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『銀河の横に 超新星爆発 アルゼンチン アマ天文家 偶然撮影』 毎日新聞2月24日付朝刊はこう報じている。アルゼンチンのアマチュア天文家が偶然撮影した写真に、重い恒星が一生を終える際に起こす超新星爆発の瞬間が映っていたと、東京大などの国際研究チームが発表したという。超新星爆発は一つの銀河で100年に1回あるかどうかという珍しい現象で、その瞬間が撮影されたのは初めて。超新星爆発の仕組みや、恒星の構造の解明につながる成果という。超新星爆発は、太陽の8倍程度以上の重さの恒星が一生を終える際に起きる大爆発。通報を受けた研究チームが分析した結果、超新星爆発を起こす瞬間に強い光やエックス線を放つ「ショックブレイクアウト」という現象であることが判明した。ショックブレイクアウトは1970年代に理論的に予想されたが、従来の観測は爆発後1日以上たったものが多く、存在が確認されていなかった。分析に加わった前田啓一京都大准教授(天体物理学)は「時間がたつほど元の星の情報は薄まってしまう。爆発の瞬間が確認でき、今後の研究に弾みがつく」と話したという。ところで、アマチュアが比較的活躍できる学問分野に、この「天文学」や「考古学」がある。アマチュアにとって、参加・活躍できる分野があることは、人生を豊かにする大きな贈り物ではないか。
『6万年前壁画に記号 ネアンデルタール人 高い知性か』 毎日新聞2月24日付朝刊はこう報じている。前日夕刊の続報である。ほぼ内容は同一で、新たに専門家のコメントが掲載されているので紹介する。『人類を揺るがす』という国立科学博物館の馬場悠男・名誉研究員(人類学)の話。「絵を描くなどの創造的精神は、ホモ・サピエンス(新人)だけの特徴とする考えを揺るがす研究成果だ。絶滅直前のネアンデルタール人が、新人と似た石器技術を独自に発達させていたらしいとの学説とも符合する。ただ、6万4000年前に新人の一部が欧州に進出していたという考え方もある。今回の研究は、別の観点からさらに補強する必要がある」と述べている。今回の発見が、新事実として確認されるためには、多面的な裏付けが必要ということだろう。
『世界最古 6万年前の壁画 スペインの洞窟 ネアンデルタール人作か』 毎日新聞2月23日付夕刊はこう報じている。 スペインのラパシエガ洞窟内にある壁画について、6万4000年前に旧人のネアンデルタール人が描いた可能性があるとする研究結果を、ドイツの研究チームが22日付の米科学誌サイエンス電子版に発表したという。約4万年前に描かれたスペインのエルカスティーヨ洞窟が最古とされてきたが、今回は2万年以上さかのぼったことになる。チームは、見つかった壁画について、天然の放射性物質の年代を測定した結果、6万4800~6万6700年前に描かれた可能性があるとしている。ラパシェガ洞窟壁画は約4万年前に現生人類のホモ・サピエンス(新人)が描いたと考えられてきたが、ネアンデルタール人が描いた可能性があるとしている。考古学(人類学)において、「年代最古競争」は時に問題があることがあり、今後の注意深い検証が必要だろう。
『草津 観光か安全か 町 規制緩和望む 気象庁 慎重姿勢』 毎日新聞2月23日付朝刊はこう報じている。1人が死亡、11人が負傷した草津白根山の本白根山(群馬県草津町)の噴火は23日で1か月。火口から半径2㌔圏内で立ち入り規制が続く中、観光が主産業の草津町は観光と安全の両立という難題に直面しているという。町が期待するのが、一部が規制区域に含まれ、現在は冬季閉鎖中の観光道路「志賀草津高原ルート」の扱い。4月の開通に合わせ、町は規制から外したい考えだが、気象庁は慎重な姿勢を崩さず、先行きは不透明。気象庁は、火山性地震も毎日10個程度観測され、地下で熱水やマグマなどの流体が移動するときなどに発生する火山性微動は、1月26日以降観測されていないものの、火山活動は高まった状態が続いているとして、気象庁は警戒を緩めないように求めている。火山活動の状況は上述のようであり、「観光」か「安全」かと問われれば、即座に「安全」の選択をすべきだろう。もし、観光が優先された場合、新たな噴火が発生した時のことを考えれば、現時点での「観光」の選択はないだろう。
『送電線の運用柔軟化 経産省 来年度から見直し 再エネ導入拡大を目指す』 毎日新聞2月22日付朝刊はこう報じている。再生可能エネルギーの導入拡大に向け、経済産業省は2018年度から送電線の運用ルールを段階的に見直すという。固定価格買取制度(FIT)導入で再エネ電力が急増し、送電線の空き容量不足が深刻化していることに対応。既存の送電線の容量を最大限活用することで再生エネの新規参入を進める「コネクト・アンド・マネージ」と呼ばれる手法を取り入れるという。12年のFIT導入以来、北海道や東北、九州など地価の安い(同時に地熱資源量も多い)地方で大規模太陽光(メガソーラー)や風力発電が急増し、送電線がパンク状態になっている。このため経産省は15年度、複数の新規参入者が送電線の増設費用を分担する制度を導入。電力会社は送電線の増強工事とセットで新規参入者を入札で募っている。ところが、東北電力が16年10月に東北地方北部で送電線増強とセットで約280万kW分の入札希望者を募集したところ、17年8月現在で風力発電を中心に1545万kWの応募があった。このままでは落札価格が高騰し、再エネ事業が成り立つかどうか見通せない状況となった。そもそも東北電力は、280万kW分の空き容量について、停止原発を含めた全ての発電所が同時にフル稼働する前提で計算していた(⇒本音は、再生可能エネ発電を導入したくない?)。だが、全発電所がフル稼働するケースは現実的でなく、「再生エネを導入できる空き容量はもっとあるはず」と指摘されていた。再生エネ導入で先行する欧州では、まず再生エネを導入して送電線が容量オーバーになった場合に発電量を抑制する「コネクト・アンド・マネージ」という手法を取っている。再生エネ導入に積極的な経産省の有識者委員会などから、「欧州のように柔軟な運用が必要」との声が高まった。指摘を受け東北電は今年2月に予定した入札を4月に延期。その間に基幹電源である火力発電の稼働状況や、季節や時間帯によって異なる再生エネ電力の発電量を過去の実績に沿って再計算するなど送電線の空き容量の計算方法を見直した。その結果、受け入れ枠は280万kWから350~450万kWに拡大。現状ではすべては無理だが、容量をオーバーしない範囲で再エネを受け入れる検討を始めた。経産省は再生エネの導入拡大に向け、東北電と同様の運用方式を全国に拡大する方針。世耕弘成経産相も「コネクト・アンド・マネージの検討は重要。4月からの運用の見直しを抜本的に行っていきたい」と意欲を示しているという。送電線の容量計算の見直しに加え、緊急時に備えて設定している空き容量を減らすなどの措置を段階的に導入していくという。ことは緊急を要する件であり、来年度中の改善を期待したい。その際、安定した発電が可能だが、資源量(発電量)評価などにもともと時間がかかる地熱発電などへの考慮が取り入れられる必要があるだろう。
『石油需要 30年代ピーク  英BP予想 再エネ、EVで需要鈍る』 毎日新聞2月21日付夕刊はこう報じている。英BPは20日、世界の石油需要が2030年代にピークに達し、減少に転じるとの見通しを発表したという。太陽光や風力といった再生可能エネルギーの供給増加に加え、電気自動車(EV)の普及で需要が鈍ると予想している。BPは再生可能エネルギーの伸びが著しいと指摘。40年時点でのエネルギー供給は、石油と、天然ガス、石炭、再生可能エネルギーを中心とした非化石燃料がいずれも25%程度で分け合うと予想している。EVの普及などによる輸送用石油需要の成長鈍化も影響を及ぼす。欧州連合(EU)では、40年の新車は00年に比べ、エネルギー効率が約70%向上している可能性が高いとみている。35年の世界のEV普及台数は1億8000万台に達する見込み、昨年予想からほぼ倍増させた。40年は3億2400万台と、一段の加速を想定している。環境政策が先行するヨーロッパでは十分実現するのではないかと思われる(なお、ヨーロッパでは再生可能エネルギーがこれより大きく、石炭はこれより少なくなるのではないか)。BPという英国石油メジャーが、石油減少を予測することに特に意味があると思われる。
『霧島の噴火警戒 レベル引き上げ 火口周辺規制に』 毎日新聞2月21日付朝刊はこう報じている。 気象庁は20日、宮崎鹿児島両県にまたがる霧島連山・えびの高原(硫黄山)の噴火警戒レベル、1(火山であることに留意)から2(火口周辺規制)に引き上げた。今後、小規模な噴火の可能性があるとして、硫黄山火口から約1㌔の範囲で噴石などに警戒するように呼びかけている。硫黄山の噴気状況は気象庁のHPからライブで配信されているが、最近、噴気活動は高まっているようだ。要注意であることは間違いない。
『国際単位系(SI)が変わる』 2月21日受信のNature ダイジェスト/Vol.15 No.1 はこう報じている。 国際単位系(international system of units:SI)の定義の改定が進んでいる。国際度量衡委員会(CIPM)は、1960年に国際単位系が創始以されて以来最大規模の見直しにより、7つの基本単位のうち、アンペア(A)、キログラム(kg)、ケルビン(K)、モル(mol)の4つの定義の改訂に乗り出した。基礎的な定数との関係を使って定義し直すことで、抽象的・恣意的な定義に陥らないようにすることが目的だ。CIPMは、2017年10月16~20日にパリ近郊で開かれた会合で、この計画について検討し、勧告をまとめた。国際単位系を監督する国際度量衡総会(GGPM)が2018年11月に開催され、ここでCIPMの勧告が承認されれば、4つの基本単位の定義が2019年5月から改定となるという。国際単位系は科学・工学の世界では、世界共通の物差しである。動向を把握していきたい。
『電磁波強弱 オーロラ点滅 人工衛星で初観測 東大など』 毎日新聞2月20日付夕刊はこう報じている。数十秒ごとに明るくなったり暗くなったりを繰り返す「脈動オーロラ」を光らせている電子を、人工衛星で初めて直接観測したと、東京大などの研究チームが英科学誌ネイチャー電子版に発表したという。謎の多い発生の仕組みの解明につながるという。オーロラは電子などが地球の磁場方向に沿って、高緯度地方の大気に降り注ぎ、高層の酸素や窒素などを光らせる現象である。カーテン状に揺らめくタイプが有名だが、脈動オーロラは大規模なオーロラが現れた後の夜明けにかけ、数秒から数十秒の周期で点滅する。研究チームは、2016年に打ち上げられた小型衛星「あらせ」で上空の電子の数やエネルギーを観測し、地上のオーロラの動画と組み合わせて分析したという。その結果、高度3万kmの磁気圏で生じる特殊な電磁波の強弱に合わせて大気に降り注ぐ電子が増減し、オーロラが点滅することが分かったという。こうした理論は提唱されていたが観測で確認されたのは初めてという。「脈動オーロラ」という言葉を聞いたのは初めてであったが、宇宙にはまだまだ謎が多いということか。。理論が、このような観測を通じて、一つずつ解明されていくのが科学と言える。科学の素晴らしさ・雄大さを感じる。
『原発や再生エネ 政府方針に疑問 外務省有識者会合』 毎日新聞2月20日付朝刊はこう報じている。  外務省の「気候変動に関する有識者会合」が19日、原発や石炭火力発電、再生可能エネルギーに関する政府方針に疑問を呈する提言を河野太郎外相に提出したという。会合は河野氏が1月に設けたもので、持論の脱原発に向けて独自色発揮を狙うが、安倍政権は原発政策を堅持する方針で、実効性は不明だという。提言は「ベースロード電源として原子力や石炭が必要だという考えは過去のものだ」と指摘。政府が掲げる「2030年度に電力全体の22~24%」という再生可能エネルギーの目標について、「再エネ拡大のメッセージを発信できていない」と苦言を呈しているという。ただ、政府が今春以降に見直すエネルギー基本計画に提言が反映される見通しは立っていない。省の有識者会合レベルで、このような政府の方向に異議を唱えることは珍しいが思い切った提言をしてくれたものである。外務省の有識者だけあって、国内よりも国外を見ているのだろう。評価したい。経産省の有識者会議では無理であろうが、環境省・外務省を含めた若手官僚が立ち上がることを期待したい。政府部内に賛同が広がり、また、小泉元首相を中心とする政府外の市民レベルの動きが結合すれば、動かせる可能性がなくはないだろう。期待したいものである。
『太陽光(発電)コスト7割減 国際機関まとめ 7年で、風力も下落』 毎日新聞2月17日付夕刊はこう報じている。 地球温暖化対策として拡大が期待される再生可能エネルギーの発電コストが2010年からの7年間で大幅に下がり、世界平均で太陽光は73%、陸上の風力は23%下落したとの報告書を、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)がまとめたという。20年までに太陽光のコストはさらに半減する可能性があり、一部の太陽光と陸上風力は、火力発電より安くなると予測している。アドナン・アミン事務局長は「再生エネへの転換は、環境への配慮というだけでなく、今や経済的な選択だ」と指摘したという。10年時点の太陽光の発電コストは世界平均で1キロワット時当り36㌣(約39円)だったが、17年には10㌣に下落。陸上風力は8㌣から6㌣になったという。技術の進展や入札制度の導入などによる価格競争の促進、参入企業の増加が要因と言う。石炭や石油など温暖化をもたらす化石燃料を使った発電コストは5~17㌣(約5~18円)で、同機関は「太陽光と陸上風力の下落傾向は続く。20年までに化石燃料のコストを下回るケースも出る」と予想している。日本国内について経済産業省は、14年時点で太陽光の発電コストは24円、陸上風力は22円と試算。設備利用率や耐用年数によって変わり得るとした上で「今の価格は14年時点より下っているものの、世界平均より高い」と話しているという。他国と比べ設備費や工事費が高いのが原因で、経産省は競争の促進や保守点検の効率化などによる価格引き下げを目指すという。業界団体などは30年に太陽光を7円、陸上風力を8~9円まで下げる目標を立てているという。大規模発電事業者が積極的に再生可能エネルギーによる発電に転換することもコスト低下の要因になるのではないか。転換が進まない大規模発電事業者は今後淘汰されていくのではないか。上述のIRENAアミン事務局長の言によれば「再生可能エネルギーへの転換は環境への配慮だけでなく、経済的選択でもある」。方向は明確なように見えるが。ただ、ここで、注意すべきことがある。太陽光・風力が先導して再生可能エネルギー発電を増加させ、エネルギー転換に大きく貢献していることは確かだが、リスク低減の観点から、中小水力・バイオマス・地熱にも適切な政策を取ることによって一定程度のシェアを確保することが必要と思われる。  
『そこが聞きたい 予知できない火山噴火への対策 「知」蓄え 想定外に備えよ 鎌田浩毅京都大教授』 毎日新聞2月19日付朝刊オピニヨン欄はこう報じている。 紙面の一面の約半分を使って聞き書きをしている。12人が死傷した草津白根山(群馬・長野県境)の噴火から間もなく1か月。専門家も今回の火口は「ノーマーク」で、噴火が想定されなかったことが被害を大きくした。2014年に噴火した御嶽山(長野・岐阜県境)以来の深刻な火山災害。111の活火山を抱える世界有数の火山大国で生きる知恵を鎌田浩毅京都大教授に聞いたものである。記事はかなり大量なので、火山を含む地熱研究者の立場から、関係する部分にコメントしたい。鎌田教授は『災害は「恵み」と表裏の関係にあることを知ってほしい。例えば、火山が多いおかげで、日本全国に温泉がある。金や銀など地下資源が豊富なのも、マグマで温まった熱水が地下を循環しているためだ。日本の国立公園の9割は火山地域を含み、火山活動が作った景観が観光資源となっている。溶岩流、火砕流や大量の火山灰によってできた平らな地形は農業の適地だ。火山の周辺は湧水の宝庫となり、地熱発電も注目されている』。このように地熱発電は火山の大きな恵みの一つである。また、地熱発電所を作るなかで、近くの火山の調査が進展し、火山の理解に貢献する。また、地熱発電所が操業すると、地下環境に関する多くの項目(地下の温度・圧力等)のモニタリングがなされる。これらは火山周辺の異常現象の監視にも役立つ。すなわち、地熱研究者・技術者も地熱発電を進めながら、火山防災にも貢献できる。地熱関係者もこのことを地元に良く説明することが必要ではないか。地熱発電所を受け入れてもらうための有力な手段となりうる。  さらに、鎌田教授は言う。「現在、国内で火山を専門とする大学の研究者は約40人に留まる。火山観測に手いっぱいで、噴火予知に役立てるための基礎研究はほとんどできていない。AI(人工知能)への期待は大きいが、無数とも言える火山活動のデータから必要な情報を抽出する「直感力」は人間にしかない。それが火山学の醍醐味であり、その奥深さを若い人たちにも伝えていきたい」。全く同感である。この「直感力」に、筆者(江原)は苦い経験がある。火山から地熱研究へと転じた筆者は、大分県九重火山を研究対象に選び、1970年代後半から多様な現地調査を長年続けてきた。その間、10数年を経過した時点で、九重火山の異常に気づき、「21世紀初めには噴火する可能性がある」と関連学会誌にも注意を喚起する論文を投稿した。しかし、査読者の意見はこうであった。「大変野心的な論文だが、データがまだ不十分」ということで、学会誌掲載には至らなかった。日本の活動的な大きな火山(阿蘇火山、霧島火山等)には何10年にもわたる観測記録が存在し、一方、火山観測所の無い九重火山へは年十数度の臨時観測データしかなく、観測所が整備されている他の火山と比べてデータ蓄積が見劣りするのはやむを得なかった。学会誌に掲載されなかったので、後に自然災害関係の報告書に発表した。その後も観測を続けていたが、果たせるかな、1995年10月11日夕刻、噴煙高さ1000mを超える水蒸気噴火が発生した。幸い被害者はいなかったが、東方の熊本県方面にも火山灰が降り、農作物への被害があり、特に秋の観光シーズンだったので、観光への一定の損害が生じた。気象庁および火山研究者からも噴火についてはマークされておらず、当時の新聞には研究者・地元住民を含め、おしなべて「寝耳に水」という表現が躍った。予測より10年程早かったが、予測された噴火が発生したのである。何10年にもわたる精密なデータの蓄積はなかったが、これまでの噴火記録や10数年を超える各種の観測結果を総合化しての予測は学会レベルから言えば、科学的な予知ではなく、むしろ鎌田教授の言う「直感力」に近いものだったが、現実に九重火山は予測されたような水蒸気噴火を生じたのであった。学会誌には掲載されなかったが、観測はその後も継続した。そして、噴火後いち早く現地に向かい、国立大学合同観測班の一員として、観測データ(噴火前からのデータ含めて)を提供し、噴火後のモニタリング、活動予測に寄与できた。九重火山の噴火の可能性について、広く住民に知らせることはできなかったが、地熱研究者として、火山防災に寄与できたのは非常に良かったと思っている。地熱関係者も火山防災に大いに寄与できる。安定な地熱発電所を維持することはもちろん第一に必要だが、火山防災にも貢献できることを意識して欲しい。我が国は100を超える活火山があるが、予知に従事する大学研究者は40人程度と言うのが上で述べたように現実である。地熱関係者も地すべり等を含め、火山防災に寄与できることを認識すべきと思われる。地熱発電所を建設する上では、特に地元住民の理解が重要である。「急がば回れ」とい諺もある。
『再び「送電線の怪」』 毎日新聞2月17日付朝刊土記(do-ki)欄はこう報じている。  工学やITの世界でよく使われる「冗長系」という言葉がある。「あなたの文章は冗長。もっとすっきり書けないの?」という時の、あの「冗長」だが、意味はちょっと違う。たとえば小型惑星探査機「はやぶさ」。イオンエンジンを4機積んでいたが、1機は故障に備えた予備。姿勢制御の機器も余分に積んでいた。これが「冗長系」で、宇宙の旅には欠かせない。ところが地上では今、送電線の「空き容量」の議論でこれが混乱のもとになっている。先日、この欄で、送電線の平均利用率は1~3割で再生可能エネルギーをつなぐ余裕はある、という京大チームの分析を紹介した。すると、大手電力関係者から「利用率は最大でも50%ですよ」と言われたという。経済産業省も昨年来、同じ主張をしている。平均3割でも余裕がないと言いたいようだが、この話の背後にあるのが冗長系だ。送電システムは1回線が故障しても停電しないよう1ルートを2回線以上で構成し、1回線分を開けておく。2回線あっても実際に使えるのは1回線分。経産省の定義では予備まで含めた2回線分が「設備容量」、実際に使える1回線分が「運用容量」。従って「設備容量」に対する利用率ならば確かに最大50%だ。しかし、京大チームが算出したのは「運用容量」に対する利用率だ。大手電力会社が公表している「運用容量」を分母に置いたと明示している。とすれば、最大利用率は100%。実際の利用率が3割なら、余裕はあるはずだ。どういう行き違いかと思っていたら、今週、「電力広域運営推進機関(広域機関)」が、あっと驚く情報を公表したという。電力会社の中に「運用容量」と言いつつ、「設備容量」を報告しているところが複数あったというのだ。また、それとは別に不適切な運用容量も公表されていたという。言い換えれば、電力会社が公開していた数値は前提も信頼性もばらばら。これでは共通の土俵で議論できない。広域機関は今回、基幹送電線も最大利用率も公表している。分母を「運用容量」にしたため6~9割が中心だが、これだけで「やっぱり満杯」とは言えない。経産省は今、実態に即した送電線の有効利用の検討を進めている。そこで「予備の回線を常に開けておく」という考え方自体も見なおすことになるという。「はやぶさ」は冗長系も次々とダウンし、最後は、あるものをうまく使う工夫で乗り切っている。送電線も「空きがないから自前で増設して」と再生エネ事業者に迫る前に、工夫する余地はたくさんあるという。けだし、正論であろう。経産省・広域機関・電力事業者いずれも、再生可能エネルギーの導入を快く思わない観点から、自身に都合の良い数値を極力広めようとしているが、京大環境経済チームの前にたじたじというところか。再生可能エネルギー導入推進に関し、当面最大の課題である、「送電線空き容量問題」が、公平かつ合理的に解決されるよう要望したい。経産省・広域機関・電力事業者とも、再生可能エネルギー進展の世界の動向、将来の動向を見極め、誠実に対処してもらいたいものである。 経産省・広域機関・電力事業者とも、ポーズではなく、再生可能エネルギーに真摯に立ち向かうべきである。電力事業者は再生可能エネルギーに転換しなければ、将来はないと認識すべきだろう。電力事業者こそが、再生可能エネルギーへの転換の最前線に立つべきだろう。
『再エネ事業を拡大へ 東電HD社長 年1000億円収益目標に』 毎日新聞2月17日付朝刊はこう報じている。 東京電力ホールディングズ(HD)小早川智明社長は、16日、東京都内で記者会見し、国内外で再生可能エネルギーの発電事業を拡大し(すでに九州電力という良い見本がある)、将来的に年間1000億円規模の収益確保を目指す考えを示したという。18年度中に具体的な再生エネの事業計画を策定するという(⇒既成大手電力会社もついに再生可能エネルギーに本格的に乗り出す気になったようで、理由はともかく歓迎したい。以前から、既成電力会社が再生可能エネルギーによる発電に極めて消極的で、むしろ新電力等による再生可能エネルギー導入を目の敵にしてきた既成電力としては遅きに失したとはいえ、世界のエネルギー動向、将来のエネルギー動向からしても妥当と言えるだろう。さらに高い収益を目標とすることを期待したい。電気料金も下がることが期待できる。現在の事業形態の転換を国民も支持するだろう)。東電HDは福島第一原発の廃炉・賠償費用を確保するため、10年後に年間4500億円規模の目標を掲げているが、電力需要が頭打ちとなるなか、新規事業で収益を拡大できるかが課題だったという(東電社員にとっても、廃炉・賠償費用確保等の後ろ向き事業より、はるかに前向きな事業であり、働き甲斐があると思える)。小早川社長は再生可能エネルギーの拡大について「再エネの世界的な投資額は今後500兆円に達するとの試算もある。(経営再建の)柱とすべく強力に推進したい」と語り、立地調査や投資計画の検討を進める考えを示したという(⇒優秀な人材の多い東電である。他社に先駆けて、良い見本を示してもらいたいものである)。一方、経営再建計画で掲げた東通原発(青森県東通村、建設中)の他社との共同事業化については「(他社に)声をかけているが(提携先が)投資メリットを実感できるかが最大の課題。単独事業の可能性を捨てたわけではない」と述べ、単独での事業継続に含みを残したという。巨像の方向転換は難しいというべきか。ともかく、再生可能エネルギーに力を入れる方向を歓迎したい。
『再エネ 石炭火力超え EU 17の発電量』 毎日新聞2月13日付夕刊はこう報じている。 欧州連合(EU)で2017年の風力、太陽光、バイオマスによる発電量が初めて石炭火力を上回ったという。独英のシンクタンクの調査で明らかになった。EU域内では地球温暖化の原因となる温室効果ガスを多く排出する石炭火力の段階的廃止を打ち出す国が広がっており、再生可能エネルギーへのシフトが着実に進んでいる。シンクタンクのアゴラ・エナギーベンデ(独)とサンドバッグ(英)が加盟国の17年のデータを独自にまとめて1月末に報告書を発表したという。それによると、発電量の構成比では、風力11.2%、太陽光3.7%、バイオマス6%・・・で、これら三つの合計(20.9%)で石炭の20.6%を上回った。水力(9.1%)を加えた再エネの合計は30%に達する。一方、原子力は25.6%だった。顕著な伸びを示したのは風力だ。洋上風力を含めた投資の拡大や発電に良好な気象条件が重なり、発電量は前年比で2割近く増えた。国別では英独がけん引し、過去3年間の再エネ発電量の増加分の半分以上は両国でまかなっている。また、報告書では、10年以降のペースで再エネの導入が進めば50年にはEU全体で総発電量に占める割合が50%に達することも可能だとしている。脱石炭の動きは世界的に進んでおり、欧州でも東欧以外で鮮明となっている。17年には新たにオランダ、イタリア、ポルトガルが30年より前に石炭火力を廃止する政策目標を発表。英仏も25年より前の脱石炭の達成を掲げている。例外的なのはドイツで、東京電力福島第一原発事故を受けて脱原発を採択した影響で電力消費の約4割を石炭火力に頼り、廃止時期を明示できていない。一方、電力の8割を石炭でまかなうポーランドを中心に東欧は石炭への依存度が高く、再エネの普及も遅れている。なお、火山の少ない欧州では、地熱発電の寄与は大きくないようであり、残念ながら触れられていない。火山国の日本としては、2030年度の国家目標、150万kWを実現するのが、当面の課題である。地熱発電関係者のいっそうの尽力を期待したい。
『日本の季節感残したい そこが聞きたい 旧暦併用のススメ』 毎日新聞2月12日付朝刊のオピニオン欄に、「美学者」金田 晋(すすむ)氏の聞き取り記事を掲載している。2月16日は旧暦の元日。中国の春節をはじめ、東アジアの国では旧正月を祝う国が多い。日本もかってはそうだった。その旧暦が最近、見直されているという。太陽暦と旧暦の二つの暦の併用を呼び掛けている美学者(広島大名誉教授)の金田晋さん(79)に「旧暦のススメ」を聞いたものである。氏によると、「二十四節気」(中国で考案)や「七十二候」(二十四節気を参考に日本で考案)も私たちの生活の中に取り入れられている。しかし、一方では旧暦の日付を新暦に合わせたため。実態に合わない現象がみられる。氏は、東京で学生生活を過ごしたのち、30歳で広島に移った。そして、広島で畑を耕したりすることで初めて季節のリズムの大切さ、旧暦が理にかなっていることに気付いたという。さらに、新暦をやめて旧暦に戻せ、と言っているわけではなく、旧暦を意識した生活を取り戻すことは、日本の豊かな四季や自然を楽しむことにもつながるという。全く同感である。当研究所では、2012年5月8日から所内で1m深地温の観測を続けているが、観測を続けるなかから全く同様な感じを持っている。毎日の地温の変化を測るなか、周囲の鳥や花の季節の変化にも敏感になっているのに気づく。そして、どうやら1m深地温の変化パターンが七十二候に非常によくあっているのである。1m深地温変化は、気温に比べはるかに滑らかに変化している。その変化を大局的に見れは正弦波的だが、細かくみると、地温上昇率が一定の直線の集合からなっていることがわかる。この時間的地温変化の勾配の統計(頻度分布)を取ると、数日間程度(2日間~5日間程度)がもっとも頻度が多い。そして、10日以上は非常にまれである。数日間程度の変化は七十二候に対応している。二十四節気であれば、最も頻度が多い15日程度だが、そうはなっていない。地温変化の様子は、日本で考案された七十二候によくあっている。七十二候で表現された季節は、地温変化からみると時間的な上昇率が同一のように見え、極めて興味深い。
『鹿児島沖 巨大溶岩ドーム 海底に世界最大級直径10㌔』 毎日新聞2月10日付朝刊はこう報じている。神戸大海洋底探査センターは9日、鹿児島県・薩摩半島の南約50㌔にある海底火山「鬼界カルデラ」(直径20㌔)に、世界最大級の溶岩ドーム直径10㌔、高さ600㍍、体積32立方㌔超)を確認したと発表したという。採取した岩石などから、巨大カルデラ噴火を起こす大規模なマグマだまりが成長している可能性があるとしている。論文が同日、英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。鬼界カルデラは南九州の縄文文化を消失させたとされる約7300年前の噴火で形成されたくぼ地。同センターは昨年10月までの2年間に3回、同大大学院の練習船「深江丸」を用いてカルデラ内部の海底を調査し、その中にドーム状の地形があることを確認していた。今回は、この地形から採取した岩石を分析し、鬼界カルデラ形成時の噴出物とは化学的な性質が異なることが判明したという。周辺の断層の調査で、内部が盛り上がったためにできたゆがみを発見したという。その結果、この地形が鬼界カルデラ形成以降の噴出でできた溶岩ドームで、少なくとも体積は32立方㌔と結論付けている。ドームの上部では、熱水が噴出して煙のようにたなびく「熱水プルーム」も既に発見されており、直下で活発な火山活動が続いていると推測している。同センターによると、体積40立方㌔以上のマグマを噴出する巨大カルデラ噴火は、日本列島で過去12万年間に10回発生。鬼界カルデラの噴火が最後とされている。センター長の巽好幸教授(マグマ学)は「日本列島で巨大カルデラ噴火が起きる確率は今後100年間に1%だが、最悪の場合、約1億人の犠牲者が出るとされる」と話しているという。ドーム上では熱水プルームの噴出があり、地下に高温熱源があると推定されるが、半固化状態なのか(マグマの上部が固化しているが下部は溶融状態にあるのか)、かなりの程度固結しているのか、あるいは大きな溶融状態が存在しているのか興味深い。その解明には、熱的調査(海底熱流量、地磁気等)が有望ではないか。また、震源分布も重要な情報となろう。
『火山の専門家 層厚くしよう 文科省が10年計画』 毎日新聞2月9日付朝刊 くらしナビ 気象・防災欄はこう報じている。草津白根山の本白根山(2171m)が1月23日に噴火した時、いち早く気付いたのは気象庁ではなく、ふもとの群馬県草津町に観測拠点を持つ東京工業大学の野上健治教授(地球化学)だった。このように、火山防災で大きな役割を果たすのが、大学教授ら火山専門家だ。しかし、その数は全国でわずか80人と言われ、層の薄さが指摘されてきた。この課題解消のため、文部科学省は10年計画「次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト」に取り組み、人材の倍増を目指しているとしている。火山の専門家は大学や国の研究機関に所属。気象庁と協力し合いながら、各火山の過去の噴火の形態や規模、火砕流の広がりを調査したり、現在噴出しているガスや湖水の成分や濃度、火山性地震の回数や振幅の大きさを観測したりし、噴火を警戒している。国民の防災意識の普及の点でも貴重な存在だ。戦後最悪と言われる63人の死者・行方不明者を出した2014年9月の御嶽山(3067m、長野・岐阜県境)の噴火後、国は全国の活火山111のうち、普段から重点的に防災対策に取り組むべき49火山の周辺を、火山災害警戒地域(延べ155市町村)に指定。「火山防災協議会」の設置を義務づけた。協議会には自治体や気象台などの国の行政機関、観光業者団体のほか、火山専門家も入る。噴火シナリオやハザードマップ、避難計画を作る際、火山専門家は欠かせないが、なり手が少なく、複数の協議会を掛け持ちして負担が増している人もいる。火山専門家の”高齢化”も課題だ。文科省の大河原斉揚・地震火山専門官は「50台が多く、10年たてば第一線から引退する人が続出する。人数がさらに減り、火山監視が困難になる」と危機感を表す。若手を育成するにも、地方大学では指導者がごく少数で、多岐にわたる研究テーマを網羅できない実態もある。「次世代」プロジェクトも御嶽山の噴火を踏まえ、16年度に始まった。予算は年間6億円。2本柱を据え、うち1本が特に対策が急務と言われる「人材育成」。参加28機関のうち、大学やその他の研究施設、火山防災を担当する国や地方自治体、民間企業など計15機関がコンソーシアム(共同事業体)を構築。他大学の授業への出席、活動的な火山での調査技術実習、防災訓練参加などを通じて、火山専門家を目指す修士課程の大学院生に、火山に関する幅広い知識や技術、経験を身に着けてもらう。こうして若いスペシャリストを育て、5年で火山専門家を今の2倍の160人に増やすことを目標にしているという。ところで、地熱開発技術も同様な問題を抱えている。現在、国は2030年度までに、現在の地熱発電設備出力の3倍150万kW達成という大きな目標を掲げているが、それを達成するためには人材育成が重要な課題としてある。当研究所は、その進め方の一つとして、地熱資源の多い地域(=活火山多い地域と一致している北海道、東北、九州の3地域程度)に一定数の地熱専門家を養成する拠点大学(学部・修士・博士課程)を形成し、若手専門家を育成することを提案している。火山の専門家と地熱の専門家には必要な知識・技術が共通するものも多く、連携するのも一つの方法ではないか。
『銀河系外 初の惑星発見 38億光年 米大チーム』 毎日新聞2月8日付朝刊はこう報じている。38億光年先の銀河に惑星が存在することが分かったと、米オクラホマ大学のチームが天文学の専門誌に発表したという。太陽系がある「天の川銀河(銀河系)」の中では、これまでに3000個以上の太陽系外惑星が発見されているが、別の銀河で存在が示されたのは初めてとしている(⇒銀河系に惑星系があることは多分一般的な現象なのであろう)。チームによると、この銀河には、月から木星ぐらいまでの重さの惑星が約2000個、太陽のような恒星の重力に束縛されずに浮遊しているという。この銀河は2009年、コップ座の方角の61光年先にある巨大なクエ-サーと呼ばれる天体のてまえを横切った。この際、アインシュタインが予言した「重力レンズ効果」により、クエーサーの光が銀河の重力の影響で曲げられて、ひときわ明るくなって地球に到達した。チームは、米航空宇宙局(NASA)のエックス線天文衛星チャンドラが捉えた観測データを使って、明るさの変化を詳しく分析。この結果、銀河の中に、恒星以外の比較的軽い惑星があると結論付けたものである。地上では、大量降雪などの異常気象、活発な地震活動・火山活動、不透明な政治、大幅な株価の変動等、目まぐるしいが、時には遠い天体に目を向けるのも良いのではないか。宇宙にはまだまだ謎が多い。
『断層なくても地形変位か 熊本地震の現地調査で判明』 毎日新聞2月8日付朝刊はこう報じている。 活断層が繰り返し動くことによって生じる「断層変位地形」が、大きな地震活動がなくても形成される可能性があることが、国土地理院などの研究チームの調査で明らかになったという。一昨年4月の熊本地震後の現地調査で判明したという。政府の地震調査委員会などは、活断層の活動履歴などを基に地震の発生確率を算出している。国土地理院の宇根寛・地理地殻活動研究センター長は「活断層の評価方法を見直す必要があるかもしれない」と述べており、今後の地震予測手法に影響が出る可能性があるという(⇒原発立地の評価にも関係する可能性がある。従って、この問題は早急に明確にする必要があると思われる)。断層変位地形は、活断層の動きによって生じる河川の曲りや、地面の隆起やたわみなどで、こうした地形は過去に活断層が繰り返し動いた場所と判断されてきた。日本は雨などの浸食の影響を受けやすいため、断層の活動が少ない場合の断層変位地形は不明瞭で分かりにくい場合もある。熊本地震は布田川、日奈久断層帯が活動して発生した。人工衛星に搭載した特殊なレーダーを使って調べたところ、両断層帯から離れた阿蘇外輪山北西部で数多くの地表変動があることが判明。さらに、現地を調査した結果、長さ数㌔程度で、最大30㌢程度の縦ずれの正断層に見える変位が多数見つかったという。阿蘇外輪山北西部は、熊本地震を引き起こした断層帯から離れ、余震も発生していないことから、地震を起こした地下の断層のずれが地上に到達した「地表地震断層」ではないと断定したという。
『国立大共同拠点 予算削減見込 梶田氏「日本の研究力落ちる」』 毎日新聞2月7日付朝刊はこう報じている。各大学の枠を超えて研究するための拠点として共同利用されている「共同利用・共同研究拠点」の来年度予算案で、国立大の研究所の研究予算が今年度比約7%の削減が検討されているという。研究拠点の連携組織が6日、東京都内で会見し、ノーベル物理学賞を2015年度に受賞した東京大宇宙線研究所の梶田隆章所長は「多様な研究が立ち行かなくなり、日本の研究力を更に落としかねない」と予算確保を訴えたという。文部科学省や連携組織によると、来年度政府予算案では「共同利用・共同研究拠点」の予算が今年度の計61億円に比べ約4億円減る見込み。削減の理由については「財務省への説明が不十分だった」(文科省学術機関課)とするが、個別の研究で影響が懸念されるという(⇒上述の「・・・ 」のような理由であれば、文部省は、連携組織の研究者側とよく連絡を取り、十分対応することができたのではないか。文部科学省担当者の怠慢ではなかろうか)。連携組織は増額を求める要望書を提出しているという。梶田所長は「基礎的研究費の削減の影響は、ボディーブローのように効いてくる。基盤となる施設を安定的に支える仕組みが必要」と話している。同省は、1研究室だけでは持つことが難しい大型装置や研究施設、大規模なデータベースを共同して利用する国立大の77拠点を「共同利用・共同研究拠点」として認定。東大宇宙線研究所など理工系から医学や人文科学系まで幅広く利用され、14年度には、年間8000件の共同研究で、延べ2万7000人を超える研究者が利用したという。大型の「共同利用・共同研究拠点」の中には、国際的な活躍をし、日本の科学の顔とも言えるものが少なくなく、予算復活を期待したい。一方、個々の科学者の創意工夫による科学研究費の枠を広げることも忘れてはならないだろう。
『金印の真贋シンポジウム 議論かみ合い進展 「出土品もとに検証」で一致』 毎日新聞2月6日付夕刊はこう報じている。この内容は本欄に必ずしも適当ではないようにも考えられるが、当研究所では、地熱探査法の一種である「水銀探査法」を古墳に適用する研究も行っているので、関連事項として紹介したい。国宝「漢委奴國王」金印の真贋を問うシンポジウムが1月21日、出土地とされる福岡市で開かれた。真印説、偽造説の一方が優位に傾くことはなかったが、「論証の根拠となる印は出土品であること」との点で双方の論者が一致したという。平行線になりがちな論争が目に見える形で前進したと評価できるという。定説では、金印は江戸時代の天明4(1784)年、福岡市の志賀島で見つかったと言われている。中国の正史「後漢書」東夷伝にある「紀元57年に倭(委)の奴国が朝貢し、光武帝が印を与えた」との記述を裏付ける一級資料の一方、偽造説も根強いという。シンポでは、金印研究に使われる他の古印の資料としての信頼度が重要なポイントになった。パネリストの一人で、江戸時代の偽造の可能性を指摘する鈴木勉・工芸文化研究所所長は金工や金石学の専門家。鈴木氏によると、中国古代の品として博物館などで展示されている印の中には、古代にそぐわない技法や、現代の電動工具で削った痕跡の残る印もあるという。シンポの前日には両説の登壇者が、福岡市博物館が近年骨董商から購入した古印群を検証した。鈴木氏はこの292個の印の90%に現代の技法や工具の特徴があるとして、古印と偽って流通する「偽物」と指摘している。検証を経て、真印説側もこの研究をを踏まえた上でのシンポとなったという(⇒古印とされるものの90%が偽物という事実は十分認識する必要はあるが、国宝「漢委奴國王」金印が直ちに偽造とは言えないだろう)。シンポで鈴木氏は、研究資料となる古印を①発掘調査による「出土品」②寺社などに伝わる「伝世品」③発掘調査によらず新たに見つかった「新発見資料」④骨董品店等での売買を経た「流通古文化財」(福岡市博の購入品もここに入る)--に分け、信頼できるのは出土品だけと指摘。その上で、真印説側が論拠に使う古印の中に史料価値の検討が不十分な流通文化財がいくつも含まれており、意味のない論証だと批判した(なお、昨年中国で、これまで一面も中国では発見されてこなかった三角縁神獣鏡が発見されたと、中国の収集家あるいは日本の古代史研究者の一人(邪馬台国近畿説論者)が大見得を切っていたが、資料はまさに④「流通古文化財」に当たるもので、全く危ない話である。史料価値を十分検討すべきである)。対する真印説の石川日出志・明冶大教授は「発掘品だけで(論証を)確認する」と応じたという。両説が同じ資料的土台に立って論争する必要を認める重要表明である(⇒「信頼できるデータに基づいて、合理的に推論する」という科学の基本的な考え方に基づく、正論と考える。なお、邪馬台国近畿説の研究者の一部には、このことを理解できない方がいるようである。古代史は思い込みではなく、科学である)。これに先立ち、石川氏は「(後漢初期の)金印を作る技術が江戸時代にあっても、金印のデザイン(文字やちゅう-つまみ-の形、素材)は知りえない」との観点から検討。古印の文字形などを細部まで調べて変遷を追跡し、「印面の5文字全てが後漢初期の特徴をもち、ちゅう形などの検討とも矛盾しない。金印は大丈夫、国宝です」と断定したという。このほか三浦佑之千葉大名誉教授は、金印発見の経緯について、「(鑑定した儒学者の亀井南冥に)都合が良すぎ不自然」と述べ、科学的な証明の必要性を強調。同市埋蔵文化財課の大塚紀宜氏は、金印の蛇をかたどった「ちゅう」は元々の駱駝「ちゅう」を改作したものとする観点から真印説を展開するなど議論が白熱したという。今回はそうした真印説が根拠とする資料に流通古文化財が含まれる点を批判されたわけだが、石川氏は現時点で流通古文化財を除外して議論を組み立てても、文字の形などは出土品の資料も多く、真印説が維持できているとの自信を見せたという。また、石川氏は偽印説側に「江戸時代に金印がデザインできる根拠を文字一つ一つについて示してほしい」と迫り、「次回(のシンポで)やります」という鈴木氏の約束を引き出したという。鈴木氏は「今回は随分議論が進んだ。私も、戦前の古印コレクションを含めて流通古文化財の特徴をさらに調査したい」と話している。考古学の論争に製作技術の視点が入ったのは画期的で、新たな展開を期待したいと記事は結んでいる。全く同感である。なお、長い論争が続いているが未だ確定できていない「邪馬台国の位置問題」も、信頼できるデータに基づいて、合理的な推論が展開することを期待したい。
『温暖化対策に新法 今国会、法案提出へ 被害軽減化』 毎日新聞2月4日付朝刊はこう報じている。 政府は今月、地球温暖化に伴う災害や産業への被害などの軽減策を強化する「気候変動適応法案」を提出するという。自治体などに対し、温暖化の被害に備える基本計画(適応計画)の策定を促すため、国立環境研究所が温暖化の影響について情報を収集し、提供するよう規定する。法案は今春に成立する見通しという。従来の地球温暖化対策は、温室効果ガスの排出削減など温暖化の予防策が中心だった。だが、すでに産業革命前から地球の平均気温は約1℃上昇しており、局所的な豪雨や熱波、干ばつなどの異常気象による被害が世界で相次いでいる。2020年以降の温暖化対策を定めた国際枠組み「パリ協定」でも予防策と共に、被害を軽減する適応策の推進が位置付けられている。日本でも、農業や産業など各分野における温暖化の影響評価に基づいて被害軽減策をまとめた適応計画を15年に決定している。今世紀末に大雨時の雨量が現在より1~3割増えたり、九州のコメの品質が大幅に落ちたりするといった被害予測を基に、大雨対策や暑さに強い作物開発など7分野76項目の対策を盛り込んでいる。被害の軽減に地方の協力が欠かせないが、いまだ計画を策定していない自治体があるほか、計画の中身が不十分との指摘もある。法案では、同研究所が中心となり、温暖化が社会にもたらすと予測されるリスク情報を広く発信する仕組みを構築する。自治体などと連携し適応計画の策定を支援する「気候変動適応センター」を設置。各地で熱中症や水害のリスク評価手法や農産物への影響を評価するなど、地域に応じた適応策作りに生かす。また、5年ごとに被害予測を更新し、国の適応計画が適切か評価して見直す。法案を巡っては、15年の国会でも環境省が提出を目指したが、経済産業省や国土交通省、農林水産省との間で調整が難航し、見送られた経緯がある。今回はインフラ整備や農林業、国内ビジネスなどに配慮し、提出にこぎつけたという。温暖化が進行する中、このような対応策を法律で明確に位置づけることは必要なことであり、成立を期待したい。ただ、温暖化効果ガスを減らすことを前提とした上での対応策である。政府が削減策にも積極的になることを改めて要望したい。
『渦巻く真冬の使者 オホーツクに流氷』 毎日新聞2月3日付朝刊はこう報じている。北海道の網走地方気象台は2日、網走市で流氷が接岸する「流氷接岸初日」を観測したと発表したという。オホーツク海沖では、海流と風の影響で流氷が巨大な渦を巻く「流氷大回転」と呼ばれる現象が起きたという。直径50㌔以上にも及び、幻想的な風景が広がっているという(新聞にはカラー写真添付。台風の雲の流れによく似ている)。流氷接岸初日は、流氷で船舶が航行できなくなった最初の日。網走での観測は平年並みで、昨年と同日だったという。流氷の接岸は3月まで続く見通しという。なお、当地埼玉県狭山市では昨日今季2度目の降雪(積雪3~5㌢程度か)があった。1週間前の1回目の方が多く(積雪20㌢程度)、まだ、日当たりの悪い場所では、1回目の時の雪が残っている。気温は10℃以下の低温が続いている。しかし、冬来たりなば、春遠からじか。
『海鳥の揺りかご 西之島』 毎日新聞2月2日付夕刊はこう報じている。2013年11月以降の噴火活動に伴い面積が大きく拡大した小笠原諸島・西之島(東京都)を1月末、毎日新聞社機から撮影したという。昨年4月に噴火の再開が確認されたが、現在は噴煙などは見られず、島では多くの海鳥が羽を休めていたという。小笠原の鳥類に詳しい川上和人・森林総合研究所主任研究員によると、白い鳥の多くは今が繁殖期や子育ての時期に当たるアオツラカツオドリで、ヒナの姿もうかがえたという。これから繁殖期を迎えるカツオドリの姿もあったという。国土地理院によると、西之島の現在の面積は2.72平方㌔で、噴火前の9.4倍になったという。気象庁によると、今後も噴火が再開する可能性が考えられるとして、火口周辺警報(入山危険)を継続している。なお、1973年4月から始まった同海域での海底噴火活動、1973年9月の海面上への新島の出現、その後噴火継続、翌年1974年3月噴石活動の休止、その後、同年6月半ば頃まで、溶岩流出が続いた。当所の江原は1976年8月に上陸調査を行ったが、冷却したとはいえ、噴気の出ている岩石の温度はまだ178℃あった。ただ、その頃は一面噴石が広がっており、植生は小さな草がまばらに生えている程度で、鳥はまだいないようであったと思う。なお、海岸部の浅い海水中に小さな(子供の?)サメのような魚が泳いでいたのを記憶している。西之島の海底噴火が最初に確認されたのが1973年、近年の活動再開が2013年で、その間隔は約40年であり、今後の活動再開も十分考えられるだろう。
『赤銅に染まる 皆既月食』 毎日新聞2月1日付朝刊はこう報じている。全国で31日夜、満月が地球の影にすっぽり隠れる皆既月食となった(当地埼玉県狭山市でも赤みがかった月が観察された)。天気が悪く観測できない地域もあったようだが、東京都内では午後9時前に左下が欠け始め、同9時51分に皆既月食になると特有の赤銅色に染まった。日本では約3年ぶりという。国立天文台によると、皆既月食は同11時8分まで1時間17分続いたという。太陽と地球、満月が一直線に並ぶ時に起きる現象。月が赤く見えるのは、地球の縁をかすめて屈折した太陽光のうち、赤い光だけが届くためだという。次は東北地方以西で7月28日未明にみられるという。皆既日食は、たとえば、邪馬台国の女王卑弥呼の死に関連して議論されることがあるが、皆既月食が歴史的事象と関連されて議論されることはあったのだろうか。
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