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11月17日 GEOTHERMAL RESORCES COUNCIL Bulletin (Vol.,44,No.5,September/October 2015)に、氷床下の湖(氷底湖)の下から供給される異常に高い熱流量に関する興味深い報告が紹介されている(オリジナル論文は、Fisherらによる"High geothermal heat flux measured below the Weat Antarctic Ice Seat",Science Advances1,e1500093(2015) )。それによると、氷底湖の下に掘削された坑井を利用して得られた、地温勾配および熱伝導率の測定から285±80mW/m2という異常に高い熱流量値が得られたという(地球上の平均値は、70mW/m2程度)。また、他の研究でも、105±13mW/m2という値も得られている。これは、氷底湖の下には火山があり、そこから特別な熱が供給されていることを示している。なお、日本の大分県にある九重火山の周辺でも100~300mW/m2の高熱流量が観測されており、火山下の地殻浅部数kmにマグマが存在していると推定されている。この氷底湖下からの異常高熱量の供給は地球熱学的あるいは火山学的にも興味深いが、別の観点からも興味深い。それは、南極の氷の融解の進行の人為起源説に反対意見を持つグループ(climate change deniers)が、南極の氷の融解の進んでいるのは、人為的起源でなく、自然的原因であるとの論調を生み出していることである。なお、Fisherは、この異常高熱流量は、南極西部での異常な氷の融解を説明できないことを強調している。
11月11日 毎日新聞11日付朝刊によると、経済産業省が10日に2014年度のエネルギー需給実績(速報)を発表した。それによると、国全体の最終エネルギー消費は、前年度比2.7%減となり、東日本震災後から4年連続減少した。省エネの進展や節電の定着が貢献したという。エネルギーを原因とする二酸化炭素(CO2)排出量は3.6%減で、5年ぶりにマイナスとなっている。経産省は「震災後に原発の稼働が止まった影響で増加が続いてきたが、石油からガスや再生可能エネルギーへの転換が進んだ」と指摘している。また、「発電効率も高まったことで減少に転じた」とも分析している。エネルギー消費は、震災前の10年度に比べると7.2%減であった。冷夏や暖冬といった気候も影響したという。部門別にみると、家庭は前年度比4.1%減と大幅に減少。エネルギー源別では、石油が3.9%、電力は2.6%減。一方、石炭は、1.1%増。なお、このエネルギー実績の数値は、家庭や企業が1年間に消費したエネルギーの熱量から計算したものである。東日本震災後、エネルギー消費が減少し、この主な原因が省エネ・節電+再生可能エネルギーの増加によるとすれば好ましいことである。震災後、地熱発電の増設は合計1万kW程度であるが、2020年、2030年さらに2050年に向けて、現在70カ所を超える全国の調査地点で調査が進み、確実な新規地熱発電所の運開を期待したい。
11月10日 毎日新聞11月10日付朝刊によると、世界気象機関(WMO)は9日、主要な温室効果ガスである二酸化炭素の昨年1年間の大気中の平均濃度が397.7ppmと、過去最高値を更新したと発表したという。この結果は、30日からパリで始まるCOP21で報告され、新たな地球温暖化対策の議論の資料として使われる。世界の温室効果ガス濃度は、日本の気象庁が分析を担当し、世界各地の観測結果を基に算出している。昨年の二酸化炭素濃度は前年比1.9ppm増で、過去10年間の増加ペース(年平均:2.06ppm)と変わらなかったようである。依然と二酸化炭素の高い増大ペースが続いているということである。二酸化炭素の由来などを解析した結果によると、石油・石炭の燃焼など人間活動による排出量の約44%は海水や森林などに吸収されず、濃度上昇の原因になっていたようである。米国海洋大気局(NOAA)の解析によると、今年3,4,5月の各月平均で世界の平均濃度が400ppmを超えているという。気象庁の小出 寛・全球大気監視官は「濃度上昇が止まる徴候は全くない」と話したという。
11月7日 毎日新聞7日付朝刊によると、地球温暖化に伴う、今世紀末までの気温上昇を、産業革命後から2℃未満に抑えるとの国際目標を達成するには、各国が現在表明している対策に加え、2030年にさらに120億トンの温室効果ガス削減が必要との報告書を国連環境計画(UNEP)が6日発表したという。温暖化対策の新たな枠組み構築を目指し、パリで、今月末から始まるCOP21を控え、各国により積極的な対応を促す狙いという。報告書によると、各国が示している削減目標を達成したとしても、排出量は540億トン程度になると予測され、今世紀末の世界の平均気温は3~3.5℃上がる可能性が高い。気温上昇を2℃未満にするには、30年に420億トン程度にとどめる必要があり、さらに、120億トンの削減が必要となる。平均的には、各国は、すでに提出した目標からさらに20%以上の削減が必要になる。わが国は、世界をリードする、目標を掲げることができるだろうか。
11月6日 毎日新聞11月6日付朝刊によると、NASAは1992年から2008年までの間、南極の氷は増えていたことが人工衛星による観測で分かったと発表したという。この結果は、IPCCが2013年に出した報告書などでは、南極の氷は全体として減り続けているとしており、NASAのチームは「食い違う観測結果」としている。NASAが氷床表面の高度を観測したデータによると、92年~01年にかけて氷は年間120億トン増加、03~08年にかけては鈍るものの、年820億トンの増となっている。NASAのチームによると、大陸西部の南極半島などでは、ほかの研究と同様に減り続けているが、西部の内陸部や東部では、減少分を上回る勢いで増えていた。同様なデータに基づいているとしても、解析期間、解析方法などが異なれば、異なる結果が出ることは十分予想される。今後の比較解析に待ちたい。ビッグデータによる科学的成果が発表される場合、ブラックボックス的で、解析の中身等は必ずしも明らかにされない場合があり、直接関与していない市民の立場からは判断できないが、科学的データの発表はわかりやすく明確にしてほしいものである。また、市民もこの種のデータをうのみにせず、自らもよく考える習慣をつける必要があるかもしれない。上述の「食い違う観測結果」も良く検討すると、前提条件等により、必ずしもそうとは言えない可能性もある。
11月1日 毎日新聞11月1日付朝刊によると、インドネシア・カリマンタン島などで、近年にない大規模な森林火災が起き、四国を上回る面積が燃えているという。各地の火災による温室効果ガスをNASAが人工衛星画像などから推計する「全球火災排出データベース」(GFED)によると、今年は10月30日までに日本の年間排出量を超える約16億3600万トン(CO2換算量)が放出されたという。乱開発で大地が乾燥したうえ、今年は干ばつで燃えやすいという。長年、CO2を蓄積してきた森林という「天然の貯蔵庫」が、地球温暖化を加速させる「火薬庫」と化しているともいう。この干ばつ化の原因にエルニーニョ現象(およびそれによる干ばつ)が推定されており、人間による乱開発も加わり、気象現象の変化が加速化されている状況と考えられる。気候変動が、正のフィードバックにより加速化されている1つの実例とも見られ、対策がいっそう望まれる。今月末からパリで開催されるCOP21で、この現象がどのように議論されるか注目したい。
10月30日 毎日新聞は、政府がまとめた地球温暖化の被害に備える「適応計画」について、10月23日および24日にも報じているが、30日朝刊では、社説で取り上げている。この対策の実効性を高めるために、「政府全体で体系的に対策を進める必要がある。省庁の縦割りに陥らぬよう、政府は総合調整し、一体となって適応計画を運営する指令機能を整えるべきだ」としている。全く同感である。省庁縦割りだけでなく、省によっては、省内の局レベルの縦割りにより、関係するが異なる局で意思疎通が十分でないと見られる例がある。局益、省益でなく、真に国益を考えてほしいものである。また、同社説は、「自治体や地域住民の積極的な関与も欠かせない。温暖化の影響の表れ方や深刻度は、気候風土や人口構成などに応じ、地域ごとに異なるからだ。しかし、温暖化への適応策の重要性を認識している自治体は、まだまだ少ないのが実情だ」という指摘も同感である。ただ、温暖化だけでなく、ヒートアイランド現象も進行しており、大都市では、むしろこれによる温度上昇の方が大きい場合も見られる。都市の熱環境は、地球温暖化と合わせ、ヒートアイランド現象によって、より悪化しつつある。このようなことを、自治体レベルではもちろん、市民レベルでも十分認識が進み、市民一人一人が行動を起こしていくことも重要であると考える。当研究所では、「自宅の庭で、1m深地温を自ら測り、それぞれの地点で地温の経年的上昇を実感し、市民レベルから関与していくこと」を計画している。すでに、当研究所の庭で、過去4年間にわたり1m深地温測定を継続しているが、地温(気温の上昇に対応して)は確実に上昇している。大気だけでなく、地球表層も暖められつつある。
10月30日 近年、再生可能エネルギーによる発電量が大きく進展する中で、「電力システム改革」が国レベルをはじめ、民間レベルや学界でも議論が盛んに行われつつある。このような中で、これらの議論に資すると思われる本が出版されたので紹介する。日本評論社から発行された「電力システム改革と再生可能エネルギー」(諸冨 徹 京都大学大学院経済学研究科教授編著 222ページ、発行日9月20日)である。同書は、「日本がこれから再生可能エネルギーを本格的に拡大していくうえで、それが電力システムに対してどのような影響を与えるのか、そして、問題が生じうるとすれば、それをどのように解決していくべきかを明らかにしようとした」ものであり、その過程から「電力システム改革は再エネ促進の前提条件となり、そして再エネの伸長は、いずれ電力システム改革の行方に大きな影響を及ぼすことになるという、相互作用的な関係である」ことを明らかにしている。また、同書は、電力システム改革と再エネ促進策の関係を、電気工学と経済学の協力で探究した、国内初の本格的な研究書とも言えるだろう。同書の構成を以下に示す。 序章 電力システム改革と分散型電力システム(諸冨 徹)、第1部 分散型電力システムのデザインと技術的課題 第1章 電力システムの計画経済型から市場経済型への移行のための技術と制度設計(阿部力也)、第2章 再エネ大量導入時代の送電網のあり方(安田 陽)、第3章 分散型電源大量導入の技術的問題と対策(近藤潤次)、第2部 分散型電力システムにおける市場設計の諸課題 第4章 ドイツにおけるキャパシティ・メカニズムの制度設計:Strategic Reserve とCapacity Market を中心に(東 愛子)、第5章 欧米における容量市場の制度設計の課題(服部 徹)、第6章 電力系統の再構築とその費用負担原理(諸冨 徹)、第7章 電力システム改革は電力業のパフォーマンスを改善するか(南部鶴彦)、終章 要約と結論、そして今後の研究へ向けての展望(諸冨 徹)。この種の課題の、国レベルの議論では、短期的見方から抜け切れない場合が多いが、同書のように、本来、中長期的観点から議論すべきものと思われる。この書が多くの方々に読まれ、国の政策にも反映することを期待したい。個々の内容は読者にじっくりお読み頂くことにして、最後に、通読して印象に残った語句を記しておきたい(順不同)。「持続可能的・民主的・分散的・分権化・公平性・透明性・客観性・公開性・市場化」などを挙げることができる。
10月26日 毎日新聞24日付夕刊によると、地球温暖化対策の新たな国際枠組み合意(COP21)に向け、ドイツ・ボンで開催されたCOP21会議準備会合は23日閉幕したという。途上国の温暖化対策への資金支援などを巡り、各国の意見対立は解消されず、主要論点は本番に持ち越されたようである。合意は簡単ではない。COP21の特別代表(フランス・パリ政治学院教授のローランス・トウビアナ氏)は「合意に向け、選択肢を絞っていきたい」と述べているが、後世の人類に対し責任を持てる合意が果たしてできるか、現代の人類が問われているとも言えるだろう。なお、毎日新聞25日朝刊にも、同内容の記事が掲載され、各国の利害が複雑化し、論点は先送りされ、COP21において、全会一致の合意を得ることは容易なことではないようだ。
10月26日 毎日新聞24日付朝刊は、政府が23日、地球温暖化で出る被害の軽減策をまとめた初の「適応計画」をまとめたこととともに、法制化が見送られたことも報じている。温暖化の影響はすでに日本各地で顕在化しており(当所の敷地内の1m深地温の測定結果からも、最近4年間にわたり地温が確実に上昇していることが確認されている。この結果は、単に気温が上昇するだけではなく、気温変化のパターンも変化していることも示している)、被害を最小に抑える戦いは長期化が必至だが、「適応計画」の効果を上げるうえで課題が多いが、「適応計画」を絵に描いた餅に終わらせず、実効が上がるように注目していく必要があるだろう。
10月26日 毎日新聞10月23日付朝刊によると、政府は23日、地球温暖化がもたらす国内の被害軽減策をまとめた「適応計画」の案を公表したという。「適応計画」とは、地球温暖化による被害を減らすための対策をまとめた計画のことである。この計画は、農林漁業や自然災害、生態系などの分野ごとに、今後約10年間に政府が優先的に取り組む対策を盛り込んだと言われるが、対策に必要な予算額や具体的な達成目標時期は盛り込まれていない。また、法的な義務もない。まさに、絵に描いた餅に過ぎないと言っても良いだろう。一方で、政府は、石炭火力発電所の新設を目指しており、矛盾した政策となっている。COP21で国際的に理解を得ることは極めて困難ではないか。
10月26日 毎日新聞10月23日朝刊によれば、先進国が掲げる「2050年に温室効果ガス排出量を80%以上削減」との長期目標について、稼働が難しい原発に代わって、二酸化炭素を多量に排出する石炭火力発電所の新設計画が相次ぐ日本は達成が困難とする報告書を政府系シンクタンク・地球環境戦略研究機関のチームがまとめたという。年末にパリで開催されるCOP21において、わが国の姿勢が批判にさらされる可能性もあると言われているが、おそらく確実にそのような結果になるであろう。今からでも遅くない。わが国は政策を転換する必要があるだろう。
10月26日 毎日新聞10月21日付朝刊によると、経済産業省は20日、再生可能エネルギーの固定価格買取制度で、地熱、風力、水力、バイオマスを対象に、あらかじめ2~5年程度先の買取価格を決める考えを示したという。地熱や風力などは環境アセスや地元との調整に時間がかかる。これによって、発電事業者にとって買取価格の予測を立てやすくなり、参入が促進すると期待される。ただ、運開までのリードタイムが長い大規模地熱発電所の場合、同じ価格が長期間維持維持される方が望ましい面もある。
10月15日 毎日新聞10月15日付朝刊によると、11月末からパリで開かれるCOP21で合意を目指している地球温暖化対策の新枠組みで、各国が掲げる2020年以降の温室効果ガス削減目標について、達成の義務化が見送られる見通しになったという。新枠組みでは途上国を含めたすべての国の参加を目指しており、各国の利害に配慮し、厳しいルールよりも合意を優先させる狙いがあると見られている。最低限合意は必要であるが、それだけでは実効性が不十分である。さらなる、何らかの具体的進展を期待したいものである。すでに気候変動は世界各地で多様な規模で始まっており、温室効果ガス削減に待ったはない状況になっているのに残念である。対公害問題と同じで、重大な被害が顕在化しないと真の対策の実施は困難ということか。
10月4日 JOGMEC(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構)は10月2日、本年8月7日秋田県湯沢市で開催された「全国地熱自治体サミットin湯沢」の開催レポートを発表しています。国内で23年ぶりの大型地熱発電所となる「山葵沢地熱発電所」、その建設が始まった秋田県湯沢市で、あらためて地熱とは何か、そして町にどのようなことをもたらすのか・・・・。特に、地域の視点からみる、地熱エネルギー利用の意義が明確に示されています。地熱エネルギー・再生可能エネルギーに関心のある方は、是非とも、ご覧ください。「JOGMEC 地熱資源情報」でサイトに入れます。また、今後、実施内容を小冊子にとりまとめ、地熱開発に取り組む地方自治体など関係先に配布されるようです。
10月3日 毎日新聞10月3日付朝刊は、昨日の夕刊に続いて、温室効果ガス削減目標が主要国から国連に提出されたことを報じている。特に、各国・地域から提出された目標を合計しても、産業革命後の気温上昇を2℃未満に抑えることは難しいと、科学者らで作る国際的NGO組織(クライメート・アクション・トラッカー)が試算しているという。さらに、途上国の目標で積極的なものが相次ぐが、資金や技術から実現が難しいのではないかとの識者の指摘もある。COP21で、産業革命後の気温上昇を2℃未満に抑えるためには、排出量の大きい国での削減目標のアップと、先進国の途上国への技術援助・資金援助が必要不可欠となる。果たして、COP21は合意できるのか極めて不透明である。なお、今日朝7時のNHKニュースでは、先日石垣島を襲った最大瞬間風速が80m/秒を超えた台風のことを改めて報じていたが、名古屋大学の坪木和久教授は今世紀末には、このような強力な台風が本州に影響を与える可能性もあると指摘している。当研究所では自宅敷地で1m深地温(気温の経年的変化を反映)の毎日観測を行っているが、最近4年間、年最高地温は上昇を続け、しかも、最高地温を示す時期が年々早まっていることを観測している。これらは、ほんの一例であるが、すでにいろいろな形で各種規模の気候変動が生じていると思われる。COP21での議論に注目したい。わが国がイニシアチブを果たしてとれるか。そのためには、2つの課題(削減目標・途上国への援助)に思い切った提案が必要だろう。
10月2日 環境省は、「国立・国定公園内における地熱開発の取り扱いについて」の改正について、通知しました。これは、自然環境と調和した地熱開発の一層の促進を図るための考え方等を整理し、優良事例形成の円滑化を図ることを目的とし、平成27年3月に「国立・国定公園内の地熱開発に係る優良事例形成に関する検討会」を設置(7月30日までに計4回開催)し、検討会最終回で得られた結論を踏まえ、平成24年3月27日付の環境省自然環境局長通知を改正し、各地方環境事務所及び各都道府県知事あてに通知したものである。今回の主な改正点は、(1)第1種特別地域に関しては、既存通知では地下部への傾斜掘削も認めないこととしていたが、本改正により、地表に影響のないことを条件に、地下部への傾斜掘削を認めること及び(2)建築物の高さ規制については、風致景観への著しい支障が回避され、風致景観との調和が図られている場合に限り、13mにとらわれずに運用できる ことである。これらの改正によって、有望な地熱資源地域で調査が進展し、地熱発電所の建設が促進されることを期待したい。なお、詳細は環境省HP 報道発表一覧をご覧ください。
10月2日 毎日新聞10月2日付夕刊によると、インド政府が1日、温室効果ガス排出量について、国内総生産当たり2005年比で33~35%削減する目標を国連に提出したという。インドは世界第3位の排出量(世界の6.2%)であるが、削減目標を国際的に公約するのは初めてという。これで、世界148か国・地域(世界の排出量の9割近くを占める)の目標が出そろったことになる。11月30日からパリで始まるCOP21では、途上国を含め、すべての国が参加する温暖化対策の新しい枠組みを目指すことになる。問題の1つは、先進国側が、途上国側の削減対策に対し、資金支援ができるかどうかだろう。日本の削減目標は、2030年に13年比26%というものであり、各国に比べ、野心的な数字とは言えない。COP21では、外国から、資金援助だけでなく、削減目標を上げることが要請されるのではないか。
10月1日 岩波書店発行の月刊誌「科学」10月号(Vol.85,No.10,2015)によると,「衝突山脈ヒマラヤのテクトニクス:最近の進歩と新しいシナリオ」と題した論文(酒井治孝、956-962ページ)が掲載された。それによると、ヒマラヤ形成のモデルに関し、従来のモデル(ヒマラヤ山脈は、チベットの下に100km以上深く沈み込んだインド亜大陸が、高圧・超高圧変成作用を受けて上昇したことによって形成されたとしている)に対し、新しいモデル(インド亜大陸のアンダープレーティング-底づけによる付加作用-によってヒマラヤの変成帯が形成され、その下にあったスラブが分断・落下することにより変成帯が急激に上昇し、ヒマラヤ山脈が形成されたとする-詳細は論文をご覧ください-)が提案されている。議論のポイントは、ヒマラヤの変成岩の起源が、チベットの部分融解した中部地殻に求められることである。最近の地震学的・地球電磁気学的研究から、中部地殻(深度15~60km)では、地震波のS波が約20~40%減衰し、部分融解していることが明らかにされたことが重要な観測事実となっている。チベット地域は、日本列島と違って、火山の発達は見られないが、羊八井(ヤンバージン)地域などの優勢な地熱地域が存在し、実際に地熱発電も行われているが、その熱源は必ずしも明確ではなかった。1993年および1994年、現地を訪れ、現地調査と既存データの収集から、羊八井地域周辺の地域的熱構造に関し、地殻熱流量の解釈から、地殻中部あるいは場合によっては地殻浅部(5km深程度)で、地殻岩石は十分融解することを推定したが、それを新しい観測データが確証を与えてくれたとも言える。地殻中部の広範囲に融解が生じているのにも拘わらず、活発な火山活動や地熱活動が見られないのは、熱源としてはやや深いこと(15km以深)によるのであろうか。あるいは特有のテクトニクスによるのであろうか。そしてそのような背景的温度場の中で、羊八井地域のように局部的に融解層が浅くなっているところに地熱地域が発達しているのであろうか。ヒマラヤ-チベット地域の熱的構造とテクトニクスの解明を今後に期待したい。これらの地域で地熱発電がおこなわれれば大きな貢献となろう。
9月26日 毎日新聞9月26日付朝刊によると、経済産業省は25日、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の見直し案を有識者会議に示したという。それによると、再生可能エネルギー事業者が電力会社と接続契約を結ばなければ、国から受けている認定が無効となる仕組みを導入する。これは、太陽光発電は、年々、価格が下落し、発電効率も向上することから、買取価格が高い時期に設備認定を受けた事業者が、発電を開始しない事例が相次ぎ、2012年度には認定された事業の約4割、13年度には約8割が未稼働で、多くが空押さえとみられている。こうした事案は、不当な利益を得るだけでなく、後発の事業者の参入を妨げる恐れもある。一方、経産省は、電力の買取時期の変更も検討するという。現在、買取価格は年度末に次年度1年分を決めているが、見直しでは、年度の区切りにとらわれない価格設定の仕組みの導入を目指すという。これらは、多様な再生可能エネルギーが健全に導入されるためには必要な改訂であると思われる。太陽光発電の導入は、これらの制度改定および買取価格の年々の低下などから、その有利性が減り、事業者のなかには太陽光事業展開に先が見えにくくなっていることから、太陽光から他分野、たとえば地熱へ転換を試みる事業者も見られるようである。しかし、地熱発電は、太陽光発電と異なり、場所が入手できればよいというものではない。地熱発電は、地下構造とその中における熱と流体流動をよく理解し、そして、長期間安定した持続可能な発電を目指す必要がある。地熱発電に新規に参入を検討している事業者には、そのことをよく理解し、健全な地熱発電を目指してもらいたいものである。
9月25日 自然エネルギー財団により、小冊子「やっぱり自然エネルギー!」(全14ページ)が発表されました。この小冊子は、自然エネルギーを増やすことがなぜ大切か、その理由を、世界の動きや将来への展望も含めて、できるだけわかりやすく解説することを目指したものと言われています。実際、目を通してみると、わかりやすい図表も多く、また、文章も平易でわかりやすく、出版の目的によくかなっていると思われます。自然エネルギー利用を促進したいと思っている人にとっても、もちろん有用ですが、むしろ、自然エネルギー導入に消極的あるいは反対の意向を持つ人に読んでもらうのに格好の内容および分量と思われます。詳細は自然エネルギー財団の HP に入ればすぐ見つけられます。ダウンロードできます。
9月18日 毎日新聞16日付夕刊によると、日米両国が石炭火力規制において対立しているという。それは、石炭火力発電所の輸出を推進したい日本と、温暖化防止を目的に規制強化を主導したい米国が国際会議の場(17日に開催されるOECD作業部会)で対立する構図が強まっているという。世界銀行や北欧諸国などが米国に同調する動きを見せており、輸出を成長戦略の一つと位置づける日本の政府関係者や関連企業が危機感を強めているという。日本の石炭火力の発電効率は世界トップクラスであるが、導入費用がかさむため、多くの輸出案件で、国際協力銀行などが低利融資などを行う経済的な支援が前提となっているが、米国案では、公的融資を禁止する方向となっている。短期的に見れは、経済性から石炭火力は望まれるが、長期的には温暖化効果ガスの増大につながるため石炭火力の増加は望ましくない。国内でも最近、石炭火力の新設は環境省から同意が得られないケースが相次いでいる。ここは長期的視野に基づいて、気候変動への影響を十分考慮する必要があるだろう。
9月18日 毎日新聞9月16日付朝刊によると、全国の電力融通を調整する「電力広域的運営推進機関」(広域機関)は15日、電気の周波数が異なる東日本と西日本を結ぶ送電網の増強計画を公表したという。また、今年4月に発足した広域機関が、計画を発表するのは初めてという。経済産業省は、今年4月に、東西間の送電能力を現在の120万kWから300万kWと約2.5倍に増強する方針を示していたが、これが具体化されたものである。災害時に広域停電に陥るリスクを軽減できるほか、電力会社間の競争の活発化につながる効果が期待されるという。3カ所ある周波数変換所のうち、静岡市を30万kWから90万kWへ、浜松市を30万kWから60万kWに増強するという。工期は約10年間で、総工費は約1754億円。もう1カ所は、長野県朝日村で、東京電力と中部電力が現在の60万kWを150万kWに増強する工事にすでに着手している。また、東北地方から首都圏への送電能力を東北電力と東京電力の「連携線」を増強し、現在の500万kWから1120万kW以上に増やすという。工期は7~11年程度で、総工費は約1590億円という。これらの建設コストは、最終的には電気料金に上乗せされることになるが、経産省は、電力の安定供給態勢を確保するため必要な工事としている。完成するのは、いずれも約10年後であるが、その時期には太陽光以外の、リードタイムの長い再生可能エネルギーによる発電も恩恵を受けることになるだろう。
9月14日 毎日新聞9月10日付朝刊によると、再生可能エネルギーによる発電の導入が促進される中、その原動力になっている、固定価格買取制度(FIT)が変更されることが報じられている。これは、再生可能エネルギーによる発電の9割以上を太陽光が占めるという偏重が発生するとともに、それに伴って電力買取コストが電力料金に跳ね返ることなどの批判に対応したものである。そこで、太陽光・風力については、送電電力量が電力会社が設定した「接続可能量」を超えた場合、電力会社が「無補償」で抑制できるようになった。また、発電能力が10kW以上の事業用太陽光発電は買取価格が、14年度の1kWhあたり32円から、15年4~6月は29円に、7月からは27円に引き下げられる。このような状況から、事業者は太陽光発電にリスクを感じているようである。一方、地熱発電の導入は、FIT施行後限定的であるが、資源量も多く、買取価格も据え置かれるため、事業者も太陽光発電から地熱発電へのシフトを模索する動きが出てきたという。確かにそのような動きが感じられる。地熱発電が促進されること自体は望ましいことであるが、そこには大きな問題がある。事業者の中には、太陽光発電と同じように地熱発電でも、まず土地を買うことから入るものがあるが、地下熱情報を十分理解していない場合には、極めてリスクが大きいし、安定した発電を望めない。結局は早晩事業から撤退することになるだろう。地熱発電を志向するならば「持続可能な発電技術」を十分理解してから参入すべきと考えられる。同時に、「自然環境」あるいは、「地元との合意」に関し、十分配慮を図るべきである。
9月8日 毎日新聞9月8日付夕刊によると、11月~12月にパリで開かれるCOP21を前に、パリで非公式閣僚会議を主宰したフランスのファビウス外相は7日、記者会見し、先進国が途上国に約束した「2020年までに年1000億ドル(12兆円)規模の支援」を実現することが重要との点で一致したと述べたという。また、11月前半にパリで閣僚級のプレ会合を開催することや、COP21開幕時に合わせて全締約国首脳の出席を促したことを明らかにしたという。1000億ドル規模の支援では、経済協力開発機構(OECD)に詳細な報告書の提出を要請したという。わが国の首脳が出席するのであれば、現在想定されているよりもいっそう野心的数値を掲げる必要があるだろう。
9月6日 毎日新聞9月6日付朝刊によると、温室効果ガス排出量が急増し、世界第3位の排出国になっているインドが、今月中にも削減目標を国連に提出する見通しになったという。また、ブラジルも今月15日に開催する国連総会で発表する可能性が高いという。途上国からの目標提出は、年末にパリで開かれる国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)での地球温暖化対策の新枠組合意に近づくと期待される。インドでは22年度までの太陽光発電の導入目標を従来の5倍に引き上げており、再生可能エネルギーの導入促進で二酸化炭素削減を試みるようである。その背景には、同国内で発生する熱波、洪水などの災害が深刻化し、温暖化に対する国民の考えが少しずつ高まっていることがあるという。いずれにしても、二酸化炭素削減に対しては、先進国の責任にこだわってきたインドが目標を提出すれば、未提出の途上国への圧力となり、新枠組み合意に向けて弾みになると見られている。なお、これまでに目標を提出したのは、2大排出国の中国と米国に加え、日本や欧州連合など30カ国・地域で、世界の排出量の約7割に当たるという。そして、インドとブラジルが加われば8割近くなるという。温暖化防止に向けて、世界の方向は決まりつつあるが、決定される目標が産業革命以前からの気温上昇を2℃以内に抑えられるかどうか危ぶまれており、日本を含め各国は、COP21において、追加措置を求められることになるのではないか。
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