地熱情報研究所

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毎日新聞6月24日付朝刊、気象・防災欄に、ヒートアイランド現象に関するレポートが掲載されている。そのタイトルは、「乾燥と暑さ生む都市気候」と題し、過去100年間の気温変化・湿度変化を示している。気象庁によると、都市化の影響が少ない15地点の過去100年間の気温上昇は平均1.5℃(これは地球温暖化の影響がほとんどと見られる)。これに比べ、東京は3.2℃、名古屋は2.8℃、大阪は2.7℃もあがっているという。地球温暖化の影響を1.5℃とすれば、それ以外(そのほとんどは都市化による上昇、すなわちヒートアイランド現象)による東京の気温上昇は1.7℃となり、大都市東京においては、地球温暖化の影響より、ヒートアイランド現象の方が気温上昇に与える影響が大きいことになる。一方、湿度も経年的に変化しており、都市化の影響が少ない13カ所は過去100年間に湿度が平均で6.6%少なくなったのに対し、名古屋は18.2%、京都は16%、福岡は16.3%も少なくなっているという。また、8月のある日の湿度が郊外では84%だったのに対し、都市部では60%だったという観測結果もあるという。地表面・水面からの蒸発あるいは樹木からの蒸散量が減っていること、および都市構造の変化により風通しが悪くなっていることなどに起因している。近年、地球温暖化に比べ、ヒートアイランド現象の影響を論じることが少なくなっているようであるが、都市部においてはむしろ、ヒートアイランド現象による熱的環境の悪化を考慮すべきである。建物の屋根をすべてクールルーフ(屋根に高反射材を塗る)にすると、昼間の気温が2℃下がるという試算もあるという。なお、地熱関係からの対応としては、地中熱利用冷暖房システムを普及させることが挙げられる。新規の公共施設建設においては、積極的な導入を期待したい。夏場のピーク電力対策とともに、二酸化炭素排出削減に大きな貢献ができる。ところで、本研究所では、地球温暖化・ヒートアイランド現象の影響の、気温とは別の観点からの実証的解明のため、各地(東京都千代田区、神奈川県藤沢市、埼玉県狭山市、茨城県つくば市2カ所、秋田市)で1m深地温の観測を続けている(狭山市では観測を始めてから、4年を経過し、5年目に入っている)が、年平均地温が経年的に確実に上昇していることや、年最高地温を示す日が年々早まっているなど興味深い結果が得られている。今後も観測を継続し、地域的な差(地球温暖化の影響とヒートアイランド現象の影響の分離を含めて)も明らかにしていきたいと思っている。観測結果については、日本地熱学会の学術講演会等で公表していきたい。
毎日新聞6月18日付朝刊によると、米国海洋大気局(NOAA)は16日、南極で測定した大気中の二酸化炭素濃度が、初めて400ppmを超えたと発表したという。NOAAによると、地上の観測点のうち、大台を超えていなかったのは南極だけだったという。「最後のとりで」もついに地球温暖化の危険水準に入ったことになる。なお、南極は、これまで、地球で最も二酸化炭素濃度が低い場所と考えられている。
毎日新聞6月16日付夕刊によると、昨年末(2015年12月26日)、重力波を観測した、米大学などのチーム「LIGO」が再びブラックホールの合体によって出た重力波を捉えることに成功したと15日発表したという。チームは「ブラックホールの合体は、宇宙で比較的頻繁に起きている現象」と発見の意義を強調している。重力波は米西部ワシントン州と南部ルイジアナ州に設置した2台の重力波望遠鏡で観測したという。3台以上の重力波望遠鏡で観測されれば重力波発生源の位置が特定され、議論が深まると思われる。わが国でも、昨年ノーベル賞を受賞した梶田東大教授のチームも岐阜県神岡で重力波望遠鏡を建設中と言われ、比較的頻繁に重力波が発生しているとすれば、EU建設中のものと合わせ、重力波の研究が大きく進展する可能性がある。大いに期待したい。
日本経済新聞6月14日付朝刊によると、東京海上日動火災保険は6月から、地熱発電の事業者を対象にした新たな賠償責任保険を販売するという。地熱発電所の好立地地域周辺には温泉が多く、周辺の温泉業者から温泉の枯渇や泉質の変化を心配する声が多く、発電所建設だけでなく、調査自体も受け入れられず、有望な資源が予想されるにも関わらず、地熱発電等の地熱エネルギー利用ができない地域が少なくなかった。これは、地域にとって不幸であるだけでなく、国民全体にとっても不幸なことであった。なお、わが国の地熱発電所には運転開始以来50年に達するものがあるが、これまで温泉に悪影響が生じたことはなく、むしろ、現実の地熱発電利用と温泉利用とは良好な共生関係にある場合がほとんである。しかしながら、新規に発電所が計画される場合、このような経験が必ずしも生かされず、科学的要因に基ずくというより、心理的要因に基づいて反対される場合が多かった。しかし、いずれにせよ、このような保険が発売されれば、温泉関係者の考え方や心理も変わり得るので、地熱事業者は加入することが望まれる。そして、この保険制度が温泉関係者を含め、広く国民に知られることを期待したい。温泉問題は、公園問題と並ぶ、地熱発電推進における二大障壁であるが、保険制度によって、温泉問題が改善の方向に向かうことを期待したい。なお、大規模地熱発電所の場合、同時に、発電所をより早期に運転開始するにあたって、地元の関与した発電経営形態なども考慮していくことが必要ではないか。地熱発電における国の数値目標は、「2030年度までに、地熱発電設備容量を、現在の3倍の150万kW」である。このチャレンジングな数値目標達成のためには、地熱事業者側はこれらを含め、いろいろと知恵を絞る必要があると思われる。
毎日新聞6月10日付朝刊によると、家庭や企業が節約した電力量を売買できる「ネガワット取引」の普及に向けて、政府は来年4月の市場開設の準備を進めているという。夏場などで電力需要が逼迫した際などに、節電によって需要を抑え、電力の安定的な供給を確保するのが狙い。これまでは、電力会社が工場などの大口需要者と個別に「需給調整契約」を結び、需給が逼迫した際の節電を条件に料金を割り引くなどの需要抑制策があった。今回の「ネガワット取引」では、家庭を含め幅広い電力消費者を対象とし、節電分の電気代が浮くことに加え、報奨金支払いで確実に節電効果を上げる狙いがある。また、電力会社が発電所建設などの投資を削減できる効果も見込まれる。大規模石炭火力発電所の建設が抑えられることに寄与すれば、省エネ、CO2排出量削減にも影響を及ぼし得る。有効な施策と思われる。なお、夏季の電力ピークを抑えるためには、都心で地中熱利用冷暖房システムの導入を進めることも有効であろう。電力消費の削減とともに、CO2削減にも寄与できる(従来型システムに対して、数10%の削減効果あり)。2020年東京オリンピックに向けて、都心での建物の新設、ホテル・大規模施設の改修計画もあがっているが、冷暖房システムとして、通常の空気熱源エアコンシステムではなく、地中熱利用冷暖房システムの導入が進むことを期待したい。
毎日新聞6月10日付朝刊によると、政府の地震調査委員会は9日、一連の熊本地震の活動が弱まっていると判断し、熊本県熊本、阿蘇地方でマグニチュードM6程度(最大震度6弱程度)の余震、大分県中部ではM5程度(最大震度5強程度)の余震が、今後発生する可能性は低下したとの見解を示したという。ただ、九州地方では過去に地震が起こった場所の近くで2~3か月後に同程度の地震が発生したこともあり、熊本県から大分県にかけては今後も最低1か月程度は震度6弱以上の地震が発生することは否定できないとしている。今回の一連の地震活動においては、前震・本震問題が大きな議論になったように、経験的に地震活動の推移を予測することは難しく、慎重に推移を見守るべきであろう。今後、復旧が大きく前進するとともに、広域で大きな震度の地震が多発したことの地球科学的意味が明らかにされることを期待したい。
6月8日 毎日新聞6月8日付夕刊によると、米国 オバマ大統領とインド モディ首相は、7日ワシントンで会談し、国際的な地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」の批准手続きを急ぎ、早期の発効に向けて、連携することで合意したという。オバマ大統領(米国の排出量は15.9%)は、年内の協定発効を目指し、温室効果ガス排出量が多い中国(排出量28%)やインド(排出量5.8%)に批准を呼び掛けてきた。米印の合意は早期発効を後押ししそうという。なお、中国も年内批准をすでに表明している。先月、伊勢志摩で開催されたG7でも年内発効に向け努力することで合意している(日本は3.8%)。排出量の12%を占める欧州連合(EU)は前向きに検討しているものの、時間がかかる見通しという。このような中で、日本はどうだろう。日本は批准手続きが遅れており、「日本抜き」で発効する可能性もあるという。このように国際的に見て嘆かわしいことにならないように政府にはいっそうの努力を期待したい。なお、同日の夕刊記事の別ページに、米国の資金融資のもと東芝子会社(ウェスチングハウス・エレクトリック社)が「インドで原発6基受注」という記事が掲載されている。経済優先の選択は原子力事故発生をどう考えているのだろうか。原発大国のほとんどは大規模な事故災害を起こしている。結局は国民が被害を受けるのではないか。地球温暖化対策のため、原発を導入するということは究極の矛盾である。
6月6日 電源開発株式会社から、鬼首地熱発電所(所在地:宮城県大崎市、定格出力1万5000kW)は、昭和50年の運転開始以来すでに40年以上が経過しており、今後も長期にわたって信頼性のある供給力として継続活用するには、高経年化対策が必要な状態になっており、また、平成22年に発生した噴気災害により一部設備が損壊し、出力が低下した状態が続いており、再び安定かつ定格出力での運転を行うためには、設備の更新が必要な状態になっていたことから、このたび、天候に左右されず安定的に運用が可能な純国産の再生可能エネルギーを今後も長く有効に活用し、引き続きわが国における電力の安定供給と地球温暖化対策に貢献していく観点から、同社は、本発電所の設備更新(2万3000kW級)を計画し、このたび、環境影響評価法に基づき、「鬼首地熱発電所設備更新計画 計画段階環境影響配慮書」を経済産業大臣に届け出るとともに、宮城県知事、大崎市長へ送付したということが発表された。なお、既設発電所の廃止は、平成29年度(2017年度)、設備更新後の運転開始は平成35年度(2023年度)が予定されています。国内地熱発電所のリニューアルは国内2基目で、現在リニューアル手続き中の九州電力の大分県大岳地熱発電所(12500kW級、1966年昭和42年運転開始、2019年平成31年リニューアル後1万5000kW級)に次ぐもので、地熱発電が持続可能な発電方式であることを実証する良い実例である。いずれの発電所とも、既設発電所の設備出力を超えた新規発電所になることは、長年の運転結果による地下地熱構造理解の進展等の努力によるものと考えられ、新規地熱発電所の運開に期待したい。
5月26日 毎日新聞5月25日付夕刊によると、再生可能エネルギー法(固定価格買取制度FIT法)を見直す改正FIT法が25日、参院本会議で可決、成立したと報じられている。買取価格で膨らんだ国民負担を軽減するのが狙いという。価格決定に入札制度を導入するほか、発電実績のない事業者の認定を取り消せるようになる。FITにより、太陽光発電は急激に増加したが、その反面、種々のマイナス面が顕在化したため、改正が急がれたものである。一方、天候に関わりなく安定した発電ができる、ベースロード電源となる地熱発電であるが、初期投資が大きく、開発リードタイムが長い特性からすると、固定価格買取制度が安定的に維持されることが望ましい。地熱事業者の団体である日本地熱協会は、この制度の、「長期的な運用」、「現行価格の長期据え置き」、および「数年先(5年先)の認定案件の買取価格まで予め決定すること」を要望しているが、地熱発電を継続的に導入していくためには、是非必要な施策であろう。
5月24日 毎日新聞5月24日付朝刊によると、政府と福島県は、県内に合計出力50万kW級の風力発電所群を整備し、2020年までに首都圏に送電を始めることが23日、分かったという。2011年3月の東京電力福島第一原発事故後に運転を休止している変電所や送電網を活用するという。東京ガスなどが発電事業者として検討をしている。リスク分散の立場から、特定の再生可能エネルギーだけでなく、多様な再生可能エネルギーが導入されることが望ましい。福島県は地熱資源に大いに恵まれており、吾妻・安達太良地域や磐梯地域等有望な地熱資源が存在すると推定されているが、地元との調整が十分進まず、地熱発電所建設に向けた動きが残念ながら鈍い。福島県民のご理解を頂き、地域に恵まれた資源を地域のために使ってほしいものである。
5月24日 毎日新聞5月24日付夕刊によると、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を示した「全国地震動予測地図」について、発生確率の低い地域に住む住民からは、「安心情報」と誤解され、防災意識の向上につながっていないとの調査結果を、慶応大と東京都市大のチームがまとめたという。数千年に一度あるいは数100年に一度発生する地震の活動性を、今後30年以内に発生する確率で求めているわけであるから、活動度が高い地震(活断層)でも、確率の値は数~10%以下の低い数値になってしまう。ここのところの説明が不十分であったのは確かである。科学的成果を市民に伝える上で不十分であったと言われても仕方ないだろう。たとえば、今回の熊本地震を発生させた日奈久断層群は 発生確率は、~最大18%で、わが国の活断層では最も高い部類の発生確率が示されていた。一方、阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震も、発生前の地震発生確率は0.4~8%で、決して低くはなかったことが、地震発生前はもとより、地震発生後も市民への説明の徹底がなされていないのではないかと思われる。また、兵庫県南部地震以降、日本列島の日本海側に被害を生じる大きな地震が頻発したが、これらのほとんどは、活断層が知られていないか、ほとんどノーマークの地点で発生している(たとえば、2005年3月20日に発生した福岡県西方沖地震もしくは玄界地震M7.0。なお、福岡地域では、同上地震の発生した南東側延長上の警固断層地震の推定マグニチュードがM7.2である。この断層は福岡市中央部を縦断しており、近年、そのような危険を十分考慮せず都市計画が進められているとも聞く。自然が発生している警報を十分認識すべきである。2011年の西方沖地震直後のことを忘れてしまっているのであろうか。太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレート、ユーラシアプレートの4プレートがひしめき合っている日本列島である。活断層が地表に見られなくとも、日本列島上ではどこでも大きな地震は発生しうると考えるのが正しい科学的な考え方であろう。事前の予測ができれば望ましいが、多くの地震研究者は、それは無理とあきらめてしまっている。このような状況では、大きな地震は、日本列島では、いつでも、どこでも起こり得るものと認識し、少なくとも、夜、寝ているときに家具につぶされて死ぬことを避ける工夫をすることが市民に残された防災対策であろう。今回の熊本地震では、市庁舎、病院、学校などの公共施設が大きな被害を受けたため復旧にも大きな支障がでたようである。公共施設は優先的に耐震化すべきであろう。もちろん、耐震化を希望するビル・住宅も。また、地震研究者の多くがあきらめているが、地震の前兆現象をとらえることは不可能ではない。地震前兆の可能性のある種々の観測量を観測し、地震予報をだし、できるだけ被害を減らす工夫は依然必要であり、多くの地震研究者が前兆現象を捉えて、地震発生予測をすることに全力で取り組んでもらうことを期待したい。多くの国民はそれを望んでいることを地震研究者は忘れてはならないだろう。
5月18日 経済産業省 資源エネルギー庁は、平成27年度エネルギーに関する年次報告「エネルギー白書2016」を閣議決定し、公表しています。詳細は、「エネルギー白書2016」で検索してください。
5月5日 毎日新聞5日付朝刊によると、大型連休後半の4日は、東日本と西日本の広い範囲で晴れて気温が上昇し、関東甲信越地方の複数の地点で今年初となる真夏日を記録したという。東京都内では9歳の男児ら6人が熱中症で救急搬送されたが、いずれも命には別条なかった。気象庁によると、気温は各地で今年最高を記録。群馬県館林市で31.6℃まで上昇したほか、栃木県佐野市で31.3℃、埼玉県熊谷市で31.2℃、東京都青梅市で30.6℃など軒並み真夏日となり、7月下旬~8月上旬並みの陽気だった。一方、北海道付近にある発達した低気圧と、そこから延びる前線に向かって南風が吹き込みやすい状況となり、最大瞬間風速は松江市で34.6mを観測。また、東京都八王子市でも28mに達したという。当研究所敷地内で観測を続けている1m深地温も上昇を続けているが、年最高地温を示す時期が年々早まっており、今年もどうなるか興味深いところである。
4月28日 毎日新聞は伊勢志摩サミット開催に関連して、シリーズで、「提言 世界の現場から」を連載している。28日付朝刊では、パンアフリカ気候正義連盟事務局長 ミティカ・ムウェンダ氏のインタビュー記事が掲載されているが、極めて明快な論理であるので紹介したい。『気候変動は、富める人々によって作られ、貧しい人が最も被害を受ける「不正義」だ。経済大国、特にサミットに参加する主要7か国(G7)は、昨年12月の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で採択された「パリ協定」の実施に、強い指導力を発揮すべきだ。そして、途上国による温暖化対策への資金援助を惜しまないでほしい。私たちは、アフリカ45か国の1000を超す団体からなる大陸最大の市民社会ネットワークだ。気候変動対策が進むよう、政府や国際機関へ政策提言などを行っている。なぜ我々が声を上げるのか。それは、気候変動により世界で最も大きな打撃を受けているのが、この大陸だからだ。アフリカ経済は農業など気候依存型の産業に頼り、貧しさ故に気候の変化や災害などに対処する能力も限られている。既に洪水と干ばつ被害に見舞われている。母国のケニアを含め至る所で発生し、食糧生産や水の確保、人々の健康などに深刻な影響が及んでいる。まさに人間の安全保障にかかわる問題だ。また気候変動は国際紛争の火種にもなる。多くの紛争は、肥沃な土地や水など、限られた天然資源を巡って引き起こされている。原子力発電には、温暖化の原因となる二酸化炭素を出さない利点はある。だが、人類にとって危険であることは福島の事故をみれば明らかだ。太陽光や風力、地熱などアフリカも高い可能性を持つ再生可能エネルギー分野への積極的な投資を期待する』。 原発再稼働を推進する、すでに運転40年を超えた原発をさらに使い続ける、さらに、活断層の上に原発を作ろうとする、恥じない面々がわが国にはなんと多いことか。依然地震活動が継続している熊本地域およびその周辺地域での原発安全宣言を維持する人たち、ほんとうに懲りない面々だ。ところで、ムウェンダ氏の母国、ケニアは地熱資源に恵まれ、現在世界でも最も地熱発電が進展しつつある国である。現在同国の地熱発電設備量は、100万kWを超え、推定資源ポテンシャルは700万~1000万kWと言われている。2014/2015年度においては、同国の発電電力量の44.2%を占める重要な電源となっている。そしてさらに、同国のVision2030では、550万kWを目指している。わが国からも、地熱資源調査、地熱技術教育、開発資金等多様な分野で協力が行われている。一方、わが国は地熱ポテンシャル2400万kW,現在の設備容量50万kW、2030年度の目標150万kWである。外国への支援だけでなく、国内の地熱資源の開発に一層努める必要がある。
4月26日 23日付本欄でも紹介したが、毎日新聞4月26日付夕刊によると、熊本地震の本震が起きた4月16日から、熊本市中央区の観光地、水前寺成就園(水前寺公園)の池の水が干上がり、底を7~8割ほど露出させている(池水面の低下)という。本震後ポンプで地下水をくみ上げても、雨が降っても、従来の2~3割の水しかたまらず、同園は「原因不明」と頭を悩ませているという。熊本県の地下水の研究者によると、不透水性地層の布田層が破損したためではないかとも言われている。2005年3月20日に発生した福岡県西方沖地震(M7.0)の本震直後、地下水位が60cmほど、急激に下がったが、その後、指数関数的に回復しており、応力解放に伴う地下水位低下とその回復と理解されたが、今回の場合、回復していないことから、応力の変化ではなく、構造の変化(不透水性地層の破壊等)である可能性も考えられる。なお、福岡県西方沖地震の場合、本震発生前にも、地震前兆的地下水位変化が観測されており、比較が興味深い。他地点での水位変化・地下水位変化などのデータ(特に本震前の)が集められれば地震活動の予測において、有効なデータになると思われる。
4月23日 西日本新聞4月22日21時4分配信によると、熊本市の名所として知られる回遊式庭園「水前寺成趣園(じょうじゅえん)」(同市中央区)の池の水が、通常の2~3割程度に減少していることが22日分かったという。熊本地震の影響とみられるが、原因ははっきりしていないという。また、同市北区の「小野泉水公園」の水位も一時、約30cm低下していたことも判明。15日に利用者からの連絡で園側が気付いたという。水位は次第に戻っているという。同じ内陸地震の2005年3月20日に発生した福岡県西方沖地震M7.0の本震前あるいは多くの余震に伴って、地下水位の異常な変化が観測されていることから、地震活動に伴って(地殻応力の変化に伴う地下間隙水圧の変化に伴って)、地下水位変化がとらえられており、同じ内陸大地震のあった熊本地域でも地下水位に異常な変化が出ることは十分考えられる。おそらく、熊本県内をはじめ各地で多様な目的で地下水位変化が観測(自動連続観測)されていると思われるが、大きな地震前後についてそれらの解析が行われることを期待したい。内陸大地震の予測に有効なデータが得られるのではないか。  
4月23日 熊本県・大分県にまたがる地震活動は1週間を超え、活動は低下して来ているように見えるが、気象庁からは、終息の見通し等については特にコメントはなく、地震活動は継続しているので引き続き、注意を呼び掛けている状態である。避難が長期化しており、ライフラインが次第に復旧しつつある中で、避難者の健康問題、住宅問題を含め、今後の復旧・復興が大きな課題になりつつある。このような中で、4月23日付毎日新聞朝刊によると、国土地理院は22日、熊本地震のこれまでの最大地震M7.3(本震と言われている)で、阿蘇山の中央火口付近が約20cm沈んだとの解析結果を発表したという。本震を起こした布田川断層帯は、阿蘇山西側で途切れていると見られ、地理院の藤原智・総括研究官は「地震が何らかの影響を及ぼしたことは間違いがないが、火山活動との関連はわからない」と話しているという。今回の地震活動・地殻変動は個別のもの(および相互の影響)と考えるよりも、別府島原地溝全体の活動というような広域的な見方も必要ではないか。今後の解析を知りたいものである。
4月19日 毎日新聞4月19日付朝刊によると、いわゆる「熊本地震」に関して、以下のような報道がなされています。『熊本・大分両県で4月14日から続発している地震について、気象庁は18日、震度1以上の有感地震が、18日午後10時までの累計で560回を記録したと発表した。このうち、熊本県熊本地方で発生したマグニチュード(M)3.5以上の地震は、18日午後1時半現在で177回を記録。気象庁は「今後1週間は震度6弱程度の地震が予想される」として、強い揺れへの警戒を呼びかけた。気象庁によると、熊本地方で14日に起きたM6.5の地震、16日のM7.3の地震の後、北東側の大分県、南西側の熊本県八代市でも地震活動が活発化した。熊本地方を含むこれらの地域では、18日に入ってからも、震度1以上の有感地震が1時間に1回以上の割合で発生しており、依然として活発な地震活動が続いている。気象庁の青木元 地震津波監視課長は「今のところこの地域以外に地震活動は広がっていないが、活動そのものは依然として活発なため注意が必要」だと話したという。』18日付朝刊に掲載されている震央図によれば、地震群は熊本県熊本地方、熊本県阿蘇地方、および大分県西部地方の3つに分けられ、別府島原地溝内全域を埋めているようであり、1つのグループの活動が他のグループに影響を与えているというより、別府島原地溝および周辺地域(特に南西部)の地震活動が全体的に活発化していると見られるのではないか。19日午後も、地震活動は継続しており、地震速報で報じられる地震の規模はやや小さくなる傾向があり、また、震源の深さが、これまでの深さ10kmより、深くなり、20kmに達するものも出てきているようである。これで活動が終息に向かうのか全く分からないが、活動が長引くと、被災者の負担が大きくなるので、救援体制の充実を期待したい。
4月18日 やや低調になっているとも見えるが、熊本・大分県内で発生している地震活動は依然として活発である。昨日1日、震度4以上の有感地震が11回あったという。また、本日18日午前中にも震度4以上の有感地震が発生している。震源域はやや拡大しており、特に、初期の地震活動域より南西側にも拡大している一方、北東側の大分県側でも地震活動は活発で、別府島原地溝全域で地震活動が高まっていると言える。同地溝の西端の雲仙地溝の地震活動では特別な活発化は見られないが、南側の日奈久断層帯の活動が高まっている。一方、別府島原地溝の南東側(宮崎県側)及び北西側(福岡県側)でも浅発地震活動が高まっているようである。九州中部地域に作用する南北張力の活動が高まっている可能性があり、地殻活動を広域的に見ていく必要があるのではないかと思われる。
4月15日 毎日新聞4月15日付夕刊によると、環境省は15日、2014年度の国内の温室効果ガス排出量は、二酸化炭素換算で13億6400万トンとなり、前年度比3.1%減ったとの確定値を発表したという。排出量が減ったのは、東京電力福島第一原発事故後初めてという。CO2を排出しない原発の稼働率は0%だったものの、再生可能エネルギーの利用や省エネが進んだため、減少に転じたようである。05年比では、2.4%の減少で、森林によるCO2吸収力と合わせると、05年度比6.5%減った計算となるという。原発がなくても、温室効果ガスの削減は可能という良い例と考えられる。この数値は、石炭火力が増加する中で実現されたものであり、再生可能エネルギーの貢献をさらに増やすことで、国際的な約束以上を実現したいものである。
4月15日 4月14日午後9時26分頃、熊本県を中心に強い地震が発生し、同県益城町で震度7(マグニチュード6.5、深さ11km)を観測したと報道されている(気象庁により、平成28年熊本地震と命名された)。知られていた活断層(布田川・日奈久断層)帯の一部が動いたようだ。余震活動は本震の北東側と特に南西側に広がっている。本震の北東側30kmに阿蘇山があるが、火山活動には今のところ、特に変化はないようである。最大余震が深夜に発生したが、規模は本震とほとんど変わらずマグニチュード6.4で最大加速度は1500ガルという。1995年兵庫県南部地震の時のように、被害地は震災の帯のようになっている。余震活動は活発で、本震後20時間で有感地震135個となっている。死者は9名、負傷者は1000名を超えている。余震活動は、減少傾向にあるが、依然活発で、一週間以内に最大震度6弱も予測されている。地震のメカニズムは、九州中部地域に特有な南北張力に基づく横ずれの断層運動という。2005年3月20日に発生した福岡県西方地震(玄界地震、マグニチュード7.0)と同じメカニズムである。福岡県西方沖地震と同じ横ずれ型の内陸地震であり、規模はやや小さいがほぼ同じで、地下水位変化などの前兆現象はなかったのであろうか。亡くなった方、負傷・被災された方には謹んでお悔やみと早期の回復・復旧を祈念したい。
4月6日 一般財団法人新エネルギー財団水力地熱本部は、平成28年3月15日開催の新エネルギー産業会議において、「地熱エネルギーの開発・利用推進に関する提言(平成28年3月)」を取りまとめた。同提言は、新エネ財団(NEF)HPから、ダウンロード可能です。
4月8日 毎日新聞8日付夕刊によると、米国シンクタンク「世界資源研究所」が「経済成長を果たすとともに、地球温暖化をもたらす二酸化炭素(CO2)の排出量削減に成功した国が、米国やドイツ、スイスなど21か国に上がった」とする分析結果をまとめたという。これまで、経済成長とCO2削減を同時に進めることは困難と言われてきたが、再生可能エネルギーの活用などで、両立可能だと指摘されている。一方、日本はCO2排出量(0.7%増加)と国内総生産(GDP 11%増加)の両方とも増加し、上述21か国には含まれていない。この結果は、世界銀行などが公表している各国の実質GDPと産業や家庭で燃料や電気を使うことによるエネルギー起源CO2排出量について、2000年と2014年のデータを比較した結果である。その結果、米国ではGDPが28%増える一方で、CO2排出量を6%減らし、脱原発政策をとるドイツも、GDP16%増に対し、CO2は12%減っている。上述21か国では、多くの国が10~30%のCO2削減する一方、10~30%のGDPの伸びを示している。産業革命以降、世界は化石燃料を燃やしてエネルギーを生み出し、それを基に経済成長してきたが、同研究所はCO2を出さない再生可能エネルギーや、炭素税導入などの排出削減政策の導入が一定の効果を発揮したと分析している。これは、近年、経済成長と再生可能エネルギーの導入とはリンクしないことが指摘されており、それを改めて示した形であり、従来型の思考は改められるべきであろう。国内の産業界・財界は、再生可能エネルギーを伸ばすことにより経済成長につなげるという考え方に転換すべきである。22世紀をにらんでみれば、化石燃料を燃やして経済成長を図るという考え方は過去の遺物となるだろう。長期的に見て、再生可能エネルギーに転換せざるを得なくなるのは明瞭である。再生可能エネルギーに早く転換できた国が21~22世紀に活力を持ち続けるのは間違いない。世界に後れを取りたくなければ、方向を転換すべきである。このような中で、地熱エネルギーに課されていることは、当面、エネルギーミックスにおける目標(2030年までに地熱発電設備容量を現在の3倍に増加)を達成すべく、現在日本各地で地熱発電所建設を目指している地点で、確実に発電所建設に結び付けていくことであろう。
4月5日 毎日新聞4月5日付夕刊によると、英ロンドン大学経済政治学院(LSE)のチームが「地球温暖化がこのまま進むと、今世紀末までに株式などの金融資産に最高24兆ドル(約2700兆円)の損失が出る恐れがある」との試算を、4日付の英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジに発表したと報道されている。これは、異常気象などの増加によって、工場や土地が悪影響を受けたり、労働者の確保が困難になったりして企業に被害が出ることが理由という。温室効果ガスの削減に費用がかかっても、より強力に対策を進めた方が、資産価値は大きくなるという。同誌は「投資家は温暖化のリスクを真剣に受け止めるべきだ」と指摘している。試算によると、今のまま温暖化が進むと、今世紀末に世界の平均気温は2.5℃上昇し、金融資産の1.8%に相当する2兆5000億ドルが失われる可能性があることが分かったという。最悪の場合は、損失が24兆ドルに膨らむ恐れがある。一方で、対策を強化して気温の上昇を2℃未満に抑えた場合、損失額は1兆7000億~13兆2000億ドルと半減することが試算されている。
4月2日 毎日新聞4月2日付夕刊によると、千葉大学と環境エネルギー政策研究所は、2014年度の再生可能エネルギーによる発電量を推計したと報じられている。それによると、太陽光は2005年度にくらべ、14年度は23.3倍になったという。一方、風力は2.5倍、バイオマスは3.5倍になったという。地熱は残念ながら、微増であった。これは、大規模地熱発電は、調査開始から発電までにかかる時間、いわゆるリードタイムが長い(10年程度以上)ことによっている。現在の日本各地での地熱発電の調査進展状況をみると2019年度以降大規模地熱発電所(数万kW級)が導入される見込みであり、当面は、中小規模(数10~数1000kW級)の発電所建設が続く見込みである。政府の長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)における目標値「2030年度までに、現在の3倍」を実現するためには、地熱関係者の一層の奮闘が必要である。
4月1日 経済産業省資源エネルギー庁は、今年1月から3月にかけて開催された「地熱発電の推進に関する研究会」で検討された成果を、「報告書」およびその「概要」の形で同庁のHPで公表した。これは、昨年7月政府が決定した長期エネルギー需給見通し、いわゆる「エネルギーミックス」で示された数値目標:地熱発電設備容量を2030年度までに、約3倍にする-累積で約150万kWにする-という目標を実現する上での諸課題の整理及び今後の方向性を示したものである。詳細は、同庁HPをご覧ください。
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