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『CO2濃度上昇 4月史上初水準 ハワイで観測』 毎日新聞5月11日付夕刊はこう報じている。世界保健機構(WHO)は、大気観測の指標の一つとされるハワイのマウナロア観測所で、地球温暖化に及ぼす影響がもっと大きいとされる二酸化炭素(CO2)の4月平均の大気中濃度が410.31ppm(1ppmは100万分の1)だったと発表したという。月平均で410ppmを超えたのは観測史上初という。1958年の観測開始時の濃度は約315ppm、60年間で約30%増加したことになる。残念ながら、現在CO2排出は依然止まらない。
『「脱石炭」日本進まず 研究機関「温室効果ガス削減リスク」』 毎日新聞5月11日付夕刊はこう報じている。地球温暖化対策のパリ協定の目標達成には、日本などが推進する石炭火力発電が大きな懸念材料で、多くの国で取り組みの強化が必要だとする分析結果を、海外の研究機関でつくる「クライメート・アクション・トラッカー」がまとめたという。2020年に始まるパリ協定は、産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑えることを目指す。分析は、二酸化炭素(CO2)の排出を抑えるため、英国など脱石炭にかじを切る国が増えていると指摘した。一方、日本などを名指しして「いまだに脱石炭を進める意思のない国があるのは残念だ」と批判している。日本については、石炭火力の拡大が温室効果ガスの削減目標達成に「深刻なリスクになる」と警告したという。まことに恥ずかしい限りである。日本政府はいったい何を考えているのか。当面の経済だけしか考えない、国の指導者とは一体何か。早期の退陣を望む。よくのこのこと外遊できるものだ。
『地面ずれ最大2.5㍍ ハワイ キラウエア噴火 国土地理院 衛星データを解析』 毎日新聞5月11日付朝刊はこう報じている。 米ハワイ島・キラウエア火山ふもとの住宅地で発生した噴火で、国土地理院は10日、溶岩を噴出する割れ目で地面が裂けるように広がり、最大で計2.5㍍ずれ動いたことを示す解析画像を公表したという。地球観測衛星「だいち2号」のデータを使い分析したという。矢来博司・地殻変動研究室長は「地面を押し広げながら地下からマグマが上昇しているのではないか」と話しているという。だいち2号は地表に電波を送り、跳ね返りの状況から地形を調べられる衛星。今年2月と今月8日のデータを比較すると、東西(北東~南西)に延びる割れ目を挟んで北側は北に約1㍍、南側は南に約1.5㍍ずれ動いたことが分かったという。国土地理院はこれを基に、東西の幅7㌔、深さ2㌔の板状のマグマの通り道をマグマが上昇したと推定。そのマグマが地面を押し広げたという。溶岩の噴出口は長さ5㌔にわたって、北東~南西方向の見事な直線状に分布している。今回の噴火は3日に始まり、これまで住宅地にある建物35棟が倒壊。収束のめどは立っていないという。だいち2号は宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2014年から運用し、熊本地震や桜島の火山活動による地殻変動も捉えている。なお、これまで、キラウエア火山の下3~7㌔にマグマだまりが存在することが知られているがここから上昇したマグマがさらに上部に幅7㌔深さ2㌔の開口割れ目を作って上昇したものと考えられる。
『「対策取れば防げた」 福島原発事故 強制起訴公判 地震専門家が証言』 毎日新聞5月10日付朝刊はこう報じている。  東京電力福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第11回公判が9日、東京地裁(永渕健一裁判長)であったという。東電が2008年に試算した想定津波(高さ最大15.7㍍)の根拠となった国の「長期評価をまとめた」島崎邦彦・東京大名誉教授(地震学)が出廷し、「長期評価に基づく対策が取られていれば、原発事故は起きなかった」と証言したという。検察官役の指定弁護士側は、元副社長の武藤栄被告(67)らが長期評価に基づく対策を先送りし、事故を招いたと主張しているという。国の地震調査研究推進本部は02年に公表した長期評価で「福島沖を含む日本海溝沿いで巨大津波が発生しうる」などとした。東電はこの内容に基づいて想定津波を試算したが、対策には反映させなかった。一方で、内閣府の「中央防災会議」も、防災計画の作成に当たって長期評価を採用しなかった。02年当時、推進本部の地震調査委員会委員であった島崎氏は9日の法廷で「長期評価の公表前に、信頼度が低いと明記するよう内閣府から圧力をかけられた」と証言。長期評価の前書きに「今回の評価には限界や誤差がある」などと記された経緯を明らかにしたという。島崎氏は、中央防災会議が長期評価を採用しなかったことで「誤った(津波)対策が取られることになった」とも指摘。背景を「原子力関係者への配慮や政治的判断としか思えない」と述べ、「(国や東電が)長期評価に基づく対策を取っていれば、命はかなり救われた」と話したという。島崎氏の見解は全く正しいと思われる。わが国の上級裁判所は極めて保守的・体制的であり、科学的かつ合理性のある判断をしてもらいたいものである。そのためにもまず東京地裁が明確な判断を下すべきと思われる。あいまいな判断あるいは先送り的な判断は将来に禍根を残すだけである。この種の「研究者・行政」間の対応は兵庫県南部地震・阪神淡路大震災前でも見られる。大震災発生前、地震防災を検討した委員会が大地震発生の可能性を指摘したが、自治体から、それでは都市開発に支障があるということで、報告書が書き改められたようだが、結果として大震災は発生した(この時点で発生しなくても、やがては発生したことだろう。大災害は生じることになる)。書き換えに関与した研究者はそのまま災害後の対策に頬かむりで関与したようだ。研究者として、如何に社会に関わるべきかを考えさせる問題である。東京地裁における研究者としての島崎氏の姿勢にエールを送りたい。
『「穴地獄」コケ群生 群馬・芳ケ平』 毎日新聞5月8日付夕刊はこう報じている。群馬県北西部に広がる芳ケ平(よしがだいら)湿地群の一部としてラムサール条約に登録されている同県中之条町の鉄鉱石の鉱床跡「チャツボミゴケ公園」。ここに群生する世界一耐酸性が強いとされるコケの一種「チャツボミゴケ」を見ようと大勢の人達が訪れているという(カラー写真付き)。国の天然記念物でもある群生地は面積2000平方㍍あり、通称「穴地獄」と呼ばれる。強酸性の鉱泉が数カ所から湧きだし、辺りは硫化水素による腐卵臭が漂う。今年1月に噴火した本白根山からは約6㌔離れているが、コケや穴地獄を取り囲む遊歩道に火山灰が積もった。ほうきでは除去しきれず従業員らが約2日かけてデッキブラシでこすり落として先月27日の開園を迎えたという。同園によるとコケの一番の見ごろは秋でコケの緑色箇所の面積が一層広がるという。5月下旬から6月にかけては園内で咲くレンゲツツジも見ごろを迎えるという。「チャツボゴケ」は究極の荒原植物と言えるが、噴気地域周辺には独特の荒原植物があり、地熱発電所建設予定地近くにある場合は慎重な対応策が取られる。大分県の九重火山硫黄山地域でも強酸性の温泉が湧出し、緑色のコケが見られたがこれほどのものではなく、限られた地域に点々とあるという感じである。
『噴火 長期化も ハワイ 観光に影響懸念』 毎日新聞5月8日付朝刊はこう報じている。 米ハワイ州ハワイ島のキラウエア火山の噴火活動は6日も続いたという。けが人の情報はないが、溶岩が住居のある地域まで流れ、住民ら2000人近くが避難したという。地元の火山観測所は「噴火活動は数か月続く恐れがある」と指摘している。地震も続いており、長期化による観光業への影響が心配されているという。溶岩に住宅が破壊されたり、噴火による道路亀裂が広がったりして被害が拡大、当局が警戒を呼び掛けている。米メディアなどによると、噴火は「ハワイ式噴火」と呼ばれ、山腹の割れ目から真っ赤な溶岩がドロドロと流れるのが特徴。突然の爆発は伴わないとされ、ハワイ島全体への避難命令は出ていない。高さ約70㍍までマグマが噴出し、溶岩噴泉と呼ばれる現象も確認されている。キラウエア火山は世界最大級の活火山で、断続的に噴火を繰り返してきた。今回の噴火は3日に始まり、イゲ州知事が非常事態を宣言。周辺では4日にマグニチュード(M)6.9の強い地震が起きている。火山地域でM7クラスの地震が発生することは非常にまれであり、今後の注意・警戒が必要だろう。火山噴火が観光業に与える影響は日本も同じであるが、噴火形態の違いにより対応に大きな違いがあるようだ。今回の噴火の前兆現象(山体膨張、先駆的地震、噴気現象等)はあったのだろうか。
『火星内部を探る無人機打ち上げ NASA』 毎日新聞5月6日付朝刊はこう報じている。米航空宇宙局(NASA)は5日、火星の内部構造に迫る無人探査機「インサイト」を西部カリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地からアトラス5ロケットで打ち上げたという。11月に火星に着陸し、約2か月かけて探査するという。火星に特徴的な地形形成過程を、内部構造から明らかにするのが狙いという。地球などの惑星の成り立ちに迫ることも期待されるという。地震計を設置して振動を分析したり、自転のふらつきや地下の熱の流れを観測したりして内部構造を探るという。筆者(江原)の専門の立場からは、地下の熱の流れの観測に特に関心がある。月での熱流量の測定も行われたことがあり、火星の熱構造を議論する上で、有用な情報となり得る。期待したい。また、地震計も設置されるので、火星内部の地殻活動の有無やプレートがあるかどうかなど議論されると思われるが期待したい。このように純粋に科学的興味がある一方、火星や月の研究は将来現実的になる可能性もある「人類の移住計画」にも寄与するであろう。  
『月のウサギに大量の氷? 地球へ落下隕石に痕跡 東北大チーム解明 「地下から取水」期待感』  毎日新聞5月3日付朝刊はこう報じている。地球に落ちた月からの隕石に水がなければ存在しない鉱物「モガナイト」が含まれていることを、東北大などのチームが初めて突き止めたという。月の地下に氷が大量に埋まっている可能性があるという。2日付けの米科学誌サイエンスアドバンシズで発表した。月の水は人工衛星の観測で、北極と南極の表面にあることは知られていたが、それ以外では謎だった。過酷な環境の極地に対し、活動しやすい場所なら地下から水を採取できる可能性が高まる。将来居住する際、飲料水や水素燃料の原料として期待されるという。東北大の鹿山雅裕助教(惑星科学)らは、ウサギに見える「プロセラルム盆地」から約1万7000年前にアフリカ北西部に落下した隕石を分析した。モガナイトができるには、高い圧力とアルカリ性の水の蒸発が必要。研究チームは①アルカリ性の水を含む隕石が月に衝突し、できたクレーターに岩石の破片が集まって隙間に水が蓄積②地表近くの水が蒸発してモガナイトを作る一方、温度が低い地下の水は凍ってとどまった---とのメカニズムを示したという。鹿山助教は「今後アポロ計画で採取された月の試料で水の痕跡がないか詳細に分析し、月探査の推進につなげたい」と話しているという。なかなか夢のある研究と言えるのではないか。今後の研究の進展に期待したい。月への移住とも関連する研究だが、地球温暖化問題が破局的段階にまでくれば、月への移住が真剣に考えられる時期も来るかもしれない。月の研究も進み、かつ、地球温暖化が解決する方向に進むことを期待したい。
『4月 やっぱり暑かった 関東甲信の平均気温最高』 毎日新聞5月2日付朝刊はこう報じている。  気象庁は1日、4月の天候まとめを発表した。東日本(関東甲信、東海、北陸)と西日本(近畿、中四国、九州)は気温がかなり高く、千葉や水戸など関東甲信を中心に20地点で4月の月平均気温の最高値を更新したという。気象庁によると、寒気が南下しにくく南から暖かい空気が流れ込みやすかった。北日本(北海道、東北)は気温が高く、沖縄・奄美は平年並みだった。千葉が月平均気温で過去最高より1.4℃高い17.2℃を記録。水戸や東京、横浜でも最高値を更新した。低気圧と高気圧が交互に通過して全国的に数日周期で天気が変化したが、東日本の太平洋側から沖縄・奄美にかけて移動性高気圧に覆われやすく日照時間が多かったという。当研究所(埼玉県狭山市)では、2012年5月8日より、所内の敷地で1m深地温の連続観測を行っているが、4月の平均地温は13.83℃(2013年)、13.93℃(2014年)、14.29℃(2015年)、14.27℃(2016年)、13.49℃(2017年)、15.39℃(2018年)となっており、今年が異常に高かったことが明瞭である。昨年までの5年間の平均地温13.96℃に比べ、1.90℃高い。1m深地温(気温より、変化は小さいが変化が滑らかで、気温及び地中への熱流入量を反映)は、気温に比べ滑らかに変化するので、長期的な温度変化を議論する上では、気温より1m深地温の方がより適切な観測値と考えている。なお、地球そのものが温まっていることを示しており、地球温暖化をより実感することができる。5月に入っても地温は上昇を続けており、5月1日は17.04℃、5月2日は17.34℃となっている。ちなみに、4月30日は16.82℃であった。
『連休 暑さで変調 花散り観光打撃 かき氷店は盛況 都心4月夏日最多』 毎日新聞5月1日付夕刊はこう報じている。4月の日本列島は例年に比べ暑い日が続き、観光スポットでは5月の大型連休中に見ごろを迎えるはずの花が散ってしまう事態が相次いでいるという。一方、最高気温が25℃以上の「夏日」が多くなった東京では、かき氷店がにぎわうなど、関係者にさまざまな影響が出ているという。気象庁によると、東京都心の4月中の夏日は9日間で、過去最多だった1998年の6日間を大幅に更新した。日本の南側にある高気圧の勢力が例年より強くなっているため、日本の北側にある低気圧に向かって暖かい風が吹き込んだことが要因という。異例の暑さのため、各地の観光スポットでは植栽の開花が早まっている。約100種3000株のツツジが植えられている根津神社(東京都文京区)では、6日まで「文京つつじまつり」が開催されている。例年は4月20日ごろが見ごろだが、今年は遅咲きの一部が残っている程度という。担当者は「(ツツジを植えている)つつじ苑への入場者数がガクンと落ちている」と嘆いているという。藤の名所として有名な「あしかがフラワーパーク」(栃木県足利市)では、人気イベント「ふじのはな物語」の開幕を4月18日から14日に前倒ししたとという。例年は大型連休後半に満開を迎えるが、4月末時点で一部が咲き終わったという。例年は5月末に見ごろを迎え2500株のバラがすでに始めたため、担当者は「藤の代わりにバラをライトアップしようと考えている」と善後策を練っているという。一方で、思わぬ「特需」も。かき氷専門店「ひみつ堂」(東京都台東区)は、最高気温が25.7℃を記録した4月30日、約700人が来店してにぎわったという。店主の森西浩二さん(48)は「お客さんは昨年の1.5倍。30日は特に忙しかった。これから暑くなりそうなので、連休中はもっと売り上げが伸びるのではないか」と期待しているという。気象庁によると、日本列島は連休中の4~5日など一時的に寒気が入り込む日があるものの、おおむね気温が高い日が続くと見られる。5月には週末に運動会が開かれる小中学校もあり、こまめに水分を補給して熱中症を防ぐよう呼びかけている。当研究所(埼玉県狭山市)では2012年5月8日以降、所内敷地で、1m深地温の連続観測を行っているが4月の平均地温は、13.83℃(2013年)、13.93℃(2014年)、14.29℃(2015年)、14.27℃(2016年)、13.49℃(2017年)、15.39℃(2018年)となっており、今年は断然高くなっている。1m深地中温度は、気温だけでなく、地中への日射の流入量にも関係しており、今年の4月は地球表層が特に暖められていることが明瞭に見て取れる。
『霧島・硫黄山が別の場所で噴火』 毎日新聞4月27日付朝刊はこう報じている。 26日午後6時15分ごろ、宮崎、鹿児島県境にある霧島連山のえびの高原・硫黄山が再び噴火した。山頂から西へ約500㍍の宮崎県道1号付近から噴火し、噴煙が少なくとも200㍍まで上がったという。19日に噴火が確認された場所とは別という。気象庁によると今回噴火した場所付近では、20日から水蒸気と見られる白色の噴気が新たに確認されていたという。26日午後6時過ぎに乳白色になったことから、ごく小規模な噴火と判断したという。噴火に伴う空振や噴石の飛散は確認されていないという(爆発的な噴火ではなかったようだ)。噴火警戒レベル3(入山規制)を継続しており、おおむね2㌔の範囲では噴火に伴う大きな噴石の飛散や火砕流に警戒するよう呼びかけている。硫黄山の南側では19日、250年ぶりに噴火が確認されている。26日の噴火から約1日たった現在(27日午後5時過ぎ)、気象庁の火山カメラによると活発な噴煙活動が依然見られる。SO2放出量を観測すればマグマの関与の程度が判断できるので、観測が続いていることを期待したい。
『将来が見えぬポスドク 不安定な就職事情 正規研究職 不採用40回』 毎日新聞4月25日付朝刊はこう報じている。同種の問題が先週に続き「科学の森」欄で紹介されている。  「人が何かを見たり、記憶したり、考えたりできるのが不思議で、その仕組みを明らかにしたいと思い、研究の道に進んだ。でも将来があまりに不透明で・・・・」。関東の国立大の30台の男性助教は言葉を詰まらせた。大学院で認知心理学を専攻し、錯覚や錯視について研究。博士号取得後、二つの研究機関で任期付博士研究員(ポスドク)として計5年間働いた後、昨年、現在のポストを得たが、あと2年で任期が切れる。ポスドクは通常、正規の研究職に就く前の修業期間と位置付けられるが、国内ではポスドクを何カ所も渡り歩いても安定した職に就けない問題が続く。男性助教は日本学術振興会の特別研究員にも選ばれ、科研費も切れ目なく受け取り、国際的な学術誌に論文が掲載されるなど、本人も「研究者として平均以上だと思う」としている(その判断は正しいであろう)。そのような有望な若手研究者であっても、正規の研究職に約40回応募したが、いずれも不採用になったという。そもそもポストが少なく、地方大でも数10倍の競争だという。・・・・。深夜、次の就職活動のために履歴書を書きながらふと思う。「もし将来、子供ができたとしても、研究者になることを勧めないな」。これが平均的なポスドクの状況だろう。科学技術立国を標榜する国の政策の貧困さを追求せざるを得ない。記事中に、博士課程修了者数と大学の教員採用数の推移のグラフが示されているが、1995年ごろを境として(国の大学院重点化策が開始したのが1990年以降)、博士課程修了者数と教員採用数が大きく乖離をしており、その差は各年5000人程度である。国は、入口を準備したが、出口は準備しなかった。皮肉にも、国が大学院重点化政策を始めて以降、この乖離が始まり、強まっている。それ以前は教員採用数の方が各年3000人ほど上回っている。筆者(江原)が博士課程に在籍していたころ(1970年代中ごろ)は博士課程を修了せず、途中で正規研究職に就く人も多かった(筆者もその一人である)。当時、正規研究職がそれ程容易な状況ではなかったが、それでも在学中は期待が持てた。それに引き替え、現在の博士課程学生あるいはポスドクにおいては、正規研究職を得るのははるかに難しく(個人の努力では超えられない壁がある)、なかなか将来を見通すことが困難なことが現実であろう(⇒1970年代半ば当時もオーバードクター問題はあったが)。国が科学技術立国を目指すなら、「若手研究者の処遇」および先週記述した、「シニア研究者の研究時間確保」に努める必要がある。数年でくるくる変わる年替わり教育研究政策ではなく、数10年を見通した、じっくりとした「教育研究政策」を講じる必要がある。文科省の若手官僚には特に熟慮をお願いしたい。
『温暖化に「適応」する未来 このまま温暖化が進んだら? 2100年ごろの日本 夏の東京40℃ 熱中症対策 必須』 毎日新聞4月26日付朝刊はこう報じている。 これまでに経験したことのないような大雨、農産物の品質低下・・・・・。地球温暖化は、私たちの身近なところにも影響を及ぼし始めている。将来の被害を減らす対策「適応」を進めるため、今国会では、気候変動対策法案の審議が進む。現在、政府内における諸問題の発生で、国会は審議が 行われない状態が生じているが。   今日付朝刊では、日本の気候はこれからどう変わるのか。最新の影響予測などを基に、日本の未来の姿を想像しながら、適応策が紹介されている。東京都(千代田区)では、最高気温が30℃以上の「真夏日」が1年に計90日以上に。夏の涼しさが観光客らに人気だった北海道でも真夏日が増え、今世紀末の日本は、春や秋であっても「夏みたい」と感じる日が多い、亜熱帯の世界になっているかもしれない(⇒すでに今春はそうなっている)。気候変動の最悪シナリオに基ずく気象庁の予測によると、今世紀末の年平均気温は、20世紀末と比べて全国平均で4.5℃上昇する。東京都は、8月の最高気温(の平均)が34℃を超えると予測され、数年に1度は最高気温が40℃を超える可能性があるという。また、熱中症のリスクも高まる。さらに、作物の品質低下により新たな品種導入が必要になる。また、豪雨、スーパー台風、高潮も多くなり、堤防などのハード対策だけでは不十分になり、避難行動などソフト対策も含めた総合的な対策が必要となると指摘されている。温暖化対策は、温暖化ガスの削減だけでは、すでにとどまらず、積極的に適応策を準備する段階に入ってきている。対策を早めにとっていく必要があるが、現実には後手に回ってしまう可能性が強い。残念ながら、熱中症による死者の増加が著しくなるまで、政府は腰を挙げないのではないか(公害問題での過去の対応を見るとよくわかる)。このようなことが発生しないように、国会での論戦を期待したい。国民に強く訴えることのできるメッセ-ジが発信できるか。
『伊藤忠、トルコ原発離脱 事業費倍増 利益確保困難に』 毎日新聞4月25日付朝刊はこう報じている。  三菱重工業、伊藤忠商事などがトルコで進める新型原発建設計画から伊藤忠が離脱するという。2015年から3年間、事業化に向けた調査が行われたが、現時点で事業化のめどが立っていないことから参画を見送る見通しという。原発は安全対策費の上昇で建設費が膨らんでおり、日本が官民挙げて進めてきた原発輸出に逆風になっている。伊藤忠は極めて正しい判断をした。原発輸出は、環境面、経済面、倫理面から最悪の選択である。他社も見習ってほしいものである。国際的に見て、恥ずかしい海外事業は撤退すべきである。将来に大きな禍根を残すことがないように望みたい。
『国内排出量1.2%減 温室効果ガス 16年度確定値』  毎日新聞4月25日付朝刊はこう報じている。  環境省は24日、国内で2016年度に出した温室効果ガスの総量が二酸化炭素(CO2)換算で前年比1.2%(1600万㌧)減の13億700万㌧だったとの確定値を発表したという。再生可能エネルギーの導入や省エネルギーが進んだ一方、温室効果が高い代替フロン「ハイドロフルオロカーボン(HFC)」の排出が増え、3年連続で減ったものの、減り幅はわずかにとどまったことになる(⇒いずれにせよ前年度より減ったことは好ましい)。排出量の9割を占めるCO2排出は2000万トン減の12億600万㌧だったが、部門別では発電所と、家庭部門が増加に転じたという。HFCは冷蔵庫やエアコンからの冷媒回収が進まず、330万㌧増の4250万㌧となった。確定値は13年度比で7.3%減に相当するという。地球温暖化対策における、温室効果ガス排出の低減は、徹底した省エネルギーと再生可能エネルギーの促進であろう。合わせて、石炭火力を減らし、原発を稼働しないことだろう。
『豪サンゴ礁3割死滅 16年海水温上昇で』 毎日新聞4月24日付朝刊はこう報じている。オーストラリアの研究機関「ARCサンゴ礁研究所」は同国東部沖にある世界最大のサンゴ礁「グレイトバリアリーフ」で、地球温暖化などがもたらした海水温度の極端な上昇の影響で、サンゴが大量に死滅したとの研究報告を発表したという。報告は科学誌ネイチャーにも掲載という。エルニーニョ現象の影響も重なって水温が極端に上昇した2016年3~11月の9か月間で約3割のサンゴが死滅したことが判明。特に水温が高かった北部の3分の1は深刻で、死滅したサンゴの比率は5割を上回ったという。日本国内の白化に関しては、沖縄県の石垣島と西表島の間にある国内最大のサンゴ礁「石西礁湖」で大規模な白化が生じており、白化率は、2016年末時点で91.4%、2017年末時点で49.9%と環境省から報告されている。2017年は改善しているが、環境省は「高い水温、高い白化率が続いており、楽観できない」としている(毎日新聞2018年1月20日付朝刊)。地球温暖化の影響は暖かい海域では、すでに世界的規模で明瞭に広がっていることになる。
『はや夏の太陽 各地で30℃超』 毎日新聞4月22日付朝刊はこう報じている。  日本列島は21日、高気圧に覆われ、全国的に晴れて気温が上昇した。東北、北陸、甲信、近畿地方で今年初めて最高気温30℃以上の真夏日となった。気象庁によると、全国929の観測点のうち27地点で4月の最高気温を更新した。主な最高気温は島根県川本町で32.1℃、宮城県丸森町と兵庫県豊岡市が31.8℃。「暑い街」として知られる埼玉県熊谷市は28.7℃で、同市の嘱託職員、小川健一さん(57)は「夏がどうなるのか思いやられる」と話していたという。22日も晴れが続き、関東では21日を上回る気温となる見込みという。気象庁は「体が暑さに慣れていないので、熱中症に注意して」と呼びかけている。当研究所では、2012年5月8日以降、敷地内で1m深地温の連続観測を行っているが、今年4月初旬以来地温は急上昇し、現在、4月22日の地温としては、過去最高の1m深地温を示している。これは例年になくこの時期、大気中から地中への熱の流入が大きくなっていることを示している。
『環境省が「暑さ指数」 熱中症対策に』 毎日新聞4月22日付朝刊はこう報じている。環境省は、熱中症の起きやすさを示す「暑さ指数」の公表をインターネットで開始したという。9月28日までで、熱中症予防に役立ててもらうとしている。暑さ指数は気温や湿度、日射しの強さから算出する国際指標。ホームページでは全国840地点の1時間ごとの数値や、翌々日までの3時間ごとの予測値を表示するほか、熱中症の起きやすさを5段階で色分けして知らせるという。同省の「熱中症予防情報サイト」(http://www.wbgt.env.go.jp/)に加え、携帯電話やスマートフォン向けのサイトがあり、希望者にはメール配信も行うという。不快指数をさらに深めた指数と言えようか。当研究所(埼玉県狭山市)では、2012年5月8日以降、所内で1m深地温(気温と共に、地中への日射量等も反映している)の連続観測を行っているが比較検討してみたい。
『新しい環境基本計画 SDGs の出遅れ挽回を』 毎日新聞4月22日付朝刊社説はこう報じている。  国の環境政策の指針となる環境基本計画が決定されたという。6年ぶりの改定で、国連の「持続可能な開発目標」(SDGs=エスデージーズ)と地球温暖化対策の「パリ協定」に的確に対応することを打ち出したという。二つの国際合意に基づき、世界は持続可能な脱炭素社会の構築に向けて動き出している。新計画がその流れを踏まえた点は評価できるとしている。日本はSDGsや脱炭素化の取組みで、世界の潮流に乗っているとは言い難い状況にある。新計画を、出遅れ挽回につなげる踏み台としてほしいともしている。SDGsは、2015年に採択された世界共通の目標である。先進国、途上国を問わず「誰一人取り残さない」社会の実現を目指したものである。貧困や飢餓の撲滅、温暖化対策など17分野で世界が解決すべき目標を示している。経済、社会、環境の三つの側面から、総合的に達成を目指しているのも特徴である。新計画はSDGsにならい、地域や経済、技術など分野横断的に六つの重点戦略を設定している。このうち「地域」では「地域循環共生圏」という考え方を掲げている。農山漁村などで再生可能エネルギーの地産地消(⇒この言葉が安易に使われるが、エネルギーについてはよく検討すべきである)を進め、温暖化対策や雇用拡大につなげるものである。自然を守りつつエコツーリズムなどで活用し、近隣の都市部の住民にもメリットをもたらす(⇒地熱資源に恵まれている農山漁村では、地熱エネルギーを用いた、熱水利用による農水漁産物の高付加価値化及び地熱発電等の利用により、地域の持続可能な発展に大いに寄与できる。地熱資源に恵まれている地域では、恵まれた地域の宝を活かしていくべきと考えられる)。ドイツ財団などが昨年発表したSDGsの達成状況で日本は、温暖化対策が4段階の最低評価、再エネ導入が下から2番目と、環境・エネルギー分野で遅れが目立つ(本来は、日本が国際的に先導そして貢献できる、数少ない分野の一つでもある)。温暖化対策では、温室効果ガスの排出量取引や炭素税などの導入に前向きな環境省と、反対する経済産業省の対立が続いているのが日本の現状である。環境への配慮を欠いた経済成長など、もはやありえないことを大前提に、政府一体となった施策づくりが、今こそ求められているとしている。もっともな提言と思われる。短期的な見方の経済優先論が、国際的にも、将来的にも破たんしていることは明らかである。前向きな政策転換を望みたい。
『白い噴煙100㍍ 霧島・硫黄山 新燃岳噴火と同じマグマだまりか 専門家指摘』 毎日新聞4月21日付朝刊はこう報じている。  19日に250年ぶりに噴火した宮崎・鹿児島県境の霧島連山のえびの高原・硫黄山は。20日朝に噴火が停止したが、水蒸気と見られる白い噴煙が高さ約100㍍まで上がるなど活発な噴気活動が続いている。気象庁によると20日の上空からの観測では、山の南側で複数の白色の噴煙が上がり、泥水の噴出も見られたという。また、今回の硫黄山の噴火について、防災科学技術研究所の中田節也・火山研究推進センター長(火山地質学)は、3月から爆発的噴火が起きている霧島連山の新燃岳にマグマを供給したのと同じマグマだまりの影響で起きた可能性が高いと見ているという。気象庁によると、マグマだまりは硫黄山近くのえびの岳の地下約6㌔にあり、さらに深部からのマグマの供給が続いていると見られる。中田センター長は硫黄山の噴火は、マグマだまりに由来する熱やガスで起きた「水蒸気噴火」とみられると指摘している。一連の霧島連山の活動の中で、硫黄山は新燃岳よりえびの岳の下にあるマグマにより近く、硫黄山の噴煙活動は新燃岳の活動の前兆的活動を示す可能性があり、硫黄山の活動に注意していく必要があるだろう。硫黄山からの噴煙量・噴煙中のSO2放出量のモニタリングは重要だろう。それらが新燃岳・硫黄山の山体膨張とどのように関係があるかが活動予測のポイントであろう。今回の硫黄山の噴火前、新燃岳からの噴気は前回の噴火後明らかに低下していたが、硫黄山からはやや強い噴気が連続的に噴出していたことも忘れてはならないだろう。
『津波予測に新たな一手 上空の電離圏ホール活用 速さと精度 向上』 毎日新聞4月20日付夕刊はこう報じている。 津波発生地点の上空約300㌔にできる「電離圏ホール」と全地球測位システム(GPS)の電波を利用し、津波の規模や到達時間を予測するシステムを東京学芸大の鴨川仁准教授(大気電気学)らが開発したという。津波の全体像を把握しやすく、地震計や津波計の観測と合わせることでさらに正確な予測が期待できるという。GPSを用いるため、津波計が普及していない海外でも容易に予測できるようになるという。電離圏は、地上約80~100㌔で高密度に電子が存在している層。鴨川准教授らは東日本大震災の発生時、津波が発生した上空で電子密度が小さくなる電離圏ホールがしばらくの間できたことをGPSの電波を使い発見したという。海面の盛り上がりによる空気振動で電子が減ったことが原因で、ホールを通過すると電波の周波数が乱れる現象を利用して解析した。2004年のスマトラ沖大地震でも過去のGPSデータで現象を確認。津波の予測に活用できないか研究してきたという。過去20年間に太平洋で発生した7回の津波について、7基のGPS衛星と日本国内にある約1000機の受信機のデータを分析。その結果、周波数の乱れの幅などからホールの大きさを推計し、津波の規模を算出するプログラムを作成した。津波発生からホールができるまで最低8分かかるが、規模や陸地までの距離によっては地震計や海底の津波計を利用するより早くて精度が高い予測が可能になるという。鴨川准教授らはシステムの精度を向上させるため、南海トラフ地震で大きな津波が想定される中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)をモデルに来月にもシュミレーションを実施するという。東北大の今村文彦教授(津波工学)は「地震計や津波計と異なり、このシステムは上空から津波の全体像を見下ろすように観測できる。予測の精度向上につながる」と話しているという。この予測システムが実用化されれば、緊急地震警報システムの高精度津波版と言えようか。
『外部資金獲得に追われ 「チバニアン」の裏側 科研費採択25%「狭き門」 幻の科学技術立国 第1部「改革の果てに」』。毎日新聞4月19日付朝刊「科学の森」欄はこう報じている。「チバニアン」という日本名が付いた地質時代名が国際的に認知される過程の中で、当該研究者たちは研究継続に大変な苦労したことを一つのきっかけに、日本の大学研究者が置かれている状況をレポートしている。記事の分量が多いので、関東の国立大に勤める50代の女性教授の例について絞って具体的に紹介したい。  「何のために研究者になったんだろう・・・・・」。女性教授は、こんなやりきれない気持ちになった時、大学構内の図書館に駆け込む。古書のにおいを嗅ぐと自分が研究者であることを思い出し、つかの間、気持ちが落ち着くからだという。研究者は「自分に不思議と思えることを追究できる幸せな職業」だと思っていたという。大学卒業後、企業に勤めたが、「研究者として生きたい」と大学に戻った。しかし、今の生活はそんな理想とはほど遠い。日々の講義や研究室の学生の指導に加え、管理職として大学の運営業務にも携わる。スケジュール表は掛け持ちする学内の委員会の会議で埋まり、自分の研究に充てられる時間はほとんどない。さらに追い打ちをかけるのが、外部資金の獲得を促す大学側の強いプッレッシャーだ。「たとえ自分は必要なくても申請書を書かされ、書かないと学部のトップに呼び出される」。女性教授の専門である心理学は企業からの資金が得にくいため、科研費などの公的研究費の申請手続きにも追われる。ひたすら競争を求める大学についていけないと、早期退職した同僚もいるという。文科省による大学教員への調査では、02年には勤務時間の46%が研究に充てられていたが、13年調査では35%に減ったという。この調査では外部資金獲得のための書類作成なども研究時間に含まれるため、実際に研究そのものに充てられる時間はさらに少ない。科学技術・学術政策研究所による研究者の意識調査では「研究なんてほとんどできない」「管理的な業務が増え続け、研究そのものに充てる時間は、時間外労働やサービス残業で確保するしかない」「仕事の量は減らないのに職員が減っている」といった切実な声が寄せられたという。学内業務や外部資金獲得のための事務作業に追われて研究時間が作れない。当然良い成果は出ず、競争的資金はますます得にくくなる---。この「負のスパイラル」(女性教授)に陥り、もがいているという。山本清東京大客員教授は(大学政策)は「中国など研究力を伸ばしている国では、研究に専念できる教授がたくさんいる。日本では国公立大でも私立大でも、研究者の雑用が増え、研究時間が圧倒的に足りない。それが研究力低下を招いたことは明らかだ」と指摘している。上述の記事は現在の大学が置かれている状況をよく描き出している。筆者(当所の江原)も大学に長く務めたので状況が良く理解できる。勤務時間が長い大学の慣習の中では、女性教授にとってはさらに負担が多いだろう。外部資金獲得の苦労も良くわかる。筆者の場合は、工学系で、研究室約20名のスタッフ・学生のための研究費獲得(毎年1500万円程度)を目指し、多くの外部資金獲得に奔走した。その結果、幸運にも外部資金に恵まれ、多くのスタッフ・学生をつれて国内外のフィールド調査、そして国内外の学会に出席することができ、実に多忙ではあったが、恵まれていたと思う。しかし、大学退職後、「もっともうれしく思った」のは、「もう研究費申請をしなくて良いこと」だった。文部科学省は、短期間で次々と代わる新機軸を打ち上げ続けることを止め、大学教員が研究に十分時間を取れる学術政策を真剣に考えてほしいと思っている。
『250年ぶりに硫黄山噴火 宮崎・鹿児島県境』 毎日新聞4月20日付朝刊はこう報じている。 19日午後3時39分ごろ、宮崎、鹿児島県境にある霧島連山のえびの高原・硫黄山(霧島硫黄山)が噴火した。硫黄山の噴火は1768年以来で、250年ぶり。噴煙は最高で約500㍍まで上がり、火口周辺で大きな噴石の飛散も確認されたという。気象庁は噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げた。宮崎、鹿児島両県によるとけが人はいない。同庁は、硫黄山から約2㌔の範囲で噴火に伴う噴石や火砕流への警戒を呼び掛けている。硫黄山では、今年2月後半から火山性地震が増加。小規模な噴火の恐れがあるとして、2月20日に噴火警戒レベルを1(活火山であることに留意)から2に引き上げていた。霧島連山では、硫黄山の南東約5㌔の新燃岳でも3月6日に7年ぶりの爆発的噴火が発生し、噴火警戒レベル3が継続している。3月6日の新燃岳噴火後、新燃岳の活動は急速に弱まった。一方、霧島硫黄山の噴気活動を気象庁の火山カメラで毎日観察してきたが、白い噴気の放出はそれほど弱まっておらず、地下からの供給は依然と継続していると見ていたが、今回、硫黄山地下に大量の火山ガスが蓄積していたのだろう。
『「第2の地球」探索へ NASA宇宙望遠鏡打ち上げ』 毎日新聞4月19日付夕刊はこう報じている。  米航空宇宙局(NASA)は18日、太陽系の外にある地球型惑星を探す新たな宇宙望遠鏡「TESS(テス)」を、米フロリダ州から打ち上げたという。適度に温暖で、生命を育む水にあふれた「第2の地球」の発見を目指すという。米スペースXのファルコン9ロケットでケープカナベラル空軍基地から打ち上げられた。観測が始まれば、岩石でできていて大きさが地球に近く、水が液体の状態で存在できる惑星が数100個見つかると期待されているという。TESSは高性能カメラを4台搭載し、これまで太陽系外の惑星を探すのに使っていたケプラー宇宙望遠鏡に比べて400倍広い範囲を観測できるという。太陽から300光年の範囲内にある比較的近い惑星を探す。太陽以外の恒星を回る惑星は、離れていて光を直接出さないため見つけるのが難しい。TESSは恒星の手前を惑星が横切る際にわずかに暗くなる現象を手掛かりにするという。惑星の大気をかすめて飛んでくる光も分析し、大気がどのような成分でできているか調べる。NASAは2020年にジェームズ・ウェブ宇宙望遠鏡を打ち上げる予定で、TESSで見つけた惑星をさらに詳しく調べる計画だという。百数十億光年先の天体は実感しにくいが、300光年程度の地球に似た惑星を探すというのは何となく身近に感じられ、科学者以外の一般の方々にも、このような研究から、科学的成果が人類を見つめるための有用な役割を担う可能性が感じられるのではないか。
『海運の温室ガス 今世紀ゼロ合意 国際海事機関』 毎日新聞4月15日付朝刊はこう報じている。ロンドンで開催中の国際海事機関(IMO)海洋環境保護委員会は13日、国際海運分野の地球温暖化対策として、今世紀中のなるべく早い時期に船舶が排出する二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出ゼロを目指すことで合意したという。国際海運分野での温室効果ガス削減の目標値で国際社会が合意するのは初めてという。IMOの委員会が採択した「削減戦略」は船舶での省エネ技術、新たな燃料の導入などを通じて2030年までに全体の燃費効率を08年比で40%改善、50年までに排出量を半減させるとの目標も決定。船籍にかかわらず対策を進めるとしたという。省エネ技術の導入はともかく、新たな燃料の導入は困難が伴いそうである。チャレンジングな目標設定に敬意を表したい。このような国際的な事業関連機関による合意は意義がある。他産業でも追随してほしいところである。
『北極温暖化に新説 三重大チーム解明「凝結熱」で加速 シベリアからの大気 一因』 毎日新聞4月13日付夕刊はこう報じている。 三重大大学院生物資源学研究科の立花義裕教授(気象学)らの研究チームが、シベリア上空から流れ込む大気が北極の温暖化を加速させているとする新説を発表したという。海氷の減少だけでなく、大気の流れにも注目して包括的な分析を加えたと言い、英国の学術誌「サイエンティフィックリポート」(電子版)に掲載されたという。アラスカ大、モスクワ大も参加する研究チームが2013年8~9月、北極海上で砕氷船から観測気球を打ち上げ、上空の気温や湿度、風向きなどを調査。これまで蓄積してきた気象データなども踏まえて大気の流れを分析した。その結果、水蒸気を多く含んだ大気がシベリア上空から北極へ流れ込んでいることを確認。この大気は、北極の低空域にある冷たい大気(寒気ドーム)を滑りあがり、雲を発生させていた。気体(水蒸気)が液体(雲)に変わる際に放出される「凝結熱」の影響で、北極の温暖化を加速させていると結論づけた。立花教授によると、12年の北極海の氷の面積は、1979年に比べて55%減少した。海水温の上昇などで海氷が減少し、北極上空の寒気ドームも縮小。その影響でシベリアから北極に大気が流れ込みやすくなったと分析している。北極では地球上の2倍のスピードで気温が上昇しているといい、その背景に大気の流れがあるとしているという。気象庁気候情報課の田中昌太郎調査官は「北極周辺の大気の流れを現地で直接観測したデータは少なく、今回の研究発表は従来より多面的な気象分析に寄与する」と指摘。国立極地研究所(東京)の猪上淳准教授(気象学)は「熱源として凝結熱に着目したことが新しい。北極温暖化のメカニズムは研究者の間でまだ合意が得られておらず、貴重な研究成果」と評価しているという。近年、大規模気象現象の解明には衛星画像・データを用いるものが多いが、このように焦点を絞って、自ら観測を行い、新たな現象を発見したことは意義深い。これも観測科学の醍醐味であろう。今後の進展を期待したい。
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