地熱情報研究所

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『石棺から全身人骨 福島・5世紀の古墳 ほぼ完全な状態』毎日新聞9月17日付朝刊はこう報じている。福島県喜多方市で古墳時代中期の前方後円墳「灰塚山古墳」の石棺から、成人男性の全身人骨が見つかったと、東北学院大学(仙台市)の発掘調査チームが16日、発表したという。同時期の古墳から保存状態の良い全身人骨が出土したのは、東日本で初めてという。埋葬者は地域を支配した豪族と見られ、チームの辻秀人教授(考古学)は「(DNA鑑定など)最新科学を使えば、当時の支配者の姿に迫れるのではないか」と指摘しているという。人骨は石棺(長さ2.2m、深さ20cm前後、最大幅85cm)から見つかった。身長150~160センチで、両肘から先と両足首以外の全身の骨が、ほぼ完全な状態で残っていた。上下の顎に残る歯数本の擦り減り具合から60台で死亡し、背骨の状態から腰痛を患っていた可能性があるという。辻教授によると、石棺を含む板石を二重にし、その隙間を埋めるように外側を20~30センチの粘土で固め、さらに土をかぶせる三重構造だったという。このため石棺内に土の流入が少なく人骨が影響を受けにくかったとみられ、辻教授は「これだけ丁寧な作りは、全国的にもあまりみたことはない」と話しているという。灰塚山古墳では2011年から調査が続いており、昨年の調査で石棺の上から鉄製の剣や矢尻など大量の副葬品が出土し、大和王権との深い関係が記されていた。なお、記事には記されていないが、石棺内のカラー写真が掲載されており、内壁は赤色を示しており、水銀朱が塗られていた可能性がある。実は、当研究所では、地熱探査の一手法である水銀探査法を古墳の調査への応用を検討しており(今月中旬福岡県朝倉市の古墳に適用を計画)、このような古墳の存在は極めて興味深く感じている。
『台風強風域 温暖化で拡大 スパコン「京」予測 海洋機構』 毎日新聞9月16日付夕刊はこう報じている。 地球温暖化によって台風の強風域が拡大し、大型化するとの研究結果を海洋研究開発機構と東京大のチームがまとめ、米気象学会の専門誌に発表したという。スーパーコンピューター「京(けい)」で、温暖化による台風の大きさの変化予測に成功したという。チームは、1979~2008年の現代の気候と、温暖化が進んだ2075~2104年の将来の気候を地球規模でシミュレーションし、比較した。同じ中心気圧の台風が発生した場合、将来の気候では平均風速15メートル以上の強風域の半径が10.9%拡大するとの結果が出たという。温暖化によって台風の雲が高く発達するようになり、雲ができる際に放出される熱が増加する。大気が暖められ、雲の下の気圧が低下し、強風域が広がるという。温暖化に伴い、いろいろな気象現象に極端な変化が現れると言われてきたが、このように定量的で詳細な研究結果は、人々に地球温暖化進行の現実感・危機感を強く感じさせるのに有効と考えられる。
『阿蘇の柱状節理 無残 国、復興工事で破壊 世界ジオパーク指定』 毎日新聞9月14日付朝刊はこう報じている。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界ジオパーク」に指定されている熊本県・南阿蘇村の見どころの一つである立野峡谷(同県南阿蘇村)で、阿蘇山の溶岩が作り出した柱状節理が、国の復興工事で破壊されていたことが分かったという。工事は昨年4月の熊本地震で崩落した阿蘇大橋を別の場所に架け替えるもので、国は県に柱状節理を壊すことを説明していなかったという。誠に残念なことと言うほかはない。復興事業は、国土交通省によるものであり、ユネスコ指定は文部科学省、また、本地域は国立公園に指定されており、環境省も関係するが、縦割り行政の弊害の典型例と言えるかもしれない。ユネスコ指定に向けては地域も盛り上がるが、指定後は関心が薄れる典型例かもしれない。工事は昨年11月に着工ということであるから、多くの関係者・住民も工事を見ている可能性がある。地震災害や大雨災害の復興に目が注がれ、世界ジオパークが忘れられていたのだろうか。いずれにしても残念なことである。世界ジオパークは4年ごとに再認定の審査があり、適切な保存などがされていない場合は「条件付き再認定」となるという。阿蘇は来年審査を控えている。
『北極海 氷減少「負の連鎖」海氷の隙間に太陽光 融解が加速』 と毎日新聞9月11日付夕刊はこう報じている。地球温暖化の影響で海氷が減っている北極海で、氷と氷の間が広がって太陽光の熱が吸収されやすくなり、さらに周りを解かす「負の連鎖」が起きていることを、北海道大学と国立極地研究所のチームが英科学誌で発表したという。チームの大島慶一郎・北大教授(極域海洋学)は「北極海の夏の海氷は2000年代に入って、1980年代の半分近くに激減している。負の連鎖で融解が加速したことが大きな要因だ」と指摘したという。海氷の激減により、地球全体の大気や水の循環への影響も懸念されるという。米国の衛星観測データを使い、北極海の氷の変化を分析したものである。すると、海氷は温暖化の影響で薄くなり、00年以降、風や海流で氷と氷の間が広がり、海面がのぞくようになったことが判明。一方、80年代と00年以降を比べると、海面に吸収される熱が増えており、夏に氷が解ける量も2倍になっていたという。風などで海氷に隙間が増えたのを引き金に、白い氷に反射されていた太陽光が、濃い色の海面に届いて熱が吸収されるようになり、氷の融解が加速したとチームは見ているという。以前は厚い氷が互いに密着していたため、風や海流の影響を抑えていたという。地球温暖化が強まると、種々の気象現象の変化が指摘されているが、極域ほどいろいろな極端な現象が生じることが予測されているが、北極海の氷の減少もその1つと考えられる。
『最大規模「太陽フレア」被害情報なし』 毎日新聞9月9日付朝刊はこう報じている。太陽表面で発生した大規模な爆発現象「フレア」について、情報通信研究機構は8日、太陽から放出された電気を帯びた粒子が同日午前9時ごろに地球へ到達したと明らかにしたという。地球の磁場の乱れは同日正午ごろまでにピークは過ぎたと見られ、被害の情報は入っていないという。記者会見した石井守・同機構宇宙環境研究室長によると、日本時間6日午後8時53分に発生したフレアは、規模を表す5段階の等級で最大級の「Xクラス」に属し、1975年の観測開始以来27番目の規模だったという。この影響で、南極・昭和基地など高緯度地域で鮮やかなオーロラが観測された(緑色の数条にわたるオーロラの写真掲載あり。情報通信研究機構提供)。日本上空の磁場も乱れており、9日まで全地球測位システム(GPS)や短波通信への障害が起きる可能性がある(実際、昨日のテレビ報道で、携帯型GPSシステムによる、ある道路上での移動軌跡が、前日は問題なかったが、昨日、フレアの影響で、地上を移動したにもかかわらず、移動軌跡が地上を離れ、50m程度上空に示された例があった。また、普段短波放送が聞かれる時刻に受信できず、フレアによる電離層の位置変化が原因ではないかと紹介された)。また、フレアを発生させた黒点が隠れるまでの2~3日間は大規模な爆発に警戒が必要という。同機構は当初、8日午後3時~9日午前0ごろの地球到達を予測したが、到達は約6時間早かったという。石井室長は「粒子放出のスピードが推定より早かったと考えられる」と話したという。この点に関しては、前日の本欄でも紹介したが、爆発の圧力が推定より大きく、初速がより大きかったために、粒子(平均)速度が速かったと見られる。通常の太陽風の速度400~800km/秒に対して、今回のフレア時には、2~3倍程度の約1150km/秒程度の粒子速度であったようだ。爆発の圧力のデータが示されるとさらに興味深い。
『環境時計2分進む 人類危機示す 米新政権で懸念増』 毎日新聞9月8日付夕刊はこう報じている。地球環境の悪化に伴う人類存続の危機を時刻で示す「環境危機時計」が今年は9時33分になり、昨年より2分進んだと旭硝子財団が8日、発表したという。2008年と並び最も危機感が高まっている。世界の研究者らにアンケートしてまとめたものだという。昨年の米大統領選以降の政治状況を挙げた回答者が全体の55%、米国では80%に達し、トランプ政権による地球温暖化対策の「パリ協定」離脱問題が影響したことがうかがえるという。環境危機時計は、深刻さを0時1分から12時までの時刻で示し、9時を過ぎると「極めて不安」な状態としている。130カ国の研究者や企業、政府関係者2000人以上にアンケートしたものだという。回答に当たり重視した分野は、温暖化などの「気候変動」が29%で最多。「生物多様性」が12%、「水資源」が11%だったという。調査は1992年から毎年実施しているものである。トランプ米大統領の出現で時計が進んだのは十分納得できる。なお、このような環境指標の国際的発信がわが国の機関、それも民間機関によってなされていることに少々驚きを感じた。
『大規模な太陽表面爆発 地球に大量粒子 GPSに影響も』 毎日新聞9月8日付朝刊はこう報じている。 本欄の内容とは少し離れているが、大規模な宇宙空間現象であり、地球への影響も考えられることから、紹介したい。(わが国の)情報通信機構は7日、太陽表面の爆発現象「フレア」が、6日午後9時頃発生したと発表したという。2006年12月以来の大きさで、米気象衛星は、フレアに伴い通常より1000倍以上強いエックス線を観測したという。人体には影響はないと言われるが、電気を帯びた大量の粒子が8日午後にも地球に到達し、通信機器や全地球測位システム(GPS)に影響を及ぼす恐れがあるという。最悪の場合は、停電や人工衛星の故障につながることもある現象という。機構は、普段通りの生活はできるものの、GPSの誤差が数十メートル程度に大きくなる可能性があるとして注意を呼び掛けている。ただ、スマートフォンやカーナビには補正機能があり、大きな影響はないとみられるという。米航空宇宙局(NASA)の観測衛星が太陽フレアを捉えた。機構によると、太陽フレアによって放出された粒子(プラズマ)は8日午後3時から9日午前0時にかけて地球に届く見込みという(6日午後9時頃太陽で発生、8日午後3時頃地球に到達するというので、到達に要する時間は42時間。概算すると、粒子速度は約1000km/秒となる。通常の太陽風の速度は400~800km/秒と言われているので、今回の大規模フレアはやや速いとも言えるか)。人工衛星の誤作動や、磁場や上空の電離層の乱れにより、短波放送や衛星放送のほか、航空無線の障害も懸念されるという。1989年にはフレアによって大気中に異常な電流が流れた影響で、カナダで大規模停電が生じたという。機構は、今回日本で停電が起こる恐れは低いとしている。北海道北部などで赤く光るオーロラが見える可能性があるという。太陽の活動は、ほぼ11年周期(太陽の自転による)で変動。今回のフレアは08年から始まった今の周期で最も大きい規模という。大規模フレアに伴って、大気中に異常な電流が流れると、地熱地域で行われる地下構造調査法の1つMT(地磁気地電流)法は、多くの信号が得られ、地下構造解析にはプラスとなる可能性も考えられる。ただ、電磁現象に関係して、最近北朝鮮関連で報道されているEM(電磁)パルスの影響被害が思い出されるが、それとは別に、近年、将来予想される富士山噴火に伴い、火山灰の影響で、通信機器が大被害を受けることが予測されており、このような機会に、国民が通信機器の大規模被害問題を改めて考え直しておくことは意味あることではないか。なお、同様な太陽フレアに関する記事が同じ毎日新聞9月8日付夕刊にも掲載されている。それによると、今回は爆発規模が大きく、地球への到達時間が初めの予測より、約6時間早まったという。この場合は粒子速度は1150km/秒程度となり、通常の太陽風よりもさらに速かったことになる。
『エネルギーの未来を皆で考えよう~「エネルギー情勢懇談会」』スタート と 経済産業省資源エネルギー庁のメールマガジン(号外)9月5日発行分に、「エネルギー懇談会」が開始されたことが報じられています。まず大きく変わるエネルギー情勢について以下のように総括されています。 「日本は、時代の大きな流れの中で、エネルギーについても重要な選択を積み重ねてきました。第1の選択:国内石炭から石油へ(60年代)⇒自給率の劇的低下。第2の選択:2回の石油危機(70年代)⇒価格の高騰。第3の選択:自由化と温暖化(90年~)⇒京都議定書。CO2削減という課題。第4の選択:東日本大震災と福島F1事故(2011年~)⇒最大の供給危機。安全という価値。再エネという選択肢の登場。第5の選択:パリ協定50年目標(2030年~)⇒多くの国が参加し野心的な目標を共有。技術・産業・制度の構造改革。 そして、以下のように述べられています。 ①そして今日、エネルギーを巡る情勢は、目まぐるしく変化しています。たとえば、主要な資源である石油の価格は、100ドルから50ドルに大きく下落しました。今後、再び上昇するかもしれませんが、EV化の程度なども大きく影響するでしょう。 ②他方、これまで発電コストが高いとされてきた再生可能エネルギーは、日本の外で40円/kWhから10円/kWhに下がった国もあります。蓄電池の革新などが進めば、更なる活用が進む可能性もあるでしょう。 ③脱原発を宣言した国がある一方、多くの国が原子力を活用しているなど、各国の対応もさまざまです。また、世界全域における地政学上の緊張関係が高まる中、リスクの動向を注視していく必要もあります。 こうした情勢変化を捉え、今後それらを見極めていくことが重要になります、と まとめています。 ④また、2016年11月にはパリ協定が発効しました。2050年の温室効果ガス削減について、日本を含む先進国はきわめて野心的な高い目標を共有しています。こうした目標は、従来の取り組みやその延長線上にある取り組みを実施するだけでは、実現が難しいものです、と総括しています。 さらに、⑤エネルギーが変わると会社も暮らしも変わる、⑥エネルギー問題をみんなで考える機会に と項目は続きます。 以上の経済産業省の見解は、内外の情勢変化を捉え、過去よりも前進したと見られます。ただ、原発の方向性については、主体性が見られません。アジアの韓国・台湾、ヨーロッパのドイツ・スイス・ベルギーなどは、自国が大きな事故を起こしたのではないにも関わらず、日本に先駆けて、明確な姿勢を見せています。日本も、福島F1事故およびその現在の状況を直視し、世界に明確なメッセージを発信することを期待したい。 詳細は、資源エネルギー庁のメールマガジンをお読みください。
日本地球惑星科学連合(JpGU)ニュースレター Vol.13,No.3(2017年8月1日発行)では、2017年度JpGUフェロ-受賞者紹介が行われ、受賞者からの、研究の流れ・成果の紹介あるいは研究者と社会との関わり方等が述べられており、優れた研究者のいろいろな熱き思いが紹介されている。そのうちの一つ(島崎邦彦東大名誉教授 地震学)について紹介したい。『研究の面白さに、はまってしまった人へ』というタイトルで研究者に呼びかけている。「パズルが得意だったり、ミステリー好きだったり、数学が面白かったり、あるいは一体、何がきっかけだったのか? とにかく研究の面白さに、はまってしまった人、のめり込んでいる人、そんな人に、思いがけない落とし穴が待っている」と、まず投げかけている。そして、漠然とした社会に役立ちたいという意識、あるいは鮮明に、役立ちたいと思っているあなた、あなたが社会に影響を(たとえ少しでも)与えることができるようになった時、認められて、やっとここまで来たという感慨を覚えるかもしれない。しかし、ニュートンの作用・反作用の法則があることを忘れてはいけない、社会に影響を与えるなら、社会があなたに影響を与えることを。そのあと、地震学の専門家として、国の委員会等でのいくつかの苦い経験を紹介している(詳細は原文に目を通してほしい)。最後にこう呼びかけている。「未来ある人々に知ってほしい。科学的におかしなことが大手を振っている場が存在することを。社会の役に立ちたいというnaiveな思いが全く通じない場があることを。こちらが研究者仲間と思っていても、上司の名に逆らえない立場もあることを。練達の行政マンにとって、世間を知らない研究者を操ることは容易だ。未来ある人は、そのような場を避ける知恵を持ってほしい。どうしようもなく、そのような立場に立たされたなら、即刻、退場することだ。大見得を切って辞めてもいいし、そっと目立たなく辞めてもいい。納得がいかないことを、論理づけて自分に納得させようとする、そんなあなたを見たくない。きっかけを失ったまま、居心地の悪い場にいることは時間の無駄だ」と。そして、社会に役立ちたいと真摯に思うなら、私は、外からwatchすることをお勧めする。そして科学的におかしなことがないのか、何が正しいのか、見張ること。外からでは十分わからないことも多い。しかし、焦ることはない。報告書などをじっくり吟味することが重要だ。そしておかしなことは、科学の場で、学会の場で、批判せよ。〇〇委員となるより、ずっと重要な社会への貢献だと思う。科学的におかしなことは、科学の場で、学会で、批判せよ。筆者(島崎邦彦東大名誉教授)の訴えは、研究者が社会と接点を持つとき(社会貢献を意識するとき)心すべき必須の重要事項であろう。 
『台湾・韓国の脱原発政策』 岩波書店「2017年科学9月号」の巻頭エッセイは いわゆる3.11後の台湾・韓国等の原発政策を紹介している(長谷川公一 東北大学 環境社会学)。韓国は新政権誕生に伴って、脱原発(現在24基)・脱炭素に向かって大きく転換しようとしているという。石炭火力発電の見直しとともに、原発の新規建設計画をすべて白紙に戻し、2基の建設工事を中断、老朽化した炉については稼働期間の延長を認めず、今後40年以内に原発ゼロを目指すと宣言したという。再生可能エネルギーと天然ガス火力に力を入れるとしている。台湾では6基の原発が稼働している。しかし、2025年には、エネルギーの効率的利用も進めつつ、原発を全廃し、電力供給に占める石炭火力を30%(現在38%)、天然ガス火力を50%(現在32%)、再生可能エネルギーを20%(現在4%)にしようとしている。水力発電も乏しく、日本以上にエネルギー資源の海外依存率が高い韓国と台湾が政治主導で、きわめて野心的な脱原発政策を進めている。ヨーロッパでも、福島原発事故以降、ドイツ、ベルギー、スイスで、目標年次を定めた原発全廃が決定している。このような中で、福島原発事故を起こした当事者のわが国は、原発被害も終息していない中、現在進行中のエネルギー政策はいったい、どのように論評すべきか。もう一度福島原発事故のような大事故を繰り返すまで、世界に恥ずかしい政策を取り続けるのだろうか。その責任は限りなく大きい。後世の日本国民が納得するような政策転換をすべきである。本エッセイは、世界は「変われない日本」をいぶかしく見つめている と結んでいる。
『2017年産水稲の早場地帯の作柄 平年並み 15日時点・13道府県』と毎日新聞8月31日付朝刊は、こう報じている。農林水産省は30日、東日本を中心とする早場米地帯19道府県で栽培する2017年産(水稲)の15日時点の作柄概況を発表したという。北海道、新潟など13道県が「平年並み」、宮城や山形など6県が「やや良」だったという。(梅雨以降の大雨などの天候不順はあったが)生育に重要な時期まで総じて好天に恵まれたため、懸念された東日本の天候不順の影響は限定的だったという。19道県は15日時点で平年に8割以上の水田で稲穂が出る地域で、全国の作付面積の約3分の2を占めるという。7月下旬ごろから続いた東日本の日照不足は、生育不良を招きやすい穂が出る前の時期と重ならなかったという。作柄を判断する個別項目では穂やもみの数が全般的に多かったという。半面、もみの成熟具合を示す「登熟」は、宮城県など東北の太平洋側を中心に「やや不良」が目立ったという。穂が出る時期が早場地帯より後の遅場地帯(沖縄を除く27都府県)の生育状況も公表され、「平年並み」が熊本など10県、「やや良」が兵庫など17都府県に上ったという。このように、今年の天候不順は水稲にはあまり影響は出なかったようだが、一方、野菜には比較的大きな影響があったようで、日照不足から野菜高値は10月頃まで続きそうとの見通しである。なお、本研究所では、2012年5月8日以降1m深地温の毎日観測を行っているが、今夏は過去5年でもっとも地温は低く、今夏の降雨・日照不足を大きく反映していると見られる。
『エネルギー政策協議 経産省が懇談会初会合』 毎日新聞8月31日付朝刊はこう報じている。経済産業省は30日、長期的なエネルギー政策を検討する有識者会議「エネルギー情勢懇談会」の初会合を開いたという。日本は温暖化の国際枠組み「パリ協定」を踏まえ、2050年に温室効果ガスを8割削減する目標を掲げており、達成に向けた対応などが主要なテーマとなっている。委員からは、トランプ米政権で中東戦略を見直す機運が高まっているとして「中東が不安定化するとみて、日本のエネルギー調達を考える必要がある(アジア経済研究所の白石隆所長)」など、幅広い意見が出されたという。中西宏明・日立製作所会長は、原発建設のコスト増で東芝子会社の米原子炉メーカーが経営破たんしたことを踏まえ、「電力事業は低成長・低収益になっている」と業界の課題を語ったという。懇談会は年度内に意見を取りまとめる方針という。政府は30年ごろまでの中長期的指針であるエネルギー基本計画の改定を別の会合で議論しており、懇談会の意見の一部を反映させる考えだという。ご意見番の有識者による懇談会ということか。
『地熱発電50年 上・中・下』と題して、九州電力大岳地熱発電所の運転開始から、本年8月12日に50年になることに合わせて、九州の地熱発電に関して、読売新聞西部本社版は7月27日(木曜日)、28日(金曜日)、29日(土曜日)と3日連続の特集記事を掲載している。上(27日朝刊)では、マグマ活用 大岳の挑戦として、熱水分離の技術確立(同地熱発電所における気液二相流体からの熱水分離の技術開発)と九州初の地熱発電所建設が、九州内だけでなく、その後の日本各地の地熱発電所建設の基盤となったことを紹介している。JOGMEC西川信康地熱部長のコメントが掲載されている。中(28日朝刊)では、温泉地同意 高いハードル 「涸れる」懸念 頓挫ケースも」と地域合意の難しさが紹介されている。当所の江原代表が、「一般的に温泉井戸は深くても数百メートル。1000mを超える地熱発電用の井戸が大きな影響を与えることはない」とのコメントをしている。また、電力中央研究所の窪田ひろみ上席研究員は「地熱発電を広げるには不確実な部分を含めて情報を分かりやすく提供し、地域の不安と誠実に向き合う姿勢が重要」と指摘している。日本の地熱発電が開始されて以来50年を超えるが、実態として、温泉に悪影響を与えず、長期間の発電を継続してきたとの実績がある。そして、それらの地熱発電所地域では、地熱事業者が温泉関係者を含めた地元と良好な関係を保ってきている。しかしながら、新規の立地地点では、温泉関係者の理解が十分得られない場合があり、開発が滞っている地点も少なくない。地熱発電は、これまでの実績を踏まえながら、技術的対応が十分可能であることを真摯に説明をしていく努力が要請される。同時に、発電所の建設・維持、地元の熱水利用さらには観光客の増加など、地元には大きな経済効果があることも知ってもらう必要がある。下(29日朝刊)では、「九州発」の技術海外へ 「眠れる資源」開拓に余地と、九州の発電タービンメーカー(三菱日立パワーシステム)の高い技術力と九州電力等による活発な海外展開(インドネシア等)が紹介されている。今後も、九州の地熱関連企業は国内での開発および海外での開発に大きく寄与していくであろうと予想されるが、大いに期待したいものである。
『予知前提法律、廃止を 南海トラフ地震 専門家ら批判』 毎日新聞 8月26日付朝刊はこう報じている。南海トラフ巨大地震について中央防災会議の有識者会議は25日、地震予知を前提とした防災対応を改める必要性を指摘したが、法律の改正や廃止に至るまでは踏み込まなかったという。予知は現在の科学では不可能。地震の研究者からは「(地震予知という)前提が崩れているのに法律が残るのはおかしい。廃止すべきだ」と批判する声が上がっているという(けだし、当然だろう。しかし、一方、従来型の地震学的・測地学的観測だけではなく、広く地震予知につながる、長期にわたる基礎的・観測的研究を推進する必要があろう)。静岡県の駿河湾周辺で想定するマグニチュード(M)8程度の東海地震に備えた「大規模地震対策特別措置法」(大震法)は、観測で大地震の前兆を把握し、鉄道の運休などにつなげる枠組み。名古屋大の鷺谷 威教授(地殻変動学)は「予知は無理だと広く認識されるべきだ。科学的根拠がないのに対応に強制力を持たせる枠組みのみを残すのは無理がある」と指摘しているという。正論であろう。しかし、廃止するだけでは意味がない。科学的地震予知が本来的に無理なのではない。まだ、それを行う科学的段階でないということを認識すべきだ思う。古典的考え方だが、科学発達には3段階(現象論・実体論・本質論)があり、日本の地震予知研究は、まだ現象論も確立されていない段階で、実体論を超え、本質論に入ってしまったことが誤りではないのか。地震予知研究は、まず、現象論を確立すべきと思われる。その際、観測を従来主流の地震学的・測地学的研究に偏すべきではなく、まず研究対象を広げ、多様な研究者が参加する基礎的研究を推進すべきと考える。時間はかかる。しかし、学問に王道はない。さて、前出の有識者会議は、M7級の地震などM9級の巨大地震につながりうる四つの現象を示したという(これらは、従来の流れを汲むものと見られ、同じ轍を踏む可能性が高い)。前出の鷺谷教授は、「可能性は無数にある。この四つが起こりやすい、と誤解を与える恐れがある。科学的に検証された前兆現象の実例はない」と懸念する。すなわち、地震予知研究は現象論の段階にあることを認識すべきと述べておられる。全く同感である。静岡大の安藤雅孝客員教授(地震学)は「法律を変えるのはハードルが高いかもしれないが、『おかしい法律はおかしい』と地震学者こそが言うべきだ」と訴える。正論である。大震法を廃止し、地震予知研究は現象論の基礎研究へ転換すべきであろう。京都大の橋本 学教授は「大震法を含め、現在の複雑なすべての法体系を見直すべきだ」としている。正論であろう。地震予知研究は、まだ現象論が確立されていない。まず、ここを固めることから、再出発をすることが必要だろう。多くの国民が地震予知を望んでいることは確かである。これを無理と決めつけるのではなく、広く研究者を結集し、現象論・実体論・本質論のプロセスを目指すべきだろう。「地震予知研究をしている」と言うと憚られる現状の雰囲気を変える必要もあるだろう。地震予知を目指す新たな若手研究者の活躍を期待したい。
『南海トラフ地震「予測困難」 有識者 異常現象で避難促す 中央防災会議』 毎日新聞8月25日付夕刊はこう報じている。 中央防災会議の有識者会議は25日、南海トラフ巨大地震の対策強化に向けた報告書を示したという。「確度の高い予測は困難」として、地震予知を前提とした防災対応を見直す一方、巨大地震につながる地殻変動や前震などの異常現象を観測した場合に住民避難を促す仕組みの検討を国に求めたという。政府は、地震被害が想定される地域で複数のモデル地区を選ぶなどして、避難呼びかけの手順や課題の検証に着手するという。報告書案は、現在の科学的知見を基に、地震の発生場所や時期、規模について「高い確度の予測はできない」と指摘したという。ただし、これは、従来から主流とされている地震学や測地学による観測からは、高い確度の予測ができないことを改めて関係者が再認識しただけで、他の前兆的観測からの予測ができないことを述べているのではない。一方、こうも言っている。前震や地殻変動などの異常現象に基づいて避難を呼びかけても、実際には地震が起きない「空振り」も予想される(「空振り」を過度に恐れていては、確度が上がっても、予測を公表することはできないだろう。「空振り」した場合、一定の経済的損失は生じるとしても、破滅的な損害が生じる場合よりもはるかに経済的損失は小さいと思われる。「空振り」の意義を、住民に十分分かってもらえるよう、事前に十分な情報提供・啓蒙をすべきだろう。そして、仮に「空振り」となっても、人々が「今回は地震が発生しなくてよかった。次に備えよう」という意識が持てるまで、防災関係者は努力を続ける必要があるだろう。政府は今後、関係自治体からも意見を聞き、住民避難をいつまで続けるかや、被害を減らすため鉄道などの交通機関に運行停止を求めるかどうかなど具体的な課題を探る方針だという。報告書案はこのほか、整備が遅れている南海トラフ西側領域での地震・津波の観測体制強化を求めたというが、従来型の地震観測・地殻変動観測充実の方向では、大した意味がないであろう。むしろ地震前兆現象を広く捉え、いわゆる宏観現象のうちでも、数値的に自動連続観測でき、一定の物理的説明が可能な現象たとえば、「地下水位観測」などは推進すべきと考える。震源が陸上から離れた海溝型の地震ではなく、内陸の活断層地域でまず試みる価値は十分あると考えられる。従来の、地震学的・測地学的手法に拘るのではなく、広く多様な現象を対象とすることが望まれるだろう。地震予知をあきらめるべきではないと考える。あきらめるほどの観測努力がこれまで十分なされてきたとは言えないと思われる。
『最深海8178メートルで魚撮影 海洋機構、中国抜き新記録』8月25日付毎日新聞朝刊はこう報じている。 太平洋にあるマリアナ海溝の水深8178メートルで、カサゴの仲間で深海にすむシンカイクサウオを無人カメラで撮影したと、海洋研究機構のチームが24日発表したという。今年4月に中国のチームが発表した最も深い海での魚の撮影記録を26メートル更新したという。シンカイクサウオは白いオタマジャクシのような姿で、甲殻類のヨコエビなどを食べる。チームが5月18日にサバの身を使ってヨコエビをおびき寄せ、無人カメラを沈めて撮影すると、映像には体長15センチほどのシンカイクサウオ1匹がとらえられていたという。このような深海にも魚類が生息していることに単純に驚くが、この26メートルという数値が新記録であったとしても、学問的価値は不明である。この辺の解説が欲しいところである。
『全米が上を向いた 「皆既日食」横断』 8月22日毎日新聞夕刊はこう報じている。太陽が月に完全に隠れる「皆既日食」が21日(日本時間22日未明)、西から東へ北米大陸を横断する形で観測されたという。米国横断は99年ぶり。目を保護する専用の「日食グラス」を手に、日本を含む世界各国から天文ファンが詰めかけ、「世紀の瞬間」を堪能した。日食は、地球と太陽の間に入った月が太陽を隠す現象。今回の皆既日食は、米国西海岸のオレゴン州から東海岸のサウスカロライナ州まで計14州を、幅110キロの帯状に通過したという。また、「部分日食」は全米で見えたという。テネシー州ナッシュビルでは同日午後1時27分、皆既日食の直前に月の陰から太陽の端が一瞬輝く現象「ダイヤモンドリング」が見られた後、太陽が完全に隠れた。太陽を取り巻く高温のガス層「コロナ」が白く広がり、見上げている人々から拍手と喝采が起きたという。皆既日食の約2分間は満月の夜と同じくらいの暗闇に包まれ、木星などの星も見えたという。現代は、物理学の発達のお蔭で、十分な精度で軌道が完全に予測され、この天体ショ-も学問的には新味はないが、人類の知恵の確からしさを確認できるという意味では現代人にも何かを与えるとも言える。
『銀河の”化石”  2300万光年「クジラ」周囲に』 毎日新聞 8月22日付朝刊はこう報じている。地球から2300万光年離れた「クジラ銀河」の周りに、宇宙初期の130億年ほど前にできたと見られる小さな銀河がいくつも散らばっているのを見つけたと、東北大と国立天文台のチームが発表したという。大きな銀河は、こうした小さな銀河が長い間にたくさん集まってできると考えられている。矮小銀河にはクジラ銀河ができた際の元素組成がそのまま残っていると見られ、チームは「まるで生きた化石みたいだ」と話しているという。チームは米ハワイ島の山頂にあるすばる望遠鏡でクジラ銀河を撮影。周りに11個の矮小銀河や、クジラ銀河に吸収される際に引き伸ばされて筋状になった恒星の集まりを確認したという。太陽系が含まれる天の川銀河が太陽の100億個分を超える重さがあるのに対し、矮小銀河は4億個分と非常に小さい。地球から離れていくつも見つかった例は珍しく、チームは銀河の形成過程を知る手がかりになると期待しているという。たまには、地中・地上の現象だけでなく、宇宙誕生のプロセスにせまる研究にも思いを馳せるのもいいのではないか。夏の夜の夢。今夜は星をじっくり眺めてみよう。折から、米国では皆既日食に沸いている報道がなされている。
『がん あふれる不正確情報』 毎日新聞 8月20日付朝刊はこう報じている。一見本欄の内容と無関係に感じるが、根底に通じるものがあり、紹介する。がんの情報がインターネットや出版物にあふれている。不正確な内容も多く、その真偽を判断する手立てがない。自分が、または家族が突然がんを宣告されたら、どのように情報を集めたらいいのかと問うている。がん治療には、標準治療(科学的根拠に基づき、現時点で奨励される最善の治療)に対して、免疫療法(自己以外を排除する「免疫」本来の力を回復させたり、強化することによる治療法で、近年、盛んに研究が進められている。しかし、現時点で有効性が証明されているものは限定されている。それ以外の、多くの免疫療法は、真に効果が証明されていないため、注意が必要。いわゆる民間療法と言われるものの中には、これに含まれるものがあるのではないか)がある。免疫療法には、医師という肩書だけで、がん治療の専門的トレーニングを受けてない人が多くかかわっているようだ。このようなことに関する一つの調査結果があるという。07年、国立がん研究センターの後藤 悌医師が実施した調査結果で、ネットの大手検索サイトで肺がんについて検索すると、米国では正しい情報が8割で、日本では3割だったという。その違いは「法的整備はもちろん、科学の扱い方に対する教育の問題では」と大場医師は話す。筆者も、まさに科学教育のありかたにあるのではないかと思う。このような状況は地熱発電に反対する温泉関係者(研究者と言われる人を含めて)の非科学的対応と通じるものがある。科学では、「エビデンスと論理的整合性」が欠かすことができないが、標準療法に背を向け、免疫療法に拘る人あるいは地熱発電に非科学的に反対する一部の(似非)研究者あるいは関係者にはこれらの必須条件を満たしてない人が少なくないようだ。前述の大場医師はさらに語る。「書店の『家庭の医学書』の棚には似非医療本が目立つ。『医学書』の棚には、より正しい情報があるが、内容が難しくて一般向けではない。より確実なのは、主治医から情報を得ることだが、コミュニケーションがうまくいかない場合も多い」。以上から、地熱発電普及に携わる者も学ぶべき点があると考える。すなわち、科学的な思考法の普及にも努める必要がある。根本的には、小中学校の科学教育の在り方にまで立ち戻る必要があるかもしれない。
『武豊火力にCO2削減勧告 経産省 石炭発電所 新設に影響』 毎日新聞 8月19日付朝刊はこう報じている。 経済産業省は18日、石炭を燃料とする中部電力の武豊火力発電所(愛知県武豊町)について、二酸化炭素(CO2)排出削減を講じるよう勧告したという。山本公一前環境相が、事業の再検討を求める意見書を世耕弘成経産相に提示したことを踏まえたものである。中部電力は予定通り建設を進める方針だが、経産省は低効率の火力発電の休廃止を求めており、今後の石炭火力建設に影響を与えそうだという。勧告は中部電力に「(発電所を)建設する場合は、CO2排出削減対策など環境保全措置を適切に講じること」を要請。具体的には、効率が低い既存の火力発電所を休廃止したり、稼働を抑制したりすることで中部電力全体としての排出量を抑制するように求めたものである。今回の経産省の勧告について、環境省幹部は、「石炭火力が地球温暖化対策に与える影響を経産省としても重く見た内容になっており、画期的だ」と評価しているという。今回の一連のやりとりは、省庁間で対立する課題について、短期的・経済的観点からではなく、長期的・正しい理念の方向へ進んだものと考えられ、望ましい対応である。今回、経産省も環境省からの意見書を軽んぜず、必要な対応をしたことは評価される。経産省の中にも新しい動きが芽生えている可能性があり、今後のエネルギー政策の見直しにも反映されることを期待したい。このような中で、再生可能エネルギーの責任は一層重くなり、その中で地熱発電も一定の貢献をしたいものである。
『しとしと長雨 まだ続く 日照不足懸念 東京は17日連続』 毎日新聞8月18日付朝刊はこう報じている。例年に比べ本州への太平洋高気圧の張り出しが弱いため、東日本や北日本の太平洋側を中心に気温が低く、ぐずついた天気が続いている。東京都心は17日、雨が17日間連続で降った。気象庁は日照不足による農作物の影響や、低温で体調を崩さないよう呼びかけている。気象庁によると、偏西風が南に蛇行し、太平洋高気圧が本州付近まで張り出していないという。7月下旬から北海道の北にオホーツク海高気圧が発生し、北東からの冷たい風「やませ」も吹いているという。今月1~16日の平均気温は平年に比べ、北海道がマイナス1.5℃、東北地方が同1.3℃、関東甲信が同0.4℃などといずれも低温化している。日照時間も平年に比べ、北海道・オホーツク海側が27%、北海道・太平洋側が50%、東北・太平洋側39%、関東甲信52%、東海64%などとなっている。また、東京都心の17日間連続の降雨は、8月としては1977年の22日間連続以来、40年ぶりという。気象庁によると、今後1週間は、東日本や北日本の太平洋側では低温も続く見込みという。日照不足は今月下旬まで続く予想になっているという。本研究所(埼玉県狭山市)では敷地内で、2012年5月8日より1m深地温の毎日観測を行っているが、上記の異常な日照不足がよく反映されている。たとえば、8月1~16日の平均地温は、昨年に比べ、0.37℃低くなっており、また、8月13日以降の地温は、2012年以降の最低地温を示している。
『夏の長雨 青息吐息 野菜価格上昇/海やプール閑古鳥』 毎日新聞8月16日付夕刊は、一面トップ記事で、こう報じている。8月に入ってから東日本を中心に雨が続き、日照不足で気温が低い天気が続いている。東京都心は16日連続の雨。8月では1977年の22日連続に次ぐ、40年ぶりの長雨になったという。海やプールといったレジャーの客足や農作物の生育にも影響が出ているという。本研究所(埼玉県狭山市)では、2012年5月8日以降、所内で1m深地温の毎日観測を行っているがその観測結果にも如実に現れている。本年8月1~16日の平均地温は24.51℃、昨年の同期間の24.88℃と比べ0.37℃低く、さらに近年では高温であった2015年の28.27℃に比べて、3.76℃も低い。さらに温度低下・長雨が継続すると影響がより大きくなりそう。東北地方太平洋岸ではすでに冷害が危惧されている。気象庁は、関東地方は今週いっぱい雨の日が続くと予測。週明けの21日からは太平洋高気圧が強まって、晴れ間が見られ、気温も回復すると見ているという。今後の推移を見守りたい。
『地方大学 活性化に交付金 「東京集中」解消狙い 政府方針』 毎日新聞 8月16日付朝刊はこう報じている。 政府は、地方の大学の活性化を図る新たな交付金を創設する方針を固めたという。自治体が地元の大学や経済界と連携して展開する地域振興の取組みを支援する形で、2019年度から百数十億円規模の交付金の支給を目指すという。地方大学の教育・研究環境の底上げを図るとともに、東京に集中する私立大学などの地方移転も促し、大学生の「東京一極集中」を解消する狙いだという。東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3都県の大学と、地方大学の単位互換制度やサテライトキャンパスの設置を促す総額10億円規模の補助金制度も別途検討するという。交付金と補助金は、内閣官房の「まち・ひと・しごと創生本部」事務局が支給する。今年度に制度検討を始め、来年度の募集開始を目指すという。自治体の首長や地元の大学などで作る協議会で産学官が連携した事業計画策定などを促し、有識者が評価して交付金支給を決める仕組みにするという。支給対象の想定は、地域の企業による学生のインターンシップや現場実習の受け入れ、地元企業から大学への講師派遣、大学と企業の共同研究などという。なお、これらは個別的には従来から行われており、必ずしも新味はない。問題は、国が本当にやる気があるかどうかである。お題目だけであれば国費の無駄使いとなるに過ぎない。あるいは、単なる、うしろめたさ・免責のためのポーズになりかねない。この問題の本質は、「経済」に典型的に表れているが、東京の、地域からの不当な収奪である(この点に関しては、経済学者による詳細な分析に期待したい)。エネルギー・農水産物・人材等すべて同じ構造である。地方が疲弊するのは当然である。東京でオリンピックが開催できるのも、地方の疲弊の裏返しである。東京都が一部競技の地方都市開催に財源を支援するというが、地方の財源が不当に東京に移されている分の一部に過ぎないと考えるべきである。「地方の疲弊」と「東京一極集中」の理不尽さの根本的解決を試みることをせず、小手先の技術的解決を図るだけでは、何の解決にもならない。ここで、本欄で特に関係する「地熱発電」の問題に関連させて考えてみたい。地域で地熱発電がおこなわれる場合、収益の一部は地元にも還元されるが、大部分は、東京に入ってしまう構造になっている。そのような中で、正当性を持って、どれだけ地方に還元されるべきか真剣に考えていく必要があると思われる。
『50ミリ以上の大雨3割増 70~80年代比 災害リスク高まる 気象庁統計』 毎日新聞8月14日付夕刊はこう報じている。 1時間に50ミリ以上の大雨が降る頻度が、1970~80年代に比べ3割程度増加していることが、気象庁の統計で明らかになったという。地球温暖化との関連が指摘されており、短時間で一気に降る大雨は災害を引き起こす危険性がある。気象庁の統計では、降水量が1時間に50ミリ以上だった回数はアメダス1000地点当たり、76~85年の10年間は年110~230回で、平均すると173.8回だった。2007~2016年は年169~282回、平均は232.1回と33.5%増加していたという。温暖化と大雨の関係は完全には解明されていないが、平均気温が上がると、飽和水蒸気量という大気が蓄えることができる水分の量が多くなる。雨が降る回数は少なくなるが、ひとたび雨になるとその大量の水分が地表に落ちることになり、大雨になりやすいとする学説もあるという。7月5,6日の九州北部豪雨では、福岡県朝倉市のアメダスで、1時間に129.5ミリという7月としては全国で歴代4位の記録的大雨を観測(ちなみに、筆者は、2000年代に時間雨量110ミリを経験しているが、空は真っ暗で、車の窓を開けることができず、また大学構内が浸水し、30センチ程度冠水した経験があるが、時間雨量100ミリを超える大雨とは凄まじい限りである)。気象庁の橋田俊彦長官は記者会見で、「雨の降り方が局地化、集中化、激甚化している。新たなステージと捉えて対応していく必要がある」と、現在は難しい短時間で降る大雨の予測精度の改善など対応を進めていく考えを示したという。気象庁は、予報に使うコンピュータを使ったシミュレーションの精度を向上させるなど、対策を進めているという。
『ガス採掘地 地震多発 米南部オクラホマ 増産 環境顧みず』 毎日新聞 8月14日付朝刊はこう報じている。「ウオーン」。低温を響かせ、地下の頁岩(シェール)層に含まれる天然ガスを掘削機が吸い上げる。米南部オクラホマ州スティルウオーター。同州の掘削機は4月時点で121基と、前年比207%に急増している。増産を後押しするのは、環境保護規制の緩和を推進するトランプ米大統領とプルイット米環境保護局(EPA)長官への期待だという。「石油・ガス業界は浮足立っている。『掘れ、掘れ、怖いものはないぞ』という雰囲気だ」という。採掘停止を求める元教師の地元住民、キャロリン・マイヤーさん(64)はため息をつく。シェールガス採掘の拡大は、その副産物と見られる深刻な事態をもたらしている。地震だ。オクラホマ州での発生は従来まれだったが、2008年ころから急増したという。マグニチュード(M)3以上は15年に907回。16年には623回起きた。昨年9月には観測史上最大のM5.8の地震(たとえば、2005年3月に発生した福岡県西方沖地震M7.0の1か月後に発生した最大余震と同規模)が発生。専門家らは採掘で出た排水の地下への再注入が誘発していると見ているが、石油・ガス業界は「関連はあるが、原因とまでは言えない」と主張しているという。これまでの水の地下への圧入で地震が誘発されたことは世界各地で多数の例が生じているとともに、圧入と地震誘発の関係は学問的にかなりの程度、究明されている事象である。サギをカラスと言いくるめるような議論は論外である。なお、このオクラホマ州を地盤とするのがプルイット氏であり、これまでも(前職の)州地方長官(11~17年)時代、温室効果ガスや水銀の排出規制に反対し、EPAを14回提訴するなど札付きの政治家のようだ。プルイット氏は長官就任後、EPAの予算や人員の削減、規制緩和を始めているようだ。アメリカの良心はいったいどうなっているのだろう。
『岐路の安倍政権 エネルギー政策 既定路線では解決しない』 毎日新聞8月13日付朝刊の社説はこう述べている。エネルギー改革への関心が低く、旧来通りの原発依存から脱する気がない。安倍政権のこれまでのエネルギー政策を一言で言えばそうなるだろう。それを象徴するのが2014年に閣議決定した「エネルギー基本計画」と、これを基にした将来の「電源構成」だ。基本計画は原発について「依存度を限りなく低減する」といいつつ、「重要なベースロード電源」と位置付ける矛盾に満ちた内容だった。30年度の電源構成の目標は、原発20~22%、再生可能エネルギー22~24%。エネルギー政策の大胆な転換からはほど遠く、既得権益を握る大手電力会社と経済産業省の発言力の大きさを反映する内容だった。現状はどうか。原子力規制委員会の安全審査を経て5基が再稼働したが、昨年度推計の約2%に過ぎない。そもそも原発が安い電源であるという前提にも破綻が見える。原発の廃炉費用や事故の賠償費が膨れ上がり、その一部を原発とは無関係の新電力にまで負担させる仕組みを政府が作り出したことはその表れだ。内閣改造と時を同じくして、先週、エネルギー基本計画の見直しが始まった。政策を抜本的に見直すチャンスだが、世耕弘成経産相は会議の冒頭から従来路線の踏襲に言及している。それが意味するのは、原発新増設に触れないまま、運転40年を超える老朽原発も含めた原発再稼働をめいっぱい進めることだろう。それは、依存度低下にも、安全性向上にも反する。安倍政権に求められているのは、再生エネや省エネをこれまで以上に強力に進めるための方策を打ち出すことだ。昨年度推計の再エネ比率は約15%で原発事故前の10%からは増えたが、十分とは言い難い。世界の情勢を見れば、安全対策でコストが膨らみ続けている原発とは逆に、再生エネはコストが下がり続けている。既定路線のまま原発維持に莫大な費用をつぎ込めば世界から取り残される。それより、再生エネの将来性を見越して制度や運用を改善し、投資を増やす。安倍政権を再生させるにはその方が得策のはずだと指摘している。  けだし、正論である。安倍政権の、都合の悪いことは、隠し、あるいは、触れずに通り過ぎ、地下でそれを推し進めるという隠蔽体質は、最近の一連の政治的行動で、ほとんどの国民は知ってしまった。エネルギー政策も全く同じで状況にある。すでに現政権は崩壊の道へ進んでおり、長くはないだろう。エネルギー政策においては、将来を見通したビジョンを掲げ、国際的にも遜色の無い新しい方向を国民に示してほしい。経済産業省内の心ある官僚は、泥船にしがみつかず、新たな動きを示してほしい。それが何よりも国民のためになる。このような中で、地熱発電はどのように進むべきか。新規発電所を次々と運転開始し、再生可能エネルギー発電の構成比率増加に確実に貢献することだろう。
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