毎日新聞2025年5月8日付朝刊一面は『独、露ガス輸入待望論』と報じている。バルト海につながる港湾を望むドイツ北部ルプミン。運河の向こう側に海底パイプライン「ノルド・ストリーム(NS)」の地上施設がみえるという。約1200㌔離れたロシア西部から送られた天然ガスはバルト海底を通り、ここから上陸し供給された。
NSはドイツ、欧州とロシアの蜜月時代の象徴だ。2022年2月のロシアによるウクライナ全面侵攻前、露産天然ガスは欧州連合(EU)の輸入量は約4割を占め最大の輸送ルートがNSであった。安全保障上の懸念から反対する米国を押し切り約80億ドル(約1兆1520億円)を投じ11年に完成。21年に並行する「ノルドストリーム2(建設費110億ドル」も完工した。
しかし、露のウクライナ侵攻後、EUは露産ガスの輸入を削減、22年9
月にバルト海で起きたNSの爆破事件でNSは完全に停止した。別ルートでの供給は続くが、25年1~3月期にはEUの輸入量の13%にまで減少。EUは27年末までに露産ガスの輸入をゼロにする計画だ。
「多額の建設費をかけ、それを海の底で眠らせておく理由はない」ルプミン市のアクセル・フォークト市長(58)は、そう嘆く。「国際情勢は不確実で、議論は次期尚早かもしれない。しかし、パイプラインの修理・再開は技術的に可能だと」訴えた。
NS再開の議論は欧州の政財界でも活発化しつつあるという。独・経済は23~24年に2年連続マイナス成長と低迷、安価な露産ガスの供給が減り、エネルギー価格が高騰したことが不況の一員となっており、打開策としてNS待望論が浮上した。
2月の総選挙で第2党に躍進した極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」はNS再開を主張。独・化学インフラ運営企業「インフラ・ロイナ」のギュンター代表も「NS再開は、どの補助金よりも、(ガス)価格を低下させる」と強調する。
NS待望論がくすぶる一方、欧州で強まっているのが米国への警戒感だ。EUは露産ガスの減少分を補うように、米国産LNGを増やした。欧州のガス輸入量に占める割合は、21年10~12月期の6.5%から、25年1~3月期には24.6%に拡大。エネルギー分野でも米国への依存度が急激に高まった。
だが、トランプ米政権は対EU貿易赤字を減らすため、LNG購入をさらに増やすよう圧力をかけている。「米国第一主義」への不信感は増しており、仏エネルギー大手「トタルエナジーズ」のパトリック・プヤネ最高責任者は、ロイター通信の取材に「1国」、「2国」にエネルギーを依存するだけではなく、多様化が必要だ」と訴えたという。
欧州各国は冷戦後、米国の傘にで守られながら、ロシアとの経済関係を急速に強化した。そして今、エネルギー分野でロシア離れを進める局面で現れたのが、欧州に強硬な姿勢をとるトランプ米政権だ。米国依存からの脱却か、痛みを伴いながらの米欧関係の強化か。欧州の苦悩は深まりつつある。
⇒米国の日本への関税強化は担当の赤沢大臣への表面的な甘い言葉とは裏腹に、結果は強腰を続けており、日本の鉄鋼産業や自動車産業へは日本の産業をつぶしても構わないという姿勢である。これは、これまで日本は完全なアメリカのポチになってきたことにも大いに関係があろう。ここは、アメリカの理不尽な関税要求には断固反対を続け、日本から対抗措置として、日本の関税修整要求を受け入れないなら、日本は米国依存からの完全な脱却を図る必要があるのではないか。すなわち、最も有効な日本からの要求は『日米安保条約及びこれに付随した日米地位協定』の不平等条約の破棄を通告するのだ。日本はアメリカのポチから脱却するのだ。その結果、アメリカ軍の沖縄駐留は不可能となり、沖縄米軍は沖縄から出てグアムにでも移転してもらうのだ。辺野古に代替飛行場建設も必要ない。また極めて優れた自然環境を持つ辺野古の海域を巡って、日本人同士が争う必要もない。こうすれば沖縄問題の多くは解決する。たとえば、度重なる沖縄米兵・軍属の日本人女性への性的婦女暴行問題、大量な米軍基地からの基地維持費の不都合な要求もなくなる。
さらには、沖縄戦で県民の4分の一も失いながら、県民が日本軍を懸命に支えた、沖縄県民 に対する特別の配慮が後世必要であるとの沖縄守備隊司令官の大本営への血を絞るような最後の電報を無にすることはなく、また、戦時に大変な苦労をしながら亡くなった沖縄県民への謝罪と感謝が沖縄県民に届けられるだろう。
石破首相は戦後80年の総括談話を出すことを党首選で明確にしていたが、いつごろからか言わなくなってしまったが、戦後80年談話は必ず国民に公表すべきだ。そのうえで、米国からの脱却を日本国民だけでなく、世界に向かって、日本の向かう新しいビジョンを訴えてほしい。