『光合成しない植物 鹿児島で新種発見 神戸大などのチーム』 毎日新聞11月30日付朝刊はこう報じている。 光合成をしないツツジ科植物「ギンリョウソウ」のうち、鹿児島県霧島市周辺などに分布する個体は新種だったことを突き止めたと、神戸大、東北大などの研究チームが30日付の日本植物学会誌「ジャーナル・オブ・プラント・リサーチ」電子版で発表したという。薄紅色のガラス細工のような見た目で(カラー写真掲載)、チームは発見地にちなみ、和名は「キリシマギンリョウソウ」と命名した。一般的な植物は葉緑体を持ち、光をエネルギー源にして有機物を作る「光合成」をする。一方、進化の過程で菌類に寄生し、菌類から養分を奪えるようになったことで光合成をやめたギンリョウソウのような植物も存在するという。ギンリョウソウは花びらなどが透明や白色で、がくは2,3枚。世界中に分布するが、その仲間は1種だけと考えられてきた。霧島周辺では以前から、薄紅色で、がくも4~11枚と多い個体の存在が知られていたが、新種かどうか判断が難しかったという。チームは約20年間かけて、国内外でギンリョウソウとみられる植物数100株を収集し、分析した。その結果、霧島周辺の個体は一般的なギンリョウソウと色が違うだけでなく、開花時期や寄生する菌類も異なっていた。さらに、DNA分析で、進化の過程でギンリョウソウから枝分かれした別の種だと結論付けたという。チームの末次健司・神戸大学教授(植物生態学)は「キリシマギンリョウソウは個体数が少なく、絶滅の危機に瀕している可能性がある。保全の重要性が周知されるようになるのではないか」と話しているという。⇒ギンリョウソウは必要なエネルギーを得るのに、光合成よりも寄生する方が効率的であると判断したのだろうか。多くの植物は光合成で必要なエネルギーを得ているが、キリシマギンリョウソウは光合成より寄生の方が効率的にエネルギーが得られることを長い進化の過程で獲得したものか。その選択のきっかけは何であったのだろうか。面白い現象だ。植物学も奥が深い。