天災というより、自らが招いた人災とも言えるだろう。南海トラフ地震の直前予知が困難な中、今後数十年以内に発生が迫っていることはこれまでの研究から十分推定できる。気象庁による「臨時情報」が出る前から(今から)事前にできることをやっておくことが必要だろう。過去の発生状況を見れば、南海トラフ地震は必ずやってくる。発生予測の現状を考えれば、自分の命は自分で守らざるを得ないだろう。
『福島沖にマンガン層 EEZ内 他の希少金属含有か』  毎日新聞11月16日付朝刊はこう報じている。 海洋研究開発機構は、電池などに使われるレアメタル(希少金属)のマンガンを多く含んだ岩石層が、福島県沖に広がっているのを見つけたと発表したという。岩石層に海水中のコバルトやニッケルも付着している可能性が高く、「採取した岩石を分析し、資源が豊富な海域を絞り込みたい」としている。場所は福島県沖約350㌔にある日本の排他的経済水域(EEZ)内の海底火山「磐城海山」。10月に潜水調査船「しんかい6500」で水深1700~5400㍍の5カ所を調べ、全てでマンガンを含む厚さ数㌢の岩石層が確認できたという。マンガンは輸入に頼っているが、EEZ内で見つかったことで国産の資源として使える可能性があるという。マンガンを含んだ岩石層には、他のレアメタルも付着しやすいことが知られているという。機構はこうした岩石層が日本近海に広く存在すると推測。今後、水深や地形を手がかりに、資源が豊富な海域を効率よく見つける方法を開発したいとしているという。⇒資源小国と言われるわが国であるが、近海のEEZ内に多量のレアメタル資源があるとすれば、その元素に関しては資源大国となることができ、希少資源が一部の国々の思惑に左右されずに利用でき、日本の先端産業への寄与は大きいと考えられる。今後は、さらなる資源量評価、取り出す技術採鉱法の研究開発も必要となってくる。
『宇宙カプセル 状態良好 帰還 太平洋で回収』 毎日新聞11月13日付朝刊はこう報じている。 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11日午前7時ごろ、国際宇宙ステーション(ISS)での実験試料を入れた小型回収カプセルを太平洋の南鳥島近海に着氷させた。カプセルは船で回収した。ISSで作製した試料を、日本が初めて自力で持ち帰った(ここまで、前日の本欄で紹介)。JAXAの植松洋彦HTV技術センター長は記者会見を開き「(カプセルの)状態は非常に良い。これがないと先に進めないという技術を日本が獲得した」と喜んでいるという。今回はカプセルを途中まで無人補給機「こうのとり」とともに地球へ運んだが、カプセルのみでも帰還できるような技術開発を進めるという。カプセルは大気圏再突入の際の高温に耐える設計で、直径約84㌢、高さ約66㌢の末広がりをした円筒形(⇒むしろ円錐台形)。13日ごろに南鳥島で中の試料を航空機に移してJAXAのつくば宇宙センター(茨城県つくば市)に運ぶという。中身は宇宙の無重力環境で結晶化させたタンパク質。保冷剤と断熱容器を使い、4℃を一週間保てるようにしてある。無事だったかどうか今後確認するという。今後のタンパク質結晶の分析結果に期待したい。なお、試料回収技術改良にはさらに次が想定されているようで、あくなき技術的追求に敬意を表したい。
『カプセル回収に成功 JAXA、ISSから試料』 毎日新聞11月12日付夕刊はこう報じている。 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11日午前6時24分、国際宇宙ステーション(ISS)の実験試料を持ち帰る小型カプセルを、無人補給機「こうのとり」7号機から放出した。カプセルは大気圏に再突入し、約40分後に南鳥島沖の太平洋に着水。JAXAが同10時25分、船で回収に成功したという(写真掲載)。これまでISSからの物資回収は米国やロシアに限られており、日本が回収するのは初めてという。こうのとりは大気圏内再突入で燃え尽きる一方、カプセルはパラシュートを開いて南鳥島の南南東約660㌔に着水したという。カプセルは直径約84㌢、高さ66㌢の円錐に似た形状。内部にタイガー魔法瓶が開発した真空二重容器(容積30㍑)が入っているという。カプセル表面は大気圏突入時に約2000℃に達するが、容器が内部の試料を高温や衝撃から守っている。今回は日本実験棟「きぼう」で実験を行ったタンパク質試料などを、保冷剤とともに容器内に回収したという。こうのとりは9月23日、鹿児島県・種子島宇宙センターで打ち上げられ、同28日にISSにドッキング。生鮮食料品や実験試料、ISSで使う日本製の大型リチウムイオン電池などを届けた。ISS内の不用品などを積み込み、今月8日にISSから分離。大気圏再突入に向け、徐々に高度を下げていたという。今回のミッションの技術的側面は完璧に行われ、今度は実験試料の解析という科学的側面に期待が寄せられる。
『東海第2原発延長認可 「再稼働反対」命のため 地元福祉施設「避難耐えられぬ」』 毎日新聞11月8日付夕刊はこう報じている。日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)は、原子力規制委員会が7日、最長20年の運転延長を認可し、再稼働に必要な国の審査が終わったが、過酷事故に備えた課題が山積したままである。自力避難が難しい高齢者を多く抱える医療機関や福祉施設は避難手段の確保さえままならないという。同村で福祉施設を経営する伏屋淑子さん(82)は「命を守るには再稼働反対しかない」と訴えているという。実際、再稼働の必要性は全くない。百害あって一利なしである。原子力規制委員会の責任は極めて大きい。原子力規制委員会は一体何を考えているのか。これは、第2次大戦終戦時の旧満州および沖縄での棄民政策と同じである。先の大戦処理からも、福島第一原発事故からも何も学んでいない。原子力規制委員会の責任を改めて問いたい。歴史を学ばないものにあるのは滅びだけである。
『地下高水圧で泥流 インドネシア地震 東大准教授調査』 毎日新聞11月7日付朝刊はこう報じている。インドネシア・スラウェシ島の地震で、多数の犠牲者が出た液状化現象による大規模な泥流は、地下水の水圧が高いために起こったとみられることが、東京大の清田隆准教授(地盤工学)らによる調査で分かったという。被害地域は計5平方㌔以上に及び、場所によっては1㌔以上も地面が水平に移動した異例の災害だったようだ。地震は9月28日に発生し、判明しているだけで2000人以上が死亡。泥流は液状化による地盤流動で、津波よりも多くの犠牲者が出る原因になったようだ。少なくとも1300人以上が行方不明で、多くは埋まったままとみられている。清田准教授らは10月中旬と今月の2回、現地調査した。泥流はパル市など主に3地域で発生。いずれも傾きが1度程度のなだらかな斜面だったという。地面を掘ると水が噴き出し、地元住民も「地震前から棒を刺すと水が出た」と証言。地下水圧が高い地層「被圧帯水層」がある場所とみられたという。液状化は地震の揺れで地盤に含まれる水の水圧が高まり、砂の粒子のかみ合わせが外れて地盤が液体状になる現象。通常は砂と水が地表に吹き出すなどして水圧が下がり、止まる。今回は、水圧が地表付近に伝わり続け、液状化が長く続いたために、泥流が大規模化したとみられるという。現場周辺は粘性の高い土に覆われており、標高の高い方から流れ込む地下水がもともと出にくいため、地下水圧が高まっていたと考えられるという。粘性の高い(⇒難透水性の粘土質土壌?)土が”ふた”のような役割を果たした可能性もあるという。被圧帯水層は日本でも至る所にあるが、陸地でも同様の大規模な地盤流動が発生した記録はない。清田准教授は「条件がそろえば、日本でも起こるかもしれない。被害防止に向け、事前の地盤調査の重要性がより増すのではないか」と話しているという。⇒ごく表層の地層の物理的性質如何によって、地震災害が増幅される一例とみられるが、この状況は本年9月6日に発生した北海道胆振東部地震(M6.7)に伴って、急な山体に堆積していた、粒状の火山性堆積物が大規模な土石流となって流下して大きな災害を発生させたこととよく似ている。地震動による直接的被害だけでなく、地震動と表層地質の関係は、減災の観点から今後とも追求されるべき課題だろう。
『舞い戻った守り神 厚真』 毎日新聞11月5日朝刊はこう報じている。 9月の北海道胆振東部地震で、最大震度7を観測した厚真町の厚真神社では、エゾフクロウのつがいが例年より約1カ月早く境内に姿を見せたという。宮司の黒沢寿紀さん(75)によると、夏場は別の場所で過ごし、通常は9月末~10月に戻るが、今年は地震直後に帰還したという。6日で地震発生から2か月。エゾフクロウはアイヌ語で「クンネレッカムイ」(夜鳴く神)と呼ばれ、かつて守り神としてあがめられてきたという。黒沢さんによると、9年前から境内にすみつき、今は3代目。今年6月にヒナ3羽を育てて離れ、地震直後に戻ったという。黒沢さんは「こんなに早く戻るのは初めて。心配してくれているのだろうか」と話しているという。⇒地震との関係は何とも言えないが、温暖化に伴う気候変化の早まりに関係しているかもしれない。身近でも、1m深地温の年最高値が年々高まったり、年最高値のピークを示す時期が早まったり(当研究所(埼玉県狭山市)で2012年5月8日以降地温の連続観測を継続している)、桜の開花日が早まっていることが認められる。
『師も驚く美しい回答-早世の数学者、長尾健太郎さん-』 毎日新聞11月4日朝刊はこう紹介している。気鋭の数学者がいた。その名を長尾健太郎という。高校時には、世界の若手が挑戦する国際数学オリンピックで、日本人初の3大会連続金メダルという快挙を成し遂げたという。研究者となってからは、理論物理学の分野からも注目される論文を書き、若手数学者の登竜門とされる「日本数学会賞建部賢弘賞」を受賞しているという。15歳の夏に太ももに腫瘍が見つかり、再発と手術を繰り返したという(⇒著者江原も同様に6か月の入院を経験し、退院後約4年経つので、その状況はよく理解できる。著者の場合、若年ではなかったが)。名古屋大助教だった2013年10月に亡くなったという(⇒残念ながら、当時、著者は存じ上げていない)。31歳だったという(⇒まことに残念であるが、まさに「天才の夭折」ということばそのものである)。国内外の数学者が早すぎる死を悼み、論文に<長尾健太郎にささげる>と記したという。ハンガリー出身の数学者で大道芸人のピーター・フランクルさん(65)も、その才能に驚いた一人だという。ピーターさんは小中学生が対象の国内大会、算数オリンピックの共同創設者。大会で優秀な成績を収めた子供たちに算数の問題を与え、答えを添削していた。小学6年生だった長尾さんから返ってきたのは、ピーターさんの想像もしないような「美しい」回答だったという。「例えば、あなたは今、ボールペンを使ってノートに文字を書いていますね。でも彼は違う。あそこにある椅子を使って書こうとします」。足し算の答えを引き算で求めるかのような独創性が、異彩を放っていたという。その後も2人の師弟関係は変わらず、長尾さんの闘病中も、ピーターさんは数学の問題を出すことで励まし続けたという。今年8月19日。東京・渋谷であった算数オリンピックの表彰式で、小学3年以下の最優秀者に「長尾賞」が贈られたという。惜しまれながら早世した数学者の名を残そうと、14年に設けられた賞だという。長尾さんは趣味の囲碁でもアマチュアトップレベルの実力者だったという。8歳の長男は今夏、囲碁の大会で全国大会に出場したという。数学と囲碁と家族。短い生涯で、その人はいつも笑っていたという。⇒若き天才の夭折を悼むとともに、もし生きていればどんなに画期的な研究成果を生み出したか計り知れないことが思われ残念である。
『日本版GPS運用開始 「みちびき」誤差従来の100分の1』 毎日新聞11月2日付朝刊はこう報じている。 世界最高レベルの精度を誇る日本の衛星測位システム「みちびき」の運用が1日、始まったという。政府は今後の宇宙の商業利用の柱と位置付けており、民間利用が如何に進むかがカギになるという。みちびきは、日本の上空に長時間とどまる特殊な軌道(準天頂衛星システム)を回り、「準天頂衛星システム」とも呼ばれる。政府は1号機を2010年に、2~4号機を17年に打ち上げ、運用に必要な4基態勢を確立した。現在は米国の全地球測位システム(GPS)と併用して使うが、23年には、GPSに依存せず運用できる7基態勢にする計画だという。測位誤差は最小6㌢と、GPSの100分の1以下にまで小さくできるという。常に日本上空をカバーするため、ビルや山に信号が遮られることがほぼなくなるという。みちびきに対応したカーナビなどでは信号が安定して高い精度の位置情報が利用でき、バスの自動運転や農機の無人化、小型無人機ドローンを使った物資輸送など、さまざまな場面での利用が期待されるという。誤差6㌢の最高精度の信号を受けられる専用受信機はまだサイズが大きく、スマートホンなどの小型機器には搭載できない。普及には受信機の小型化が課題という。平井卓也・宇宙政策担当相は「みちびきの世界最高レベルの測位技術は世の中を変える可能性がある。さまざまな使い方を提案し、宇宙と実社会をつなぐ仕組みとして前に進めたい」と話しているという。⇒高精度の小型受信機を一般の人が入手可能となれば、地域の地盤変動を地域で監視することができ、火山防災・地震防災などにも地元住民がデータ取得から関与でき、地域の防災に大いに寄与できる可能性もある。市民が科学に興味を持ち、各種の貢献をするためには、自らデータを取得することは非常に重要なことであろう。小型で高性能な受信機(精度が6㌢から、半分の2~3㌢程度になれば、さらに有効となろう)を市民が安価に購入できる時代の早期到来に大いに期待したい。
『リュウグウ うり二つ 米探査機目指す「ベンヌ」』 毎日新聞11月1日付夕刊はこう報じている。 米航空宇宙局(NASA)は31日、小惑星からの試料回収を目指す無人探査機「オシリス・レックス」が目的の小惑星「ベンヌ」を捉えた画像を公開したという。(わが国の)はやぶさ2が来年1月にも着陸する小惑星「リュウグウ」とそっくりなそろばん玉のような形をしている(2つの小惑星のカラー画像が記事には掲載されているが、確かに非常に似ているようだ。⇒直径数100㍍規模の小惑星はそろばん状になりやすい理由があるのか?)。(新聞に掲載された写真は)ベンヌから330㌔離れた場所から撮影されている。1分間に1.2度ほどの速さで自転していることが確認されたという。ベンヌはリュウグウと同じく地球と火星の間の軌道を回っているという。一部は色も似ており、起源が共通する可能性も指摘されているという(⇒その可能性は十分高いであろう)。大きさは直径約500㍍で、リュウグウの半分ほど。オシリス・レックスは12月にもベンヌに到着するという。探査の上、着陸し、2013年に地球に帰還する計画だという。したがって、リュウグウの方が先行していることになる。両小惑星から得られた試料が同一の分析結果を示すならば、結果の信頼性・一般性はより高いだろう。
『富士山、未知の噴火2回 2500年前 本栖湖地層から火山灰』 毎日新聞11月1日付朝刊「科学の森」欄はこう報じている。富士山で約2500年前、これまで知られていなかった噴火が相次いで起きた可能性が高いとの研究結果を、秋田大や東京大のチームが発表したという。富士山北西にある本栖湖(山梨県)で採取した地層から、未知の2回の噴火で積もった火山灰を確認したという。秋田大のスティーブン・オブラクタ准教授(古環境復元学)は「富士山の噴火は考えていたよりも多く、影響が及んだ範囲はもっと広かった」かもしれないと話している。最大水深約120mと、富士山北側の「富士五湖」のうちでは最も深い本栖湖で、湖底から過去約8000年分に相当する厚さ4mの地層を採取。地層のどの部分がいつ積もったかを分析したという。その結果、約2500年前に約20年間隔で積もったとみられる火山灰の地層が2層確認されたという。特徴から見て富士山のものと考えられ、この時期に2回の噴火があったのではないかとしている。気象庁によると、3500年~2300年前ごろの富士山の山頂で爆発的な噴火が起きていたという。オブラクタ准教授によると、富士山ではこの時期に少なくとも14回の噴火が知られているという。⇒火山に多数存在する深い湖では、火山噴出物が失われることがなく、安定的に存在し、長期間のより細かい噴火活動史が編年できるだろう。火山地域の湖の湖底堆積物に目を付けるのは良いアイデアである。今後、他の火山でも広く実施されるだろう。各火山で、従来の噴火活動履歴よりも、頻繁で活発な噴火史が明らかになるだろう。それに応じて、防災対策もよりきめ細やかになるだろう。
『「いぶき2号」打ち上げ』 毎日新聞10月30日付朝刊はこう報じている。三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は29日午後1時8分、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき2号」とアラブ首長国連邦の観測衛星などを載せたH2Aロケット40号機を、種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から打ち上げた。両衛星は予定の軌道に投入され、打ち上げは成功したという。H2AとH2Bを合わせた日本の主力ロケットの成功率は97.9%(47機中46機成功)となったという。いぶき2号は、高度613㌔から地球全域の二酸化炭素(CO2)やメタンの濃度を観測する。2009年打ち上げの初号機から観測精度を大幅に向上させ、CO2の場合、500㌔四方で0.5ppm(ppmは100万分の1)の精度で測定できるという。温室効果ガスの濃度は地上や航空機でも測定されているが、人工衛星は、世界全体くまなく、同一のものさしで継続して測定できる(⇒すぐれもの)。地球温暖化問題ではなかなか国際的・政策的にリードできないわが国であるが、このような技術的な貢献を期待したいものである。
『冬の備えは大丈夫』 毎日新聞10月28日付朝刊はこう報じている。 「氷河期の生き残り」と言われ、国内では北海道のごく限られた高山地帯だけに生息するエゾナキウサギが冬支度を始めているという(記事にはカラー写真掲載)。鹿追町の然別湖近くの岩場に「ピイッ」という甲高い鳴き声が響く。体調15㌢ほどである。素早く動き回ったと思えば、岩の上でじっと空を見つめたりと愛らしい表情を見せているという。食料となる植物の葉などを集め、冬場は岩の下でじっと春を待つという。埼玉県狭山市の当研究所周辺の森の木の葉の色、野草の花の色、鳥のさえずり、虫の鳴き声等も秋から冬に向かいつつあるのに気づかされるが、当研究所の敷地内で2012年5月8日以来行っている1m深地温の観測結果も数値的に裏付けている。8月7日に地温のピーク(26.87℃)を迎えた後、大局的には低下を続け、本日10月28日には19.55℃となっている。1日当たり0.14℃低下している。5日当たりでは0.69℃の低下である。地温変化は七二候(1年365日とすれば、一候は5日程度)によく対応しており、確実に冬に向かっている。地中から大気中に流出する熱量が増加を続けている(したがって、地温は低下する)。なお、地温は低下の長期的トレンドの中、一時的に上昇し、時折極大を見せるが(8月7日以降本日のピークが12回目)地温は着実に低下している。
『浜岡原発 文書開示せず 御前崎市「公開条例の施行前」』 毎日新聞10月24日付朝刊はこう報じている。中部電力浜岡原発が立地する静岡県御前崎市で、情報公開条例の施行前に作成された浜岡原発に関する公文書について、施行前を理由(全く理由にならない。よほど困る内容が書いてあるのだろう)に非開示となる例があった(⇒のでその例に従う?⇒御前崎市は、結果として、自分の首を絞めることになるだろう)。市などへの取材で判明したという。国の情報公開制度では、さかのぼって情報公開すると規定されている。諮問機関の市情報公開審査会も昨年、施行前の文書開示に応じるための制度創設を求めているが、改善されていないという。このように、無意味の「形式で却下する」ことは公文書の内容に自信がないからだろう。国の意見を当然聞いていると思われるが、さかのぼって情報公開すべきとの国の情報公開制度で期待されているが、おそらく、国は、妙な理屈をつけて、それに反した回答をしたことだろう。このようなことを繰り返せば国民の反原発意識を強めることになるのは確実だ。御前崎原発も住民の反対によって再稼働は不可能となるだろう。その前に、巨大な南海地震よる震動と津波で壊滅する可能性もある。その対策の方が重要だろう。
『大山古墳 発掘開始 陵墓公開への先べんとなるか』 毎日新聞10月23日付夕刊はこう報じている。宮内庁と堺市は23日、日本最大の前方後円墳「大山(だいせん)古墳」(同市堺区、全長約500㍍)の発掘調査を始めたという。歴代天皇や皇族の陵墓で、宮内庁が外部機関と共同で発掘するのは初めてという。大山古墳は宮内庁が仁徳天皇の墓として管理するが、学術的には確定していない。調査には、堺市の学芸員1人が発掘や報告書作成に参加するという(⇒複数参加が望ましいのではないか)。墳丘周囲の三重の濠で、最も内側の堤(幅約30㍍)の南東部に計3か所、調査区を設定し、幅2㍍の溝(トレンチ)を掘るという。遺構や堤の状態などを把握し、将来の護岸工事に活用するという(⇒宮内庁の目的はあくまでも陵墓の維持管理であるようだ。その前に、確かな事実の確認が必要だろう。しかし発掘によって、予想外のものが出てくる期待もある)。この日は午前8時半ごろ、宮内庁と堺市の職員ら約10人が古墳北側から入り、調査を初めたようだ。台風で倒れた木などを除去し、溝を掘る位置の設定などを行う予定という。調査は12月上旬まで行われる。一般公開はしないが研究者や報道陣に現場を公開する予定という。なお、陵墓は貴重な文化財でもあることから、考古学者らは公開や外部知見の導入を提言してきたという。陵墓問題に詳しい今尾文昭・関西大非常勤講師は「貴重な機会であり、本来は現地説明会をやるべきだ。また、全体的な発掘・保全計画を示さないまま、調査結果を見せるだけにすることは避けてほしい」としている。多くの人が、陵墓の価値を認識し、保存計画に関心を持つためにも、現地説明会は必要であろう。宮内庁は一体何を懸念しているのだろうか。
『温暖化でビールの値段2倍? 原料の大麦収穫量17%減り 今世紀後半 中・英チーム試算』 毎日新聞10月23日付夕刊はこう報じている。地球温暖化がこのまま進むと大麦の収穫量が減り、今世紀後半にはビールの値段が2倍以上になってしまうかも。こんな予測を、ビール消費量の多い中国と英国の研究チームが英専門誌ネイチャープランツ電子版に発表したという。原料を輸入に頼る日本では値段は2.3倍に(上がり)、消費量は26%減るとしている。チームは「ビールの入手が難しくなれば、むしろ体に良いとの議論もあるだろうが、愛飲家にとっては深刻だ」と強調しているという。二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出削減が遅れると、今世紀後半には深刻な干ばつや熱波が世界中で増えると分析。大麦の収穫量は30年の平均に比べ最大で17%減るとしている。大麦は家畜の餌に優先的に使われ、ビール原料としての使用は圧迫されるという。人間より、家畜が優先されるとは面白い現象だ。
『電力 より災害に強く 有識者会議 初会合 台風、地震で停電続き』 毎日新聞10月19日付朝刊はこう報じている。 経済産業省は18日、昨今の台風や地震で停電が相次いだことを受け、災害に強い電力供給体制をのあり方を話し合う有識者会議「電力レジリエンスワーキンググループ」の初会合を開いたという。全国の送電網や発電所が災害時、電力の広域融通などを通じて大規模停電を防げる体制になっているかを点検し、電力会社どうしの連携や制度改革など必要な対策を急ぐという。⇒この問題の解決の基本には、「将来の主要電力を再生可能エネルギーによるものとして明確化し、かつリスク分散を図るため、特定な電力源に偏ることなく(1つの電源が30%以上を占めることが無い)、各エネルギーが10~20%ずつシェアすることを目標にすべき」と考える。その前提で、連携等技術的な問題および制度改革を考えていくべきだろう。
『昨年の米産業界 温室効果ガス3%減』 毎日新聞10月19日付朝刊はこう報じている。米環境保護局(EPA)は17日、産業界の2017年の温室効果ガス排出量が前年と比べ3%減少したと発表したという。地球温暖化対策に後ろ向きなトランプ大統領の就任1年目と重なるが、(⇒オバマ前政権の)再生可能エネルギーの拡大や石炭火力発電所の廃止などで発電部門の排出が減ったことが大きく寄与したという。EPAは「排出を減らすのに厳しい規制は必要ないことを証明した」と主張するコメントを出したという。⇒信じられない主張だ。EPAはまともな組織とはとても思えない。曲学阿世の輩と同類だ。ここまで落ちるものか。減少は3年連続のため、実態はオバマ政権の時代の温暖化対策の効果が続いている可能性があり(⇒こう考える方がはるかに合理的である)、11月の中間選挙に向けて議論を呼びそうだという。⇒当然であろう。EPAは世界の失笑を買うだろう。
『隕石が住宅を直撃 住人「ズゴーン、大きな揺れ」愛知』 毎日新聞10月16日付夕刊はこう報じている。 愛知県小牧市で9月、隕石が住宅の屋根に直撃したとみられることが15日、分かったという。屋根が壊れた家の住民が庭などで見つけた石を国立科学博物館が鑑定し、隕石と判明。同博物館は「小牧隕石」と名付け、近く国際隕石学会に登録申請するという。鑑定した同博物館理工学研究部の米田成一理化学グループ長によると、隣家で見つかった石が本体とみられ、縦約10.5㌢、横約8.5㌢、厚さ約4.5㌢、重さ約550グラム。宇宙から来た放射線が検出されたことから約46億年前にできた隕石と判断したという。鉄やニッケルを含むと見られ、磁石に反応するという。今後、成分を詳しく調べるという。⇒鉄やニッケルを含むとすれば地球のコアの成分と似ていることになり、原始地球と似た成分か。今後の分析を待ちたい。今回の件で驚いたのは、隕石が直撃した家の住人が、極めて危険であったことをあまり認識されていないようで、テレビのインタビューでも同様であったことである。
『仁徳天皇陵保存 堺市と共同発掘 宮内庁 初の外部連携』 毎日新聞10月16日付朝刊はこう報じている。宮内庁と堺市は15日、同市堺区にある日本最大の前方後円墳「大山古墳」(仁徳天皇陵:カラー写真掲載)について、今月下旬から共同で発掘すると発表したという。古墳保存のための基礎調査だが、歴代天皇や皇族の陵墓の発掘に宮内庁が外部機関を受け入れるのは初めてという(⇒これを皮切りに、今後前方後円墳の科学的調査が進むことになり、これまでの宮内庁からすれば、画期的な決断と言えよう。歓迎すべき決断である)。宮内庁は「天皇陵の保全管理に地元の協力は不可欠」としているという(⇒陵墓を貴重なものとして、保全管理をする上でも、陵墓自体の科学的知識が蓄積されるのは望ましいことである)。大山古墳は全長約500㍍で、三重の堀が巡るという。宮内庁は仁徳天皇の墓として管理するが、学術的には未解明(⇒この点からも学術調査の意義は高い)。調査は10月下旬~12月上旬、埴輪列などがあったと考えられる最も内側の堤(幅約30㍍)に幅2mの調査区を3カ所設け、堺市の学芸員1人も発掘や報告書作成に加わるという。宮内庁陵墓課は、今後も墳丘の裾などを発掘し、濠の水で浸食されている古墳の保存計画を作るという。宮内庁は全国の陵墓への立ち入りを「静安と尊厳を保持するため」として原則認めず、単独で調査してきた。考古学界は陵墓の公開と保全を訴えており、宮内庁は2008年から、日本考古学協会など考古・歴史学の16団体に限定的な立ち入り観察を認めたいきさつがある。16年3月には地元自治体や研究者に協力を求める方針に転換し、徐々に公開度を高めてきている。今回、一般向けの現地説明会はないが、速報展や講演会を検討しているという。宮内庁の陵墓管理委員会で委員を務める白石太一郎・大阪府立近つ飛鳥博物館名誉館長は「共同発掘は重要な一歩だ。陵墓の公開に向けても歓迎できる」と評価している。堺市は大山古墳を含め百舌鳥・古市古墳群の来年の世界文化遺産登録を目指しているという。そのためにも科学的知見の蓄積は必要だろう。宮内庁が単独ではなく、外部機関を含めた調査に動き出したことは必要なことであり、評価したい。速報が待たれる。予断のない成果公表を期待したい。
『冬の使者飛来 北海道にマガン』 毎日新聞10月15日付夕刊はこう報じている。北海道美唄市の宮島沼に、東北地方など越冬地に向かうマガンの群れがシベリアから次々と飛来し、羽を休めているという(カラー写真掲載)。夕暮れ時に甲高い鳴き声を挙げながら沼の上空を舞う姿に、訪れた愛好家らから歓声が上がっているという。石狩川沿いの水田地帯にある宮島沼は広さ25㌶ほど。ラムサール条約登録湿地で、宮島沼水鳥・湿地センターによると、今年の初飛来は9月中旬でピークは今月上旬の約6万5000羽。13日朝も約4万5000羽が確認されているが、マガンが見られるのは今月末ごろまでという。数日ほど過ごした後、越冬地の宮城県の伊豆沼などに飛び立つという。季節は確実に変わり、秋から冬に向かっている。なお、当研究所(埼玉県狭山市)では2012年5月8日以来、所内の敷地で1m深地温の観測を継続しているが、地温は確実に低下している(-0.2~0.3℃/日)。太陽から日射によって地中に流入する熱量よりも、渦拡散熱量、蒸発潜熱量、長波放射熱量によって地中から大気中に放出される熱量の方が大きいことを示している。今後、浅層地中(地表から深さ10~15m程度まで)はどんどん冷却していくことになる。浅層地中でも秋から冬への移り変わりである。
『世界の湿地35%消失 1970~2015年 温暖化や都市開発で ラムサール事務局公表』 毎日新聞10月14日付朝刊はこう報じている。  国際的に重要な湿地の保全を目的としたラムサール条約の事務局は、1970年~2015年の約半世紀に世界の湿地の35%が消滅したする報告書を発表したという(⇒かなり大きい数字ではないか)。地球温暖化や人口増、都市化が主な原因と指摘。森林の3倍のスピードで消滅が進み、00年から一層加速しているとしている。世界の湿地の現状について、条約事務局による包括的な報告書は初めてという。ウレゴ事務局長は「各国政府や関係機関が協力、保護に乗り出す必要がある」と強調しているという。報告書によると、世界には1210万平方㌔の湿地があり(⇒全地球表面積5.1億平方㌔の約2.4%、日本の国土面積の約33倍に相当し、かなり広い面積を占めていると言えよう)、アジアが32%を占める。その他、北米に27%、中南米に16%あるという。70~15年に消滅した湿地は中南米で最も多く59%。次がアフリカで42%。欧州も25%が失われている(⇒欧州も意外と大きいようだ)。また、湿地減少に伴い、生息する魚、水鳥など1万8000以上の種の4分の1が絶滅の危機にあるとしている。約2300に上る条約の登録湿地の個別状況は発表していないが、事務局は「日本は湿地の重要性が理解され、保全が行き届いている例外的な国の一つだ」と評価されている。日本では釧路湿原(北海道)や慶良間諸島海域(沖縄県)など50カ所が登録されている。⇒日本が地球の自然環境保全上、世界的に評価されている、数少ない項目の一つか。関係者の努力によるところが大きいのであろう。なお、湿地の減少は地球温暖化や都市化(熱的にはヒートアイランド現象)に影響を受けており、当研究所(埼玉県狭山市)が2012年5月8日以来、敷地内で実施している1m深地温の測定は、地球温暖化やヒートアイランド現象の変化を反映するものであり、両者の対応を追求していくことも意義あることではなかろうか。
地熱に関する最新の動き 地熱に関する最新の動き  意見 意見
1 |  2 |  3 |  4 |  5 |  6 |  7 |  8 |  9 |  10 |   Next >> 
Institute for Geothermal Information. All Rights Reserved.