-よくある「地熱エネルギーの疑問」に答え、誤解を解き、短時間でその良さを知ってもらいます-
さいごに
最後のQ&Aでも記しましたが、2011年3月11日に発生したM9.0の東北地方太平洋沖巨大地震は、大震災をもたらすとともに、大きな原子力災害を発生させています。このような未曾有の大震災と原発事故にわれわれが光明を見出すことができるとすれば、その1つは、わが国のエネルギー政策を原子力中心から再生可能エネルギー中心に転換することであると思われます。
平成24年8月現在、将来のエネルギー基本計画作成のため「エネルギー・環境に関する選択肢 (具体的には2030年における電源構成)に関する意見聴取会が全国各都市で実施されたり、パ ブリックコメントの募集が行われました。しかし、それらの議論の中には、3.11原発災害がすでに忘れられたかのような発言も見られます。歴史を忘れず、正しく認識する必要があります。
再生可能エネルギーへの転換はそのスピードを速める必要があります。それによって、CO2排出 量削減という地球温暖化対策、エネルギー問題、さらには地域振興にも大きく貢献できます。上述のQ&Aで示された諸課題を克服することができれば、地熱資源量に恵まれたわが国では、エネルギー政策転換の重要な一翼を地熱エネルギーが担うことは十分可能です。
引用文献
江原幸雄ほか(2008)日本地熱学会誌、30巻3号、165-179.
地質調査所(1992)日本地熱資源図.
地熱開発研究会(2008)地熱開発研究会報告書.1-50.
日本地熱開発企業協議会(2011)私信.
村岡洋文ほか(2008)日本の熱水系資源量評価2008、日本地熱学会平成20年学術講演会講演要 旨集、B01.
(2012年8月15日)