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『豪サンゴ礁3割死滅 16年海水温上昇で』 毎日新聞4月24日付朝刊はこう報じている。オーストラリアの研究機関「ARCサンゴ礁研究所」は同国東部沖にある世界最大のサンゴ礁「グレイトバリアリーフ」で、地球温暖化などがもたらした海水温度の極端な上昇の影響で、サンゴが大量に死滅したとの研究報告を発表したという。報告は科学誌ネイチャーにも掲載という。エルニーニョ現象の影響も重なって水温が極端に上昇した2016年3~11月の9か月間で約3割のサンゴが死滅したことが判明。特に水温が高かった北部の3分の1は深刻で、死滅したサンゴの比率は5割を上回ったという。日本国内の白化に関しては、沖縄県の石垣島と西表島の間にある国内最大のサンゴ礁「石西礁湖」で大規模な白化が生じており、白化率は、2016年末時点で91.4%、2017年末時点で49.9%と環境省から報告されている。2017年は改善しているが、環境省は「高い水温、高い白化率が続いており、楽観できない」としている(毎日新聞2018年1月20日付朝刊)。地球温暖化の影響は暖かい海域では、すでに世界的規模で明瞭に広がっていることになる。
『はや夏の太陽 各地で30℃超』 毎日新聞4月22日付朝刊はこう報じている。  日本列島は21日、高気圧に覆われ、全国的に晴れて気温が上昇した。東北、北陸、甲信、近畿地方で今年初めて最高気温30℃以上の真夏日となった。気象庁によると、全国929の観測点のうち27地点で4月の最高気温を更新した。主な最高気温は島根県川本町で32.1℃、宮城県丸森町と兵庫県豊岡市が31.8℃。「暑い街」として知られる埼玉県熊谷市は28.7℃で、同市の嘱託職員、小川健一さん(57)は「夏がどうなるのか思いやられる」と話していたという。22日も晴れが続き、関東では21日を上回る気温となる見込みという。気象庁は「体が暑さに慣れていないので、熱中症に注意して」と呼びかけている。当研究所では、2012年5月8日以降、敷地内で1m深地温の連続観測を行っているが、今年4月初旬以来地温は急上昇し、現在、4月22日の地温としては、過去最高の1m深地温を示している。これは例年になくこの時期、大気中から地中への熱の流入が大きくなっていることを示している。
『環境省が「暑さ指数」 熱中症対策に』 毎日新聞4月22日付朝刊はこう報じている。環境省は、熱中症の起きやすさを示す「暑さ指数」の公表をインターネットで開始したという。9月28日までで、熱中症予防に役立ててもらうとしている。暑さ指数は気温や湿度、日射しの強さから算出する国際指標。ホームページでは全国840地点の1時間ごとの数値や、翌々日までの3時間ごとの予測値を表示するほか、熱中症の起きやすさを5段階で色分けして知らせるという。同省の「熱中症予防情報サイト」(http://www.wbgt.env.go.jp/)に加え、携帯電話やスマートフォン向けのサイトがあり、希望者にはメール配信も行うという。不快指数をさらに深めた指数と言えようか。当研究所(埼玉県狭山市)では、2012年5月8日以降、所内で1m深地温(気温と共に、地中への日射量等も反映している)の連続観測を行っているが比較検討してみたい。
『新しい環境基本計画 SDGs の出遅れ挽回を』 毎日新聞4月22日付朝刊社説はこう報じている。  国の環境政策の指針となる環境基本計画が決定されたという。6年ぶりの改定で、国連の「持続可能な開発目標」(SDGs=エスデージーズ)と地球温暖化対策の「パリ協定」に的確に対応することを打ち出したという。二つの国際合意に基づき、世界は持続可能な脱炭素社会の構築に向けて動き出している。新計画がその流れを踏まえた点は評価できるとしている。日本はSDGsや脱炭素化の取組みで、世界の潮流に乗っているとは言い難い状況にある。新計画を、出遅れ挽回につなげる踏み台としてほしいともしている。SDGsは、2015年に採択された世界共通の目標である。先進国、途上国を問わず「誰一人取り残さない」社会の実現を目指したものである。貧困や飢餓の撲滅、温暖化対策など17分野で世界が解決すべき目標を示している。経済、社会、環境の三つの側面から、総合的に達成を目指しているのも特徴である。新計画はSDGsにならい、地域や経済、技術など分野横断的に六つの重点戦略を設定している。このうち「地域」では「地域循環共生圏」という考え方を掲げている。農山漁村などで再生可能エネルギーの地産地消(⇒この言葉が安易に使われるが、エネルギーについてはよく検討すべきである)を進め、温暖化対策や雇用拡大につなげるものである。自然を守りつつエコツーリズムなどで活用し、近隣の都市部の住民にもメリットをもたらす(⇒地熱資源に恵まれている農山漁村では、地熱エネルギーを用いた、熱水利用による農水漁産物の高付加価値化及び地熱発電等の利用により、地域の持続可能な発展に大いに寄与できる。地熱資源に恵まれている地域では、恵まれた地域の宝を活かしていくべきと考えられる)。ドイツ財団などが昨年発表したSDGsの達成状況で日本は、温暖化対策が4段階の最低評価、再エネ導入が下から2番目と、環境・エネルギー分野で遅れが目立つ(本来は、日本が国際的に先導そして貢献できる、数少ない分野の一つでもある)。温暖化対策では、温室効果ガスの排出量取引や炭素税などの導入に前向きな環境省と、反対する経済産業省の対立が続いているのが日本の現状である。環境への配慮を欠いた経済成長など、もはやありえないことを大前提に、政府一体となった施策づくりが、今こそ求められているとしている。もっともな提言と思われる。短期的な見方の経済優先論が、国際的にも、将来的にも破たんしていることは明らかである。前向きな政策転換を望みたい。
『白い噴煙100㍍ 霧島・硫黄山 新燃岳噴火と同じマグマだまりか 専門家指摘』 毎日新聞4月21日付朝刊はこう報じている。  19日に250年ぶりに噴火した宮崎・鹿児島県境の霧島連山のえびの高原・硫黄山は。20日朝に噴火が停止したが、水蒸気と見られる白い噴煙が高さ約100㍍まで上がるなど活発な噴気活動が続いている。気象庁によると20日の上空からの観測では、山の南側で複数の白色の噴煙が上がり、泥水の噴出も見られたという。また、今回の硫黄山の噴火について、防災科学技術研究所の中田節也・火山研究推進センター長(火山地質学)は、3月から爆発的噴火が起きている霧島連山の新燃岳にマグマを供給したのと同じマグマだまりの影響で起きた可能性が高いと見ているという。気象庁によると、マグマだまりは硫黄山近くのえびの岳の地下約6㌔にあり、さらに深部からのマグマの供給が続いていると見られる。中田センター長は硫黄山の噴火は、マグマだまりに由来する熱やガスで起きた「水蒸気噴火」とみられると指摘している。一連の霧島連山の活動の中で、硫黄山は新燃岳よりえびの岳の下にあるマグマにより近く、硫黄山の噴煙活動は新燃岳の活動の前兆的活動を示す可能性があり、硫黄山の活動に注意していく必要があるだろう。硫黄山からの噴煙量・噴煙中のSO2放出量のモニタリングは重要だろう。それらが新燃岳・硫黄山の山体膨張とどのように関係があるかが活動予測のポイントであろう。今回の硫黄山の噴火前、新燃岳からの噴気は前回の噴火後明らかに低下していたが、硫黄山からはやや強い噴気が連続的に噴出していたことも忘れてはならないだろう。
『津波予測に新たな一手 上空の電離圏ホール活用 速さと精度 向上』 毎日新聞4月20日付夕刊はこう報じている。 津波発生地点の上空約300㌔にできる「電離圏ホール」と全地球測位システム(GPS)の電波を利用し、津波の規模や到達時間を予測するシステムを東京学芸大の鴨川仁准教授(大気電気学)らが開発したという。津波の全体像を把握しやすく、地震計や津波計の観測と合わせることでさらに正確な予測が期待できるという。GPSを用いるため、津波計が普及していない海外でも容易に予測できるようになるという。電離圏は、地上約80~100㌔で高密度に電子が存在している層。鴨川准教授らは東日本大震災の発生時、津波が発生した上空で電子密度が小さくなる電離圏ホールがしばらくの間できたことをGPSの電波を使い発見したという。海面の盛り上がりによる空気振動で電子が減ったことが原因で、ホールを通過すると電波の周波数が乱れる現象を利用して解析した。2004年のスマトラ沖大地震でも過去のGPSデータで現象を確認。津波の予測に活用できないか研究してきたという。過去20年間に太平洋で発生した7回の津波について、7基のGPS衛星と日本国内にある約1000機の受信機のデータを分析。その結果、周波数の乱れの幅などからホールの大きさを推計し、津波の規模を算出するプログラムを作成した。津波発生からホールができるまで最低8分かかるが、規模や陸地までの距離によっては地震計や海底の津波計を利用するより早くて精度が高い予測が可能になるという。鴨川准教授らはシステムの精度を向上させるため、南海トラフ地震で大きな津波が想定される中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)をモデルに来月にもシュミレーションを実施するという。東北大の今村文彦教授(津波工学)は「地震計や津波計と異なり、このシステムは上空から津波の全体像を見下ろすように観測できる。予測の精度向上につながる」と話しているという。この予測システムが実用化されれば、緊急地震警報システムの高精度津波版と言えようか。
『外部資金獲得に追われ 「チバニアン」の裏側 科研費採択25%「狭き門」 幻の科学技術立国 第1部「改革の果てに」』。毎日新聞4月19日付朝刊「科学の森」欄はこう報じている。「チバニアン」という日本名が付いた地質時代名が国際的に認知される過程の中で、当該研究者たちは研究継続に大変な苦労したことを一つのきっかけに、日本の大学研究者が置かれている状況をレポートしている。記事の分量が多いので、関東の国立大に勤める50代の女性教授の例について絞って具体的に紹介したい。  「何のために研究者になったんだろう・・・・・」。女性教授は、こんなやりきれない気持ちになった時、大学構内の図書館に駆け込む。古書のにおいを嗅ぐと自分が研究者であることを思い出し、つかの間、気持ちが落ち着くからだという。研究者は「自分に不思議と思えることを追究できる幸せな職業」だと思っていたという。大学卒業後、企業に勤めたが、「研究者として生きたい」と大学に戻った。しかし、今の生活はそんな理想とはほど遠い。日々の講義や研究室の学生の指導に加え、管理職として大学の運営業務にも携わる。スケジュール表は掛け持ちする学内の委員会の会議で埋まり、自分の研究に充てられる時間はほとんどない。さらに追い打ちをかけるのが、外部資金の獲得を促す大学側の強いプッレッシャーだ。「たとえ自分は必要なくても申請書を書かされ、書かないと学部のトップに呼び出される」。女性教授の専門である心理学は企業からの資金が得にくいため、科研費などの公的研究費の申請手続きにも追われる。ひたすら競争を求める大学についていけないと、早期退職した同僚もいるという。文科省による大学教員への調査では、02年には勤務時間の46%が研究に充てられていたが、13年調査では35%に減ったという。この調査では外部資金獲得のための書類作成なども研究時間に含まれるため、実際に研究そのものに充てられる時間はさらに少ない。科学技術・学術政策研究所による研究者の意識調査では「研究なんてほとんどできない」「管理的な業務が増え続け、研究そのものに充てる時間は、時間外労働やサービス残業で確保するしかない」「仕事の量は減らないのに職員が減っている」といった切実な声が寄せられたという。学内業務や外部資金獲得のための事務作業に追われて研究時間が作れない。当然良い成果は出ず、競争的資金はますます得にくくなる---。この「負のスパイラル」(女性教授)に陥り、もがいているという。山本清東京大客員教授は(大学政策)は「中国など研究力を伸ばしている国では、研究に専念できる教授がたくさんいる。日本では国公立大でも私立大でも、研究者の雑用が増え、研究時間が圧倒的に足りない。それが研究力低下を招いたことは明らかだ」と指摘している。上述の記事は現在の大学が置かれている状況をよく描き出している。筆者(当所の江原)も大学に長く務めたので状況が良く理解できる。勤務時間が長い大学の慣習の中では、女性教授にとってはさらに負担が多いだろう。外部資金獲得の苦労も良くわかる。筆者の場合は、工学系で、研究室約20名のスタッフ・学生のための研究費獲得(毎年1500万円程度)を目指し、多くの外部資金獲得に奔走した。その結果、幸運にも外部資金に恵まれ、多くのスタッフ・学生をつれて国内外のフィールド調査、そして国内外の学会に出席することができ、実に多忙ではあったが、恵まれていたと思う。しかし、大学退職後、「もっともうれしく思った」のは、「もう研究費申請をしなくて良いこと」だった。文部科学省は、短期間で次々と代わる新機軸を打ち上げ続けることを止め、大学教員が研究に十分時間を取れる学術政策を真剣に考えてほしいと思っている。
『250年ぶりに硫黄山噴火 宮崎・鹿児島県境』 毎日新聞4月20日付朝刊はこう報じている。 19日午後3時39分ごろ、宮崎、鹿児島県境にある霧島連山のえびの高原・硫黄山(霧島硫黄山)が噴火した。硫黄山の噴火は1768年以来で、250年ぶり。噴煙は最高で約500㍍まで上がり、火口周辺で大きな噴石の飛散も確認されたという。気象庁は噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げた。宮崎、鹿児島両県によるとけが人はいない。同庁は、硫黄山から約2㌔の範囲で噴火に伴う噴石や火砕流への警戒を呼び掛けている。硫黄山では、今年2月後半から火山性地震が増加。小規模な噴火の恐れがあるとして、2月20日に噴火警戒レベルを1(活火山であることに留意)から2に引き上げていた。霧島連山では、硫黄山の南東約5㌔の新燃岳でも3月6日に7年ぶりの爆発的噴火が発生し、噴火警戒レベル3が継続している。3月6日の新燃岳噴火後、新燃岳の活動は急速に弱まった。一方、霧島硫黄山の噴気活動を気象庁の火山カメラで毎日観察してきたが、白い噴気の放出はそれほど弱まっておらず、地下からの供給は依然と継続していると見ていたが、今回、硫黄山地下に大量の火山ガスが蓄積していたのだろう。
『「第2の地球」探索へ NASA宇宙望遠鏡打ち上げ』 毎日新聞4月19日付夕刊はこう報じている。  米航空宇宙局(NASA)は18日、太陽系の外にある地球型惑星を探す新たな宇宙望遠鏡「TESS(テス)」を、米フロリダ州から打ち上げたという。適度に温暖で、生命を育む水にあふれた「第2の地球」の発見を目指すという。米スペースXのファルコン9ロケットでケープカナベラル空軍基地から打ち上げられた。観測が始まれば、岩石でできていて大きさが地球に近く、水が液体の状態で存在できる惑星が数100個見つかると期待されているという。TESSは高性能カメラを4台搭載し、これまで太陽系外の惑星を探すのに使っていたケプラー宇宙望遠鏡に比べて400倍広い範囲を観測できるという。太陽から300光年の範囲内にある比較的近い惑星を探す。太陽以外の恒星を回る惑星は、離れていて光を直接出さないため見つけるのが難しい。TESSは恒星の手前を惑星が横切る際にわずかに暗くなる現象を手掛かりにするという。惑星の大気をかすめて飛んでくる光も分析し、大気がどのような成分でできているか調べる。NASAは2020年にジェームズ・ウェブ宇宙望遠鏡を打ち上げる予定で、TESSで見つけた惑星をさらに詳しく調べる計画だという。百数十億光年先の天体は実感しにくいが、300光年程度の地球に似た惑星を探すというのは何となく身近に感じられ、科学者以外の一般の方々にも、このような研究から、科学的成果が人類を見つめるための有用な役割を担う可能性が感じられるのではないか。
『海運の温室ガス 今世紀ゼロ合意 国際海事機関』 毎日新聞4月15日付朝刊はこう報じている。ロンドンで開催中の国際海事機関(IMO)海洋環境保護委員会は13日、国際海運分野の地球温暖化対策として、今世紀中のなるべく早い時期に船舶が排出する二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出ゼロを目指すことで合意したという。国際海運分野での温室効果ガス削減の目標値で国際社会が合意するのは初めてという。IMOの委員会が採択した「削減戦略」は船舶での省エネ技術、新たな燃料の導入などを通じて2030年までに全体の燃費効率を08年比で40%改善、50年までに排出量を半減させるとの目標も決定。船籍にかかわらず対策を進めるとしたという。省エネ技術の導入はともかく、新たな燃料の導入は困難が伴いそうである。チャレンジングな目標設定に敬意を表したい。このような国際的な事業関連機関による合意は意義がある。他産業でも追随してほしいところである。
『北極温暖化に新説 三重大チーム解明「凝結熱」で加速 シベリアからの大気 一因』 毎日新聞4月13日付夕刊はこう報じている。 三重大大学院生物資源学研究科の立花義裕教授(気象学)らの研究チームが、シベリア上空から流れ込む大気が北極の温暖化を加速させているとする新説を発表したという。海氷の減少だけでなく、大気の流れにも注目して包括的な分析を加えたと言い、英国の学術誌「サイエンティフィックリポート」(電子版)に掲載されたという。アラスカ大、モスクワ大も参加する研究チームが2013年8~9月、北極海上で砕氷船から観測気球を打ち上げ、上空の気温や湿度、風向きなどを調査。これまで蓄積してきた気象データなども踏まえて大気の流れを分析した。その結果、水蒸気を多く含んだ大気がシベリア上空から北極へ流れ込んでいることを確認。この大気は、北極の低空域にある冷たい大気(寒気ドーム)を滑りあがり、雲を発生させていた。気体(水蒸気)が液体(雲)に変わる際に放出される「凝結熱」の影響で、北極の温暖化を加速させていると結論づけた。立花教授によると、12年の北極海の氷の面積は、1979年に比べて55%減少した。海水温の上昇などで海氷が減少し、北極上空の寒気ドームも縮小。その影響でシベリアから北極に大気が流れ込みやすくなったと分析している。北極では地球上の2倍のスピードで気温が上昇しているといい、その背景に大気の流れがあるとしているという。気象庁気候情報課の田中昌太郎調査官は「北極周辺の大気の流れを現地で直接観測したデータは少なく、今回の研究発表は従来より多面的な気象分析に寄与する」と指摘。国立極地研究所(東京)の猪上淳准教授(気象学)は「熱源として凝結熱に着目したことが新しい。北極温暖化のメカニズムは研究者の間でまだ合意が得られておらず、貴重な研究成果」と評価しているという。近年、大規模気象現象の解明には衛星画像・データを用いるものが多いが、このように焦点を絞って、自ら観測を行い、新たな現象を発見したことは意義深い。これも観測科学の醍醐味であろう。今後の進展を期待したい。
『仁徳陵 40メートル長かった 宮内庁 周濠部分を測量し判明』 毎日新聞4月13日付朝刊はこう報じている。国内最大の古墳で、宮内庁が仁徳天皇陵として管理する大山古墳(堺市)の墳丘の全長が、5世紀の築造当初、少なくとも現在より約40㍍長い525㍍はあったことが、同庁への取材で明らかになったという。宮内庁書陵部が水に覆われた周濠部分の地形を初めて測量し判明した。486㍍としている現在の全長は、大正時代の測量に基づく。約1600年の月日で堆積したヘドロの下には、さらに墳丘が広がっている可能性もあるという。また、3重になっている周濠のうち、いちばん内側だけでも、標準的な25㍍プール700杯分に当たる約34万立法㍍の水があることも分かった。調査は2016年12月に実施した。宮内庁は、将来的に周濠の水を全部抜き、浸食が続く墳丘の護岸工事をする方向で検討しており、排水計画を立てるため、ボートに乗せた機器から音波やレーザーを発する方法で水面下の地形を調べ、水量も計測したという。水に覆われた部分にも、墳丘の裾部分が広がることを確認したという。宮内庁が、自らが管理する墳丘の調査を進めることは望ましいことと思われる。宮内庁が天皇陵としている墳墓の調査は一般に認められていないが、古代史の科学的な解明のため、宮内庁自らが調査をすすめるとともに、研究者による学術調査を認めてほしいものである。それにより、古代史解明に大いに寄与することができるのではないか。
『南鳥島海底にレアアース 世界需要の数百年分 東大などのグループ発表』 毎日新聞4月11日付朝刊はこう報じている。携帯電話などに欠かせないレアアース(希土類)が、小笠原諸島・南鳥島(東京都)周辺の排他的経済水域(EEZ)の海底に世界需要の数百年分あることが分かったという。東京大や海洋開発研究機構などの研究グループが11日付の英科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表したという。レアアースは現在、生産量の9割を中国が占めている。グループは2013年、南鳥島沖の海底に高濃度のレアアースを含む泥(レアアース泥)があることを発見。調査船で15年までに南鳥島沖南250㌔の海底(深さ約5600㍍)25カ所から試料を採取し、約2400平方㌔の資源量を推定した。その結果、約1600万㌧あると推定され、モーターなどに使うテルビウムは世界需要の420年分、液晶ディスプレイの発光体に使うユウロピウムは620年分あるという。採掘技術の開発も行い、レアアース泥の粒の直径が通常の4倍以上あることに着目。特殊な装置でふるいにかけレアアースを抽出する方法を発明し、地上の実験で、ふるいにかけず泥をすくうより2.6倍の濃度でレアアースを採取することができたという。調査に参加した加藤泰浩・東京大教授(地球資源学)は「十分な資源量が海底にあることが分かった。効率的に採取できる可能性も高まり、資源開発の実現に一歩近づいた」と話しているという。貴重な資源が特定の一国の生産量に縛られると政治的原因からも輸入量が不安定になる。従って、新たに国内で資源を探していくことの意義は大きい。すなわち、我が国は海底に資源を求めるのが一つの行き方だろう。
『エネ戦略 後手後手 主力なく「総花に」経産省提言』 毎日新聞4月11日付朝刊はこう報じている。経済産業省の有識者会議「エネルギー情勢懇談会」が10日まとめたエネルギー長期戦略の提言は、当面のエネルギーの「主役」が見通せない中で、すべての選択肢を追求する総花的な内容となったという。世界的に普及が進む再生可能エネルギーへ注力する姿勢は打ち出したが、他国に比べ出遅れは鮮明で、日本の戦略が後手に回っている。これまでのエネルギー政策を追認してきた現有識者会議メンバーでは致し方ないだろう。世界の趨勢、将来の方向は感じていながら、従来の方向から抜け切れないでいる。典型的な時代遅れの様相である。将来的には、再生可能エネルギーで進まざるを得ず、かつリスク分散を考えれば各再生可能エネルギーがそれぞれ10~20%程度をシェアすること以外には解決方向がないと思われるが。この方向に方向転換するには、旧来の考えの人々には退場してもらうほかはない。将来を正しく見据えた、若手官僚の台頭を期待したい。
『石炭火力 邦銀多額融資 国際団体公表 1~4位は中国勢』 毎日新聞4月10日付夕刊はこう報じている。地球温暖化を悪化させるとの批判が特に強い石炭火力発電事業に、中国の銀行や日本のメガバンクが多額の融資をしているとの報告書を国際環境団体のチームが9日、公表したという。世界の主要36行のうち融資額1~4位を中国の銀行が占め、三菱UFJフィナンシャル・グループが5位、みずほフィナンシャルグループが9位だったという。温暖化の深刻な被害の回避を目指す「パリ協定」が2020年に始まるのを踏まえ、世界では脱石炭の流れが強まっている。東京都内で記者会見した環境団体レインフォレスト・アクション・ネットワークのハナ・ハイネケンさんは「パリ協定」の目標が達成できるよう、化石燃料への融資を中止すべきだ」と話したという。報告書は、36行が15~17年、パリ協定の目標達成を脅かす化石燃料事業にどの程度融資したかを分析。石炭火力への融資は計939億ドル(約10兆円)に上がり、最多は中国工商銀行だったという。三菱UFJは45億ドル、みずほは33億ドル、三井住友フィナンシャルグループが9億ドルで22位という。日本と中国の銀行が融資額全体の半分以上を占めている。石炭火力は天然ガス火力の2倍以上の二酸化炭素(CO2)を出すとされる。価格が安く、国内では東京電力福島第1原発事故以降に増加。国際協力銀行(JBIC)やメガバンクは、東南アジアなどへの輸出も支援しているようだ。全く困った銀行の暗躍である。外国のためにならない融資はやめるべきであろう。今日(4月10日)夕方のNHKTVはニュースで、メガバンクの収益が落ち(それに加えて、新営業システムの導入もあるようだが)来年度採用人員を大幅に削減するとの報道を行っていたが、メガバンクの石炭火力への融資は、「貧すれば貪する」あるいは「背に腹は代えられない」をまさに地で行くことになる。世界の及び将来の人類から非難を浴びるようなことは避けるべきである。むしろ再生可能エネルギーに融資すべきと思われる。
『90億光年先 星観測 東大、東北大チーム 「最も遠い」記録更新』 毎日新聞4月6日付朝刊はこう報じている。 単独で見分けられる星としては最も遠い、90億光年離れた恒星の観測に成功したと、東京大や東北大などのチームが英科学誌ネイチャー・アストロノミーで発表したという。無数の星が集まった銀河はもっと遠い場所で見つかるが、単独の星ではこれまで約1億光年先が最も遠く、記録を大きく上回った。宇宙空間に重い物質や天体があると、その大きな重力によって光が曲がる「重力レンズ」という現象が起きる。かすかな光しか届かない遠い星でも、この現象で光が集まって地球で観測できるという。チームはハッブル宇宙望遠鏡で観測中に、遠い銀河の中で光る点のような天体を発見。1個の星から出た光が重力レンズの効果で2000倍以上強められたものとわかったという(その詳細なプロセスは原論文を見る必要がある)。過去の観測では見えなかったが、重力レンズの効果が強くなる領域へ動いたため捉えることができたという。チームは、ギリシア神話に登場する人物から「イカロス」と名付けたという。宇宙はまだまだ未知のもので満たされているようだ。恒星が単一の構成であれば、その恒星の性質が解明しやすいのであろうか。
『温暖化適応「情報不足」 対策担う自治体の7割 本紙調査』 毎日新聞4月5日付朝刊はこう報じている。 地球温暖化に伴う被害を軽減する対策(適応策)の推進に対し、地域での対策を担う都道府県と政令市の約7割が「影響予測や対策に関する科学的な情報が不足している」と毎日新聞の全国調査に回答したという。適応に関する計画は、9割超が策定済みか策定を予定しているが、情報不足が実行を滞らせる可能性があるという。環境省等は国内での温暖化の影響予測をまとめた報告書「日本の気候変動とその影響」を最近公表しているが、報告書の公表・送付だけでなく、実際に地方に足を運び、丁寧に説明することが必要であろう。分厚い報告書を公表し、送付するだけでは全く不十分である。親身になった対応が必要である。今後の環境省の動きを期待したい。本省でなくても、全国の主要都市にある地方環境事務所が地域ごとに説明会などを行うことが求められるだろう。それこそが真に国民に役立つ情報発信となろう。
『CO2削減 経産省が勧告 神鋼の新設石炭火力巡り』 毎日新聞4月5日付朝刊はこう報じている。経済産業省は4日、神戸市に石炭火力発電所の新設を計画する神戸製鋼所に対し、二酸化炭素(CO2)のさらなる削減策を講じるよう求める勧告をしたという。稼働後に電力供給を受ける関西電力などと連携し、対策を取るよう要請した。妥当な勧告と言えよう。この問題は、もともと環境大臣も強く要望していたものであり、発電推進側の経産省がこのような判断を下したことは当然とは言え、価値ある。経産省もこれまでの政策に拘らず、国際的動向、将来の地球環境に配慮し、今後とも是是非非で判断されることを期待したい。
インターネット情報(4月5日06:50、共同通信)によると、霧島連山の新燃岳が噴煙高さ5000m(最近の一連の噴火では最も高いと思われる)の爆発的噴火をしたようだ。宮崎、鹿児島県境にある霧島連山・新燃岳(1421㍍)で5日未明、爆発的噴火が起き、噴煙が今年3月以降の噴火活動ではもっと高い、火口から約5000㍍まで上がったという(噴火前に山体膨張は観測されていたのだろうか? 気になるところである)。気象庁は噴火警戒レベル3(入山規制)を維持し、火口から2㌔圏で火砕流に、3㌔圏で大きな噴石に警戒するよう呼びかけている。気象庁によると、5日午前3時31分に起きた爆発的噴火で、大きな噴石が火口から約1.1㌔まで飛んだという。その後にも噴火が観測された。爆発的噴火は3月25日以来。風下側を中心に火山灰や小さな噴石にも注意が必要としている。3月25日以降、新燃岳火口からの噴煙もほとんどなく、活動は沈静化していたように見えたが、これは活動の終了を示すものではなく、一時的な停止(地下からはマグマの供給が続いていた?)であったようだ。今後も爆発的な噴火が予想されるので、注意深い観測が必要だろう。なお、新燃岳北西約5kmにある硫黄山の噴気活動が3月25日以降、やや衰えてはいたが、依然活発であったことは重要ではないか。硫黄山の噴気活動もしっかりモニタリングする必要があるだろう。 ⇒⇒⇒なお、4月6日早朝のNHKTVでは4月5日未明の爆発的噴火の噴煙最高高度はさらに高く8000㍍であったようだ。今後の火山活動の注意深い観測が必要と思われる。
『「温暖化対策せず」5.4℃上昇 気候変動の予測 国が報告書』 毎日新聞4月4日付朝刊の「くらしナビ&環境」欄はこう報じている。 地球温暖化抑制の有効な対策を取らなかった場合、今世紀末の平均気温は現在と比べ最大で5.4℃上昇するなど、国内での温暖化の影響予測をまとめた報告書「日本の気候変動とその影響」を環境省などが公表したという。温暖化影響への対応「適応」を強化する「気候変動適応法案」が今国会で成立する見通しで、報告書は被害軽減策の計画策定や実行に役立てる狙いがある。 報告書は、同省などが最新の研究成果などを基に2009年から公表している。今回は13年以来5年ぶりの改定で、農業や水害、土砂災害など、人命や経済への深刻な影響が大幅に拡充されたという。報告書によると、日本全体の平均気温は今世紀末に3.4~5.4℃上昇すると予測。地域別では、東京都を含む東日本の太平洋側で3.2~5.3℃上昇など、緯度の高い地域ほど上昇幅が大きい。年間の真夏日数も全国的に増加する。東日本の太平洋側では約57日増え、地域によっては100日以上になる可能性もあるという。北日本の太平洋側の北海道釧路市の場合、これまでは最高気温が30℃を超えるのは10年に1度程度だったが、予測では30日以上になり、生活スタイルや産業などへの影響は必至だと見られている。 ゲリラ豪雨のように短時間に強い雨が降る回数も増加する。1時間当たり50㍉以上の「滝のように降る雨」は1970年代以降増加傾向にあり、今世紀末には、現在よりもさらに増えると予測されている。豪雨の発生頻度も増える傾向にあり、06~15年の土砂災害の年平均件数が1046件だったのに対し、16年は1492件に上がった。17年7月の九州北部豪雨では、福岡県朝倉市で24時間の解析雨量が約1000㍉に達し、甚大な被害が出た。今世紀末には最悪の場合、大雨の際の雨量が約25%増加する可能性がある予測され、土砂災害の規模拡大や頻度が増えることが懸念されるという。農業分野では、気温上昇傾向に伴って、品質低下など悪影響が出始めているため、いち早く適応策が取られている。コメは穂が出てから約20日間の気温が高いと、低い品質のコメ粒が増える。既に全国で高温による品質低下や収量の減少が確認され、各地で高温に強い品種や栽培技術の開発・普及が進んでいる。「きぬむすめ」や「つや姫」など高温耐性品種の作付面積は、記録的な猛暑だった10年と比べ、16年時点で2.4倍に上がっているという。報告書の構成や査読を担当した専門委員会の肱岡靖明委員長は「新たな予測なども増え、影響に関する情報が充実した。今後適応策を進めるために、ウェブサイト『気候変動適応情報プラットホーム(A-PLAT)』で報告書の内容を分かりやすく伝えるなど、一般の人にも地球温暖化に関する最新の知見を広める取組みを進めたい」と話しているという。温暖化の影響はますます大きくなっているが、CO2削減対策はいっこうに進まない。現状では、予測の悪い方へ進みかねない。
『3月 平年より2~3℃高く サクラ 全国で急速満開』 毎日新聞4月3日付朝刊はこう報じている。今年の桜前線は急速に上昇し、各地のサクラが記録的な速さで満開になっているという。全国32の観測地点で平年より1週間以上早く満開になり、うち14点では観測史上最も早く満開になった。気象庁によると、3月は南から暖かい空気が流れ込みやすい気圧配置だったため、全国的に気温が上昇して開花が早まったという。同庁によると、寒気にさらされることで花の目が目覚めて開花の準備が始まる「休眠打破」が順調だったことと、3月の平均気温が各地で平年を2~3℃上回ったことなどで開花が早まったという。高知市や富山市などで11日、東京では10日早く満開になったほか、大阪市や名古屋市など14地点で観測史上最も早い記録となったという。民間の気象会社「ウェザーマップ」によると、4月中旬ごろまでに新潟や山形、秋田など北陸・東北地方で順次開花し、その後、桜前線は北海道へ進む見通しという。なお、当研究所(埼玉県狭山市)では2012年5月8日から、敷地内で1m深地温の連続観測を続けているが、近年の2~3月の月平均1m深地温は以下のようになっている。2016年:9.89℃(2月)、11.36℃(3月)、2017年:9.87℃(2月)、11.13℃(3月)、2018年:8.25℃(2月)、10.90℃(3月)となっている。 地温は2018年の冬は特に低くなっており、2018年の2月から3月にかけての地温上昇は2.65℃となっており、2017年および2016年より、かなり大きくなっている(1.26℃(2017年)、1.47℃(2016年))ことも桜の開花状態を良く裏付けている。
『粗悪学術誌ネットで急増 査読ずさん 掲載料狙いか』 毎日新聞4月3日付朝刊はこう報じている。インターネット専用の学術誌の中で、別の研究者による内容のチェック(査読)が不十分な論文を載せる質の低い学術誌が急増しているという。研究者から徴収する掲載料を目的として運営している業者もあると見られ、学術的に妥当と言えない成果に「お墨付き」が与えられることで誤解が広がる恐れもある。日本の科学者の代表機関「日本学術会議」は対応策を検討するという。多くのまともな研究者は論文の質を大事にしていると思われるので、問題が少ないと思われる。しかし、論文の数が必要な場合、そのような雑誌に投稿することがないとは言えないと思われる。大事なことは、新規ポストへの応募や昇進等で一定の論文数が必要な場合、それを審査する立場の人がきちんと論文の質を評価できるかという問題であろう。一般に時間が足りない審査者クラスの人に的確な判断ができるかどうかであろう。
『「50年に再生エネ主力」原発も温存 経産省有識者会議素案』 毎日新聞3月30日付朝刊はこう報じている。2050年に向けた国の長期的なエネルギー戦略を議論している経済産業省の有識者会議の提言の素案が29日、判明したという。太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーを「主力電源」と位置付ける一方、原発は温室効果ガス削減のための「選択肢」とし、依存度を下げつつ温存する方針を示したという。有識者会議は「エネルギー情勢懇談会」。地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」で、日本は50年に温室効果ガスを8割削減する目標を掲げている。懇談会はこの目標達成に向けた長期戦略を議論しており、4月上旬にも提言をまとめるという。経産省は30年までの国のエネルギー戦略を定める「エネルギー基本計画」の見直し作業を進めている。提言を基に、新たな基本計画に50年までの長期戦略を初めて盛り込むという。素案では、再生可能エネルギーが価格低下によって「主力化への可能性が拡大している」と指摘。ただ、天候などにより発電量の変動が激しい点などが課題として、蓄電池などの技術開発に向けた投資を促進するという。従来の基本計画で「重要なベースロード(基幹)電源」と位置付ける原発については、「脱炭素化の選択肢」として、人材や技術維持に取り組む必要性を明記している。火力発電については、非効率な石炭火力などを順次廃止する考えも示している。電源構成などの数値目標は示さなかったという。再生可能エネルギー発電の主力化、石炭火力の順次廃止化は評価できるが、依然として、原発を温存する姿勢で、全体として折衷的で新味はなく、将来における方向が明確でない。伝統的な考え方の多い有識者会議では、これ以上は無理だろう。経産省も若手官僚の抜擢を図り、有識者会議委員も大幅に変える以外は、世界の動向を先導し、将来世代に夢と責任を持てる画期的な政策は残念ながら出てこないだろう。
『衝撃的だった「ブラックホール蒸発」 ホーキング博士 宇宙論に影響大きく』 毎日新聞3月29日付朝刊の「科学の森」欄はこう報じている。 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)に見舞われながら、ブラックホールや宇宙創成について独創的な理論を次々と打ち出した英国のスティーブン・ホーキング博士が76歳で亡くなった。現代宇宙論に大きな影響を与えたホーキング博士の業績を振り返る。博士の代表的な業績は「ブラックホール蒸発理論」(1974年)だ。強大な重力のため、この世で最速の光さえ逃げ出せないはずのブラックホールからエネルギーが放射(ホーキング放射)され、ブラックホールは徐々に質量を失ってやがては消滅するという理論だ。「最初は『えっ?』と思ったが、よく考えれば納得できた。『コロンブスの卵』のよう理論でショックを受けた」と、ほぼ同世代の佐藤勝彦・東京大名誉教授(72)=宇宙物理学=は当時を振り返る。ミクロの世界を扱う量子力学では、真空とは何もない状態ではなく、それと反対の電気を帯びた反粒子のペアが生まれては消える。ブッラクホールの境界付近で生まれた粒子と反粒子のペアのうち、片方がブラックホールにのみ込まれ、もう片方が外に逃れると、逃れた方はブラックホールから飛び出したように見える。これがホーキング放射だ。ホーキング放射はわずかで、宇宙にあるブラックホールが蒸発してしまうには、宇宙の年齢(138億歳)でも足りない。まだ、実証されていないが、多くの物理学者は正しいだろうと考えている(⇒蒸発が進み、かなり小さくなったブラックホールが将来観測から発見される可能性はあるか?興味ある。アインシュタインの理論からいくつかの予想がなされたが、その当時は実証できなかったが、その後実証されたものがある)。博士の名を世に知らしめた最初の業績は、20代で数理物理学者のロジャー・ペンローズ博士と共に証明した「特異点定理」だ。強い重力の下での現象を説明するアインシュタインの一般相対性理論が正しいとすると、宇宙の始まりやブラックホール内部には密度が無限大で時空が限りなくゆがんだ「特異点」が存在することを数学的に証明した。だが、現実の時空には無限大が現れる領域は存在しない。このことは、全ての時空を記述する理論と考えられていた一般相対性理論が特異点では破綻することを意味し、学界に衝撃を与えた。30年以上の親交がある前田恵一・早稲田大学教授(相対性理論)は博士の研究人生を「重力理論と量子論を統一するという、現代物理学の最も重要な研究に一貫して取り組んだ」と振り返る。近年は、ブラックホール蒸発に伴い、ブラックホールになる前に持っていた天体の情報も消えてしまうという未解決問題に注力。英国で昨秋開かれた研究会で前田さんは、博士が研究仲間とこの問題を熱心に議論する様子を目にしたという。博士に改めて哀悼の意を捧げたい。「偉大な知能に安らかな眠りを」
『温暖化対策で港湾コスト増? 調査会社が試算 海面上昇など最大2兆5000億円』 毎日新聞3月28日付夕刊はこう報じている。地球温暖化で海面上昇や高潮の傾向が強まると、国内11の主要港湾で土地のかさ上げ工事などが必要になり、合計で最大計2兆5000億円の対策費が必要になるとの試算をシンガポールの調査会社が発表したという。特に千葉港の対策費は6600億円とアジア地域で最大で、今後、港湾整備計画を作る際には温暖化対策も考慮すべきだと指摘している。国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)によると、世界の気温が産業革命前より平均約4℃上がる場合、海面水位は最大80㌢上昇し、高潮の原因となる暴風の強さは20~30%増すとしている。試算はこれを基に、アジアの主要53港湾について、浸水被害を防ぐための土地のかさ上げや防潮壁建設にかかる費用を分析。その結果、国内では千葉港で最大6600億円、北九州港で同5300億円、横浜川崎港で同4150億円――が必要になると試算している。「コンテナーヤードや倉庫の高台移設などがコストを押し上げる要因になった」としている。調査したアジア・リサーチ・エンゲージメント社の担当者は「港湾は温暖化被害の最前線。早期の対策が将来のコスト増加を回避する鍵になる」と指摘している。今後、地球温暖化対策として、CO2排出削減だけでなく、温暖化に適応する種々の方策が提案されると思われるが、このような温暖化適応コストをできるだけ正確に評価し、温暖化対策の必要性を広く訴えていく必要があろう。
『2030年度 原発20%維持 電源構成 エネルギー計画素案』 毎日新聞3月27日付朝刊はこう報じている。 経済産業省は26日、国のエネルギー政策の基本方針を定める「エネルギー基本計画」の見直しに向けて議論を行う有識者会議を開き、2030年度の目標について原発20~22%など現状を維持する案をおおむね了承したという(有識者は3.11後の記憶をすでにお忘れのようだ。ほとんどの国民もあきれているだろう)。再生エネについて「主力電源」と明記したことは評価できるが、未だに世界の認識と大きくずれ、後世の国民につけを残す政策をいつまで続けるのだろう。地熱発電推進を目指す地熱関係者にとって、まずは、2030年度の国の目標をできるだけ実現し、さらに、2050年~2100年を目指す方向を明確にしていくことだろう。
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