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1月6日 毎日新聞1月6日付夕刊によると、昨年2015年12月の平均気温は東日本を中心に全国19地点で同月として統計開始以来最高を記録したという。1月に入っても暖かさは続き、5日は東京・千葉・埼玉などで、最高気温が15℃を超えるなど各地で3月下旬から4月上旬並みになっている。なお、これに関連する記事に関してはすでに本欄でもたびたび報告している。
1月6日 毎日新聞1月6日付朝刊によると、地球温暖化が進んで干ばつなどで河川の流量が減り、また、冷却用の河川水や海水の温度が上がると、冷却水を必要とする火力発電所・原子力発電所・地熱発電所の稼働に、水力発電所以上に影響が出るとの試算結果を、欧州の研究チームが4日の英国科学誌ネイチャー・クライメート・チェインジ電子版に発表したという。今世紀末には、火力・原子力・地熱の発電量が20世紀末と比べ、最大で約2割落ち込むという(記事では、火力・原子力について記述されており、地熱に関する詳細な説明はない)。地熱を含め、火力・原子力発電では、発電の効率を上げるためには、冷却塔出口の冷却水温度を下げることが必要だが、この温度が上がることにより、発電効率が下がってしまうことによる。地熱発電の場合、冷却水は、海水や河川水を使わず、地下から生産した蒸気の凝縮水起源の冷却水によりタービン出口側の蒸気を冷却しているので、火力や原子力ほど地球温暖化の影響が直接効かないと思われるが、地熱の場合、熱的落差が小さいので、一定の影響を受けるだろう。現在でも、夏と冬では熱効率が異なり、夏の発電量は冬の発電量より小さいが、将来的には、地球温暖化による発電効率の低下も考慮する必要があるということか。
1月5日 毎日新聞1月5日付朝刊によると、昨年2015年12月の北日本と東日本の降雪量が、統計がある1961年以降、最少を記録したことがわかったという。東日本では、12月の平均気温も46年に統計を取り始めて以降、最も高かったという。気象庁によると、月平均気温は平年に比べて東日本で1.9℃、北日本で1.6℃高く、宇都宮、甲府、静岡、横浜などでは過去最高を記録した。降雪量も少なく、北海道は平年比48%、東北が同23%、関東甲信は3%、北陸と東海は2%にとどまった。気象庁は、エルニーニョ現象や北極周辺の大気の流れの影響で、偏西風が日本列島付近で北に蛇行して寒気の南下が弱まった結果、気温が上昇し、降雪量も少なくなったと見ている。いろいろな現象が、温暖化を示し、また、その時期が早まっているようである。身の回りの諸変化にも注意深くありたい。
1月4日 毎日新聞1月4日付朝刊によると、寒気が南下せず暖かい空気が南から流れ込んだことなどから、日本列島は3日、広い範囲で気温が上昇し、東京で平年より6.1℃高い、16.2℃を記録するなど、各地で3月下旬から4月上旬並みの暖かさになったことを報じている。気象庁によると、東北から中国・四国地方にかけての22カ所の観測点で、1月としては統計を取り始めて最も高い気温を更新した。なお、当所では敷地内で1m深地温を2012年5月8日以降、毎日継続観測しているが、2015年12月27日以降、2016年1月4日まで、順調に地温は低下している。なお、2016年は、同期間において、2013年、2014年、2015年に比べ、いずれも地温は高温となっている(0.6~1.2℃程度)。
2016年1月1日 毎日新聞1月1日付朝刊によると、2015年は1年を通じ高温が続き、大型エルニーニョの影響と指摘している。気象庁によると、12月中旬の平均気温は、北日本で3.4℃、東日本では3.3℃それぞれ平年より高く、1961年の統計開始以来最高値を記録したという。札幌市は、12月26日にやっと最高気温が0℃未満の真冬日となり、1876年の観測開始以来最も遅かった。2015年は、年間を通じても、西日本が2年連続で冷夏になったのを除けば、全国的に平年より高温となった。2015年の日本の平均気温は、平年より0.63℃(速報値)高く、1898年の統計開始以降で4番目の高さ。地域別では、平年に比べ、北日本で1.1℃、東日本で0.8℃、西日本で0.3℃、沖縄・奄美で0.5℃高かった。こうした傾向の一因として、気象庁は地球温暖化に加え、14年夏から続く、エルニーニョ現象を挙げる。実際、同現象は世界規模で影響を及ぼしたという。2015年の世界の年平均気温は平年より、0.4℃(速報値)高く、1891年の統計開始以降過去最高になる見込み。世界の年平均気温が、過去最高を更新するのは2014年に続いて2年連続で、同現象の発生期間と重なる。気象庁気候情報課の竹川元章予報官は「2015年はエルニーニョ現象の影響が大きく働いた1年だったといえる」と話している。なお、当地熱情報研究所では、所内の敷地で、2012年5月8日から、1m深地温を毎日継続観測しているが、年最高地温は、年々上昇し、かつ、最高に達する時期が年々早まっている傾向を見出している。また、12月中旬の地温に関して言えば、2015年は、2012年、2013年、2014年のいずれの地温より高温であり、最近の気温の上昇を反映していると考えられる。
12月31日 毎日新聞12月30日付朝刊によると、全国の都道府県の8割以上で、過去10年に米や果樹に地球温暖化の影響と見られる品質低下などの被害が確認されていることが、見日新聞のアンケートでわかったという。一方、被害軽減策の「適応計画」を策定済みか、策定予定の自治体は約半数しかなく、対策が遅れている実態が明らかになった。
12月25日 毎日新聞25日付朝刊によると、政府は来年度(平成28年度)予算案を決定したと報じられている。地熱発電において、掘削などの調査費補助が100億円に拡大した(前年度80億円)。なお、再生可能エネルギー全体では、前年に比べ、138億円増の1363億円になっている。
12月22日 毎日新聞22日付朝刊によると、気象庁は21日、今年の世界の平均気温が平年値を0.4℃上回り、1891年の統計開始以降、過去最高になる見通しだと発表したと報じている。日本の平均気温も平年を0.63℃上回り、1898年の統計開始以降、4番目の高さになった。気象庁は、温室効果ガスによる地球温暖化や、南米ペルー沖で続くエルニーニョ現象が原因と分析している。世界の平均気温が過去最高を更新するのは、2014年に続き2年連続。100年当たりでは世界は0.71℃、日本は1.16℃上昇しているという。この差の一定部分はヒートアイランド現象によるものがあると思われる。その差は0.45℃と世界の平均気温の上昇分より小さいが、それは日本全体で見るからであり、東京などの大都市地域ではヒートアイランド現象による気温上昇の方が高い可能性が十分考えられる。当地熱情報研究所では、気温上昇を反映した1m深地温の観測を関東地方を中心としてはじめているが、そのあたりも明らかにしたい。
12月16日 毎日新聞12月16日付朝刊によると、経済産業省の有識者会議は15日、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の見直し案をまとめたと報道されている。それによると、太陽光発電で目立っている、高い買取価格で国の認定を受けたまま発電しない事業者の認定を原則として取り消す。今後新制度では、高めの買取価格で認定を受けたまま、電力会社と契約していない事業者の認定を取り消していくことになる。また、家庭用以外の大規模太陽光発電の価格決定では、入札制度を導入するという。適正な太陽光発電の導入と適正な買取価格を目指すものと言えよう。一方、太陽光に比べ時間がかかる風力や地熱などは、2~5年先の買取価格を示すという。事業者があらかじめ買取価格を予想しやすくして新規参入を促す。地熱発電の場合、リードタイムの比較的短い中規模(数千kW級)あるいは小規模(数十~数百kW級)の場合は、妥当とも思われるが、リードタイムが10年以上と長い大規模(万kW級)の場合、現状では4年程度の環境アセスの半分程度への短縮化を進める等の支援策の強化も必要である。世界3位という屈指のポテンシャルを持つ、わが国に恵まれた地熱資源である。質的貢献だけなく、量的貢献も行うためには、大規模地熱発電導入のための効果的な施策が必要であろう。
12月13日 毎日新聞12月13日付朝刊によると、パリで開催中のCOP21において、1997年京都議定書以降18年ぶりに、温暖化対策の新枠組み(パリ協定)の合意が採択される見通しという。さらに、本日午後7時のNHKニュースではすでに合意されたと報じている。新枠組みの主な骨子は以下の通り。(1)産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑える。さらに、1.5℃未満になるよう努力する。(2)できるだけ早く世界の温室効果ガス排出量を頭打ちにし、今世紀後半に実質ゼロにする。(3)2023年から5年ごとに世界全体の削減状況を検証する。(4)全ての国に削減目標の作成・提出と、5年ごとの見直しを義務付ける。(5)温暖化被害軽減のための世界全体の目標を設定する。(6)先進国に途上国支援の資金拠出を義務付けるが、他の国も自発的に拠出することを勧める。(7)先進国は現在の約束よりも多い額を途上国に拠出する。以上、法的強制力を含む強い合意とはならなかったが、先進国・途上国・新興国間で意見の違いがあったが、ともかく、参加全196カ国・地域が合意したことは価値があろう。問題は、合意の今後の実効性である。わが国は、さらなる削減目標の上積みとともに、途上国支援の増額を求められている。日本の地熱関係者にとっては、新規の地熱発電所の、より早期の、確実な建設が要請されているといってよいだろう。
12月9日 毎日新聞12月9日付夕刊によると、パリで開催中のCOP21において、新興国(途上国の中でも経済成長が著しく、温室効果ガスの排出が増えている中国、ブラジル、南アフリカ、インド、メキシコなどの新興国)も途上国の温室効果ガス削減対策費を分担する可能性が出てきたという。これまで、新興国は、自国への投資も必要なため、途上国支援の余裕はないとしてきているという。新興国の意図がどこにあるにせよ、途上国側への支援が増えるのは歓迎すべきことだろう。また、もう1つの焦点になっている、各国の削減目標を5年おきに見直す際の検証制度の義務付けについても、議長国のフランスは楽観的な見通しを持っているという。毎年モニタリングを確実に行い、削減目標実現が見込まれない場合は、早めの勧告をする体制が必要であろう。問題は罰則を科すことではなく、確実に削減を実現していくことである。
12月8日 パリで開催中のCOP21では、連日、先進国側と途上国側との合意が困難との報道が続いているが、毎日新聞12月8日付夕刊によると、2020年以降の途上国側への温暖化対策資金の規模について、現行から上積みすることで大筋合意したと報道されている。また、気温上昇を抑える目標に「産業革命後で2℃未満」と「1.5℃未満」を併記することでもほぼ一致したという。削減数値目標達成の法的義務化をしないまでも、5年ごとにモニタリングを強化するなど、COP21開催前の予想よりも、前進した合意が実現されそうであり、最終合意の中身に期待したい。わが国も、対策資金の上積みとともに、削減目標の上方への修正が求められるだろう。わが国の地熱発電に求められることは、現在調査中の各地点で、調査をいっそう進展させ、確実に新規発電所をより早期に建設していくことである。
12月1日 毎日新聞1日付朝刊によると、11月30日、2020年以降の地球温暖化対策を話し合うCOP21がフランスのパリで開幕したと報道されている。1997年に採択された京都議定書以来となる合意を目指す新枠組みは、途上国を含むすべての国の参加が目標となっている。問題は、現在各国から提出されている目標を合わせても、産業革命以降の温度上昇を2℃以内に抑えることが困難なことである。大事なことは、先進国がいっそうチャレンジングな数値を挙げることとともに、発展途上国の温室効果ガス削減対策に関する技術・資金の支援を先進国が積極的に行うことを表明することであると思われる。会期は12月11日までであるが、実効性のあるチャレンジングな合意ができるか見守りたい。パリ連続爆破事件の直後だけに、安全で円滑に会議が進行できるか見守りたい。
11月22日 毎日新聞11月21日付朝刊によると、経済産業省は20日、水素活用や節電技術などエネルギー分野の投資拡大を後押しする「エネルギー革新戦略」の策定に着手したという。革新戦略では、中小企業や新築住宅の省エネ促進のほか、エネルギー効率の高い次世代自動車の普及を後押しするとしている。また、水素の製造・貯蔵技術や水素発電の実用化にも取り組むという。
11月22日 毎日新聞11月21日付朝刊によると、20日まとめた東京都の環境基本計画案(中間まとめ)について、再度掲載している。その中で、舛添東京都知事が「大都市である東京が自ら高い目標値を示すことでCOP21の成功を後押ししたい」と強調したという。高い目標を掲げ、それに向かって大きく前進を目指すという姿勢は評価されるだろう。それとともに大事なのは、目標値の確実なモニタリングである。この種の数値は、発表されるときは勢いが強いが、その後どうなったかの追跡が弱い。モニタリングによって、目標値の実現度合いを確実に検証し、実現するための修正行動が的確に取られていく必要がある。
11月22日 毎日新聞11月20日付夕刊によると、東京都は、地球温暖化対策で、二酸化炭素など温室効果ガスの排出量を2030年までに00年比で30%程度削減する目標を掲げた環境基本計画改定案の中間まとめ案を公表したという。この数値は、国の目標数値を大きく上回る内容となる。一方、政府は今年7月、東日本大震災後の原発停止で温室効果ガスの排出量が拡大した13年と比べ「30年までに26%削減する」との目標を打ち出している。13年比で換算すると、都の削減目標数値は国を12%上回る38%になる。このような数値が各国、各地域で発表されているが、基準年が微妙に違う。特に、過去において温室効果ガスの多い年を基準とする場合は問題である。これは見かけの削減目標を大きく見せようとする意図が明らかである。温室効果ガス削減の議論が始まったのは1990年の京都会議であり、国際的あるいは国内的議論にあいまいさを残さないために、1990年の数値と比較することにするのが混乱が少ないのではないか。
11月22日 毎日新聞11月19日付朝刊によると、日米欧などの先進国が参加するOECDはパリで17日開かれた作業部会で、一部の石炭火力発電所の輸出規制を導入することで基本合意したという。発電効率が低く、二酸化炭素(CO2)の排出量が多い石炭火力を途上国などに輸出する際、政府系金融機関を通じて行う公的融資が原則禁止になる。月内に最終合意になる見通し。安倍政権は石炭火力の輸出を推進してきたが、日本が得意とする高効率型は対象外となっており、規制の影響は限定的と見られている。
11月17日 毎日新聞11月17日付朝刊によると、環境省などが16日、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」による二酸化炭素(CO2)濃度測定の結果、今年7月までの2年程度の年平均気温が398.2ppmに達したと発表したという。これまで地表面の濃度が公表されてきたが、衛星を使い、地表から上空約70kmまでの大気全体の濃度が明らかになったのは初めてという。年平均2ppmずつ上昇していることも分かり、2016年6月頃には400ppmを超える見込み。「いぶき」は09年に打ち上げられ、地表面で反射した太陽光を使ってCO2濃度などを観測している。地球全体の約1万3000地点のデータを収集・解析しているという。このようなグローバルな観測で、大気中のCO2をモニタリングしていくことは、極めて重要であろう。「いぶき」の観測結果について、環境省の担当者は、「世界の気温上昇を産業革命前に比べ2℃未満に抑えるためには、450ppm以下にする必要があるとされる。危機感を共有してほしい」と話したという。現状の増加スピード2ppm/年のペースで上昇していけば、25年後に、450ppmを超えることになってしまう。テロ事件で揺れるパリで、今月から来月にかけて開催されるCOP21で効果的な合意ができるか、注目したい。
11月17日 GEOTHERMAL RESORCES COUNCIL Bulletin (Vol.,44,No.5,September/October 2015)に、氷床下の湖(氷底湖)の下から供給される異常に高い熱流量に関する興味深い報告が紹介されている(オリジナル論文は、Fisherらによる"High geothermal heat flux measured below the Weat Antarctic Ice Seat",Science Advances1,e1500093(2015) )。それによると、氷底湖の下に掘削された坑井を利用して得られた、地温勾配および熱伝導率の測定から285±80mW/m2という異常に高い熱流量値が得られたという(地球上の平均値は、70mW/m2程度)。また、他の研究でも、105±13mW/m2という値も得られている。これは、氷底湖の下には火山があり、そこから特別な熱が供給されていることを示している。なお、日本の大分県にある九重火山の周辺でも100~300mW/m2の高熱流量が観測されており、火山下の地殻浅部数kmにマグマが存在していると推定されている。この氷底湖下からの異常高熱量の供給は地球熱学的あるいは火山学的にも興味深いが、別の観点からも興味深い。それは、南極の氷の融解の進行の人為起源説に反対意見を持つグループ(climate change deniers)が、南極の氷の融解の進んでいるのは、人為的起源でなく、自然的原因であるとの論調を生み出していることである。なお、Fisherは、この異常高熱流量は、南極西部での異常な氷の融解を説明できないことを強調している。
11月11日 毎日新聞11日付朝刊によると、経済産業省が10日に2014年度のエネルギー需給実績(速報)を発表した。それによると、国全体の最終エネルギー消費は、前年度比2.7%減となり、東日本震災後から4年連続減少した。省エネの進展や節電の定着が貢献したという。エネルギーを原因とする二酸化炭素(CO2)排出量は3.6%減で、5年ぶりにマイナスとなっている。経産省は「震災後に原発の稼働が止まった影響で増加が続いてきたが、石油からガスや再生可能エネルギーへの転換が進んだ」と指摘している。また、「発電効率も高まったことで減少に転じた」とも分析している。エネルギー消費は、震災前の10年度に比べると7.2%減であった。冷夏や暖冬といった気候も影響したという。部門別にみると、家庭は前年度比4.1%減と大幅に減少。エネルギー源別では、石油が3.9%、電力は2.6%減。一方、石炭は、1.1%増。なお、このエネルギー実績の数値は、家庭や企業が1年間に消費したエネルギーの熱量から計算したものである。東日本震災後、エネルギー消費が減少し、この主な原因が省エネ・節電+再生可能エネルギーの増加によるとすれば好ましいことである。震災後、地熱発電の増設は合計1万kW程度であるが、2020年、2030年さらに2050年に向けて、現在70カ所を超える全国の調査地点で調査が進み、確実な新規地熱発電所の運開を期待したい。
11月10日 毎日新聞11月10日付朝刊によると、世界気象機関(WMO)は9日、主要な温室効果ガスである二酸化炭素の昨年1年間の大気中の平均濃度が397.7ppmと、過去最高値を更新したと発表したという。この結果は、30日からパリで始まるCOP21で報告され、新たな地球温暖化対策の議論の資料として使われる。世界の温室効果ガス濃度は、日本の気象庁が分析を担当し、世界各地の観測結果を基に算出している。昨年の二酸化炭素濃度は前年比1.9ppm増で、過去10年間の増加ペース(年平均:2.06ppm)と変わらなかったようである。依然と二酸化炭素の高い増大ペースが続いているということである。二酸化炭素の由来などを解析した結果によると、石油・石炭の燃焼など人間活動による排出量の約44%は海水や森林などに吸収されず、濃度上昇の原因になっていたようである。米国海洋大気局(NOAA)の解析によると、今年3,4,5月の各月平均で世界の平均濃度が400ppmを超えているという。気象庁の小出 寛・全球大気監視官は「濃度上昇が止まる徴候は全くない」と話したという。
11月7日 毎日新聞7日付朝刊によると、地球温暖化に伴う、今世紀末までの気温上昇を、産業革命後から2℃未満に抑えるとの国際目標を達成するには、各国が現在表明している対策に加え、2030年にさらに120億トンの温室効果ガス削減が必要との報告書を国連環境計画(UNEP)が6日発表したという。温暖化対策の新たな枠組み構築を目指し、パリで、今月末から始まるCOP21を控え、各国により積極的な対応を促す狙いという。報告書によると、各国が示している削減目標を達成したとしても、排出量は540億トン程度になると予測され、今世紀末の世界の平均気温は3~3.5℃上がる可能性が高い。気温上昇を2℃未満にするには、30年に420億トン程度にとどめる必要があり、さらに、120億トンの削減が必要となる。平均的には、各国は、すでに提出した目標からさらに20%以上の削減が必要になる。わが国は、世界をリードする、目標を掲げることができるだろうか。
11月6日 毎日新聞11月6日付朝刊によると、NASAは1992年から2008年までの間、南極の氷は増えていたことが人工衛星による観測で分かったと発表したという。この結果は、IPCCが2013年に出した報告書などでは、南極の氷は全体として減り続けているとしており、NASAのチームは「食い違う観測結果」としている。NASAが氷床表面の高度を観測したデータによると、92年~01年にかけて氷は年間120億トン増加、03~08年にかけては鈍るものの、年820億トンの増となっている。NASAのチームによると、大陸西部の南極半島などでは、ほかの研究と同様に減り続けているが、西部の内陸部や東部では、減少分を上回る勢いで増えていた。同様なデータに基づいているとしても、解析期間、解析方法などが異なれば、異なる結果が出ることは十分予想される。今後の比較解析に待ちたい。ビッグデータによる科学的成果が発表される場合、ブラックボックス的で、解析の中身等は必ずしも明らかにされない場合があり、直接関与していない市民の立場からは判断できないが、科学的データの発表はわかりやすく明確にしてほしいものである。また、市民もこの種のデータをうのみにせず、自らもよく考える習慣をつける必要があるかもしれない。上述の「食い違う観測結果」も良く検討すると、前提条件等により、必ずしもそうとは言えない可能性もある。
11月1日 毎日新聞11月1日付朝刊によると、インドネシア・カリマンタン島などで、近年にない大規模な森林火災が起き、四国を上回る面積が燃えているという。各地の火災による温室効果ガスをNASAが人工衛星画像などから推計する「全球火災排出データベース」(GFED)によると、今年は10月30日までに日本の年間排出量を超える約16億3600万トン(CO2換算量)が放出されたという。乱開発で大地が乾燥したうえ、今年は干ばつで燃えやすいという。長年、CO2を蓄積してきた森林という「天然の貯蔵庫」が、地球温暖化を加速させる「火薬庫」と化しているともいう。この干ばつ化の原因にエルニーニョ現象(およびそれによる干ばつ)が推定されており、人間による乱開発も加わり、気象現象の変化が加速化されている状況と考えられる。気候変動が、正のフィードバックにより加速化されている1つの実例とも見られ、対策がいっそう望まれる。今月末からパリで開催されるCOP21で、この現象がどのように議論されるか注目したい。
10月30日 毎日新聞は、政府がまとめた地球温暖化の被害に備える「適応計画」について、10月23日および24日にも報じているが、30日朝刊では、社説で取り上げている。この対策の実効性を高めるために、「政府全体で体系的に対策を進める必要がある。省庁の縦割りに陥らぬよう、政府は総合調整し、一体となって適応計画を運営する指令機能を整えるべきだ」としている。全く同感である。省庁縦割りだけでなく、省によっては、省内の局レベルの縦割りにより、関係するが異なる局で意思疎通が十分でないと見られる例がある。局益、省益でなく、真に国益を考えてほしいものである。また、同社説は、「自治体や地域住民の積極的な関与も欠かせない。温暖化の影響の表れ方や深刻度は、気候風土や人口構成などに応じ、地域ごとに異なるからだ。しかし、温暖化への適応策の重要性を認識している自治体は、まだまだ少ないのが実情だ」という指摘も同感である。ただ、温暖化だけでなく、ヒートアイランド現象も進行しており、大都市では、むしろこれによる温度上昇の方が大きい場合も見られる。都市の熱環境は、地球温暖化と合わせ、ヒートアイランド現象によって、より悪化しつつある。このようなことを、自治体レベルではもちろん、市民レベルでも十分認識が進み、市民一人一人が行動を起こしていくことも重要であると考える。当研究所では、「自宅の庭で、1m深地温を自ら測り、それぞれの地点で地温の経年的上昇を実感し、市民レベルから関与していくこと」を計画している。すでに、当研究所の庭で、過去4年間にわたり1m深地温測定を継続しているが、地温(気温の上昇に対応して)は確実に上昇している。大気だけでなく、地球表層も暖められつつある。
10月30日 近年、再生可能エネルギーによる発電量が大きく進展する中で、「電力システム改革」が国レベルをはじめ、民間レベルや学界でも議論が盛んに行われつつある。このような中で、これらの議論に資すると思われる本が出版されたので紹介する。日本評論社から発行された「電力システム改革と再生可能エネルギー」(諸冨 徹 京都大学大学院経済学研究科教授編著 222ページ、発行日9月20日)である。同書は、「日本がこれから再生可能エネルギーを本格的に拡大していくうえで、それが電力システムに対してどのような影響を与えるのか、そして、問題が生じうるとすれば、それをどのように解決していくべきかを明らかにしようとした」ものであり、その過程から「電力システム改革は再エネ促進の前提条件となり、そして再エネの伸長は、いずれ電力システム改革の行方に大きな影響を及ぼすことになるという、相互作用的な関係である」ことを明らかにしている。また、同書は、電力システム改革と再エネ促進策の関係を、電気工学と経済学の協力で探究した、国内初の本格的な研究書とも言えるだろう。同書の構成を以下に示す。 序章 電力システム改革と分散型電力システム(諸冨 徹)、第1部 分散型電力システムのデザインと技術的課題 第1章 電力システムの計画経済型から市場経済型への移行のための技術と制度設計(阿部力也)、第2章 再エネ大量導入時代の送電網のあり方(安田 陽)、第3章 分散型電源大量導入の技術的問題と対策(近藤潤次)、第2部 分散型電力システムにおける市場設計の諸課題 第4章 ドイツにおけるキャパシティ・メカニズムの制度設計:Strategic Reserve とCapacity Market を中心に(東 愛子)、第5章 欧米における容量市場の制度設計の課題(服部 徹)、第6章 電力系統の再構築とその費用負担原理(諸冨 徹)、第7章 電力システム改革は電力業のパフォーマンスを改善するか(南部鶴彦)、終章 要約と結論、そして今後の研究へ向けての展望(諸冨 徹)。この種の課題の、国レベルの議論では、短期的見方から抜け切れない場合が多いが、同書のように、本来、中長期的観点から議論すべきものと思われる。この書が多くの方々に読まれ、国の政策にも反映することを期待したい。個々の内容は読者にじっくりお読み頂くことにして、最後に、通読して印象に残った語句を記しておきたい(順不同)。「持続可能的・民主的・分散的・分権化・公平性・透明性・客観性・公開性・市場化」などを挙げることができる。
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