地熱情報研究所

地熱情報研究所の立ち上げにあたって
地熱から少し離れて
最近の日本の地震活動 最近の日本の火山活動

地熱研News

地熱に関する最新の動き 地熱に関する最新の動き  意見 意見
<< Back 1 |  2 |  3 |  4 |  5 |  6 |  7 |  8 |  9 |  10 |   Next >> 
9月4日 毎日新聞9月3日付夕刊によると、2020年以降の温暖化抑制国際目標(産業革命後の気温上昇を2℃未満に抑える)が達成困難ではないかと、科学者らで作る国際NGO「クライメート・アクション・トラッカー」が発表したという。これは世界各国が国連に提出した削減目標を足し合わせても、目標達成に必要な二酸化炭素削減量が足りないことが明らかになったことによる(25年時点で120億~150億トン、30年時点で、170億~210億トン)足りないという)。わが国を含め世界各国が削減目標を見直す必要のあることを示している。今年12月パリで開催されるCOP21でどのような議論が行われるか注目したい。
9月4日 毎日新聞9月2日付朝刊によると、日本に冷夏をもたらすという「エルニーニョ現象」が昨夏からずっと発生しており、今年は涼しい夏になるかと予測されていたが、実際には、今夏、東京都心で猛暑日の連続日数の記録が更新されるなど、高温が続いた。その原因はインド洋にあったとの見方が研究者の間で出ているという。これまで、「エルニーニョ現象」が発達すると、インドネシアからフィリッピン周辺にかけての海水温が低くなり、太平洋高気圧を強める働きが弱くなるため、涼しい夏になりやすいと説明されていたが、今年はむしろ逆になっているのである。その説明として、インド洋の海水温の影響が議論されているという。インド洋の熱帯域では、今年7月頃から東側の海面水温が平年より低く、西側が高くなった。この結果、東側海域で冷やされた大気はヒマラヤ山脈やインドシナ半島の山岳地帯にぶつかって上昇気流になり、ミャンマーやベトナムで深刻な洪水被害をもたらす大雨の原因になったという。この大気の流れは、地中海経由とインドシナ半島経由の2つがある。地中海経由の気流は、ヒマラヤ手前で雨を降らせ、乾燥した大気は、地中海付近で下降して猛暑をもたらした(日本でもフェーン現象で、下降気流側で高温化することがしばしば起こるが、これの大規模版であろうか)。この暖められた空気の塊が、ジェット気流に乗って東に移り、太平洋高気圧の一部である小笠原高気圧の西側(日本列島側)に高気圧を生んだと説明されるという。もう1つは、インドシナ半島経由の気流の流れで、大雨を降らせた大気の塊がさらに北上して、日本付近で下降気流になり、小笠原高気圧の勢力を強めたのではないかという。熱容量の大きい海水温度の変化が気候変動を引き起こしていると言えるのではないか。海水温度の変動のメカニズムの研究が必要であろう。なお、ちなみに、気象庁が行う3か月予報の当たりはずれを点数化したところ、最近5年間では100点満点中45点だったという。人類の気象現象理解はまだ道半ばということであろう。将来の地球温暖化を正確に予測する上でもこの分野の研究の進展に期待したい。
9月4日 毎日新聞9月2日付朝刊によると、来年4月に電力販売の全面的自由化を控え、電力取引が適切に行われているかを監視する経済産業省の「電力取引監視等委員会」が1日発足したという。「同委員会」の役割は、新規参入事業者が不利益を受けていないかや、消費者が契約時に適切な説明を受けているかなどを監視することである。委員長は政策研究大学院大学前学長の八田達夫氏。弁護士や公認会計士などの委員5人と事務局約70人の体制。記者会見した八田委員長は「独占的な地位を占める電力事業者が、新規参入者を抑圧するということを防止するために、委員会が大きな力を発揮することになる」と強調したという。
8月29日 毎日新聞8月28日付夕刊および8月29日付朝刊によると、望月環境大臣が、電力会社等が計画する大型石炭火力発電所(千葉県袖ケ浦市、出力200万kW)について、環境影響評価(アセスメント)法に基づき「現段階では是認できない」とする意見書を宮沢経済産業相に提出したという。電力業界が7月に公表した二酸化炭素削減目標の実効性が不十分なことが理由という。このような意見書が出るのは今年3回目である。業界がコスト安を優先する中で、温暖化対策に逆行することから、環境省が意見書を出したものとみられる。3つの意見書が出たことで、環境省の方針は明確になったと思われる。それを代替するため、環境省がいっそう再生可能エネルギー導入の方針を明確にすることを期待したい。
8月28日 毎日新聞8月28日付朝刊に、8月7日秋田県湯沢市で開催された「全国地熱自治体サミット in 湯沢」(主催:独立行政法人石油天然ガス・鉱物資源機構(JOGMEC)と湯沢市)が紹介されている。サミットでは、地熱発電所が立地する全国の地方自治体の首長らが地熱資源開発を通じ、地域活性化に取り組む事例や課題について議論されたという。発電以外にも、農産物の生産や食品の加工などへの活用事例が発表され、地熱資源の多様な可能性が紹介されたという。JOGMEC黒木啓介副理事長は「再生可能エネルギーの中でも利用促進が期待され、国も固定価格買取制度などで環境整備している。今後はより立地地域との共生を意識して進められれば」とあいさつ。湯沢市の斎藤光喜市長は「地熱には大きな可能性がある。ジオパークとしての観光活用や地下資源、農業など全部関連させて地方創生に結び付けていきたい」と述べた。このほか、湯沢市の高校生、地元事業者などによる討論や事例発表が行われ、市民と行政の意見が交換される場になったという。
8月21日 毎日新聞8月21日付夕刊によると、米海洋大気局(NOAA)は、20日、7月の世界の平均気温が、記録のある1880年以降で最も高かったと発表したと言う。同局によると、7月の平均気温は16.31℃で、これまで最高だった1998年より0.08℃高く、20世紀中の7月の平均を0.81℃上回ったと言う。1~7月の気温も、これまで最も高かった2010年を0.09℃、20世紀の同期間の平均を0.85℃上回り、過去最高を記録したという。同局は、気温上昇の原因と考えられている太平洋赤道域東部の海面水温が平年を上回るエルニーニョ現象について、来年春先まで続く可能性があるとしている。なお、当所では、敷地内で、2012年5月8日より1m深地温の測定を続けているが、各年の最高気温が、2012年、28.30℃(9月2日)、2013年、28.59℃(8月22日)、2014年、28.64℃(8月8日)そして、2015年28.72℃(8月12日)と経年的に上昇を続け、また、最高地温に達する日が年々早まっている傾向もみられる。
8月21日 毎日新聞8月19日付朝刊によると、経済産業省が、東北から首都圏への送電能力を倍増させる検討を始めることが18日にわかったと言う。東北電力と東京電力の送電網をつなぐ「連携線」を増強し、現在は500万kWの送電能力を1120万kW程度に増やすと言う。来春の電力小売り自由化をにらみ、既存の電力会社の営業エリアをまたいで電力事業者が競争しあう環境を整備し、将来の電気料金値下げにもつなげる考えだと言う。このように送電能力が強化されれば、再生可能エネルギーによる電力増加にも好影響を与えるだろう。将来的には、東日本と西日本の「周波数を切り替える設備」の増強や北海道と本州を結ぶ「連携線」を増強することも検討されるという。できるだけ早期に実施されることを期待したい。
8月19日 毎日新聞8月18日付朝刊によると、望月環境相は環境影響評価法に基づき、中部電力が愛知県で予定する石油から石炭火力発電所への建て替え計画を「是認できない」とした意見書を経済産業省に提出したという。今年6月、大阪ガスなどが山口県で計画中の石炭火力に異議を唱えたのに続く、厳しい意見となったと 言われる。石炭火力は石油や天然ガスに比べ燃料費が安いが、火力発電の中でも二酸化炭素排出量が多く、導入拡大は地球温暖化対策に逆行する。社説は、政府が、火力発電所から出る二酸化炭素の総量規制や排出量に応じて賦課金を科すことなどにより、石炭火力の抑制を図るべきではないか、そして、賦課金を、再生可能エネルギーの拡大に振り向けることも考えられるとしている。
8月14日 毎日新聞8月14日付朝刊によると、工業用保温材の施工を手掛ける約450社で作る「日本保温保冷工業協会」が、工場内の配管に設置する保温材の劣化により、国内の製造業が消費するエネルギーの3%程度が無駄使いされている可能性があると推計したという。これを発電量に換算すると、原発(100万kW)7基が1年間フルに運転して生み出す電力に匹敵するという。かなり巨大な量である。省エネには、最新鋭の設備導入も重要だが、老朽化設備の補修なども重要であることを示している。地熱発電所における熱水蒸気輸送管の熱ロスはどの程度であろうか。なお、2013年度の国内のエネルギー消費の内訳は、経済産業省によると、製造業42.4%、運輸23.1%、サービス業18.1%、家庭14.4%、農林水産業など2.0%となっており、製造業における保温・保冷は重要な課題といえるだろう。
8月10日 毎日新聞8月9日付朝刊によると、今年は、梅雨明け以降、猛烈な暑さが襲っているという。これはすでに、市民が体感していることである。具体的には、たとえば、東京都心では気温35℃以上の猛暑日が8月7日まで8日連続となり、統計を取り始めた1875年6月以来の最長期間を更新したという。それに伴って、熱中症の搬送者数は前年同期の2倍超の1万1672人で、統計を取り始めた2008年以来、1週間の人数としては過去最高を記録し、死者も25人に上がったという。累計でも搬送者数は前年同期を7698人を上回る3万3934人に達しているという。気象庁は、この暑さは日本だけでないという。6月の世界の月平均気温は平年を0.41℃上回り、1891年の統計開始以来最高となったという。このような原因として、気象庁気候情報課の竹川元章予報官によると「地球全体の気温が特にこの冬から高い。昨夏から発生中のエルニーニョ現象により熱帯の海面水温が広範囲で高く、大気が暖められている」と分析しているという。広い意味で、気候変動が関与しているということであろう。また、わが国の特に都市地域では、ヒートアイランド現象による効果も追加されていると思われる。
8月10日 毎日新聞8月9日付朝刊によると、経済産業省は、再生可能エネルギーに対する固定価格買取制度(FIT)の見直し作業を進めているという。本年6月末より、有識者会議が議論を始めている。早ければ来年の通常国会で、再生可能エネルギー特別措置法の改正を目指しているという。主なポイントは、太陽光発電による発電量の買取量に上限を決めること、風力発電や地熱発電の促進を図るため環境影響評価を早くできようにすること、送電設備の強化・費用負担割合、再生可能エネルギー導入に伴う負担増加にどう対応するか等が挙げられている。各再生可能エネルギーにおいて、コスト、導入期間等を含めた背景が異なるので、それらを考慮した長期的なスパン(2050年あるいは2100年)を見越したエネルギー構成を想定して、ロードマップを明確にし、検証しながら進めざるを得ないだろう。特定な電源に過剰な供給を頼るのではなく、リスク分散を図ることが大事であろう。このような中で、忘れてならない1つの重要なことは、数年前までは、再生可能エネルギーは量的に見て取るに足らないと広く喧伝されてきたことである。しかしながら、再生可能エネルギー(太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマス)は量的に十分あることが明らかにされたことである。要は、これらを2050年・2100年という長い時間軸の中でどのように導入を図っていくかであると思われる。
8月8日 岩波書店発行の月刊誌「科学」8月号(8月1日発行)によると、今年は、アインシュタインがベルリンのプロイセン科学アカデミーで「一般相対論」を発表してから100周年の記念の年といわれる。「一般相対論」は、一言で言えば、重力を時間や空間の性質(ゆがみ)によって説明する理論といわれる。すなわち、宇宙に働く重力(万有引力)をマクロな立場で記述する法則を教えてくれるともいわれる。実は、重力は地熱開発(特に地熱探査)でも重要な役割を持っている。地熱貯留層形成の背景となる基盤構造の解明、さらに地熱貯留層そのものである透水性の断層構造の検出には欠かせない。「一般相対論」が、必ずしも地球の重力構造の理解に結びつくものではないが、重力の基本的性質をこの記念の年に、改めて考えてみるのも、地球重力に関わる者にとっても意義深いのではないか。重力に対する深い考察は、やがてミクロな視点からも追及され、「量子重力論」として展開し、宇宙誕生の解明に向かっているといわれる。この分野では、現在、世界中で大きな話題となっているという。興味ある方は、科学8月号をお読みください。なお、2015年というのは、別の大きな記念の年でもある。「大陸移動説」を唱えたドイツの科学者ウェゲナーが100年前に、「大陸と海洋の起源」を発表している。この書は、現代のプレートテクトニクス説確立の出発点となっている「大陸移動説」を、多様な状況証拠から論じたものである。「一般相対論」も「大陸移動説」もドイツで発表されている。当時のドイツは世界の科学の中心であったものと思われる。この一世紀に科学の中心はアメリカに移動したが、時々は、ものごとの起源に遡って考えをめぐらすのも興味あるのではないか。
8月8日 Yahoo!ニュース(朝日新聞DIGITAL)によれば、記録的な猛暑が続いている中、大手電力会社は比較的余裕のある電力供給を続けているようである。太陽光発電の普及あるいは節電の定着がその理由として挙げられている。最大電力使用率(一日で最も需要が多いピーク時電力量とその日の電力供給力の比を%で示したもので、95%以上だと電力余裕が厳しいと判断される)は、今夏8月1日の中部電力1回だけ(95%)であり、それ以外は「やや厳しい」(90%以上)あるいは安定的(90%未満)で推移している。原子力発電が稼働していなくてもこれだけ達成されている。今後重要なことは、CO2放出量の少ない再生可能エネルギーによる発電を着実に伸ばしていくことである。地熱発電も大いに貢献したい。
8月6日 月刊誌「中央公論」9月号(8月10日発行)に地熱発電に関するインタビュー記事が掲載されました(聞き手は、中央公論安部順一編集長。答えるのは当所江原幸雄代表)。非常事態!日本のエネルギーシリーズの5回目で、タイトルは「地熱発電が挑む三つの壁」(236~241ページ)です。地熱発電のしくみ、世界におけるわが国の地熱発電の状況、三つの壁「コスト問題」、「国立公園問題」、「温泉問題」について現状、解決の見通し、そして、わが国の地熱発電の将来の貢献について、答えています。
8月3日 毎日新聞8月3日付朝刊によると、2016年~30年の開発や環境分野の目標を先進国と途上国が共有しようとする国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ(仮称)」の政府間交渉が大筋で固まり、2日、実質合意に向けた最終的な協議が行われる予定という。男女平等の社会参画や児童虐待・搾取の撲滅などの主要な目標(17分野169項目)とともに、「再生可能エネルギーの大幅な拡大・エネルギー効率の倍化」が挙げられている。法的な拘束力はないが、加盟国は目標達成のための政治的義務を負うと言われる。日本が自らの社会改革に取り組む必要があるほか、海外支援や環境政策の形成にも大きな影響を与えることにもなるという。地熱発電に即して言えば、2030年に向けた数値目標(現在より、約100万kW増の合計約150万kW。この値は太陽光発電約1000万kWに相当するとともに、日本の総電力量の1~1.1%に貢献。これを確実に実現することが、さらに、将来にわたる地熱発電の貢献を高める礎になるだろう)を実現するとともに、地熱産業の拡大に対応して、女性の進出が増えることを期待したい。3.11以降の地熱発電を目指した事業拡大に応じて、多様な分野を含む地熱産業にも女性の進出が目立ってきているがまだまだ少ない。地熱分野への女性の進出とその中でのわが国の地熱発電の進展を期待したい。新目標を推進してきた欧州連合(EU)欧州委員会のミミツア委員(国際協力・開発担当)は、毎日新聞の取材に「男女平等の実現がカギ」と語ったと言われる。
8月1日 7月29日~31日にわたって、東京ビッグサイトで、RE2015再生可能エネルギー世界展示会(毎年1回開催、今年が10回目)が開催されたが、去年までの強い上昇志向の熱気がやや穏やかになっている印象が強かった。それは来場者数にも表れており、29日10,954人(前年比18.2%減)、30日12,269人(前年比9.5%減)と前年に比べ、来場者数は10~20%程度減少しており、3日目の来場者数の集計は出ていないが、3日間合計でも同程度の減少ではないかと思われる。これは、太陽光発電の急拡大期の終焉、地熱発電では、周知・認知時期から、調査・事業化への移行(現在、数10~数100kW級の小規模地熱発電所が全国各地で10カ所以上で新たに運転開始、数1000kW級の地熱発電所も相次いで運転を開始、大規模発電所は2019年以降運開予定。現在日本全国で70カ所以上で、小中大規模地熱発電所建設を目指した調査事業が進行していること等)を反映しているものと見られる。他の再生可能エネルギーも地熱発電とやや似た状況にあるのではないか。展示ブースを訪れる来訪者の質問等の内容も従来とはやや異なり(従来は地熱発電に関する知識を得たいとの来訪者も多かった)、事業化に関する質問、太陽光事業から地熱事業へ関心を移してこられた方、あるいは、地熱発電の特徴を理解する中(わが国の地熱資源量の多さ、わが国の地熱発電技術の高さ等)で、どうしてわが国の地熱発電の進展が遅いのか、あるいは新しい地熱発電方式の提案等、従来とは異なる傾向が見られた。同時に、各地での多数の新規参入者間の軋轢(地熱発電の特性を必ずしも十分に理解されず、表面的な事業性に関する認識のみで地熱発電事業に関わろうとする事業者等の存在)等の問題が生じている様子も伺われた。一方、温泉発電等で問題となっているスケール付着等への新たな対応も見られるようになってきている。また、坑口発電方式による開発、あるいは段階的地熱開発の兆しも見られてきている。地熱発電は、周辺に温泉が出ていたり、そして、土地があれば容易に実現するものではなく、地道な地下調査に基づく科学的資源量評価、適正発電規模による開発、そし長期にわたる持続可能な発電が要求される。そのような裏付けのもとでの地熱発電は十分経済性が見込めるものである。また、同時に収奪型ではなく、地域の発展に資するようなものでなくてはならない。すなわち、地下資源利用としての地熱発電事業を十分認識し、地域住民そして国民に理解される地熱事業を目指す必要があろう。国は引き続き、各種の支援事業を継続しており、また、環境省や内閣府規制改革会議により、国立・国定公園などの規制緩和も進行しており、自然環境と調和した開発を行う準備が整いつつあるなどの背景的状況の改善もある。現在調査中の地点で良い結果が得られ、発電所建設に結び付け、国民に目に見える形で地熱発電の貢献を示したいものである。地熱発電を目指す方々のいっそうの尽力を期待したい。
7月20日 発電技術に関する月刊誌「火力原子力発電」最新号(2015年7月15日発行、66巻7号)に地熱発電関係の2つの解説記事が掲載されている。1つは、「米国ガイザーズ地熱発電所のスーパーロータープロジェクト」(8~12ページ、前泊 淳一郎氏、(株)東芝)、もう1つは「大型地熱蒸気タービン用ローター材料の開発と実用化」(13~21ページ、L. Yan 氏ほか7名、(株)東芝)である。前者は、世界最大の地熱発電地帯である米国ガイザーズの地熱発電所群へ納入した多数のローターを「スーパーローター化(地熱発電の長期運用による地熱資源の減衰および地熱タービン特有の劣化・損傷に対する信頼性向上及び性能改善技術の総称)」することによって、同発電所の長期間維持への貢献を示したもので、後者は、世界最先端を行くわが国の地熱発電技術が、あくことなき技術開発(特に材料開発)を続けている現状の報告で、いずれも興味深い。わが国の地熱発電技術は、近年の世界の地熱発電の進展に大きく貢献しているが、一方、わが国の地熱発電はFIT施行後、小規模地熱発電所(数10~数100kW級)は多くの地点で運転開始しているが、最近やっと中規模の発電所(数1000kW級)が運開を始めた状況で、自国の地熱発電技術を十分生かし切れているとは言えない。2019年以降大規模地熱発電所(数万kW級)が運開を始める予定であるが、それらにわが国の最新の地熱発電技術が導入されることを期待したい。
7月17日 毎日新聞7月17日付朝刊によると、経済産業省は16日、2030年度の総発電量に占める電源ごとの割合(電源構成)について、現在はゼロの原発を20~22%などとする方針を正式に決定したという。再生可能エネルギーは現在の2倍の22~24%、火力発電は56%となっている。このうち、地熱発電は、現在より約100万kW増(合計で、約150万kW。太陽光であれば、約1000万kWに相当)で、その場合、全電源構成の約1%となる。この目標値の実現はそうたやすいことではないが、これを確実に実現し、2050年あるいは2100年に向けて、さらなる大きな貢献を目指したいものである。地熱開発に従事する方々のいっそうのご尽力を期待したい。
7月16日 本日7月16日、ニュージーランド国Simon Bridgesエネルギー・資源大臣の来日に合わせて、ニュージーランドと日本とのMOU締結について、NZのGNS Science と日本のJOGMECとの間で、調印式が執り行われたとのことです。今後、地熱に関する両国の技術交流が盛んになると思われ、特に、NZ側は世界の7割を超えて供給する地熱蒸気タービンを製作するわが国の重電メ-カ-とのコラボを意図していると思われる。一方、NZの地熱資源評価技術は世界トップレベルであり、交流により、この分野でもわが国に大きくプラスすることが期待される。
7月10日 毎日新聞7月10日付朝刊によると、経済産業省は再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)で電力を調達した事業者が、電源が太陽光や地熱だと表示して販売することを認める方針を明らかにしたという。2016年4月に電力小売りが全面自由化される際に、消費者が電気の購入先を選ぶ目安として役立てることになる。「FIT電気」とし明示し、FITによる調達割合も示すことを電源表示の条件とするという。FITは買取費用が電気料金に上乗せされる形で、火力発電などによる電力の購入者も負担しており、すべての利用者に支えられている点を明確にすることを求めている。一方、「グリーン電気」や「クリーン」、「環境にやさしい」といったPR表現は、FITを使わずに再生可能エネルギーを販売する事業者に認める方針という。FITを使わない事業者が、FITによる支援を受けている事業者に対して競争上不利になるとの指摘に配慮したものだという。経産省はこうした方針を8日の自民党会合で示したという。有識者会議で議論し、電力販売の表示ルールをまとめた指針の策定を急ぐようだ。
7月9日 毎日新聞7月8日付夕刊によると、化石燃料の中でも最も二酸化炭素(CO2)の排出量の多い石炭火力発電所を途上国などが建設する際、最大の支援国が日本になっているとの報告書を、国際環境NGOがまとめたという。わが国の石炭産業への公的資金の拠出額は、最近8年間で計約2兆円に上がり、世界拠出総額約8兆円の約25%を占め、世界トップになっている。日本は、主に国際協力銀行を通じ、ベトナムやフィリピンなど少なくとも15か国に約60件の石炭火力の新設を実施したと言われる。世界全体では支援額が2009年以降減る傾向にあるが、日本からは増えているという。外務省関係者は、「石炭は燃料コストが低く、導入を希望する途上国は多い。高効率の日本の技術を使えば、CO2排出が少なくて済む」と説明する一方、WWFジャパンの山岸尚之氏は、「高効率でも、石炭火力発電からのCO2排出は多く、稼働すれば数10年間は続く」と、再生可能エネルギーの導入促進を求めている。エネルギーに関する支援が短期的視野でなく、長期的視野に立って行われることが望ましいと考えられる。それこそが、支援国から日本が将来にわたって感謝される道であろう。さて、一方、わが国の地熱発電の海外支援はどうであろうか。国内地熱開発の再生に向かっている3.11以降のわが国は、現在、アジア、中南米、アフリカ諸国へ活発な支援が始まっている。国内の地熱開発を進展させるとともに、海外支援も充実し、世界に冠たる地熱国を目指したいものである。関係者のいっそうのご尽力を期待したい。
7月4日 毎日新聞7月4日付夕刊によると、地球温暖化に関する科学的な評価に取り組む国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)第一作業部会のトーマス・ストッカー共同議長が東京都内で毎日新聞の取材に応じ、2020年以降の温暖化対策の新枠組みで各国が掲げる削減目標について、「(目標を積み上げても)産業革命後の気温上昇を2℃未満に抑えるという国際目標の達成は困難」と危機感を表明したという。12月にパリで開催予定の「COP21」に向け、米国や中国など17か国・地域が削減目標を国連に提出しているが、自主目標にとどまるため、ストッカー氏は「(新枠組み開始後に)目標を高めていく仕組みづくりが不可欠」と述べたという。IPCCは昨年11月に第5次報告書をまとめたが、次の報告書は早ければ5年後をめどに作成する方針を示したという。内容については、地球規模の評価に加え、「国や地域ごとに、温暖化のリスクを評価できる情報を共有したい。特に温暖化の脅威にさらされ、脆弱な途上国の科学者の意見が重要だ」と話したという。世界は、決定的な事象が生じる前には、有効な対策を開始できないのだろうか。その時には、回復が困難になる可能性がある。公害問題のように、多くの死者が出て初めて、対策が取られることになるのだろうか。
7月2日 毎日新聞7月1日付夕刊によると、世界最大の温室効果ガス排出国である中国は6月30日、地球温暖化対策の新しい国際的枠組み(COP21)で掲げる目標を国連に提出したという。国内総生産あたりの二酸化炭素排出量を2005年比で60~65%減らし、遅くとも30年ころをピークに総排出量を減少に転じさせるという。中国は、経済成長を維持していくこと(なお、REN21による「自然エネルギー世界白書2015」によれば、世界的には、経済成長と二酸化炭素排出量増大のデカップリングが現在実現していることを示している。これは自然エネルギー導入の増大による)を前提としていることから、「国内総生産あたりの二酸化炭素排出量」にこだわっているように見えるが、石炭火力により深刻化している大気汚染問題、近年の国内における風力を筆頭とする再生可能エネルギーの大量導入が背景にあるとみられる。削減量の数値的な目標が示されていないことは問題であるが、国際的にはCOP21でリードしたい意思を示したのであろう。
7月1日 岩波書店発行の月刊誌「科学」7月号では、特集:大陸移動説からプレートテクトニクスへ『大陸と海洋の起源』100年が掲載されている。特集は、本年2015年は大陸移動説を唱えたドイツの科学者(気象学者)ヴェーゲナーの同名の著書が発表されてから100年を記念した企画である。わが国でもプレートテクトニクス確立に貢献した上田誠也氏、金森博雄氏がそれぞれにまつわるお話を紹介されており研究史としても興味深い。また、現役・若手研究者の吉田正樹氏、小平秀一氏、長谷川政美氏による最近のトピックに関する紹介も興味深い。ヴェーゲナーの説は提出後その原動力がわからないことが問題で、その後忘れられたが、1950年代の古地磁気学での発見により劇的に復活し、海洋底拡大説に発展し、プレートテクトニクス説につながっていった。原動力に関しては、沈み込むプレートの引っ張り力が最も重要との理解がなされていたが、その考え方はプレートがマントル深く沈み込んでいる場合はいいが、プレートが形成された直後では一体どうなるか疑問に感じていたが、吉田氏による最近の説によると、沈み込むプレートの引っ張り力も重要だが、マントル対流に伴うプレート(スラブ)のマントル曳力も重要との指摘があり、長年の疑問が解けた感じがした。古くて新しい課題である「プレート運動の原動力」は依然ホットな課題になっている。大陸移動説が提案されてから100年が経過した今年、改めて、プレートテクトニクス確立のプロセスを追体験してみるのも興味深いのではないか。ここには、新たな学説が、浮き沈みをしながら、科学的根拠に基づいて、確立していくプロセスが示され、興味深い。特に、若い人(地球科学を学ぶ学生とは限らない)がこれらのプロセスを正しく知ることは意義あるのではないか。このような理解は、地熱発電の発展に直結するものではないが、地熱系の理解に深みを与えるものと考えている。なお、これに関する「大陸移動説100年」記念講演会が7月22日(水)午後、国立科学博物館で予定されています。詳細は、「科学」HPをご覧ください。
6月28日 TBSラジオ「爆笑問題の日曜サンデー」で日本地熱協会斉藤事務局長に、「火山からの恩恵と試練」の中で、地熱発電についてのインタビューがあった(14時15分~22分頃)。地熱発電の現状と将来について、爆笑問題・アナウンサーからの質問に答える形で紹介された。多くの方が地熱発電に関心を持つきっかけになったことを期待したい。
6月25日 毎日新聞6月25日付朝刊によると、経済産業省は24日有識者委員会(新エネルギー小委員会)を開き、固定価格買取制度の見直し作業に入ったという。太陽光発電への偏重を改めるのが狙い。再生可能エネルギーを受け入れるための送電網強化なども検討課題とされるという。地熱発電に関して言えば、発電までの期間が10年以上かかるために普及が遅れている地熱発電の導入促進策(環境アセスの短縮化)などの課題が示されたという。2030年の導入目標(発電設備量155万kW = 太陽光発電約1000万kWに相当。発電電力量102~113億kWh)を実現できるよう、積極的な議論を期待したい。
地熱に関する最新の動き 地熱に関する最新の動き  意見 意見
<< Back 1 |  2 |  3 |  4 |  5 |  6 |  7 |  8 |  9 |  10 |   Next >> 
Institute for Geothermal Information. All Rights Reserved.