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『最初の恒星 136億年前に誕生』 毎日新聞3月5日付夕刊はこう報じている。 宇宙誕生から約2億年の136億年前までに最初の恒星が生まれた証拠を捉えたと、米国などの国際チームが英科学誌ネイチャー誌に発表したという。宇宙から届くかすかな電波を観測、分析した結果。宇宙の初期段階の解明に一歩前進する成果としているという。太陽のように自ら光り輝く恒星が、初めて生まれたのがいつかは謎だった。チームは最初の恒星が放った非常に弱い光を直接捉えるのではなく、宇宙に広く放射されている電波から間接的に探る方法を採用。オーストラリアの電波天文台に設置した特殊な装置で観測したという。捉えた電波を詳細に分析したところ、宇宙誕生から1億8000万年たった時期に、宇宙空間を漂っていた水素ガスの性質に変化があったことを示す痕跡を見つけたという。水素原子が紫外線を浴びると起こる変化と見られ、チームは紫外線を放出するような最初の恒星がこの時期までに生まれたと結論付けたという。宇宙生成から2億年という”短い”時間で最初の恒星が生まれたということか。
『各地でぽかぽか 今年最高 都心で21.2℃』 毎日新聞3月5日付朝刊はこう報じている。 日本列島は4日、高気圧で覆われ、全国的に日中の気温が今年最高となった。東日本は3月下旬から6月中旬並みの陽気になった。気象庁によると、宮城県名取市で3月の観測史上最高となる21.3℃を記録。福島県浪江町は6月中旬並みの22.3℃だった。また、東京都心は21.2℃。静岡市22.0℃、前橋市20.5℃、長野市20.2℃など、各地で今年最高となった。東京・銀座では暖かい日差しの下、家族連れが春らしいコートを羽織ったり、半袖のTシャツになったりして散策を楽しんでいたという。なお、当研究所(埼玉県狭山市)は2012年5月8日から所内で1m深地温の連続観測を行っているが、今日3月5日、10.00℃の今季最高地温を記録した(なお、今季最低は1月31日の7.64℃)。ちなみに最寄りの気象庁観測点(所沢)での最高気温は20.0℃であった。季節は確実に変わりつつある。
『地熱発電 粘りの14年』 毎日新聞3月3日付朝刊は、「変革」欄(伊藤忠商事 3)でこう紹介している。やや長いが興味深い内容なので以下に紹介したい。 『インドネシア・スマトラ島北部のサルーラ地区に位置する世界最大級の地熱発電所。5月に3号機が稼働し、当初の建設計画(⇒110MWx3)を完了する。総事業費は約1700億円。伊藤忠商事が入札に参加してから14年の歳月を費やした。「本当にここに巨大な発電施設が建つのだろうか」。2006年に初めて建設予定地に足を踏み入れた電力事業プロジェクトアジアチーム長の中野久雄(50)は、現実感がわかずに戸惑った。首都ジャカルタから飛行機と車を乗り継いで約10時間。密林に囲まれた平地に田んぼが広がっている。「搬入道路の建設から始めなければ」。あぜ道を歩きながら、漠然とした思いを巡らせた。高い高度成長が続くインドネシアにとって、電源の確保は国家的な課題だ。伊藤忠は九州電力などとともに事業に参画。発電事業に本格的に乗り出す試金石となる案件だった。07年に契約し、当初は12年の完成を目指したが、壁が立ちはだかった。最大の誤算は資材価格の高騰などで当初の計画では資金が足りなくなり、電気を30年間買い取ってもらう国営の電力会社や、地熱の権益を持つ国営石油会社、インドネシア政府との間で契約見直し交渉を迫られたことだ。電力会社への売電価格の引き上げについては10年に合意したが、金融機関から融資を引き出すために、非常事態が生じた際などのリスクをどのように分け合うのかを明確にする交渉は困難を極めた。中野が金融危機など想定されるリスクを挙げると「そんなこと起きるわけがない」「我々を信用していないのか」と激しい反発を受けた。11年からはジャカルタに駐在し、交渉を積み重ねたが進展はみられず、「いつ打ち切られてもおかしくない」という綱渡りの状況が続いた。しかし、粘り強く交渉を続けるうちに、担当者同士で「前線を挟んだ戦友のような意識」(中野)が芽生え始めた。互いの上層部を説得できるよう知恵を絞り合い、交渉終盤では観光地のホテルに丸一日缶詰になって政府幹部らと話し合うなどして、13年に契約をまとめ上げた。すでに見切り発車で土地の買収や道路の建設に着手しており、急ピッチで発電所の建設工事を進め、16年11月に1号機の稼働にこぎつけた。中央制御室で発電に成功したことを示すメーターの動きを見て、中野は仲間たちと「ウオー」と声を上げて、喜びを分かち合った。「皆がハッピーになれる案件という確信があったから頑張ることができた」。停電が頻発していた地元には一般家庭200万世帯分の電気が供給され、伊藤忠はこの事業を皮切りに発電事業を拡大していった。』 地熱発電を進める上で、技術的な資源量評価とは異なる課題が大きく存在すること、特に外国での事業は想像を超える苦労があることがわかる。投げ出すのは簡単だが、長期間にわたり、粘り強く進めることができたのは中野氏の指導力と共に、心通う仲間(交渉相手を含めて)の存在だろう。国内の地熱開発においても参考にできるのではないか。
『北極「一番暑い冬」 米大まとめ「地球温暖化影響」』 毎日新聞3月2日付夕刊はこう報じている。太陽がまったく昇らない冬の北極で、異常気象により平均気温が例年より20℃以上高くなり、2月としては観測史上最も「暑く」なったとの分析を米カリフォルニア大の研究者がまとめた。地球温暖化で海氷が十分に大きくならず、海面から熱が放出されたことが影響したと見ている。米紙ワシントンポストが2日までに報じたという。米メーン大の分析では、25日には0℃を超えて2℃近くまで上昇し、例年と比べ30℃以上高くなったと見られる。これまでの記録では、北極の冬の12~3月で最も高かったのは2015年12月の2.2℃だという。同紙によると、グリーンランドを経由して北極に強く暖かい風が流れ込んでいるほか、風で海氷が押し流され、海が蓄えていた熱が氷の間から放出されて高温につながっている。米国立雪氷データセンターは、今年1月の北極海の海氷面積は、この時期としては過去最小を更新したと公表しているという。極域は、地球温暖化の影響が出やすいと言われるが、これも一例だろう。
『「春一番」は1日でした』 毎日新聞3月2日付夕刊はこう報じている。気象庁は2日、関東地方で1日に「春一番」が吹いたと発表した。昨年より12日遅い。日本海の低気圧が発達しながら北東へ進むなどした影響で、南から暖かい風が吹き込み、気温が上昇した。気象庁によると、1日の各地の最大瞬間風速は、東京都心15.7㍍、千葉市21.5㍍、横浜市20.6㍍で、関東南部を中心に強い風が吹いた。東京都心の最高気温は20.3℃だった。いろいろな気象現象が地球温暖化に伴い、早めに現れることがあるが、「春一番」は例年より遅かったようだ。当研究所で2012年5月8日以来観測を続けている1m深地温も今年は例年になく、低温傾向を示しているが、関係があるのだろうか。
『新燃岳で小規模噴火 噴石など警戒呼びかけ』 気象庁は1日、宮崎と鹿児島県境の霧島連山・新燃岳(1421m)でごく小規模な噴火が起きたと発表した。新燃岳の噴火は2017年10月17日以来。噴火警戒レベルは3(入山規制)を継続するという。気象庁は警戒範囲を火口周辺2㌔から3㌔に拡大し、大きな噴石などへの警戒を呼び掛けている。気象庁によると、午後5時過ぎ、火口から上がる噴煙を確認したという。なお、気象庁の火山カメラ(ライブ)は3月2日午前9時現在、新燃岳からの噴煙を捉えている。また霧島硫黄山からの噴煙も一時より減少しているが継続している。
『関東各地で20度超える 4月並み暖かさ』 毎日新聞3月2日付朝刊はこう報じている。日本海を通過した低気圧に南から暖かい空気が流れ込んだ影響で、関東地方は1日、各地で最高気温が20度を超えるなど4月上旬から下旬並みの暖かさとなった。気象庁によると、関東地方は1日朝まで雨が降ったが、低気圧の通過後は晴れ、日中は気温が上がった。各地の最高気温は、羽田空港22.2℃、茨城県つくば市20.9℃、横浜市20,8℃、東京都心20.3℃などである。当研究所(埼玉県狭山市)は所内で1m深地温の連続観測を2012年5月8日以降継続しているが、1m深地温も2月28日から3月2日までに0.45℃の急激な上昇を示している(9.03℃~9.48℃)。なお、最寄の気象観測点(埼玉県所沢市)での1日の最高気温は19.7℃であった。季節は「雨水」から急速に「啓蟄」に変わりつつある。さらに「春分」に向かう。
『列島に強風 気温は上昇』 毎日新聞3月1日付夕刊はこう報じている。 急速に発達した低気圧の影響で、日本列島は1日、西からの風が強まり、春の嵐になった。南からの暖気で気温が上昇し、朝の最低気温は4月並みの暖かさとなった。一方、北海道と東北は冬型の気圧配置が強まり、特に北海道では見通しの全く利かない猛吹雪になる恐れがある。気象庁によると、前線を伴った低気圧が日本海を東北東に進み、前線が通過した地域で強風が吹いた。関東から九州の広い範囲で、3月としてこれまでで最も強い最大瞬間風速を記録したという。これも異常気象の一つの表れか。
『「暗黒物質(ダークマター)見える化」 宇宙の進化 解明手がかりに 東大(及び国立天文台)が分布図』 毎日新聞2月28日付夕刊はこう報じている。 宇宙に大量にあることは確かだが、見えないために正体不明とされている「暗黒物質(ダークマター)」について、広範囲の三次元地図を初めて作成したと、国立天文台や東京大のチームが27日、発表したという。暗黒物質は銀河の形成などに重要な役割を果たしていると考えられ、分布図は宇宙進化の謎を解く手がかりになるという。暗黒物質には質量があるため、そのものの重力で集まる一方、他の物質を引き付けて星や銀河の形成に関わる。現在も続いている宇宙の膨張の速度にも影響していると考えられている。目には見えないが、遠くの銀河の光がそばを通るとき、重力の影響で曲がるため存在がわかる。チームはこの現象を利用し、すばる望遠鏡(米国ハワイ島)の超広視野カメラで撮影したデータを解析し、分布図を作成した。みずがめ座方向では範囲は縦2.5億光年、横10億光年、奥行き67億光年で、その他の方向もすべて合わせると地球からの見た目の範囲は満月約800個分という。そこに、それぞれ太陽の5000兆倍以上の質量の暗黒物質の塊が65個あったという。宇宙の成り立ちを説明する理論で、これまで想定されていた数より少なかったという(⇒さらに未知なる物質があるということか?)。チームの宮崎聡・国立天文台准教授(天文学)は「宇宙の進化にどう影響するか研究を進めたい」と話しているという。
『アブダビ油田 権益延長 40年間 国際帝石 比率10%に低下』 毎日新聞2月27日付朝刊はこう報じている。国際石油開発帝石(INPEX)は26日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国に保有する海上油田の権益が40年間延長になったと発表したという。激しい争奪戦を繰り広げたインド企業3社が参画した影響で、権益比率は12%から10%に下がった。他の一部油田の権益は失効する。ただ維持する油田の増産により、2020年代半ばには全体で現在の水準を上回る量の原油を引き取れるようにする計画だという。UAEはサウジアラビアに次ぐ日本の原油輸入元で、全体量の4分の1を占める。特にアブダビは日本勢が世界に保有する油田権益の約4割が集中するという。権益が延長されるのは「下部ザクム油田」で、生産目標は日量45万バレル。今年3月8日に迎える権限期限を58年3月8日まで延長する契約をアブダビ国営石油会社などと締結した。既に25年間の権益延長で基本合意していた「ウムアダルク」と「サター」の2油田も正式契約したという。更新に対しアブダビ側に約8億5000万ドル(約900億円)の報酬を支払う取り決めだという。一方、海上の「ウムシャイフ」など3油田の権益は3月8日に失効するが、日本側は、更新対象で最大規模の下部ザクム油田を最優先に交渉してきたという。世耕弘成経産相は26日、記者団に「厳しい競争の中で獲得した。満足しているし高く評価している」と述べたという。国際帝石はアブダビで、海上の「上部ザクム油田」や日量180万バレルまで増産を目指す陸上油田群の権益を保有するという。引き取っている原油量はアブダビ全体で現在25万バレル程度だが、20年代半ばに28万バレル程度まで増やす計画だという。東京都内で記者会見した国際帝石の藤井洋常務執行役員は「資源外交が評価された。大変意義がある」と話したという。国際競争の中で、権益を維持していく交渉は相当タフなものだろう。まずは、めでたいと言えよう。これで21世紀半ばまで、原油の安定供給が保障されたことになる(日本の原油輸入量の約4分の1)。ただし、今後、自動車のEV化が急速に進展していく中、長期的にどのように権益を確保していくか、大きな戦略がもとめられるだろう。
『外国人避難に課題 本白根(もとしらね)噴火1カ月 予算限られ 住民優先』 毎日新聞2月24日付夕刊はこう報じている。 1月に起きた草津白根山の本白根山(群馬県草津町、2171㍍)の噴火では、訪日外国人向けの避難対策の必要性が浮き彫りになったという。現地では対策を講じる動きもあるが、予算不足や風評被害への懸念もあり、関係者は苦慮しているという。 噴火から1カ月たった23日、12人が死傷した草津国際スキー場では噴火前と変わらず、観光客がスキーやそりを楽しんだという。人出が約6割まで戻る中、外国人の姿も目についたという。日本を代表する温泉とスキー場がセットで楽しめるとして、町に宿泊した外国人客は2017年で4万6690人。5年前から4倍以上増加したという。噴火当日も、現場に取り残されたスキー客約80人のうち、4分の1が台湾や英国からの外国人だったという。大きな混乱はなく全員が救助されたが、外国人向けの情報伝達の備えがなかったことから、「草津スキースクール」は避難を促す文言を記したカードを英語など5カ国語で用意し、スタッフが常に携帯するようになったという。ただ、町の防災計画には地震や噴火に不慣れな外国人対策の具体的な記述がなく、防災無線や防災マップなどは日本語に限られている。北海道観光振興機構のように、外国人客が取りがちな反応などをまとめた「初動対応マニュアル」(3カ国語)を作るなど、本格的に取り組む地域もある。草津町の担当者は「必要性は認識しているが、コストと時間がかかる。限られた予算では住民優先とならざるを得ない」と打ち明ける。他地域のスキー場関係者は「真面目に対策をやると、『危険』というイメージが先行して客が逃げてしまう可能性もある」と心配するという。防災学習に詳しい静岡大の藤井基貴准教授(教育学)は「コストに上限のある行政に頼りきりでは限界がある。まずは地域住民が主体となって、外国人観光客を含めた災害時の対応を考え、防災を習慣化する土壌作りが必要だ」と指摘している。個々の市町村が準備するのは、ノウハウあるいは資金面から、困難と考えられる。そこで、全国組織の関係団体が、共通の災害時の心得等を記したパンフレットを作り(たとえば、英語、中国語、韓国語等と日本語)、全国の関係自治体に配布、各市町村は自らの守備範囲のマップに観光見どころに加え、火山・温泉、避難所等の位置および防災心得(内容は箇条書きで簡潔に。現行の火山ハザードマップの大幅な簡略版でよい)等を記した、観光・安全マップ(「防災」ではなく、「安全」とすることに意味がある。上述のスキー場関係者の不安にも対応できるのではないか)等を日本人を含めた観光客・登山者に配布することが重要だろう。登山入口では入山者の記名を義務付けるとともに、これらの資料を配布するようにしてはどうか。このようなものであれば、観光庁や都道府県の観光部署あるいは防災部署から支援が得られるのではないか。日本人、外国人に関わらず、広く有用になるのではないか。地域ごとに創意工夫が望まれる。
『銀河の横に 超新星爆発 アルゼンチン アマ天文家 偶然撮影』 毎日新聞2月24日付朝刊はこう報じている。アルゼンチンのアマチュア天文家が偶然撮影した写真に、重い恒星が一生を終える際に起こす超新星爆発の瞬間が映っていたと、東京大などの国際研究チームが発表したという。超新星爆発は一つの銀河で100年に1回あるかどうかという珍しい現象で、その瞬間が撮影されたのは初めて。超新星爆発の仕組みや、恒星の構造の解明につながる成果という。超新星爆発は、太陽の8倍程度以上の重さの恒星が一生を終える際に起きる大爆発。通報を受けた研究チームが分析した結果、超新星爆発を起こす瞬間に強い光やエックス線を放つ「ショックブレイクアウト」という現象であることが判明した。ショックブレイクアウトは1970年代に理論的に予想されたが、従来の観測は爆発後1日以上たったものが多く、存在が確認されていなかった。分析に加わった前田啓一京都大准教授(天体物理学)は「時間がたつほど元の星の情報は薄まってしまう。爆発の瞬間が確認でき、今後の研究に弾みがつく」と話したという。ところで、アマチュアが比較的活躍できる学問分野に、この「天文学」や「考古学」がある。アマチュアにとって、参加・活躍できる分野があることは、人生を豊かにする大きな贈り物ではないか。
『6万年前壁画に記号 ネアンデルタール人 高い知性か』 毎日新聞2月24日付朝刊はこう報じている。前日夕刊の続報である。ほぼ内容は同一で、新たに専門家のコメントが掲載されているので紹介する。『人類を揺るがす』という国立科学博物館の馬場悠男・名誉研究員(人類学)の話。「絵を描くなどの創造的精神は、ホモ・サピエンス(新人)だけの特徴とする考えを揺るがす研究成果だ。絶滅直前のネアンデルタール人が、新人と似た石器技術を独自に発達させていたらしいとの学説とも符合する。ただ、6万4000年前に新人の一部が欧州に進出していたという考え方もある。今回の研究は、別の観点からさらに補強する必要がある」と述べている。今回の発見が、新事実として確認されるためには、多面的な裏付けが必要ということだろう。
『世界最古 6万年前の壁画 スペインの洞窟 ネアンデルタール人作か』 毎日新聞2月23日付夕刊はこう報じている。 スペインのラパシエガ洞窟内にある壁画について、6万4000年前に旧人のネアンデルタール人が描いた可能性があるとする研究結果を、ドイツの研究チームが22日付の米科学誌サイエンス電子版に発表したという。約4万年前に描かれたスペインのエルカスティーヨ洞窟が最古とされてきたが、今回は2万年以上さかのぼったことになる。チームは、見つかった壁画について、天然の放射性物質の年代を測定した結果、6万4800~6万6700年前に描かれた可能性があるとしている。ラパシェガ洞窟壁画は約4万年前に現生人類のホモ・サピエンス(新人)が描いたと考えられてきたが、ネアンデルタール人が描いた可能性があるとしている。考古学(人類学)において、「年代最古競争」は時に問題があることがあり、今後の注意深い検証が必要だろう。
『草津 観光か安全か 町 規制緩和望む 気象庁 慎重姿勢』 毎日新聞2月23日付朝刊はこう報じている。1人が死亡、11人が負傷した草津白根山の本白根山(群馬県草津町)の噴火は23日で1か月。火口から半径2㌔圏内で立ち入り規制が続く中、観光が主産業の草津町は観光と安全の両立という難題に直面しているという。町が期待するのが、一部が規制区域に含まれ、現在は冬季閉鎖中の観光道路「志賀草津高原ルート」の扱い。4月の開通に合わせ、町は規制から外したい考えだが、気象庁は慎重な姿勢を崩さず、先行きは不透明。気象庁は、火山性地震も毎日10個程度観測され、地下で熱水やマグマなどの流体が移動するときなどに発生する火山性微動は、1月26日以降観測されていないものの、火山活動は高まった状態が続いているとして、気象庁は警戒を緩めないように求めている。火山活動の状況は上述のようであり、「観光」か「安全」かと問われれば、即座に「安全」の選択をすべきだろう。もし、観光が優先された場合、新たな噴火が発生した時のことを考えれば、現時点での「観光」の選択はないだろう。
『送電線の運用柔軟化 経産省 来年度から見直し 再エネ導入拡大を目指す』 毎日新聞2月22日付朝刊はこう報じている。再生可能エネルギーの導入拡大に向け、経済産業省は2018年度から送電線の運用ルールを段階的に見直すという。固定価格買取制度(FIT)導入で再エネ電力が急増し、送電線の空き容量不足が深刻化していることに対応。既存の送電線の容量を最大限活用することで再生エネの新規参入を進める「コネクト・アンド・マネージ」と呼ばれる手法を取り入れるという。12年のFIT導入以来、北海道や東北、九州など地価の安い(同時に地熱資源量も多い)地方で大規模太陽光(メガソーラー)や風力発電が急増し、送電線がパンク状態になっている。このため経産省は15年度、複数の新規参入者が送電線の増設費用を分担する制度を導入。電力会社は送電線の増強工事とセットで新規参入者を入札で募っている。ところが、東北電力が16年10月に東北地方北部で送電線増強とセットで約280万kW分の入札希望者を募集したところ、17年8月現在で風力発電を中心に1545万kWの応募があった。このままでは落札価格が高騰し、再エネ事業が成り立つかどうか見通せない状況となった。そもそも東北電力は、280万kW分の空き容量について、停止原発を含めた全ての発電所が同時にフル稼働する前提で計算していた(⇒本音は、再生可能エネ発電を導入したくない?)。だが、全発電所がフル稼働するケースは現実的でなく、「再生エネを導入できる空き容量はもっとあるはず」と指摘されていた。再生エネ導入で先行する欧州では、まず再生エネを導入して送電線が容量オーバーになった場合に発電量を抑制する「コネクト・アンド・マネージ」という手法を取っている。再生エネ導入に積極的な経産省の有識者委員会などから、「欧州のように柔軟な運用が必要」との声が高まった。指摘を受け東北電は今年2月に予定した入札を4月に延期。その間に基幹電源である火力発電の稼働状況や、季節や時間帯によって異なる再生エネ電力の発電量を過去の実績に沿って再計算するなど送電線の空き容量の計算方法を見直した。その結果、受け入れ枠は280万kWから350~450万kWに拡大。現状ではすべては無理だが、容量をオーバーしない範囲で再エネを受け入れる検討を始めた。経産省は再生エネの導入拡大に向け、東北電と同様の運用方式を全国に拡大する方針。世耕弘成経産相も「コネクト・アンド・マネージの検討は重要。4月からの運用の見直しを抜本的に行っていきたい」と意欲を示しているという。送電線の容量計算の見直しに加え、緊急時に備えて設定している空き容量を減らすなどの措置を段階的に導入していくという。ことは緊急を要する件であり、来年度中の改善を期待したい。その際、安定した発電が可能だが、資源量(発電量)評価などにもともと時間がかかる地熱発電などへの考慮が取り入れられる必要があるだろう。
『石油需要 30年代ピーク  英BP予想 再エネ、EVで需要鈍る』 毎日新聞2月21日付夕刊はこう報じている。英BPは20日、世界の石油需要が2030年代にピークに達し、減少に転じるとの見通しを発表したという。太陽光や風力といった再生可能エネルギーの供給増加に加え、電気自動車(EV)の普及で需要が鈍ると予想している。BPは再生可能エネルギーの伸びが著しいと指摘。40年時点でのエネルギー供給は、石油と、天然ガス、石炭、再生可能エネルギーを中心とした非化石燃料がいずれも25%程度で分け合うと予想している。EVの普及などによる輸送用石油需要の成長鈍化も影響を及ぼす。欧州連合(EU)では、40年の新車は00年に比べ、エネルギー効率が約70%向上している可能性が高いとみている。35年の世界のEV普及台数は1億8000万台に達する見込み、昨年予想からほぼ倍増させた。40年は3億2400万台と、一段の加速を想定している。環境政策が先行するヨーロッパでは十分実現するのではないかと思われる(なお、ヨーロッパでは再生可能エネルギーがこれより大きく、石炭はこれより少なくなるのではないか)。BPという英国石油メジャーが、石油減少を予測することに特に意味があると思われる。
『霧島の噴火警戒 レベル引き上げ 火口周辺規制に』 毎日新聞2月21日付朝刊はこう報じている。 気象庁は20日、宮崎鹿児島両県にまたがる霧島連山・えびの高原(硫黄山)の噴火警戒レベル、1(火山であることに留意)から2(火口周辺規制)に引き上げた。今後、小規模な噴火の可能性があるとして、硫黄山火口から約1㌔の範囲で噴石などに警戒するように呼びかけている。硫黄山の噴気状況は気象庁のHPからライブで配信されているが、最近、噴気活動は高まっているようだ。要注意であることは間違いない。
『国際単位系(SI)が変わる』 2月21日受信のNature ダイジェスト/Vol.15 No.1 はこう報じている。 国際単位系(international system of units:SI)の定義の改定が進んでいる。国際度量衡委員会(CIPM)は、1960年に国際単位系が創始以されて以来最大規模の見直しにより、7つの基本単位のうち、アンペア(A)、キログラム(kg)、ケルビン(K)、モル(mol)の4つの定義の改訂に乗り出した。基礎的な定数との関係を使って定義し直すことで、抽象的・恣意的な定義に陥らないようにすることが目的だ。CIPMは、2017年10月16~20日にパリ近郊で開かれた会合で、この計画について検討し、勧告をまとめた。国際単位系を監督する国際度量衡総会(GGPM)が2018年11月に開催され、ここでCIPMの勧告が承認されれば、4つの基本単位の定義が2019年5月から改定となるという。国際単位系は科学・工学の世界では、世界共通の物差しである。動向を把握していきたい。
『電磁波強弱 オーロラ点滅 人工衛星で初観測 東大など』 毎日新聞2月20日付夕刊はこう報じている。数十秒ごとに明るくなったり暗くなったりを繰り返す「脈動オーロラ」を光らせている電子を、人工衛星で初めて直接観測したと、東京大などの研究チームが英科学誌ネイチャー電子版に発表したという。謎の多い発生の仕組みの解明につながるという。オーロラは電子などが地球の磁場方向に沿って、高緯度地方の大気に降り注ぎ、高層の酸素や窒素などを光らせる現象である。カーテン状に揺らめくタイプが有名だが、脈動オーロラは大規模なオーロラが現れた後の夜明けにかけ、数秒から数十秒の周期で点滅する。研究チームは、2016年に打ち上げられた小型衛星「あらせ」で上空の電子の数やエネルギーを観測し、地上のオーロラの動画と組み合わせて分析したという。その結果、高度3万kmの磁気圏で生じる特殊な電磁波の強弱に合わせて大気に降り注ぐ電子が増減し、オーロラが点滅することが分かったという。こうした理論は提唱されていたが観測で確認されたのは初めてという。「脈動オーロラ」という言葉を聞いたのは初めてであったが、宇宙にはまだまだ謎が多いということか。。理論が、このような観測を通じて、一つずつ解明されていくのが科学と言える。科学の素晴らしさ・雄大さを感じる。
『原発や再生エネ 政府方針に疑問 外務省有識者会合』 毎日新聞2月20日付朝刊はこう報じている。  外務省の「気候変動に関する有識者会合」が19日、原発や石炭火力発電、再生可能エネルギーに関する政府方針に疑問を呈する提言を河野太郎外相に提出したという。会合は河野氏が1月に設けたもので、持論の脱原発に向けて独自色発揮を狙うが、安倍政権は原発政策を堅持する方針で、実効性は不明だという。提言は「ベースロード電源として原子力や石炭が必要だという考えは過去のものだ」と指摘。政府が掲げる「2030年度に電力全体の22~24%」という再生可能エネルギーの目標について、「再エネ拡大のメッセージを発信できていない」と苦言を呈しているという。ただ、政府が今春以降に見直すエネルギー基本計画に提言が反映される見通しは立っていない。省の有識者会合レベルで、このような政府の方向に異議を唱えることは珍しいが思い切った提言をしてくれたものである。外務省の有識者だけあって、国内よりも国外を見ているのだろう。評価したい。経産省の有識者会議では無理であろうが、環境省・外務省を含めた若手官僚が立ち上がることを期待したい。政府部内に賛同が広がり、また、小泉元首相を中心とする政府外の市民レベルの動きが結合すれば、動かせる可能性がなくはないだろう。期待したいものである。
『太陽光(発電)コスト7割減 国際機関まとめ 7年で、風力も下落』 毎日新聞2月17日付夕刊はこう報じている。 地球温暖化対策として拡大が期待される再生可能エネルギーの発電コストが2010年からの7年間で大幅に下がり、世界平均で太陽光は73%、陸上の風力は23%下落したとの報告書を、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)がまとめたという。20年までに太陽光のコストはさらに半減する可能性があり、一部の太陽光と陸上風力は、火力発電より安くなると予測している。アドナン・アミン事務局長は「再生エネへの転換は、環境への配慮というだけでなく、今や経済的な選択だ」と指摘したという。10年時点の太陽光の発電コストは世界平均で1キロワット時当り36㌣(約39円)だったが、17年には10㌣に下落。陸上風力は8㌣から6㌣になったという。技術の進展や入札制度の導入などによる価格競争の促進、参入企業の増加が要因と言う。石炭や石油など温暖化をもたらす化石燃料を使った発電コストは5~17㌣(約5~18円)で、同機関は「太陽光と陸上風力の下落傾向は続く。20年までに化石燃料のコストを下回るケースも出る」と予想している。日本国内について経済産業省は、14年時点で太陽光の発電コストは24円、陸上風力は22円と試算。設備利用率や耐用年数によって変わり得るとした上で「今の価格は14年時点より下っているものの、世界平均より高い」と話しているという。他国と比べ設備費や工事費が高いのが原因で、経産省は競争の促進や保守点検の効率化などによる価格引き下げを目指すという。業界団体などは30年に太陽光を7円、陸上風力を8~9円まで下げる目標を立てているという。大規模発電事業者が積極的に再生可能エネルギーによる発電に転換することもコスト低下の要因になるのではないか。転換が進まない大規模発電事業者は今後淘汰されていくのではないか。上述のIRENAアミン事務局長の言によれば「再生可能エネルギーへの転換は環境への配慮だけでなく、経済的選択でもある」。方向は明確なように見えるが。ただ、ここで、注意すべきことがある。太陽光・風力が先導して再生可能エネルギー発電を増加させ、エネルギー転換に大きく貢献していることは確かだが、リスク低減の観点から、中小水力・バイオマス・地熱にも適切な政策を取ることによって一定程度のシェアを確保することが必要と思われる。  
『そこが聞きたい 予知できない火山噴火への対策 「知」蓄え 想定外に備えよ 鎌田浩毅京都大教授』 毎日新聞2月19日付朝刊オピニヨン欄はこう報じている。 紙面の一面の約半分を使って聞き書きをしている。12人が死傷した草津白根山(群馬・長野県境)の噴火から間もなく1か月。専門家も今回の火口は「ノーマーク」で、噴火が想定されなかったことが被害を大きくした。2014年に噴火した御嶽山(長野・岐阜県境)以来の深刻な火山災害。111の活火山を抱える世界有数の火山大国で生きる知恵を鎌田浩毅京都大教授に聞いたものである。記事はかなり大量なので、火山を含む地熱研究者の立場から、関係する部分にコメントしたい。鎌田教授は『災害は「恵み」と表裏の関係にあることを知ってほしい。例えば、火山が多いおかげで、日本全国に温泉がある。金や銀など地下資源が豊富なのも、マグマで温まった熱水が地下を循環しているためだ。日本の国立公園の9割は火山地域を含み、火山活動が作った景観が観光資源となっている。溶岩流、火砕流や大量の火山灰によってできた平らな地形は農業の適地だ。火山の周辺は湧水の宝庫となり、地熱発電も注目されている』。このように地熱発電は火山の大きな恵みの一つである。また、地熱発電所を作るなかで、近くの火山の調査が進展し、火山の理解に貢献する。また、地熱発電所が操業すると、地下環境に関する多くの項目(地下の温度・圧力等)のモニタリングがなされる。これらは火山周辺の異常現象の監視にも役立つ。すなわち、地熱研究者・技術者も地熱発電を進めながら、火山防災にも貢献できる。地熱関係者もこのことを地元に良く説明することが必要ではないか。地熱発電所を受け入れてもらうための有力な手段となりうる。  さらに、鎌田教授は言う。「現在、国内で火山を専門とする大学の研究者は約40人に留まる。火山観測に手いっぱいで、噴火予知に役立てるための基礎研究はほとんどできていない。AI(人工知能)への期待は大きいが、無数とも言える火山活動のデータから必要な情報を抽出する「直感力」は人間にしかない。それが火山学の醍醐味であり、その奥深さを若い人たちにも伝えていきたい」。全く同感である。この「直感力」に、筆者(江原)は苦い経験がある。火山から地熱研究へと転じた筆者は、大分県九重火山を研究対象に選び、1970年代後半から多様な現地調査を長年続けてきた。その間、10数年を経過した時点で、九重火山の異常に気づき、「21世紀初めには噴火する可能性がある」と関連学会誌にも注意を喚起する論文を投稿した。しかし、査読者の意見はこうであった。「大変野心的な論文だが、データがまだ不十分」ということで、学会誌掲載には至らなかった。日本の活動的な大きな火山(阿蘇火山、霧島火山等)には何10年にもわたる観測記録が存在し、一方、火山観測所の無い九重火山へは年十数度の臨時観測データしかなく、観測所が整備されている他の火山と比べてデータ蓄積が見劣りするのはやむを得なかった。学会誌に掲載されなかったので、後に自然災害関係の報告書に発表した。その後も観測を続けていたが、果たせるかな、1995年10月11日夕刻、噴煙高さ1000mを超える水蒸気噴火が発生した。幸い被害者はいなかったが、東方の熊本県方面にも火山灰が降り、農作物への被害があり、特に秋の観光シーズンだったので、観光への一定の損害が生じた。気象庁および火山研究者からも噴火についてはマークされておらず、当時の新聞には研究者・地元住民を含め、おしなべて「寝耳に水」という表現が躍った。予測より10年程早かったが、予測された噴火が発生したのである。何10年にもわたる精密なデータの蓄積はなかったが、これまでの噴火記録や10数年を超える各種の観測結果を総合化しての予測は学会レベルから言えば、科学的な予知ではなく、むしろ鎌田教授の言う「直感力」に近いものだったが、現実に九重火山は予測されたような水蒸気噴火を生じたのであった。学会誌には掲載されなかったが、観測はその後も継続した。そして、噴火後いち早く現地に向かい、国立大学合同観測班の一員として、観測データ(噴火前からのデータ含めて)を提供し、噴火後のモニタリング、活動予測に寄与できた。九重火山の噴火の可能性について、広く住民に知らせることはできなかったが、地熱研究者として、火山防災に寄与できたのは非常に良かったと思っている。地熱関係者も火山防災に大いに寄与できる。安定な地熱発電所を維持することはもちろん第一に必要だが、火山防災にも貢献できることを意識して欲しい。我が国は100を超える活火山があるが、予知に従事する大学研究者は40人程度と言うのが上で述べたように現実である。地熱関係者も地すべり等を含め、火山防災に寄与できることを認識すべきと思われる。地熱発電所を建設する上では、特に地元住民の理解が重要である。「急がば回れ」とい諺もある。
『再び「送電線の怪」』 毎日新聞2月17日付朝刊土記(do-ki)欄はこう報じている。  工学やITの世界でよく使われる「冗長系」という言葉がある。「あなたの文章は冗長。もっとすっきり書けないの?」という時の、あの「冗長」だが、意味はちょっと違う。たとえば小型惑星探査機「はやぶさ」。イオンエンジンを4機積んでいたが、1機は故障に備えた予備。姿勢制御の機器も余分に積んでいた。これが「冗長系」で、宇宙の旅には欠かせない。ところが地上では今、送電線の「空き容量」の議論でこれが混乱のもとになっている。先日、この欄で、送電線の平均利用率は1~3割で再生可能エネルギーをつなぐ余裕はある、という京大チームの分析を紹介した。すると、大手電力関係者から「利用率は最大でも50%ですよ」と言われたという。経済産業省も昨年来、同じ主張をしている。平均3割でも余裕がないと言いたいようだが、この話の背後にあるのが冗長系だ。送電システムは1回線が故障しても停電しないよう1ルートを2回線以上で構成し、1回線分を開けておく。2回線あっても実際に使えるのは1回線分。経産省の定義では予備まで含めた2回線分が「設備容量」、実際に使える1回線分が「運用容量」。従って「設備容量」に対する利用率ならば確かに最大50%だ。しかし、京大チームが算出したのは「運用容量」に対する利用率だ。大手電力会社が公表している「運用容量」を分母に置いたと明示している。とすれば、最大利用率は100%。実際の利用率が3割なら、余裕はあるはずだ。どういう行き違いかと思っていたら、今週、「電力広域運営推進機関(広域機関)」が、あっと驚く情報を公表したという。電力会社の中に「運用容量」と言いつつ、「設備容量」を報告しているところが複数あったというのだ。また、それとは別に不適切な運用容量も公表されていたという。言い換えれば、電力会社が公開していた数値は前提も信頼性もばらばら。これでは共通の土俵で議論できない。広域機関は今回、基幹送電線も最大利用率も公表している。分母を「運用容量」にしたため6~9割が中心だが、これだけで「やっぱり満杯」とは言えない。経産省は今、実態に即した送電線の有効利用の検討を進めている。そこで「予備の回線を常に開けておく」という考え方自体も見なおすことになるという。「はやぶさ」は冗長系も次々とダウンし、最後は、あるものをうまく使う工夫で乗り切っている。送電線も「空きがないから自前で増設して」と再生エネ事業者に迫る前に、工夫する余地はたくさんあるという。けだし、正論であろう。経産省・広域機関・電力事業者いずれも、再生可能エネルギーの導入を快く思わない観点から、自身に都合の良い数値を極力広めようとしているが、京大環境経済チームの前にたじたじというところか。再生可能エネルギー導入推進に関し、当面最大の課題である、「送電線空き容量問題」が、公平かつ合理的に解決されるよう要望したい。経産省・広域機関・電力事業者とも、再生可能エネルギー進展の世界の動向、将来の動向を見極め、誠実に対処してもらいたいものである。 経産省・広域機関・電力事業者とも、ポーズではなく、再生可能エネルギーに真摯に立ち向かうべきである。電力事業者は再生可能エネルギーに転換しなければ、将来はないと認識すべきだろう。電力事業者こそが、再生可能エネルギーへの転換の最前線に立つべきだろう。
『再エネ事業を拡大へ 東電HD社長 年1000億円収益目標に』 毎日新聞2月17日付朝刊はこう報じている。 東京電力ホールディングズ(HD)小早川智明社長は、16日、東京都内で記者会見し、国内外で再生可能エネルギーの発電事業を拡大し(すでに九州電力という良い見本がある)、将来的に年間1000億円規模の収益確保を目指す考えを示したという。18年度中に具体的な再生エネの事業計画を策定するという(⇒既成大手電力会社もついに再生可能エネルギーに本格的に乗り出す気になったようで、理由はともかく歓迎したい。以前から、既成電力会社が再生可能エネルギーによる発電に極めて消極的で、むしろ新電力等による再生可能エネルギー導入を目の敵にしてきた既成電力としては遅きに失したとはいえ、世界のエネルギー動向、将来のエネルギー動向からしても妥当と言えるだろう。さらに高い収益を目標とすることを期待したい。電気料金も下がることが期待できる。現在の事業形態の転換を国民も支持するだろう)。東電HDは福島第一原発の廃炉・賠償費用を確保するため、10年後に年間4500億円規模の目標を掲げているが、電力需要が頭打ちとなるなか、新規事業で収益を拡大できるかが課題だったという(東電社員にとっても、廃炉・賠償費用確保等の後ろ向き事業より、はるかに前向きな事業であり、働き甲斐があると思える)。小早川社長は再生可能エネルギーの拡大について「再エネの世界的な投資額は今後500兆円に達するとの試算もある。(経営再建の)柱とすべく強力に推進したい」と語り、立地調査や投資計画の検討を進める考えを示したという(⇒優秀な人材の多い東電である。他社に先駆けて、良い見本を示してもらいたいものである)。一方、経営再建計画で掲げた東通原発(青森県東通村、建設中)の他社との共同事業化については「(他社に)声をかけているが(提携先が)投資メリットを実感できるかが最大の課題。単独事業の可能性を捨てたわけではない」と述べ、単独での事業継続に含みを残したという。巨像の方向転換は難しいというべきか。ともかく、再生可能エネルギーに力を入れる方向を歓迎したい。
『再エネ 石炭火力超え EU 17の発電量』 毎日新聞2月13日付夕刊はこう報じている。 欧州連合(EU)で2017年の風力、太陽光、バイオマスによる発電量が初めて石炭火力を上回ったという。独英のシンクタンクの調査で明らかになった。EU域内では地球温暖化の原因となる温室効果ガスを多く排出する石炭火力の段階的廃止を打ち出す国が広がっており、再生可能エネルギーへのシフトが着実に進んでいる。シンクタンクのアゴラ・エナギーベンデ(独)とサンドバッグ(英)が加盟国の17年のデータを独自にまとめて1月末に報告書を発表したという。それによると、発電量の構成比では、風力11.2%、太陽光3.7%、バイオマス6%・・・で、これら三つの合計(20.9%)で石炭の20.6%を上回った。水力(9.1%)を加えた再エネの合計は30%に達する。一方、原子力は25.6%だった。顕著な伸びを示したのは風力だ。洋上風力を含めた投資の拡大や発電に良好な気象条件が重なり、発電量は前年比で2割近く増えた。国別では英独がけん引し、過去3年間の再エネ発電量の増加分の半分以上は両国でまかなっている。また、報告書では、10年以降のペースで再エネの導入が進めば50年にはEU全体で総発電量に占める割合が50%に達することも可能だとしている。脱石炭の動きは世界的に進んでおり、欧州でも東欧以外で鮮明となっている。17年には新たにオランダ、イタリア、ポルトガルが30年より前に石炭火力を廃止する政策目標を発表。英仏も25年より前の脱石炭の達成を掲げている。例外的なのはドイツで、東京電力福島第一原発事故を受けて脱原発を採択した影響で電力消費の約4割を石炭火力に頼り、廃止時期を明示できていない。一方、電力の8割を石炭でまかなうポーランドを中心に東欧は石炭への依存度が高く、再エネの普及も遅れている。なお、火山の少ない欧州では、地熱発電の寄与は大きくないようであり、残念ながら触れられていない。火山国の日本としては、2030年度の国家目標、150万kWを実現するのが、当面の課題である。地熱発電関係者のいっそうの尽力を期待したい。
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