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『オゾン層の破壊20%減 南極上空 フロン制限奏功』 米航空宇宙局(NASA)は、2016年に南極上空で破壊されたオゾンの量は、05年より20%減っていたと発表したという。太陽からの有害な紫外線を吸収するオゾン層は、フロンなどの化学物質で破壊される。これらを制限する国際条約「モントリオール議定書」の効果を示す初の証拠としている。研究チームは05~16年、南極の冬~春に衛星「オーロラ」で上空を観測。オゾン層破壊の弱まりを確かめたほか、フロンなどが分解してできる物質が年平均0.8%の割合で減っていることも分かったという。NASAによると、南極上空のオゾン層が薄くなって穴が開いたような状態になる「オゾンホール」は00年以降、少なくなっているという。17年の最大のオゾンホールは、1988年以降もっと小さかったという。これは、オゾン層対策が、国際的に一致して行われたことによる大きな成果と言える。このことは、地球温暖化における「パリ協定」実施に当たって、国際的に一致した協力が重要であることを示したものと言えよう。米国の「パリ協定」への復帰を期待したい。
『プランクトンの量くっきり 衛星「しきさい」画像を公開』 毎日新聞1月13日付夕刊はこう報じている。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12日、昨年12月に打ち上げた気候変動観測衛星「しきさい」が捉えた画像を公開した。250m四方の細かい領域ごとに様々な物質を観測できるのが特徴で、関東沖ではプランクトンの量(の違い?)がくっきりと映り、インド周辺の上空にちりが多いことがわかるという。関東地方を撮影した画像では、茨城、千葉両県にまたがる利根川河口から房総半島南部にかけた沿岸部や東京湾が緑色で明るくなっており、プランクトンなど粒子状の物質が多く分布している様子がわかるという。大気中のちりの特徴を捉える観測手法では、インドのガンジス川河口からインド洋にかけて、上空にちりが多いことを示す赤や黄色の領域が広がっていたという。「しきさい」は地球温暖化の仕組みの解明を目指す衛星。温暖化の予測で誤差の原因となる雲やちりを観測し、予測の精度を高めることを狙っている。プランクトンの量や海面の温度も分かり、魚の多い漁場の予測にも役立てられるという。この記事だけでは、解析手法等が分からないが、別の紙面で詳しい解説を期待したい。分解能が1ケタあがると新たなものが見えることは十分ありうるので新たな発見を期待したい。また、十分な解釈のためには地表面・海水表面でのグランドトルースが重要だろう。
『石炭火力認めず 環境相 中国電計画に意見書』 中国電力が増設を計画する石炭火力発電所の三隅発電所2号機(島根県浜田市、出力100万キロワット)の環境影響評価(アセスメント)で、中川雅治環境相は12日、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)排出の削減が進まなければ「建設は容認されるべきでない」とする意見書を世耕弘成経済産業相に提出したという。建設する場合には中国電の他の石炭火力発電所の休廃止を求めており、中国電の事業計画の見直しを促す内容。昨年8月に「事業の再検討」などを求めた意見書を出した中部電力武豊火力発電所5号機(愛知県武豊町)に続く厳しい意見となった。今後の経産相や中国電の対応が注目される。石炭を燃やす火力発電は、天然ガスの場合と比べてCO2排出量は約2倍とされる。意見書で環境相は、新たに石炭火力発電所を建設することで、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」で日本が国際的に約束した削減目標(2030年までに13年比26%削減)を達成できない恐れがあると指摘した。国内では現在、石炭火力発電所の新増設計画が約40基ある。中川環境相は同日の記者会見で「それぞれの計画に意見を申し上げる時は厳しい対応をしていただきたい」と、他の計画にもCO2排出削減の明確な道筋を示すよう求める考えを強調したという。中国電は三隅発電所2号機を年内に着工する計画で、22年の運転開始を目指す。一時は電力需要の鈍化や地球温暖化対策への配慮で計画を先送りしていたが、島根原発の長期停止などを理由に15年、出力を40万キロワットから大幅に増強して建設を急ぐ方針に転じたものである。国際的約束あるいは日本国民の将来世代への影響等を考えれば、環境相の意見は妥当と言える。中川環境相には是非とも頑張って頂きたいものである。
『日本の研究力の危機 「選択と集中」による弊害』 毎日新聞1月12日付朝刊はこう報じている。日本の研究力に黄信号がともっている。ノーベル賞の自然科学分野での日本の受賞者(米国籍を含む)は2000年以降、17人を数え、欧米諸国と肩を並べたかのように見える。だが、日本発の論文数は減り、学生にとって「研究者」は魅力的な進路ではなくなっているのが実情だ。科学技術立国・日本の復活には何が必要か を問うている。オピニオン欄1ページの約3分の2を取り、3人の識者がそれぞれの立場から述べている。科学技術政策アナリストの小林信一氏、物質・材料研究機構理事長の橋本和仁氏、アカデミスト社長の柴藤亮介氏。興味ある方は直接お読み頂きたい。ただ、筆者(当所代表)もこの問題については一言述べたいと思っている。最近の大学、とくに国立大学の研究環境についてである。上述の「選択と集中」の中で、大学において、従来長期にわたって基礎的・基盤的研究を支えてきた「運営費交付金」が年々減少し、競争的資金を獲得しなければ十分な研究が継続できない状態が生じている。そして、競争的資金による大型研究(5年間程度)が数年おきに、目新しい名称で募集される。研究者の創意というより、ある意味でお仕着せの分野がはびこる。しかも数年で結果を求められる。一方、大学のパーマネントのポストが減り、とくにパーマネントのポストを得ていない、若手研究者は次のポストを目指して、大型研究の実質的研究者として、大きなプレッシャーを常に感じながら、研究を行っているのが現状ではないか。若手研究者が、より自発的に創意工夫で、落ち着いた環境の中で、自らが主体となった研究を推し進めることが必要ではないか。日本の研究力が下がりつつあるという問題は、若手研究者の研究環境改善が求められることの一つではないか。
『ラニーニャで大雪 要注意』 毎日新聞1月12日付朝刊はこう報じている。 気象庁は先月、太平洋東部で海面水温が低い状態が続いて世界の気象に影響を及ぼす「ラニーニャ現象」が約6年ぶりに発生したと見られる、と発表したという。一般的にラニーニャ現象が起きると、日本では寒さが厳しくなると言われる。春先までの雪や寒さはは、どんな傾向になるのだろう。気象庁は「ラニーニャ現象」をこう定義している。<南米ペルー沖の東太平洋赤道付近に定められた監視海域の海面水温が、平年を基にした基準値より0.5℃以上低い状態が6か月以上続くこと> 太平洋の熱帯地方では常に東からの貿易風が吹き、表面の暖かい海水が西側に流れていくため、普段から東側の方が海面水温が低くなっている。この東風が強くなると、東側のペルー沖などは、ますます海面水温が低くなり、ラニーニャ現象が発生する。逆に東風が弱まると、東側の海面水温は高くなる。この状態を「エルニーニョ現象」という。気象庁気候情報課の広沢純一・エルニーニョ情報管理官は「2016年春にエルニーニョ現象が収束してから貿易風が強まって海水が流され(太平洋東部で)冷たい水がわき上がった」と解説する。昨年9月に海面水温が基準値より0.8℃低くなり、そのまま低水温の状態が継続した。気象庁は、この状態が春まで続く可能性が高いと判断し、昨年12月に「ラニーニャ現象が発生したとみられる」と発表した。ラニーニャ現象が起きると海面水温が高いインドネシア近海で積乱雲の発生が活発になり、ユーラシア大陸や日本付近を通過する偏西風は積乱雲を避けるように大陸東側で例年より北に蛇行、西日本に流れやすくなるという。広沢情報管理官は今回のラニーニャ現象について「過去に比べ、海面水温の低下は大きいとは言えない」との見方を示している。国内外の複数の気象機関も似た判断だという。ただ、降雪に関しては、前回のラニーニャ現象の時と同様に西日本で多くなる可能性があるという。気象庁は先月末に発表した3か月予報(1~3月)では、「西日本は日本海側で雪や雨の日が多くなり、太平洋側は乾燥して晴れの日が多くなる」と予測し、雪への備えを促していた。最近の気象変化は概ねそのように推移しているようだ。短期的な予測はしばしば異なっているが。なお、気象庁に「エルニーニョ情報管理官」という専門職があることを初めて知った。
『白山にアイスモンスター 国内最西端 強い寒波影響か』毎日新聞1月12日付朝刊はこう報じている。国内では東北地方の一部の山岳地帯にしか残っていないとみられた、「アイスモンスター」と呼ばれる巨大樹氷が、石川と岐阜の県境にある「日本百名山」の白山(2702㍍)で確認されたという。現地で撮影された写真を鑑定した、国内の樹氷の発生状況を研究している柳沢文孝・山形大教授(地球化学)が明らかにした。記録のある1920年以降では最西端での確認といい、日本列島を襲っている寒波が影響したとみられる。今月7日、白山の標高約2100㍍付近で山スキーを楽しんでいたグループが撮影。それを知った地元の山岳ガイド、乾靖さん=福井県永平寺町=が、樹氷の研究で交流のあった柳沢教授に鑑定を依頼した。柳澤教授によると、アイスモンスターは、針葉樹に氷点下で付着した水分が凍り初期の樹氷が生まれ、さらに着雪が進んで巨大化したもので、樹氷としては最大・最終形態。20年代には北海道、長野などでも確認されたが、地球温暖化の影響で、現在は東北の蔵王、八甲田地区などに限られるという。アイスモンスターに成長するには湿った季節風が必要で、白山での発生は、日本列島に大雪をもたらしている強い冬型の気圧配置が関係していると見られるという。柳沢教授は「樹氷は『地球環境の変化のバロメーター』とされ、地球温暖化の中で減少傾向にある」と指摘。特殊な気象条件が重なったためと分析している。地球温暖化の直接的指標は地球の平均気温であるが、気温の数値が得られているのは、産業革命前後からであり、数値が得られない過去に関しては、たとえば、樹氷の生成など広範囲の気象情報を参考にすることで補充できる可能性があり、各種の気象現象に注目することは意義があるだろう。
『「原発ゼロで国民運動」小泉元首相ら法案発表』 毎日新聞1月11日付朝刊はこう報じている。 小泉純一郎、細川護煕両元首相が顧問を務める民間団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(原自連、会長・吉原毅城南信用金庫元理事長)は10日、国会内で記者会見し、「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」の骨子を発表したという。稼働中の原発の即時停止や再稼働禁止などを盛り込み、自民党を含めた全政党に賛同を呼びかけ、22日召集の通常国会で超党派での提出を目指すという。 会見に同席した小泉氏は「近い将来、原発ゼロは国民多数の賛同で実現する。国会で議論が始まれば国民は目覚める。そういう動きが出てくるまで粘り強く諦めずに国民運動を展開したい」と語ったという。骨子案は、東京電力福島第1原発事故を踏まえ「原発は極めて危険かつ高コストで、国民に過大な負担を負わせる」と指摘。原発の即時停止のほか、核燃料サイクル事業からの撤退、原発輸出の中止、自然エネルギーの電力比率を2030年までに50%以上、50年までに100%に引き上げ-などを掲げている。政府は2014年のエネルギー基本計画で原発を「ベースロード電源」と位置付け、30年度の原発比率を20~22%に設定。自民党衆院選公約は「新規制基準に適合すると認められた場合は再稼働を進める」としている。小泉氏は会見で、安倍晋三首相について「今までの言動を見ていると、安倍政権で(原発ゼロを)進めるのは難しい。自民党公約で『原発依存度低減』と言いながら、これまでも基幹電源にすると。よく恥ずかしくないな、と思う」と批判。「仮に立憲民主党が政府をただしたら、自民党もうかうかしていられない。我々の活動は国造りに大きな影響を与える」と述べ、法案審議が国民的な議論を喚起するとの見方を示している。細川氏は、会見に同席したが発言をしなかったという。一方、菅義偉官房長官は10日の会見で「安全性が確認された原発のみ、地域の理解を得ながら再稼働を進める考えに変わりはない」と述べたという(⇒鷺を烏と言いくるめる官房長官の強引な見解は全く妥当ではなく、信用できない)。会見後、小泉、細川両氏を除く原自連メンバーは立憲民主党との会合で骨子案を説明。立憲は独自の原発ゼロの法案提出を目指しており、福山哲郎幹事長は会合で「原発ゼロはスローガンではなく未来に対する責任だ。党派を超え、原自連を含めた国民運動をしたい」と連携を深める考えを示したという。自民党は党職員が対応したという。現政権は、原発に関して正面からの議論を避ける一方、水面下で再稼働をじわじわ進めるという、姑息な手段を取っている(⇒最近、地方・高等裁判所では、原発再稼働に関し否定的な判断が続いている)。国会で、国民に良く見える形で議論すべきである。国民は議論の推移を十分監視し、将来の日本国民に恥ずかしくない選択をすべきであろう。当面、通常国会審議に注目したい。このような中で、地熱発電に係る者には、2030年度の国の目標(現在の3倍、150万kW)実現に向けて一層努力することが期待されるだろう。
『誤判定で緊急地震速報 気象庁 同時発生を過大評価』 毎日新聞1月6日付朝刊はこう報じている。 5日午前11時2分ごろ、富山県西部と茨城県沖を震源とする震度3の地震が3秒の間に立て続きに起きた。気象庁は茨城県の地震で、大きな揺れの無かった関東地方と福島県の一部に緊急地震速報を出した。この原因について気象庁は、同庁のシステムが二つの地震を同一の地震と誤って判断し、震度の過大評価につながったと説明。「システムの改善に努めたい」としているという。気象庁によると、富山県の地震は震源の深さが約20㌔、地震の規模を示すマグニチュード(M)は推定3.9.茨城県の地震は震源の深さが40㌔、Mは4.4と推定されている。今回、気象庁のシステムは先に起きた富山県の地震を最大震度3と予想。しかし、直後に茨城県で地震が発生すると、茨城を震源とする地震の揺れが富山にまで届いたと判断してしまい、約350㌔離れた離れた北陸で震度3程度の揺れが起きるという予測になったという。そのため、震源に近い関東ではより大きな揺れが起きるという判断につながり、予想震度5強の緊急地震速報が出たという。恐らく、今後の修正により、今回のような間違いが発生することはなくなると思われるが、消極的な改訂の方向にならないように希望したい。今回のような件は、市民にとっては良い教訓となったのではないか。これが逆の間違い(本来大規模であったものを小規模との誤判断)であったら、実害が出た可能性があるが、今回は幸運にもそうではなかった。そこで、「今回は大地震がなくてよかった。今後も地震(緊急地震速報)には注意しよう」という思いを抱くことができれば、今回の経験をプラスに転じることができるだろう。
2018年1月3日発行のネイチャー(Nature,553,7686)は「過去の海洋の温度計」に関する興味深い論文を掲載している(ネイチャーからのインターネット情報。2018年1月4日)。それによると、南極の氷床コアに溶存している希ガスから、2万2000~8000年前の全球平均海水温がこれまでにない精度で明らかになり、気候モデルを改善する極めて重要な基準が得られたという。今から2万年前地球は氷河期の終わりにあり、その後、理由は不明だが、温暖化に転じ、間氷期が過去11000年にわたって続いたと言われている。今回の研究は、南極から採取されたアイスコアにトラップされた希ガス(クリプトン・キセノン)の分析によるもので、より直接的で、従来にない高い精度(±0.25℃)で高時間分解能(250年)の解析結果に基づいて、海水温度変化の長期間データが得られたものである。現在、温暖化に伴う将来の気温上昇が種々の気候モデルにより提出されているが、その検証に重要な貢献をするであろう。これまでのモデルに基づく推論では、ある程度の幅があったが、新たな高分解能データ(温度の値および時間)を用いた検証作業により、気候モデルがより精密化し、将来予測の範囲も、より狭められるであろう。なお、われわれ(地熱関係者)が地熱貯留層モデルを作成する例にたとえると、自然状態モデルから、地熱発電所運転開始後のデータを取り入れ、検証された(ヒストリーマッチングなどを経た)、より精度の高い貯留層モデルが作られることになり、将来の発電量等の予測精度が高まることに相当している。今回の研究成果が、今後の気候モデル検証の発展に寄与することを期待したい。なお、原論文はインターネット上で見ることができる(Stanley,R.H.: Ocean thermometer from the past, Nature 553,7686)。地球温暖化に興味のある方は是非お読み下さい。
『東京都心に暮れの初雪』 毎日新聞2018年1月1日朝刊がこう報じている。気象庁は31日、東京都心で初雪を観測したと発表した。平年に比べ3日早く、昨冬より37日遅かったという。初雪は午前8時半ごろ、大手町の気象庁で確認した(当研究所は埼玉県狭山市にあるが、やはり短期間、つぶの小さい雪が降った)。気象庁によると、弱い低気圧の谷が関東に接近。雨雲がかかり、気温が低いところで雪になったという。東京都心は31日午前2時半頃に2.2℃まで冷え込んだという(なお、狭山最寄りの気象庁観測点所沢では31日の最低気温は2.1℃であった)。
『チバニアン 観光客急増』約77万年前~12万6000年前(中期更新世)の地質年代が「チバニアン」(ラテン語で(日本語で?)千葉時代)と命名される可能性が高まる中、代表的地層に内定した千葉県市原市田淵の地層を一目見ようと、週末を中心に多くの観光客らが訪れているという。市は来月、地層を国の天然記念物に指定するよう県を通じて国に申請する方針。地磁気が最後に逆転した痕跡を残す代表的な地層として人気を集め、市は7日以降、地層をまじかで見られる斜面への立ち入りを禁止する看板を設置したという。多くの人が見学し、地下あるいは過去のことに関心を持っていただき、小学生・中学生・高校生が地球に関心を持ち、地球科学を志す若者が輩出することを期待したい。日本ではこの種の件について、関心が一過性のことが多く、長続きしない。多くの人がこれを機会に地球あるいは地球で生じている現象に興味を持つようになれば、科学的観光地としての意義も高まるだろう。
『「地震発生70~80%」30年以内 南海トラフ引き上げ 来月公表』 毎日新聞12月29日付朝刊はこう報じている。政府の地震調査委員会は、関東から九州・沖縄地方までの広い範囲で被害が想定される巨大地震(マグニチュド8~9級)について、来年1月時点での30年以内の発生確率を現在の「70%程度」から「70~80%」に引き上げることを決めたという。調査委が来月1日を算定基準として再計算した結果で来月中旬に公表するという。地震調査委員長の平田直・東京大教授は「年が変わって急に地震が発生しやすくなるわけではないが、刻一刻と迫っている表れである。いつ起きてもいいように備えてほしい」と話している。数日前の直前予知が困難な現在、個人個人は、大きな地震が発生したとき、どのように対応するか事前によく考えておくことが肝要だろう。
『毎日新聞12月28日付朝刊は、「科学の森」欄で、2017年の科学重大ニュース』を年初めから日付を追って紹介している。1月18日 原子力規制員会が、九州電力玄海原発3,4号機が新規制基準に適合しているとする審査書を正式決定。1月26日 東京電力福島第1原発2号機の内部調査を開始。作業用足場が陥没していることなどを確認(3月には1号機も調査)。2月8日 米空軍が2010年度以降の6年間に、日本の大学研究者ら少なくとも延べ128人に総額8億円の研究資金などを提供していたことが明らかに。3月24日 科学者の代表機関・日本学術会議が、軍事研究への姿勢を示す新たな声明を決議。5月24日 原子力規制委員会が、関西電力大飯原発3,4号機が新規制基準に適合しているとする審査書を正式決定。6月1日 測位衛星「みちびき」2号機打ち上げ(8月に3号機、10月に4号機を打ち上げ)。「日本版GPS(全地球測位システム)」が前進。6月6日 日本原子力研究開発機構・大洗研究開発センター(茨城県大洗町)で、核燃料の点検をしていた作業員5人が被ばく。7月21日 東京電力福島第1原発3号機の内部調査開始。一連の調査で溶け落ちた核燃料(デブリ)とみられる塊が見つかる。7月28日 政府が、原発の高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分場候補地について、適否を日本地図に示した「科学的特性マップ」を公表。7月30日 北海道の宇宙ベンチャーが小型ロケットの打ち上げに挑戦。9月22日 初代の原子力規制委員会委員長の田中俊一氏が退任。後任は更田豊志氏。9月26日 中央防災会議の作業部会が、東海地震の予知を前提とした防災対策の見直しが必要とする報国書を公表。10月2~4日 ノーベル賞(自然科学)3賞発表。日本の4年連続受賞ならず。10月16日 高密度の天体「中性子星」が衝突・合体した際に放出した重力波を、米欧の研究グループが初めて観測したと発表。11月13日 約77万年前~12万年前の地質学上の名称が、「チバニアン」(ラテン語で「千葉時代」)と命名される見通しに。12月6日 日本原子力研究開発機構が、高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉計画を原子力規制委員会に申請。12月17日金井宣茂宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(ISS)へ出発。12月27日 原子力規制委員会が、東京電力柏崎刈羽原発6,7号機(新潟県)が新規制基準に適合とする審査書まとめる。以上、重大として毎日新聞が取り上げた19件のうち9件が原発関係、半分近くの約47%を占めているが異常なことであろう。日本の原発の置かれている事情をよく反映していると言えるだろう。決して望ましいことではないが。そして、宇宙関係が5件(約26%)、軍事研究関係が2件(約10%)、その他科学一般に関して3件(約15%。うち地球科学関係2件)。振り返ってみると、明るい話題は残念ながら少ない。来る2018年には大いに期待したいものである。
『大林ミカさんが国際太陽エネルギー学会の賞を受けた』と毎日新聞12月27日付朝刊が報じている。「国際太陽エネルギ-学会」(本部・ドイツ)の「グローバル・リーダーシップ賞」を日本人で初めて受賞した。太陽光に限らず、風力など自然エネルギーの普及にNGO(非政府組織)メンバーとして長年取り組んできた活動が評価された。大林氏は、大分県出身で、国際エネルギ-機関を経て、現在、2011年に孫正義氏が設立した自然エネルギ-財団事務局長。この分野で世界に幅広い人脈を持つのが強み。日本の自然エネルギ-の歩みは決して速くはないが、「市民の力で世界のエネルギー政策に影響を与えたい」。目標は「原子力や化石燃料に頼らない100%自然エネルギー社会の実現」だという。
『CO2抑制 取引市場創設へ 経産省 再エネ電力に証書』 毎日新聞12月27日付朝刊はこう報じている。 経済産業省は26日、再生可能エネルギー発電で二酸化炭素(CO2)排出量を抑制できた効果を証書として取引する制度を、2018年5月に始めることを決めたという。電力小売事業者が証書を購入することで、証書相当分の再エネ電力を帳簿上、消費者に販売できる制度である。証書の販売収入は再エネ事業者への交付金に充てられるため、再エネ発電の推進につながる可能性がある。証書取引制度では、証書の販売の収入をFIT交付金に充てるため、販売収入が増えるほどFIT賦課金を抑制できる。再エネ電力を購入する企業や消費者が増えれば、消費者全体にかかる負担は軽減される。
『温暖化 南欧で災害 「パリ」離脱 厳しい目』 毎日新聞12月25日付朝刊はこう報じている。 今年、山火事が相次いだ南欧ポルトガル。6月には中部レイリア県で60人以上が犠牲になったという。「記憶にない大災害」を受けコスタ首相が非常事態宣言を出したという。「惨事の背景には地球温暖化がある」と考える被災地住民らはいま、温室効果ガスの削減強化を複数の欧州主要国に求める初の訴訟を準備しているという。「温暖化に影響されるのは私たちの世代。自分の未来のために行動すべきだ」。そう語るのは首都リスボンに住むソフィアさん(12)。原告団に参加を検討する10人以上の子供らの一人だという。国際NPO(非営利組織)「GRAN」(本部英国)の支援を受け、欧州人権裁判所(仏ストラスブール)に提訴する構えだという。レイリア県の国立森林公園「王の松林」約1万1000㌶は10月の山火事で約8割が消失した。春先の少雨で木々が乾燥したことが原因と見られている。欧州連合(EU)によると、2017年に域内で山火事により焼失した面積は約100万㌶で08~16年平均の4倍以上という。英気象庁は、欧州では地球温暖化の影響で「50年に1度」の熱波が今世紀、「5年に1度」の頻度で起きる可能性があるという。独ポツダム気候影響研究所のクリストファー・レイヤー博士は、今夏の熱波が山火事リスクを高めたと指摘し、「山火事(の増加)と地球温暖化は密接に関係する」と語っている。地球温暖化防止の新たな国際枠組み「パリ協定」は昨年11月に発効した。だが、先進国最大の温室効果ガス排出国・米国は、今年1月に就任したトランプ大統領が今年6月、離脱を宣言。規制を嫌う米エネルギー産業などの意向を反映した形である。「米国第一主義」に対するポルトガルの子供たちの視線は厳しい。「現実を見て。温暖化は起きています」。ソフィアさんはトランプ氏に呼び掛けた。「悪夢を止めるため、私たちと一緒に努力して」。欧州では、温室効果ガスの削減強化を複数の欧州主要国に求める訴訟が始まりそうな状況である。特に、子供も参加するようだ。日本でもサンゴ礁の白化、異常気象の頻発、熱中症による死亡者の増加等、確実に地球温暖化およびヒートアイランド現象による被害は広がっている。国は、これでもCO2排出量が圧倒的に多い石炭火力発電所を増設する気なのだろうか。
『湯川秀樹 反核の礎 戦後秘した原爆研究に言及 京大 日記公開』 毎日新聞12月22日付朝刊はこう報じている。日本人初のノーベル賞を受賞した物理学者、湯川秀樹(1907~81年)が、終戦期の45年に書いた日記を21日、京都大学基礎物理研究所・湯川記念館資料室が公開したという。湯川が生涯を通じて公的な発言を控えていた原爆研究「F研究」に言及。広島原爆投下や時局に関する記述もあり、専門家は「第一級の歴史的資料」としているという。山崎正勝・東京工業大学名誉教授(科学史)は「湯川が発言を控えた『空白期』だけに、研究の一端がうかがえる。戦時の軍事研究について資料保全、公開を進める機会にもすべきだ」としている。最近、国内での軍事研究の拡大について、その危惧を含めて議論が進行中である。歴史を理解し、歴史から教訓をくみ取るのに格好の情報となるのではないか。多くの科学者が目に触れられるようにしてほしいものである。
『今世紀末 樹氷消える? 山形大発表 国内大半 気温上昇で』 毎日新聞12月22日付朝刊はこう報じている。山形大の柳澤文孝教授(地球化学)の研究グループは、1920年以降に国内で観測された樹氷の発生状況をまとめ、21日に発表したという。地球温暖化に伴い、現在のペースで気温上昇が続けば今世紀末には国内の大部分で樹氷が姿を消し、アイスモンスターと呼ばれる山形・蔵王山の樹氷もやせ細る恐れがあるという。樹氷は氷点下でも凍らなかった空気中の水分が、針葉樹に接触した後に氷状になる自然現象。寒冷な山岳地帯で発生するが、一定の高度を超えると針葉樹が生育していないため、観測できない。かつては北海道から長野、富山の広範囲で確認できた。研究グループは20年以降の観測データや文献・写真資料を基に樹氷が確認された地点について2017年までの変化を調べた。その結果、地球の平均気温が1℃上昇すると、樹氷ができる標高の下限が50㍍上昇することが分かった。20年以降、地球の平均気温は約1℃上昇。東北地方以外ではほぼ観測できなくなった。このままのペースで気温が3℃上昇すると樹氷の下限は150㍍上昇し、発生条件を備えた地点が国内にはなくなるという。柳澤教授は「世界の平均気温は約30年間で1℃上昇すると見られる。地球温暖化を食い止めないと日本の自然景観が一つ失われる」と警鐘を鳴らしている。このような地域に根付いた、地道な研究は、地球温暖化に関して、頭の中だけでなく、身を持って経験できる、しっかりとした知識を与える。特に地域の人々あるいは多くの一般の方にも、地球温暖化の進行が身近に感じられ、有用な地球温暖化教育情報となるであろう。
『軍事研究の拡大防止へ 大学の審査実態を調査 学術会議 年明けから』 と毎日新聞12月21日付朝刊はこう報じている。 科学者の代表機関・日本学術会議が、軍事研究対策として、全国の大学が研究の適切さを審査する体制を設けているかなどを探る実態調査に乗り出すという。安倍政権は軍民両用研究の推進を掲げているが、(学術会議は)年明けにもアンケートを実施し、各大学の対応状況を踏まえて、軍事研究の拡大を防ぐ新たな方向性を検討するという。防衛省や米軍資金などによる研究が国内の大学に広がっている実態を受けて、学術会議は今年3月、軍事研究に関する新たな声明を半世紀ぶりに決議。その中で軍事研究と見なされる可能性のある研究について、技術面や倫理面から適切かどうかを審査する制度を大学などの研究機関に設けるよう提言し、各学会にもガイドラインを設けるように求めている。一方、防衛省が公募する研究資金制度の予算額は大幅に増えている。今年度の同制度への大学からの応募は22件で、昨年度の23件とほぼ同じ結果だった。研究者の間にも審査制度を設けることに、さまざまな意見があるという。調査は、今秋就任した山極寿一新会長(京都大学長)らが計画。学術会議内の委員会で会員の意見を聞いた上で決定するという。また、山極会長は「軍事と学術の距離の置き方を常に議論する場を設けたい」としており、軍事研究に対する議論を新体制でも継続する方針としているという。大学あるいは研究機関の研究者が軍事研究を行うことに関して、透明性のある十分な議論が必要だろう。そして、学術会議、各学協会、各研究機関それぞれが議論を行い、一定の倫理的規範を作成することになると思われるが、その前に、各研究者個人が、科学者としての良心に従うことのほか、個人としての倫理感(たとえば、研究の意義・価値を家族に自信を持って説明できるか等の個人的内面を含めて)を十分整理することが必要だろう。
『北海道沖 M9地震予測 本州にも被害の恐れ』 毎日新聞12月20日付朝刊はこう報じている(昨日夕刊の続報である)。 政府の地震調査委員会は19日、北海道東部沖の千島海溝沿いで、東日本大震災のようなマグニチュード(M)9級の超巨大地震が、いつ起きても不思議はないとの見方を示したという。30年以内の発生確率は7~40%で、切迫していると見られる一方、南海トラフや首都直下地震より国全体の関心は低い。被害は北海道から本州の太平洋岸に及ぶ可能性もあり行政などに早急な対策が求められるという。北海道東部の太平洋岸では、17世紀初頭の大津波が知られている。高さは18㍍以上で4㌔以上内陸まで浸水している。調査委は、十勝沖から根室沖を震源域とするM8.8程度の地震が引き金と推定。同規模の地震が、過去6500年間に最大18回発生し、平均340~380年間隔で発生したと判断したものである。国の中央防災会議では、千島海溝沿いの超巨大地震を「500年間隔地震」と呼んできた。調査委の指摘はそれより100年以上短い。最後の発生である17世紀初頭から400年過ぎ、再来が迫っていることになる。東北沖の日本海溝との連動も否定できず、本州の広い範囲で大きな被害が出ることもあるという。調査委は、日本で起きる最大級の海溝型地震の長期評価を2カ所で行い、南海トラフ沿いはM8~9級が70%程度、相模トラフ沿いはM8級はほぼ0~5%としている。千島海溝沿いは13年ぶりの見直しで、M8級とM7級も評価。根室沖でM7.8~8.5程度の地震が起きる確率を70%程度としている。調査委員長の平田直・東京大教授は「東日本大震災から6年半以上が経過したが、改めて海溝では超巨大地震が起き、津波が発生することを肝に銘じてほしい」と求めているという。ある特定の地震がやがては起きるという長期予測が示されているが、直前予知は困難であり、発生した地震への対策が肝要となる。国あるいは自治体レベルではそれぞれの対策が想定されるが、個人レベルでは、街中を歩いているときは、ビルから離れて歩く(割れたガラスあるいは落下物への対策)とか、寝ているときに大きな家具でつぶされない工夫等が最低限必要だろう。それから、数日~一週間程度の非常用食料の準備が必要と思われる。防災対策準備の基本は「自分の命は自分で守る」と考えられる。もちろん、災害弱者への心配りは必要である。『天災は忘れたころにやってくる!』を忘れてはならないだろう。災害列島日本に住んでいる限り。
『超巨大地震発生最大40% 北海道東部 30年以内 地震調査委』 毎日新聞12月19日付夕刊はこう報じている。 政府の地震調査委員会は19日、千島海溝沿いの地震の長期評価を公表したという。東日本大震災のようなマグニチュード(M)9級の超巨大地震の発生確率を初めて示し、30年以内で7~40%とした。東北沖の日本海溝との連動も否定しておらず、北海道の太平洋岸各地にとどまらず本州まで被害が及ぶ可能性があるという。地震調査委の平田直委員長は「極めて高い確率。東日本大震災と同規模の地震発生が切迫している可能性が十分にあり、厳重な警戒が必要」と訴えているという。長期予測ではあるが、30年以内に~40%というのは極めて高い確率と認識すべきだろう。これまでの時間的履歴からみて、西南日本で発生が危惧されている東海/東南海/南海地震(同時に発生すると超巨大地震)に引き続いて、北海道東部地震発生が予測され、2011年に発生した東北地方太平洋沖地震M9を考えると、日本列島周辺で100年(あるいは50年)以内に超巨大地震が連発することもなくはないことになる。直前予知が困難な中、事前の防災対策を確実に進めていく必要があるだろう。
『「科学を台無しに」して今年の10人 米環境庁長官を批判的選出 英科学誌ネイチャー』 毎日新聞12月19日付朝刊はこう報じている。 英科学誌ネイチャーが19日付で選んだ「影響力があった今年の10人」に、パリ協定離脱を表明したトランプ米政権のプルイット環境保護局(EPA)長官が入ったという。他の9人は科学への貢献をたたえたが、プルイット氏に対しては「科学を台無しにした」と専門家の談話を引用して批判したという。プルイット氏は米オクラホマ州の司法長官時代に、オバマ前政権の地球温暖化対策に反対してEPAを提訴しているという。EPA長官就任後には火力発電所の二酸化炭素排出規制を撤廃し、EPAの諮問委員会のメンバーに産業界寄りの利害関係者を次々に任命したという(残念ながら、わが国政府と同じやり方である)。プルイット氏以外の他の9人は、ゲノム編集技術を改良した研究者や、重力波による中性子星合体の観測に貢献した欧州の天文学者ら。日本人はいなかった(少し、残念である。だが、わが国の重力波研究陣も観測装置を飛騨山中の神岡地下に建設中である。米国(重力波観測装置2台)、欧州(同1台)と合わせて4台が稼働すると、重力波観測の精度が大きく高まる。早期の観測開始を期待したい)。「ネイチャー」もブラックユーモアを解し、記念すべき人物を選んだものである。一般の人にもわかりやすい良い対応と思われる。地球温暖化対策の必要性を社会に広めるgood practice と言えるだろう。
『東大 5年雇い止め撤廃 来年4月 無期転換可能に』 12月16日付毎日新聞朝刊はこう報じている。  東京大は、有期契約の教職員の雇用を最長でも5年とする規則を今年度で撤廃する方針を決めたという。改正労働契約法に基づき、有期契約の労働者が5年を超えて働くと無期契約への切り替えを求められる「無期転換ルール」の運用が来年4月に本格的に始まるのを前に、労働組合が撤廃を求めていたものである。東大や首都圏大学非常勤講師組合などによると、東大の就業規則では1年契約のパートタイムの教職員(約5300人)は雇用期間の上限を通算5年とし、契約も4回しか更新できない。有期契約のフルタイムの教職員(約2700人)にも同様の規則があり、無期契約への転換を求められない(求められる?)恐れがあったという。同様の問題は他の国立大学でも起きているといい、労組関係者は「他大学の交渉にも影響を与えるのではないか」としているという。有期契約の無期契約化が実現されれば若手研究者にとっては大きな朗報である。ひいては研究室スタッフ(教授・准教授等)にも好影響を与えると思われる。若手研究者にとっては研究をする上で、無用のストレスがなくなり、より研究に専念できる。また、研究を実質的に進める担い手である若手研究者の活躍により、研究室としての成果も上がる。さらに、近年、日本の大学の研究力の低下が指摘されていることへの対策ともなろう。全国の大学・研究機関に有期契約の無期契約化が拡大することを期待したい。当然、それによる国庫負担が増える可能性はあるが、長期的に見れば、むしろ良いことの方が多いと考えられる。
『伊方原発差し止め 阿蘇噴火過小評価 高裁で初 運転再開困難 火砕流の可能性指摘』 毎日新聞12月14日付朝刊はこう報じている。四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを広島、愛媛両県の住民が求めた仮処分申請の即時抗告審で、広島高裁(野々上裁判長)は「阿蘇山(熊本県)の火砕流が敷地に到達する可能性が十分小さいとはいえない。立地として不適」と断じ、重大事故で「住民の生命・身体への具体的危険がある」と認めた。差し止め期限は来年9月末としている。高裁段階の差し止め判断は初めてになる。科学的内容が十分取り入れられており、画期的判決である。広島高裁の差し止め決定の要旨の結論部分を以下に記す。「火山の影響による危険性について伊方原発が新規基準に適合するとした規制委の判断は不合理で、申立人らの生命、身体に具体的危険があることが事実上推定されるから、申立は立証されたといえる。伊方原発は現在稼働中であるから、差し止めの必要性も認められる。本件は仮処分であり、現在係争中の本訴訟で広島高裁が異なる判断をする可能性を考慮し、運転停止期間は18年9月30日までとする」。今後、本訴訟が広島高裁の別の裁判長の下で行われるが裁判長に大いに期待をかけたい。改めて、差し止めが判断されるなら日本の原発の行く末(再稼働・新設・延長も含めて)は自ずと決まってくるだろう。
『「気候外交」仏が主導権狙う パリ協定会議』 毎日新聞12月13日付朝刊はこう報じている。 パリで開催された地球温暖化対策に関する国際会議「ワン・プラネット・サミット」を主宰したフランスのマクロン大統領は、地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」からの米国の離脱を受けて国際社会の結束を確認し、環境問題のけん引役を果たしてフランスの存在感を高めることを狙っているという。「再交渉する用意はないが、(米国が)戻るなら歓迎する」。開催前夜の11日、マクロン氏は米テレビにそう述べたという。就任後は「気候外交」を推進し、トランプ氏を含む各国首脳に環境問題への取り組みの必要性を説いてきた姿勢の反映だという。とはいえ4~5月のフランス大統領選では、環境問題に「無関心」と批判された。マクロン氏を補佐するニコラ・ユロ環境相も「『環境』や『持続可能な開発』などの言葉が公約に見当たらない」と入閣前に述べ、第1回投票では別候補を支持している。マクロン氏は大統領就任後、オランド政権から引き継いだ、パリ協定というフランスの「成果物」を国内外で最大限に活用したという。6月にトランプ氏がパリ協定離脱を表明した際は「米国と地球にとり誤り」と英語で失望を表明したという。トランプン氏の売り文句「米国を再び偉大に」を使い、「地球を再び偉大に」と呼びかけたという。環境問題で国際的影響力を高め国内での支持にもつなげたいマクロン氏にとり、米国の協定離脱は「望外の贈り物」(仏紙リベラシオン)だった」という。国内政策では11月、発電量に占める原子力の割合を75%から2025年に50%以下にするとの目標を先送りしている。火力発電による地球温暖化に配慮したという。世界自然保護基金(WWF)フランスのパスカル・カンファン事務局長は「各国に関与を訴えかけるリーダーは非常に有意義。だが温暖化対策資金の確保など難題は山積し、真の手腕は今後も問われる」と話したと言う。若いフランスの大統領出現に期待を持ったが、実際のところ、しっかりとした信念がなく、時流に流される人のようだ。残念ながらあまり期待できないようである。
地熱情報研究所からのご連絡です。 11月22日 一般財団法人エンジニアリング協会の「平成29年度 地熱発電・熱水活用研究会第4回」で当所事務局長野田が「地熱開発に関するモニタリングを考える」という題で講演を行った。講演は,地熱開発に関連する温泉等のモニタリングについては幾つかの報告がなされているが,まだ決定版がない状況にあることから,あるべきモニタリングの姿を目指したものである。特に次の点については,改良の余地がある。 1.モニタリングの目的についての意識 2.開発規模に応じたモニタリング 3.開発段階に応じたモニタリング 4.モニタリングの対象地点の選び方 5.水蒸気・二相流体についてのモニタリング 6.環境成分のモニタリング 7.モニタリング結果の定量的解釈  これらについて,野田が関与している霧島市温泉資源の保護及び適正な利用に関する調査検討委員会で検討した「霧島市による発電事業者向け源泉等モニタリング基準」(2017)に改良点を盛り込んでおり,これを参加者に配布した。  本資料を御入用の方は,地熱情報研究所ホームページのお問い合わせ・質問コーナー、またはhttp://igigeothermal.jp/contact.phpを通じて,「モニタリング基準」希望としてお申込みいただきたい。
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