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日本地熱協会は、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)および電気事業連合会とともに10月8日を「地熱発電の日」と制定したことを同協会HPで9月2日発表しました。本年10月8日は、国内初の地熱発電所(岩手県八幡平市)が昭和41年に運転を開始し、ちょうど50年にあたります。登録証の授与式は、本年9月16日にJOGMECが岩手県八幡平市で主催する「地熱シンポジウム in 八幡平」の中で執り行われます。日本地熱協会は、JOGMECなどの地熱開発に関係する行政・企業・団体等と協力しながら、今後、10月8日の「地熱発電の日」やその前後の時期に、地熱理解促進運動のイベントを恒例行事として開催し、国民の地熱発電に対する認知・理解を進め、地熱開発の促進に努めることとしています。
毎日新聞8月29日付夕刊によると、石垣島と西表島の間にある国内最大のサンゴ礁「石西礁湖」で起きている大規模な白化現象で、環境省が調査した35カ所で9割近くのサンゴが白化していることが分かったという。海水温の上昇が原因と見られ、石垣島の北部や鹿児島県の屋久島付近で白化が起きているとの報告もあるという。環境省那覇自然環境事務所は7月下旬~8月中旬、石西礁湖で水面近くからサンゴの健康状態を調査。高温や汚染などのストレスに弱いサンゴの一種ミドリイシに加え、ストレスに強いハマサンゴも一部白化していたという。白化はサンゴの体内に共生して光合成を担う植物プランクトンの褐虫藻がストレスで溶け出し、骨格が透けて白く見えるようになる現象。短期間なら元の状態に回復するが、長期間続くとサンゴは死んでしまうという。石西礁湖の水温は6月から白化の危険が高まる30℃を超えており、1割ほどは死んでいる可能性があるという。調査結果は近く公表されるという。地球温暖化は、大気だけでなく、海水(海水温の上昇は、また、台風の発生・移動にも大きな影響を与えている。今年の日本周辺での台風発生およびその移動形態の異常さはそれを証明しているともいえる)、さらに地中を高温化している。 炭酸ガスの大気中への放出停止は待ったなしである。
毎日新聞8月24日付朝刊が「くらしナビ・環境」欄で海水によるCO2の吸収限界に関して報じている。化石燃料の使用で増え続ける大気中の二酸化炭素(CO2)。これを植物が光合成の際に吸収するほか、海も大きな吸収源となっている。これまでの人類排出のCO2の3割が海水中に溶け込んでいると言われている。さらに、近年海水中のCO2濃度が増加(北緯30度で、最近30年で、表面海水中で280から340ppm程度)を続け、それに伴って、海水の酸性化(北緯30度で、最近30年で、pH8.17から8.11程度)が進行している。当然であるが、物理化学的に言って、海水のCO2吸収には限界があると考えられる。気象庁海洋環境解析センターの中野俊也所長は「このまま地球温暖化が進んだ将来、CO2の吸収が続くのか、それともこれまでに蓄積された分を放出するようになるのか。観測を続けて傾向の変化をいち早く捉えたい」と話している。大量のCO2大気中放出は、大気中だけでなく、海水中そして地中にも大きな影響を与えつつある。すなわち、人間の生活する地球環境を大きく変えつつある。人類はこれを止めることができるか、21世紀最大の挑戦である。
毎日新聞8月23日付朝刊によると、18世紀後半の産業革命以降、地球の温暖化傾向が続いている中、熱帯太平洋の海水温の低下が一時的な「冷や水」となり、地球(大気)の温度上昇を0.3℃程度、抑制する効果があったとする研究結果を、小坂優東京大学准教授(気候科学)らが英科学誌ネイチャー・ジオサイエンスに発表したという。国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)によると、地球の平均気温は1880年~2012年に0.85℃上がったが、右肩上がりではなく、階段状に上昇と停滞を繰り返してきた(もちろん、上昇と停滞の期間の中で、さらに小さい周期の変動が含まれる)。温度上昇が一時的に止まる現象は、英語で「停滞」を意味する「ハイエイタス(hiatus)」と呼ばれているが、原因がよくわかっていなかった。研究チームは、熱帯太平洋の海水温に注目。過去120年間に、10~40年継続する海水温の低下時期が複数確認され、気温上昇の伸びが鈍るタイミングと一致したという。こうした「冷や水効果」がなければ、産業革命前から2012年までの二酸化炭素(CO2)による気温上昇は1.2℃上昇すると推定されるという。2000年以降は停滞期で、現在転換期に入っていると見られるとも言われる。小坂准教授は「海水温の周期的な変動は、太平洋上の東風の強弱によって起こると考えられる。将来もハイエイタスは起こり得るが、CO2が増え続ける限り、温暖化は続く」と話しているという。地球温暖化あるいはヒートアイランド現象により、地球の熱的環境は確実に悪くなっているが、必ずしも単調に進行しているわけではない。人類には知られていない現象がまだまだ多いということであろう。ちなみに、当研究所(埼玉県狭山市)では、気温変化を反映した地下1m深地温の毎日観測を2012年5月8日から継続しているが、年平均地温は2012年から2015年にかけて上昇したが、2015年から低下傾向に入っている。すなわち、このような短期間でも変動が生じている。気温変化・地温変化は多様な周期現象の重なり合いである。観測によって、それらを明確にし、原因を探っていくことが、地球熱環境の維持に貢献することができる可能性がある。1m深地温の経年変化という特定のごく限られた現象であるが、意味ある結果を引き出せる可能性は十分ある。今後とも測定を続けていく予定である。現在当研究所は、各地(東京都千代田区、神奈川県藤沢市、茨城県つくば市、秋田市)で協力を得て1m深地温の測定を続けている。
毎日新聞8月19日付朝刊によると、地球温暖化による海岸浸食が深刻化し、住民生活が脅かされている米国アラスカ州シシュマレフ村で、安全な場所への全村移住を問う住民投票が実施され、移住希望者が、そのまま住み続けたいと答えた人を上回ったという。村はベーリング海峡に面した小島にあり、人口約600人。先住民イヌピアットが多く住む。AP通信によると、住民投票は16日に行われ、村の開票速報では、移住が89票で、残留の78票を小差で上回ったという(最終結果は不明)。島の海岸は、冬には海氷で埋め尽くされ、波による浸食から守られてきた。しかし、地球温暖化で氷に覆われる期間が短くなり、高波に洗われやすくなったため浸食が進み、海辺の住宅に被害が出ている。温暖化のために集団移住した例は、米国にこれまでないという。ただ、民意は示されたものの、近くの本島への移住には100億円以上が必要と試算され、実現には資金を用立てる必要があるという。従来、太平洋に浮かぶ小島(小国)で、温暖化による水没が懸念されてきたが、さらに、新たな地球温暖化による影響例が報告されたことになる。
毎日新聞8月16日付朝刊によると、「2040年日本 再生エネ低調-33%で8位 英機関予測-」ということが報じられている。世界の太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーによる総発電量に占める割合は、2040年時点で45%になるとの予測を、英国の民間調査機関「ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス」(BNEF)がまとめたという。世界で脱化石燃料が進む中、日本は33%にとどまり、二酸化炭素(CO2)の主要排出国9か国・地域で8位に評価されたという。BNEFは、世界110か国について、政策や発電方法ごとのコスト、市場競争力などを考慮し、2040年時点の電源予測をまとめている。報告書によると、再生可能エネルギーによる割合が高いのは、ブラジル92%、カナダ83%、欧州連合(EU)70%、メキシコ69%などとなっている。ブラジルとカナダは水力発電の導入見込が大きく、EUはドイツなどで太陽光と風力のコスト低下から市場で優位になるとみている。一方、日本は、新設計画が相次ぐ石炭火力発電所の多くが40年時点でも運転を続けるために再生可能エネルギーの導入余地が乏しいと予想されている。日本政府は、30年時点で再生可能エネルギーを22~24%とする目標を掲げているが、これを達成したとしても、BNEFは「石炭火力を強制的に休止させるなど、新たな政策がなければ40年までの上積みが進まない」と指摘している。昨年末に採択された地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」では、今世紀後半に温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを掲げており、電力部門の脱化石燃料は大きな後押しになる。BNEFのイザディ駐日代表は「日本は人件費が高いため、再生エネのコストが下がりにくく、普及が進まない面がある」と話しているという。このような中で、わが国の地熱発電に求められているのは、2030年に現状より3倍増の累積150万kWを達成するだけでなく、2040年~2050年に向かっても着実な進展をすることであろう。当面は固定価格買取制度によって、事業者側から見てコスト的問題はないが、最終的には過剰のコスト分は国民が負担することになるわけで、一層のコスト削減努力が必要である。
毎日新聞8月10日付朝刊によると、日本列島は9日、東日本を中心に酷暑が続き、山梨県身延町で地点として観測史上最高となる39.2℃を記録したという。最高気温が35℃以上の猛暑日が、全国929カ所ある観測点中198カ所(21.3%)に上がった。各地の最高気温は、千葉県茂原市で38.7℃、岐阜県多治見市と浜松市で38.3℃。また、東京都心は37.7℃で今年最高であった。当研究所で継続して観測している1m深地温も、1日当たり、0.1~0.2℃程度上昇を続けている。
毎日新聞8月8日付朝刊によると、暦の上では秋が始まる「立秋」だが、昨日に続き日本列島は太平洋高気圧に覆われ晴れ、各地で今年最高気温を更新するなど猛烈な暑さになったようだ。気象庁によると、全国929観測地点のうち、131地点(14.1%)が35℃以上の「猛暑日」となり、757地点(81.5%)が30℃以上の「真夏日」となった。いずれも今年最高だったという。最も暑かったのは、兵庫県豊岡市の38.2℃、次いで新潟県胎内市と鳥取市で38.1℃。暖かい空気が流れ込んだ北日本でも気温が上昇し、北海道共和町では観測史上最高の33.6℃を記録。関東地方では群馬県館林市で35.6℃、東京都心で33.6℃に上ったという。当研究所で測定を続けている1m深地温は8月5日以降、1日0.2~0.3℃程度の急な上昇を続け、年最高地温に向かっている。
毎日新聞8月7日付朝刊によると、日本列島は6日、高気圧に覆われて晴天が広がり、北海道と東北地方の一部などを除き厳しい暑さになったという。気象庁の観測で、35℃以上の「猛暑日」となったのは、全国929観測点のうち113地点(12.2%)に上り、今年最多を記録したという。最も暑かったのは大分県日田市で38.2℃、次いで大阪府豊中市38.1℃で、一般に西日本の気温が高かった。ちなみに、6日の日最高気温のベストテンのうち、西日本は8府県で、大阪府・京都府内が多い。関東地方でも群馬県館林市で37.2℃を記録している。厳しい暑さはお盆過ぎまで続く見通しという。なお、当研究所では2012年5月8日より、敷地内で(埼玉県狭山市)、1m深地温の毎日観測を行っているが、関東地方の梅雨明け(7月28日午前中)後の7月30日以降、地温は確実に上昇している。ただし、過去4年に比べると地温そのものは一番低い。これは今年度地温が低下しているということではなく、地温変化のパターン(位相)が変化していることにもよると考えられる。引き続き観測結果を見守りたい。
『地熱発電の日』が制定されることになりました。期日は「10月8日」です。この日は、わが国最初の商用地熱発電所である岩手県にある「松川地熱発電所」が運転開始されたのが、今から50年前の1966年10月8日であることにちなんでいます。現在、JOGMECが、松川地熱発電所運転開始50周年を記念して、本年9月16日に岩手県八幡平市において、「地熱シンポジウム in 八幡平」の開催を計画していますが、その中のイベントの一つとして、『地熱発電の日』登録証授与式 が企画されています。来年度以降は、『地熱発電の日』もしくはその周辺の日に、次世代層を含む一般向けの地熱理解活動を恒例行事化し、メディアにPRしていくことが計画されています。具体的なイベントとしては、地熱発電所の見学会や地熱シンポジウムの開催などが考えられています。
毎日新聞7月31日付夕刊によると、今年は観測史上最も気温が高い年になると報じている。米国航空宇宙局(NASA)の気候学者、ギャビン・シュミット氏が「今年は99%の確率で新記録となる」とツイッター上でつぶやいたことによるらしい。実際、NASAなどによると、産業革命の初期に比べた気温は、昨年過去最高の約1.1℃上昇。今年に入ってさらに厳しさを増し、今年前半の各月の平均気温は最大で1.5℃近く上がっている。また、今年は各国で異常気象の発生が目立っている。フランスでは5月末から6月上旬にかけ、大雨による洪水などで約2万人が避難。パリの中を流れるセーヌ川があふれ、ルーブル美術館が休館したという。インドでは例年5月から始まる熱波が4月下旬に発生し、5月中旬に観測史上初の51℃を記録。米国のアラスカでも7月に史上最高の気温を記録したという。一方、日本でも気温の高化傾向がでている。関東地方は梅雨明け後、気温は上昇を続けているが、西日本でも梅雨明け後35℃以上の猛暑日が続いている。梅雨のない北海道でも、各地で30℃を超えている。気象庁の3か月予報(8~10月)では、「西日本で気温が高く、東日本と北日本でも平年並みか高い」と注意を呼び掛けているが、実際の気温の上昇もそれを裏付けている。気象庁の担当者は「夏の高温は局所的な豪雨や熱波、地域的には渇水となるリスクを高める」とし、早めの対策を呼び掛けている。なお、当研究所では、2012年5月8日から、敷地内(埼玉県狭山市)で、1m深地温の毎日観測を継続しているが、年最高地温は年々上昇し、また、最高地温を示す時期も年々早まっている傾向を示している。今夏および今年のそれらの指標がどうなるか注意深く見守っている。
気象庁は、本日7月28日午前中、関東甲信地方が、7月28日頃に梅雨明けしたと見られると発表したという。平年よりも7日遅く、昨年よりも18日遅い梅雨明けという。先月5日に、平年より3日早く梅雨入りし、梅雨の日数は53日間だったという。平年の梅雨日数は43日間で、平年よりも10日以上長くなったのは、2003年以来13年振りのことという。梅雨期間中の降水量は、東京で256.0ミリ(平年比86%)、横浜で464.5ミリ(平年比141%)と南関東で平年並みとなった。一方、北関東では平年より少なく、宇都宮は192.0ミリ(平年比55%)、熊谷では183.5ミリ(平年比65%)だったという。当研究所では、2012年5月8日以来毎日、所内で1m深地温の観測を続けている。年最高地温は年々上昇し、また、年最高地温を示す時期が年々早くなっているが、今年度はどうなるであろうか。梅雨期間は気温は比較的低くなる傾向にあるが、地温はどうなるであろうか。興味あるところである。
経済産業省資源エネルギー庁は、7月21日、平成28年度地熱開発理解促進関連事業支援補助金(二次公募)の対象として、7件の事業(岩手県盛岡市、青森県青森市、青森県むつ市、群馬県中之条町、岐阜県高山市、石川県白山市、鹿児島県三島村)の採択を決定したことを発表した。この事業は「地熱資源開発の推進を図るため、地方公共団体や温泉事業者等が地熱の有効利用等を通じて地域住民への開発に対する理解を促進することを目的として行う事業を支援するもの」である。事業の多くは、比較的小規模のバイナリー発電や熱水を農産物加工等に利用する直接利用を志向している。事業が順調に進展することを期待したい。そして、十分な資源が認められる場合、さらなる有効利用に進むことも期待したい。
毎日新聞7月20日付朝刊によると、一時は破壊が進んだ上空のオゾン層が、今世紀に入って回復傾向にあることを初めて確かめたと、米マサチューセッツ工科大のチームが米科学誌サイエンスに発表したという。破壊物質のフロンを規制してオゾン層を保護する国際条約「モントリオール議定書」の効果が表れたことになる。南極上空でオゾン層が極端に薄くなって穴が開いたような状態になる「オゾンホール」が2000年を境に小さくなっていたことが分かった。チームを率いるスーザン・ソロモン博士は「世界が共に行動することで、地球が回復に向かうのを見ることができた」と述べている。オゾンホールが拡大し、紫外線を浴びることで皮膚がんが増える懸念が1980年代以降に高まった。87年に、フロンの製造や使用を規制するモントリオール議定書が採択された。全廃に向けた段階的な取り組みを各国が進めている。チームは、南極のオゾンホールが最大に近づく、9月の気球や人工衛星による観測データを分析した。その結果、オゾンホールは00年以降に縮小傾向に転じ、15年間で面積が400万平方キロメートル以上、縮小していた。オゾン層の破壊が少なくなり、回復に向かっていると結論された。
毎日新聞7月20日付朝刊によると、経済産業省は、地熱発電所の拡大に向け、立地地点絞り込みの調査を支援することになったという。地熱発電は一度開発されれば、燃料が不要で、安定したベースロード電源となる。また、わが国には、世界第3位の地熱資源ポテンシャルが存在すると推定されている。そこで、政府は2030年度までに地熱発電量を3倍にする目標を掲げている。しかし、採算性の高い地熱資源を発見するには、地表調査・掘削調査を含め数年間が必要。また、優良な資源が発見できなければ、投資が無駄になるリスクも高い。そこで、経済産業省は、政府出資の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が、空中探査等で見出した立地有望な地点において、深さ約500mまで掘削し、地下の温度データを収集し、高温地域を絞り込む事業に乗り出す方針を固めたという。リスクの高い初期段階の調査を一定程度国が負担し、その成果を民間事業者に利用してもらうことで、事業のリスクやコストを低減する狙いがある。来年度予算の概算要求に盛り込まれる。また、地熱発電を推進するためには、今後、国内の建設適地の大半が分布する国立・国定公園での規制緩和をさらに進める必要がある。さらに、地域との合意形成を一層進めるため、JOGMECでは、第三者機関「地熱資源開発アドバイザリー委員会」を立ち上げ、地域と地熱開発事業者間の調整に乗り出すことになった。これは、本年6月からスタートした、地熱発電事業者向け民間保険「地熱発電パッケージプラン」による温泉事業者への安心を提供する事業と相まって、地域との合意形成が一層進展することを期待したい。
毎日新聞7月20日付朝刊によると、2015年の日本の再生可能エネルギー産業の雇用者数は、対前年度比78%増の約39万人だったとする報告書を、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)がまとめたことを報じている。ただ、太陽光関連の産業が全体の97%を占めており、太陽光に著しく偏った日本の再エネの実態が浮かび上がったと言えよう。報告書によると、再生可能エネルギーに関係する機器の製造や設置、補修などを行う日本の産業の雇用者数は38万8000人で、このうち37万7000人が太陽光関連。世界全体の雇用者数は807万9000人で、対前年比5%の増加となっている。各国の太陽光関連の雇用割合は、米国25%、ドイツ10%、フランス12%などで、欧米では風力やバイオマス、地熱など太陽光以外の産業にも雇用は広がっている。リスク分散を考慮すると、将来的には、各再生可能エネルギーが、10~20%程度をシェアするのが望まれるだろう。IRENAは、「日本では、太陽光の買取価格が下がってきており、今後は太陽光関連の雇用者の増え方が鈍る可能性がある」と分析している。地熱発電に関して言えば、2030年に現在より3倍に増やす目標に向かって、確実に新規発電所を建設していくことであろう。
本年6月より地熱発電事業者向け民間保険「地熱発電パッケージプラン」がスタートしています。これは、地熱発電の温泉への影響の懸念が、温泉事業者に持たれていることから、これを払拭するための新しい保険制度です。地熱発電開発中・操業中に湯量減少や泉質変化が生じた場合、原因調査等のための対応費用を補償し、また、温泉事業者に遺失利益等の損害が生じた場合の賠償損害が補償されるものです。これによって、地熱発電調査地周辺の温泉事業者に安心を提供するものと言えます。これまで、わが国では、慎重な地熱開発により、地熱発電が周辺温泉へ悪影響を来していませんが、残念ながら、新規調査地点の周辺温泉地域では温泉影響への懸念が払拭されていない場合があります。この新たな保険制度が、地熱事業者に採用され、温泉事業者に安心して頂き、地熱事業と温泉事業とが共生し、地域の発展にもつながることを期待したいと思います。
毎日新聞7月1日付朝刊の「暮らしナビ 気象・防災」欄によると、今年夏の各電力会社の供給予備率(予想最大需要に対し、供給力の余裕を示す比率。安定供給には最低3%が必要と言われる)が掲載されている。それによると、2016年8月の各電力会社の供給予備率は、全国9電力の平均値9.1%(昨年は7.0%)で十分余裕ありという評価で(電力会社ごとにばらつきはあるが、3%を下回った電力会社は、昨年・今年ともなかった。なお、昨年8月は関西電力と九州電力が3.0%であった)、したがって、今年の夏は、政府からの節電要請はなされないことになった。
毎日新聞6月25日付朝刊記事によると、いわゆる「CCS(化石燃料燃焼に伴って排出されるCO2を大気中に出さず、地中に封じ込める技術)」に関する技術的進展があったことについてコメントがなされている。CCSにおいては、地下に封じ込めたCO2が、時間がたつと大気中に漏れ出してしまうのではないかと心配されてきた。しかし、今月欧米の研究チームが米科学誌サイエンスに公表した実験結果は驚くべき結果であったという。アイスランド西部にあるヘットリーズヘイジ地熱発電所で、CO2、230トンを水と混ぜ、地下の玄武岩に注入したところ、そのほとんどが2年以内に石灰岩のような炭酸塩鉱物に変化したという。CO2の鉱物化には数100年、数1000年かかると考えられていたことを思うと、あっという間に炭酸塩鉱物に変わったことは大きな驚きと言える。このように短期間で鉱物化のプロセスが発生するとすれば、現在問題となっている、特に石炭火力発電からの多量なCO2排出量処理に有効なことが想定されるが、ことはそれほど単純ではない。まず、この手法にはそれなりにコストがかかること、また、大量の水が必要である。加えて、この実験はまだ、まさに実験室規模であり、ほんとうに自然界で大量のCO2を固定できるのか等不明なことも多い。今回観測された現象は、CCSの実現性に役立つというよりも(大規模石炭火力発電を許容する方向にもなりかねない)、鉱物化学的な解明にまず向けられるべきであろう。この記事の最後には以下のようなコメントがある。「同じ火山国の日本。地熱発電もCCSも、もっと追究する価値はある」。我々としては、まず地熱発電を大いに展開したい。
毎日新聞6月24日付朝刊、気象・防災欄に、ヒートアイランド現象に関するレポートが掲載されている。そのタイトルは、「乾燥と暑さ生む都市気候」と題し、過去100年間の気温変化・湿度変化を示している。気象庁によると、都市化の影響が少ない15地点の過去100年間の気温上昇は平均1.5℃(これは地球温暖化の影響がほとんどと見られる)。これに比べ、東京は3.2℃、名古屋は2.8℃、大阪は2.7℃もあがっているという。地球温暖化の影響を1.5℃とすれば、それ以外(そのほとんどは都市化による上昇、すなわちヒートアイランド現象)による東京の気温上昇は1.7℃となり、大都市東京においては、地球温暖化の影響より、ヒートアイランド現象の方が気温上昇に与える影響が大きいことになる。一方、湿度も経年的に変化しており、都市化の影響が少ない13カ所は過去100年間に湿度が平均で6.6%少なくなったのに対し、名古屋は18.2%、京都は16%、福岡は16.3%も少なくなっているという。また、8月のある日の湿度が郊外では84%だったのに対し、都市部では60%だったという観測結果もあるという。地表面・水面からの蒸発あるいは樹木からの蒸散量が減っていること、および都市構造の変化により風通しが悪くなっていることなどに起因している。近年、地球温暖化に比べ、ヒートアイランド現象の影響を論じることが少なくなっているようであるが、都市部においてはむしろ、ヒートアイランド現象による熱的環境の悪化を考慮すべきである。建物の屋根をすべてクールルーフ(屋根に高反射材を塗る)にすると、昼間の気温が2℃下がるという試算もあるという。なお、地熱関係からの対応としては、地中熱利用冷暖房システムを普及させることが挙げられる。新規の公共施設建設においては、積極的な導入を期待したい。夏場のピーク電力対策とともに、二酸化炭素排出削減に大きな貢献ができる。ところで、本研究所では、地球温暖化・ヒートアイランド現象の影響の、気温とは別の観点からの実証的解明のため、各地(東京都千代田区、神奈川県藤沢市、埼玉県狭山市、茨城県つくば市2カ所、秋田市)で1m深地温の観測を続けている(狭山市では観測を始めてから、4年を経過し、5年目に入っている)が、年平均地温が経年的に確実に上昇していることや、年最高地温を示す日が年々早まっているなど興味深い結果が得られている。今後も観測を継続し、地域的な差(地球温暖化の影響とヒートアイランド現象の影響の分離を含めて)も明らかにしていきたいと思っている。観測結果については、日本地熱学会の学術講演会等で公表していきたい。
毎日新聞6月18日付朝刊によると、米国海洋大気局(NOAA)は16日、南極で測定した大気中の二酸化炭素濃度が、初めて400ppmを超えたと発表したという。NOAAによると、地上の観測点のうち、大台を超えていなかったのは南極だけだったという。「最後のとりで」もついに地球温暖化の危険水準に入ったことになる。なお、南極は、これまで、地球で最も二酸化炭素濃度が低い場所と考えられている。
毎日新聞6月16日付夕刊によると、昨年末(2015年12月26日)、重力波を観測した、米大学などのチーム「LIGO」が再びブラックホールの合体によって出た重力波を捉えることに成功したと15日発表したという。チームは「ブラックホールの合体は、宇宙で比較的頻繁に起きている現象」と発見の意義を強調している。重力波は米西部ワシントン州と南部ルイジアナ州に設置した2台の重力波望遠鏡で観測したという。3台以上の重力波望遠鏡で観測されれば重力波発生源の位置が特定され、議論が深まると思われる。わが国でも、昨年ノーベル賞を受賞した梶田東大教授のチームも岐阜県神岡で重力波望遠鏡を建設中と言われ、比較的頻繁に重力波が発生しているとすれば、EU建設中のものと合わせ、重力波の研究が大きく進展する可能性がある。大いに期待したい。
日本経済新聞6月14日付朝刊によると、東京海上日動火災保険は6月から、地熱発電の事業者を対象にした新たな賠償責任保険を販売するという。地熱発電所の好立地地域周辺には温泉が多く、周辺の温泉業者から温泉の枯渇や泉質の変化を心配する声が多く、発電所建設だけでなく、調査自体も受け入れられず、有望な資源が予想されるにも関わらず、地熱発電等の地熱エネルギー利用ができない地域が少なくなかった。これは、地域にとって不幸であるだけでなく、国民全体にとっても不幸なことであった。なお、わが国の地熱発電所には運転開始以来50年に達するものがあるが、これまで温泉に悪影響が生じたことはなく、むしろ、現実の地熱発電利用と温泉利用とは良好な共生関係にある場合がほとんである。しかしながら、新規に発電所が計画される場合、このような経験が必ずしも生かされず、科学的要因に基ずくというより、心理的要因に基づいて反対される場合が多かった。しかし、いずれにせよ、このような保険が発売されれば、温泉関係者の考え方や心理も変わり得るので、地熱事業者は加入することが望まれる。そして、この保険制度が温泉関係者を含め、広く国民に知られることを期待したい。温泉問題は、公園問題と並ぶ、地熱発電推進における二大障壁であるが、保険制度によって、温泉問題が改善の方向に向かうことを期待したい。なお、大規模地熱発電所の場合、同時に、発電所をより早期に運転開始するにあたって、地元の関与した発電経営形態なども考慮していくことが必要ではないか。地熱発電における国の数値目標は、「2030年度までに、地熱発電設備容量を、現在の3倍の150万kW」である。このチャレンジングな数値目標達成のためには、地熱事業者側はこれらを含め、いろいろと知恵を絞る必要があると思われる。
毎日新聞6月10日付朝刊によると、家庭や企業が節約した電力量を売買できる「ネガワット取引」の普及に向けて、政府は来年4月の市場開設の準備を進めているという。夏場などで電力需要が逼迫した際などに、節電によって需要を抑え、電力の安定的な供給を確保するのが狙い。これまでは、電力会社が工場などの大口需要者と個別に「需給調整契約」を結び、需給が逼迫した際の節電を条件に料金を割り引くなどの需要抑制策があった。今回の「ネガワット取引」では、家庭を含め幅広い電力消費者を対象とし、節電分の電気代が浮くことに加え、報奨金支払いで確実に節電効果を上げる狙いがある。また、電力会社が発電所建設などの投資を削減できる効果も見込まれる。大規模石炭火力発電所の建設が抑えられることに寄与すれば、省エネ、CO2排出量削減にも影響を及ぼし得る。有効な施策と思われる。なお、夏季の電力ピークを抑えるためには、都心で地中熱利用冷暖房システムの導入を進めることも有効であろう。電力消費の削減とともに、CO2削減にも寄与できる(従来型システムに対して、数10%の削減効果あり)。2020年東京オリンピックに向けて、都心での建物の新設、ホテル・大規模施設の改修計画もあがっているが、冷暖房システムとして、通常の空気熱源エアコンシステムではなく、地中熱利用冷暖房システムの導入が進むことを期待したい。
毎日新聞6月10日付朝刊によると、政府の地震調査委員会は9日、一連の熊本地震の活動が弱まっていると判断し、熊本県熊本、阿蘇地方でマグニチュードM6程度(最大震度6弱程度)の余震、大分県中部ではM5程度(最大震度5強程度)の余震が、今後発生する可能性は低下したとの見解を示したという。ただ、九州地方では過去に地震が起こった場所の近くで2~3か月後に同程度の地震が発生したこともあり、熊本県から大分県にかけては今後も最低1か月程度は震度6弱以上の地震が発生することは否定できないとしている。今回の一連の地震活動においては、前震・本震問題が大きな議論になったように、経験的に地震活動の推移を予測することは難しく、慎重に推移を見守るべきであろう。今後、復旧が大きく前進するとともに、広域で大きな震度の地震が多発したことの地球科学的意味が明らかにされることを期待したい。
6月8日 毎日新聞6月8日付夕刊によると、米国 オバマ大統領とインド モディ首相は、7日ワシントンで会談し、国際的な地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」の批准手続きを急ぎ、早期の発効に向けて、連携することで合意したという。オバマ大統領(米国の排出量は15.9%)は、年内の協定発効を目指し、温室効果ガス排出量が多い中国(排出量28%)やインド(排出量5.8%)に批准を呼び掛けてきた。米印の合意は早期発効を後押ししそうという。なお、中国も年内批准をすでに表明している。先月、伊勢志摩で開催されたG7でも年内発効に向け努力することで合意している(日本は3.8%)。排出量の12%を占める欧州連合(EU)は前向きに検討しているものの、時間がかかる見通しという。このような中で、日本はどうだろう。日本は批准手続きが遅れており、「日本抜き」で発効する可能性もあるという。このように国際的に見て嘆かわしいことにならないように政府にはいっそうの努力を期待したい。なお、同日の夕刊記事の別ページに、米国の資金融資のもと東芝子会社(ウェスチングハウス・エレクトリック社)が「インドで原発6基受注」という記事が掲載されている。経済優先の選択は原子力事故発生をどう考えているのだろうか。原発大国のほとんどは大規模な事故災害を起こしている。結局は国民が被害を受けるのではないか。地球温暖化対策のため、原発を導入するということは究極の矛盾である。
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