地熱情報研究所

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 2024年7月24日14:30~16:30 日本地熱協会 令和6年度 第2回情報連絡会(会場参加またはTeams によるオンライン参加ハイブリッド方式)に会場参加(千代田区内神田 ワイム会議室Room7A)した。プログラムは以下の通り。
(1)会員会社によるJOGMEC助成金利用地熱探査事業の紹介
   出光興産(株)栗駒南麓地域  資源部地熱事業室 事業推進課課長平井誠氏                              
 
(2)地熱保険に関する取り組み 東京海上日動火災(株)本店営業第二部 中川礼次郎氏
 
(3)新規会員自社紹介
①(株)東京エネシス グリーンエネルギー事業本部 グリーン企画・営業部 グリーン企画グループ グループマネジャー 前原和彦氏
 
②(株)冨士ボーリング 代表取締役社長 満田信一氏
 
(4)運営委員会・専門部会報告 日本地熱協会 副運営委員長 上村宏之 事務局長 正面順久氏
(5)特別講演 「地熱をブレイクスルーために」 小説家 真山 仁氏  真山氏は日本の地熱が停滞している理由を、種々の実例をあげて、明確に述べた。たとえば、本来面白く、日本にとって非常に有用な「地熱発電」を若い人が自らSNS等を通じて自由にに楽しく、日本の社会に訴えていくことから、始めるのが良いのではとの提案があった。政治家或いは官僚ともかなり深く交わって議論されており、表には出さないが問題の核心をよく知っているようだ。なお、質疑の一環として、本研究所代表の江原が、関連して意見を表明した。日本の地熱発電の停滞の原因は環境省にあり、今の経産省と環境省のままの関係が続く限り、日本の地熱発電の停滞は続かざるを得ない。このまま何もしないと、やがて、日本の地熱発電事業は将来消滅しかねない。そうならないように、口だけの環境省も自らが現地で実際に汗をかき、(1000kW未満の中小規模発電所対象)、自らが望む、環境に最大限配慮した自然公園内の地熱発電所を建設することに取り組むか、それができなければ、環境省内の地熱発電に関する部分を分離し、新たな「資源・エネルギー・環境」省を作り、大規模(1000kW以上)を旧エネ庁関連部門が担当し、中小規模(1000kW未満)を旧環境省関連部門が担当し、新省のもとで国を挙げて、(大中小)新地熱発電所建設に邁進する体制とする。少なくともこの程度の省庁改革を行い日本政府の地熱関係者が一丸となり地熱開発を行う体制を整備するべきではないかとした。真山氏講演終了後、新たに1冊追加購入し、知人で地熱に関心のある関西在住の眼科医寄贈用と合わせて、サインしてもらった。一方、真山氏にとって、「マグマ」、「ブレイク」に続く「第三の地熱関連小説」執筆の動機になることも期待して)研究所代表の江原が書いた未来科学小説「九重火山2100年噴火予測と噴火回避」を真山氏に寄贈して読んでもらうことにした。どのような反応(ー∞~+∞)があるか楽しみだ。
 
 毎日新聞2024年7月24日付夕刊は『厳しい残暑の見通し』と報じた。気象庁は23日、8~10月の3カ月予報を発表した。「ラニーニャ現象」が発生する可能性が高いことなどから、9,10月も気温は平年より高いと見込まれ、厳しい残暑となりそうだという。気象庁によると、南米ペルー沖の海面水温が下がるラニーニャの発生時や近い状態では、太平洋高気圧が日本の南東で強くなり、高気圧の周縁部を回る南からの暖かく湿った空気が日本に入りやすくなる。このため、気温が上昇するだけでなく、太平洋側や沖縄・奄美では量も増える。
 毎日新聞2024年7月24日付夕刊は、『世界平均気温 最高に 21日観測 今後も記録更新」』と報じた。今年の7月21日の世界平均気温が1940年以降の観測史上最高を示した。EUの気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」が23日に速報値として発表した。発表によると,21日の世界平均気温は17.09℃で、これまで最高だった2023年7月6日の17.08℃をわずかに上回った(⇒わずか0.1℃だが、地球の全表面がすべて前日より0.1℃上昇したわけだから、決して小さくはない)。人類の活動による気候変動とエルニーニョ現象の影響で、月単位での世界平均気温は今年6月まで13か月連続で最高を更新し続けている。同機関のブオンテンポ所長は「過去13カ月の気温とそれまでの気温との差の大きさは驚異的だ。地球温暖化に伴って、今後の数カ月、数年間で新たな記録が更新されることだろう」と推測されている。
 毎日新聞7月23日付朝刊は『昨年 北日本猛暑は海洋熱波 高温続き今夏にも影響も』と報じている。気象庁と東京大などは2023年に北日本で過去最も暑い夏となったのは、海面水温が異常に高くなる「海洋熱波」が三陸沖など北日本近海で発生したことが大きく影響したとみられると発表した。海面水温が高い状態は今も続いており、酷暑が予想される今夏の気候に影響する可能性があるという。三陸沖などでは通常、水温の低い海水と温かく湿った空気によって、夏には上空2㌔以下で「下層雲」ができやすい。しかし、昨夏は暖流の黒潮が平年より大きく北に流れ込んだ。その結果、下層雲がが作られにくく、北日本の日射量が増えた。10年に一度レベルの高い海面水温が5日以上連続した場合、一般的に海洋熱波と呼ばれる。北海道太平洋沖や三陸沖などでは昨年2月から8月ごろまで、海洋熱波の状態が続いていたという。海洋熱波で大気が加熱されたことや、大気中の水蒸気が増えて温室効果が強まったことも、昨夏に北日本の陸地が高温になった一因としている。分析に当たった東京大の中村尚教授は「23年の猛暑は海洋熱波が猛暑を助長した明確な事例。黒潮が極端に北上した原因はこれから解明したい」と話した。気象庁大気海洋部の佐藤大卓予報官は「温暖化が進む中で、異常高温のリスクが高まっている。海洋熱波がが地上に与える影響について理解を含め、季節予報などに役立てたい」と述べたという。
 毎日新聞7月23日付朝刊は『猛暑日 今年最多 287地点 山梨・甲州 39.6℃』と報じている。日本列島は22日、太平洋高気圧に覆われて広い範囲で晴れ、連日の猛烈な暑さに見舞われた。全国914地点の287地点(31.4%)で最高気温35℃以上の猛暑日になった。最高気温が30℃以上の真夏日は、猛暑日の場所を含めて775地点(84.8%)だった。23日以降も厳しい暑さが続く見通しで、熱中症に厳重な注意が必要だ。気象庁によると、太平洋高気圧が強まって日本列島を覆い、21日は近畿と中国、22日は九州北部で相次いで梅雨明け。高気圧の周辺部を回る暖かく湿った空気が流れ込み、強い日射でさらに気温が上昇した。最高気温は山梨県甲州市で39.6℃、甲府市で39.4℃、栃木県佐野市で39.1℃、群馬県伊勢崎市で38.9℃など。多くの観測点で今年の最も高い気温を記録した。環境省と気象庁は「熱中症警戒アラート」を今年最多の39都道府県で41地域に発表。昨年の最多だった8月5日と同数で、担当者は「酷暑と言われた昨年より速いペースだ」として、熱中症対策の継続を呼びかけたという。
 2024年7月16日15:30-17:35  (火)ENAA主催 2024年度 地熱発電・熱水活用研究会(オンライン)に参加した。講演は2題あり、第1部  鬼首地熱発電所のリプレースについて(電源開発(株)再生可能エネルギー事業戦略部長代理 赤坂千寿氏)、第2部 地熱貯留層評価のためのアドバンス坑井検層の有効性について(シュルンベルジュ(株)前原祐樹氏)。
 
 静岡39.3℃(7月4日、今夏日本列島で最高)、都内初の猛暑日 毎日新聞7月5日付朝刊はこう報じた。東日本から西日本にかけて高気圧に覆われた4日、全国各地で気温が上昇した。静岡市駿河区では、同地点の観測史上最高となる39.3℃を記録。東京都内も今年初めて、最高気温が35℃以上の猛暑日となった。気象庁によると、4日は全国64地点で猛暑日に。和歌山県新宮市では37.6℃、静岡県三島市では36.9℃を観測した。なお、EUの気象機関によると、世界の本年6月の平均気温も史上最高であることが報告されている。沸騰化している地球では、これがやがて通常になるのか。
 2024年6月21日(金)15:00ー17:30  自然エネルギー財団主催の『脱炭素へのエネルギー転換シナリオを考える:エネルギー基本計画は何を目指すべきか』(ハイブリッド)にオンラインに参加した。なお、コンテ ンツを紹介しておきたい。
 
開会あいあつ 大野輝之 自然エネルギー財団理事 常務理事 
 
特別講演「自然エネルギー3倍化を目指す世界」
 パオロ・フランクル 国際エネルギー機関 再生可能エネルギー部門                               
  責任者
報告「脱炭素への2035年エネルギー転換シナリオ」
 高瀬香絵 自然エネルギー財団 シニアマネージャー
 
討論1「自然エネルギー3倍化の意義と可能性」
 パオロ・フランクル 国際エネルギー機関 再生可能エネルギー部門
  責任者
 木村誠一郎 自然エネルギー財団 主席研究員
 「モデレーター」トーマス・コーべリエル 自然エネルギー財団 理          
   事長
 
討論2 「ビジネスは自然エネルギーを求める」
 磯野久美子 自然電力 取締役
 豊田祐介 デジタルグリッド 代表取締役社長
 高瀬香絵 自然エネルギー財団 シニアマネージャー
 
閉会あいさつ 大林ミカ 自然エネルギー財団 事業局長
 2024年6月20日13:00-17:00『第50回新産業技術促進検討会シンポジウム サンシャイン計画50周年記念シンポジウム』(主催:ものづくり日本会議・NEDO等)にオンライン参加した。再生可能エネルギー発電(太陽光・風力・地熱・バイオマスを中心に)の世界の動向が紹介されるとともに、NEDOによるサンシャイン計画での過去50年の歴史的経験・現状・将来がそれぞれの専門家によって1部と2部に分けて紹介された。まず1部では、それぞれの発電方式の現況・将来展望が紹介された。1部では、まず太陽光発電が紹介された。今後の中心はペロブスカイトを用いた発電が中心となり、やがては発電効率30%を目指すようであり、世界的に見ると、太陽光の普遍性(広大な設置可能面積)と高い発電効率からみて、今後も再生可能エネルギー発電の首座を占めること、次いで洋上風力発電が期待されるとした。以下、サンシャイン計画におけるわが国の太陽光発電の歴史的展開を、日本の太陽光発電の先駆者桑野氏(サンヨー)が熱弁を振るわれた。開発段階では一時、日本の太陽光発電量は世界トップに立ったが、やがて、優れた技術の産業化に後れを取り、その後低迷したこと、現在は中国が圧倒的なシェアを誇っているが、ペロブスカイト発電を成功させ、スムーズな産業化に繋げられれば、再び日本が世界のトップに立てることを語った。なお、世界の砂漠面積の4%に高効率太陽光パネルを設置すれば、人類が必要とする電気が得られるという野心的な計画も紹介された。風力発電では、牛山 泉氏(足利工大、風力発電協会)がNEDO風力発電事業における技術開発の経緯が紹介された。技術的には高いレベルに達したが産業化が必ずしもうまくいかず、一時、日本の風力発電企業は撤退となったが、近年復活中で、世界6位を誇る広大な海域EEZゾーンに新たな洋上浮体式発電システムを開発・建設し、大きなシェアを作り出す計画が動いている。次に紹介されたのが地熱発電で、長く産総研で地熱資源量評価を続けてきた村岡氏が火山国日本での地熱発電開発の優位性(世界第3位の発電ポテンシャルの存在、高い技術レベルの地熱資源探査、世界を席巻する地熱発電システム)から見て、日本は世界一の地熱発電国になることができるとの夢を語った。そして、天然蒸気を使う、従来的発電だけではなく、将来的に、大規模発電(1発電所で100MW以上)が期待される次世代地熱発電方式「超臨界地熱発電」の研究開発が進んでおり、脱炭素化に大きな貢献ができるとの見通しを述べた。
 第2部として、これからの再生可能エネルギーとして、太陽光発電、洋上風力発電、地熱発電、バイオマス発電が第一線の研究者・技術者から紹介された。
  初めに、地熱発電が、有木和春氏(三菱マテリアル 元日本地熱協会会長)から紹介された。日本の地熱発電は、戦後の電力不足に対応して国によって始められた。その後,1966年、岩手県で日本最初の商業用の松川地熱発電所(当初9500kW、その後徐々に拡大し最終的に23500kWに増設。2024年現在も発電継続中)、翌年1967年、大分県で日本で二番目の大岳地熱発電所(当初12500kWその後,リニューアルされて、現在継続運転中)が建設された。その後の進展はわずかであったが、1970年代の2度のオイルショックを経験し、国は安定電力供給のため地熱発電に力を入れ始めた。国は、サンシャイン計画を立案する中で「通産省ーNEDOー事業者」という国主導の開発スキームのもとで年間100億円超規模の支援を行い、日本列島全体の地熱資源量調査を始めた。その結果、発電所の建設も進み、1990年には約50万kWの設備容量を持つ世界5位の地熱発電国にまで成長した。しかし残念ながら、その後、国は地熱発電への関心失い、大きな発電所は建設されず、2011年(東北大震災発生)には世界で10番目まで下がってしまっていた(後に地熱発電冬の時代と言われた)。そこで2012年、国はエネルギー政策を転換し、国産の安定電源として、地熱発電を見直し、年間150億円規模の支援を再開した。開発のスキームは経産省ーJOGMEC(一部NEDO)ー事業者とJOGMECが主管となった。地熱発電での調査から発電所建設まで一貫して支援する方式が確立された。現在、「2030年に150万kW達成」に向かって、産官学が一致協力した目標達成に邁進している。国際的には、パリ協定の脱炭素化目標を実現するために、再エネ発電を2030年には現在より3倍増化の目標が立てられている。最近の地熱発電所建設のペースから言うと、実現はやや難しいが、次世代超臨界発電の研究開発も進んでおり、超臨界地熱発電所が建設されるようになれば、日本の地熱発電も脱炭素化に貢献することができる。
 最後にバイオマス(日揮 西村氏)であるが、現在、SAF(Sustainable Aviation Fuel  持続可能な航空燃料)に世界の注目が集まっており、わが国では新規参入の総合エンジニアリング企業(日揮)を中心にして廃油の改質に世界を相手に研究開発にしのぎを削っている。
 シンポジウムの最後はモデレータ NEDO理事鈴村亜希子氏のもとで、5人のパネリストの参加で行われた。
 
 
 『福島 6月なのに35.2℃今季 全国初の猛暑日』 毎日新聞2024年6月13日(木)の朝刊はこう報じている。日本列島は12日、全国的によく晴れて気温が上がり、福島県伊達市梁川では最高気温が35.2℃に達した。35℃以上の猛暑日は今年、全国初。東京都心(千代田区)でも30.1℃を観測し、今年度初めて30℃以上の真夏日となった。気象庁によると、真夏日になったのは全国で326地点で全国914地点中35.7%で1/3超。ほかに気温が高かったのは、山梨県甲州市34.1℃、京都府福知山市33.9℃など。なお、当研究所(埼玉県狭山市)では,2012年5月8日以降、所内で1m深地温の継続観測を行っているが、今季最高の18.9℃、最寄りの気象庁観測点所沢での日最高気温は29.5℃で今季最高であった。
 24年6月5日(水)15:00~17:00  NGO 気候変動イニシアティブ(JCI)主催のオンライン(Zoom ウェビナー)『1.5℃目標を実現するエネルギーシナリオ』に参加した。プログラムは
1.開会あいさつ、JCIメッセージ賛同の呼びかけ JCI共同代表 末吉竹二郎氏 加藤茂夫氏
2.解説
(1)1.5度目標を実現するエネルギーシナリオとは
「IGES 1.5度ロードマップ」
田村 堅太郎氏 IGES気候変動とエネルギー領域 プログラムディレクター
「自然エネルギー財団2035シナリオ」
高瀬 香絵 自然エネルギー財団 シニアコーディネーター
「WWFジャパン 脱炭素社会に向けた2050年ゼロシナリオ2024年版(仮)」
小西 雅子氏 WWF ジャパン 専門ディレクター(環境・エネルギー)
 
(2)日本と海外のエネルギー政策アドボカシーのギャップ、声を高めることの重要性」
長嶋 モニカ氏 InfluenceMap 東アジアジア・ディレクター
 
3.議論・質疑応答へのコメント
 
喫緊の課題になっている脱炭素化で、日本の対応が世界から遅れていることが明確に指摘された。それと同時に、非政府セクターからの「エネルギー政策アドボカシーを強めることの重要性が日本と海外のギャップの観点からも指摘された。
 
日本政府の脱炭素化計画は世界の潮流から全くはずれ、ガラパゴス化している。多様な手法で、多くの国民が政府への声を高める必要がある。なお、本地熱情報研究所は国へのJCIメッセージにすでに賛同している。また、本年まとめられる国のエネルギー基本政策改定に関するパブリックコメントでも意見を提出する予定である。
 24年5月23日 JAPAN CLIMATE INITIATIVE(JCI)は 【賛同募集I6/30(日)締切】2035年66%以上のGHG削減目標を日本に求める! を開始した。地熱情報研究所(江原幸雄代表)は5月25日賛同募集に応じた。
2024年5月24日(金)14:00~16:00  市民グループ「頼れる大人の会」主催のZoomミーティング「地熱エネルギー利用:日本と世界の動向」(講師  JOGMEC  安川香澄氏)にオンライン参加した。市民の方々は活発な質疑を行い、地熱に関する理解を深めたようだ。このような市民グループが地熱発電の応援団になっていただければまことにありがたい。
 『G7、石炭火力30年代前半廃止合意』 毎日新聞4月30日付夕刊一面のニュース フラッシュ欄はこう報じている。イタリア北部トリノで開催中の主要7か国(G7)気候・エネルギー・環境相会合は29日、二酸化炭素(CO2)排出削減対策が講じられていない石炭火力発電について、2030年代前半に段階的に廃止することで原則合意した。英国の高官が伊メディアに語った。 G7の共同声明に石炭火力の廃止年限が明記されれば初めて。ただし、国内のエネルーギー政策で石炭火力の廃止時期を定めていない日本などに配慮し、例外も併記する方向で調整が進むという。日本としては、まことに苦しく、恥ずかしいことだ。日本(経産省)は石炭火力に関し、これまで国内および世界から非難を受け続けているが、今年はエネルギー基本政策を改定することになっている。そこで、今回は石炭火力廃止を明示しなければならない。そうでないと、連続で不名誉な「化石賞」受賞国となり、世界の笑いものになり続けることになる。これまでの恥の上塗り続けるわけにはいかない。「世界的に見て、恥ずかしくない、説得力のある目標」を掲げ、今年こそは、温暖化対策先進国となり、化石賞受賞を卒業すべきだ。今のままでは日本はG7のお荷物国になり下がざるをえない。実に恥ずべきことで、温暖化対策4等国以下にならざるを得ないだろう。ここは、経産大臣の決断を心から期待したい。
 『東南アジアに熱波の牙 フィリピン、体感「最高47℃」予報 対面授業中止に』 毎日新聞4月30日夕刊はこう報じている。東南アジアを熱波が襲っている。地域特有の湿気を加味した体感温度は29日にフィリピンで最高47℃の予報となり、比国教育省30日まで国内の公立学校の対面授業を中止すると発表した。地元メディアは「気候変動の影響は顕著で、教育現場は、新型コロナウィルス禍でのオンライン方式に戻らざるを得ない」と報じている。4~5月は東南アジアでは1年で最も暑い時期とされる。比メディアによると、首都マニラでは4月27日に最高気温38.8℃に達し、1915年5月に記録された同市の過去最高気温38.6℃を超えた。比大気物理天文局によると、29日の体感温度予報は北西部ダグパン市の47℃を始め、少なくとも国内22地域で最低でも43℃に達する「危険レベル」となった。フィリピンではほとんどの公立学校にエアコン設備がなく、エアコンを持たない家も多い。人々は冷房で涼しいデパートに集まっているほか、子供たちは屋外での水浴びで暑さをしのいでいるという。東南アジアでは、タイの首都バンコクでも24,25日の両日に最高気温が40℃を超えた。今週はカンボジアやミャンマー、ベトナムでも最高気温が40℃になると予報されている。(バンコク石山絵歩) 地球温暖化に伴う、気温の上昇は,近年ヨーロッパを中心に報じられることが多かったが、東南アジアでも広がってきたようだ。わが国でも、今夏、高温が報告されているが、最近では本州で32℃の真夏日が観測されている。7月~8月の年最暑期には40℃を超えるものと思われる。当地熱情報研究所では2012年5月8日から所内で気温、1m深地温を中心とする地温・気温を毎日継続観測をしているが、注意深く気温・地温観測を見守もる予定である。
 2024年4月24日(水)14:30ー16:30、日本地熱協会 令和6年度 第1回情報連絡会にオンライン参加した(TeamsによるWEB会議と会場での対面のハイブリッド方式)。プログラムは、(1)会員会社によるJOGMEC助成金利用探査事業紹介①(株)大林組による京極北部、②三菱マテリアル(株)による菰ノ森、③石油資源開発(株)による北海道上川郡弟子屈町、④(株)シーエナジーによる岐阜県大棚(おえだな)。各地域とも調査は順調に進んでいるようだ。(2)2026年度より導入される「地熱発電のフォーミュラ形式」説明。(3)運営委員会・専門部会報告。
 2024年4月19日(金)15:00~17:00、都内上野駅前のTKP上野駅前ビジネスセンターカンファレンスルーム3Aで開催された『超臨界地熱開発シンポジウム』に現地参加した(参加者は70名程度か。若手及び女性の参加者も目立った)。約15年位前からわが国でも始まった次世代の超臨界地熱資源に関する研究開発(大学研究から出発しNEDO事業に引き継がれた)の現状と将来展望に関するものであった。2題の基調講演の後、総合討論が行われた。1題目は「超臨界地熱資源の地質、地球物理、地化学および水理モデル」(超臨界地熱資源の科学的側面の研究内容 プロジェクトリーダー 土屋範芳氏、八戸工業高等専門学校 校長および東北大学大学院環境科学研研究科 客員教授)、 二題目の基調講演は「超臨界地熱資源開発技術と今後の展望」(超臨界地熱資源の開発技術の研究内容 浅沼 宏氏 産業技術総合研究所・再生可能エネルギー研究センター 副研究センター長)であった。 超臨界地熱資源の開発初期には概念も明確ではなく、実態も不明であったが(日本国内だけではなく、世界でも)、その後の研究により、実証的解明が進み、資源量評価もなされるようになってきた。その結果、国内でも従来型地熱資源だけでなく、超臨界資源地熱資源開発も実用化されれば、今や世界の目標になっている、現在の再生可能発電発電量を、2050年度に向けて3倍化することが可能となり、脱炭素化地球の実現に重要な貢献ができることだろう。この3倍化は是非とも実現しなければならない、日本の地熱産業界・地熱研究界にとっても極めてチャレンジング課題である。地熱発電関係者の一層の奮起を期待したい。
 2024年3月19日(火)13:30~16:50に地熱技術開発株式会社主催の2023年度第2回地熱研究会(ハイブリッド)のオンラインに参加した。講演は3件あり、1.熱水系の比抵抗造に関する考察(産総研 招聘研究員 高倉伸一氏)、2.光ファイバーDASによる超臨界地熱資源探査技術開発(エンジニアリング協会 主席研究員 笠原順三氏)3.山葵沢地熱発電所開発における貯留層モデリング(電源開発(株)火力エネルギー部 地熱技術室顧問 中西繁隆氏)であった。1,2は地熱発電開発における重要な探査技術である比抵抗法および光ファイバーDASによるによる断裂貯留層検出の最先端技術の紹介であり、今後の断裂型貯留層開発に大きく期待を持たせた。3は、新規大型地熱発電所である秋田県山葵沢発電所(46MW)開発における、断裂型地熱貯留層の検出とそれに基づく、持続可能な発電を目指した貯留層モデリング技術の開発の紹介であった。発電開始後約5年が経過しているが、安定した発電を継続しているようだ。地熱発電開発における最重要要課題、「断裂型地熱貯留の正確・精細なモデリング」とそれに基づいた貯留層モニタリングが、持続可能な発電に欠かせないことが改めて確認された。地熱発電技術は進展を続けている。これらの経験を活かし、わが国の地熱事業者のみなさんは、2030年目標「150万kW実現」にいっそう邁進してほしい。
 2024年3月14日(木) 10:00~17:45 自然エネルギー財団主催の「ONLINE」REvision2024を視聴した。急速度で拡大する世界の再生可能エネルギー開発に比べ、日本の後進性(保守的な経産省の政策に起因する)が一層明確にされた。国外からの演者も日本の後進性を繰り返し指摘していた。ただ洋上浮体風力発電だけは見込みがありそうであった。終わりの挨拶をした同財団副理事長末吉竹二郎氏のまとめは、静かながら辛辣であった。世界に遅れた日本の再生可能エネルギー導入の後進性は、将来の日本国家の弱体化を暗示させるものであると。脱炭素化に背を向ける日本は世界から遅れ続け、まさに、日の没する国に至ってしまうのではないかとの深刻な懸念を示した。「ゆっくり勝つのは、負けるのと同じ」。脱炭素化問題においては。
 2024年3月1日より再開
 2023年7月15日(土)10:00~14:00、現在、東京大学訪問教授として滞在中のUAE大学教授 Prof. Hakim Saibi氏(当欄の執筆者で当研究所代表の江原幸雄が九州大学大学院在職中,博士担当教授だった)当研究所を訪問した。博士課程学生時代から、論文執筆が早く、注目していたが、現在でも1年間で論文10編を書くなど、活発な研究活動を展開しているようで、大いに頼もしいと改めて感じた。教え子の活躍はうれしいものだ。今後の活躍を祈念して、握手して見送った。
2023年7月9日05:18に、「Across Japan,steam rises from its abundant hot springs. Could geothermal energy help solve their power needs? 」がテレビ放映された。本年5月9日にオーストラリア放送協会(ABC)取材のため来訪、インタビューがを受けたものであった。
 2023年7月5日午後、2023年6月30日(金)13:00~16:15 に行われた産総研 福島再生可能エネルギー研究所(FREA)による2023年度研究報告会のアーカイブ映像配信のプログラムを見た。内容は以下の通りであった。13:00~13:05 主催者あいさつ(上席執行役員兼エネルギー・環境領域 領域長 小原春彦氏)、13:05~13:10 来賓あいさつ(福島県副知事 佐藤宏隆氏)、13:10~13:15、来賓あいさつ(郡山市長 品川萬里氏)、13:15~13:50 基調講演 再生可能エネルギー政策について(経産省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギー課 課長補佐 津田健人氏、13:50~14:15 講演(「福島県再エネ研究会10年の歩み」と「FREAと連携した県内産業育成の取り組み」の紹介(エネルギー・エイジェンシーふくしま 代表 服部靖弘氏)、14:15~14:30 FREA紹介 福島再生可能エネルギー研究所の概要紹介(産総研 福島再生可能エネルギー研究所 所長 宗像鉄雄氏)、14:35~15:10 再生可能エネルギー研究センター概要紹介 主力電源化に向けた利用拡大およびO & M(技術開発 産総研 再生可能エネルギー 研究センター長 吉田郵司氏)、15:10~
15:40 カーボンニュートラル実現に向けた次世代エネルギーネットワーク技術(エネルギーネットワーク、水素関係) 産総研 再生可能エネルギー研究センター副研究センター長 難波哲哉氏)、15:40~16:10 適正な導入拡大のための研究開発、データベース構築(地熱・地中熱関係 産総研 再生可能エネルギー 副研究センター長 浅沼 宏氏)、16:10~16:15 閉会あいさつ 産総研研究戦略企画部 次長 兼 福島再生可能エネルギー研究所 所長代理 古谷博秀氏。 ⇒FREAにおける「地熱・地中熱を含めた再生可能エネルギー全般の最新研究」が紹介された。特に印象に残ったのは、FREAの最新研究・スタッフが確実に地元企業に浸透し、地元の技術の進展に実に大きな貢献をしていることだった。実によい実例と感じた。各都道府県レベルでも、核となる研究機関と地元企業の強い結びつきは可能である。そのような中核の研究機関と地元自治体の強力な連携ができれば、日本の再可能エネルギーも飛躍的な増加が期待されるのではないか。  
  
 2023年6月12日(月)11:30~13:30、ある畜産実業家に対して「畜産動物」舎の地熱利用に関して、アドバイスを行った。
 2023年The Economist アジア版5月28日号 すでに本欄でも紹介したが、 2023年4月23日  The Economist  の日本駐在員より、日本の地熱開発に関するインタビュー(特に温泉問題について)を受けた(当研究所代表江原幸雄)が5月28日付同誌アジア版に記事概要が示された。その後、温泉関係者にもインタビューを行った結果と合わせて最終的に記事として、出版したものである。記事のタイトルは「Asia :In hot water   Japan's hot-sprimg resorts are blockimg geothermal energy plants」 A centuries -old leisure industry is a powerfu,but not insurmountable  obstacle to progress と紹介した(詳細は本文をご覧ください)。脱炭素化に向けて、その対策として、地熱発電の有用性を認識してもらったようだ。
 2023年5月22日(金)15:30~17:30 ENAA主催の第1回地熱発電・熱水活用研究会(ハイブリッド)にオンライン参加した(会場約20名、オンライン約100名)講演は2題あり①地熱開発にかかる温泉法運用のしがらみを解く(産総研名誉リサーチャー 野田徹郎氏)、②八幡平市における地熱資源の活用(八幡平市市民課環境衛生係主任中軽米広和氏)。①においては、環境省は地熱開発にネガティブな考えしか持っていないことがより明確とあった。環境省にはもっと汗をかいてもらわなければならない。環境省は地熱開発に対してネガティブ意見しか言わず、実際の行動が全くさっぱりだ。口先だけでなく、手足も動かしてもらいたいものだ。対策に一案はある。
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