地熱情報研究所

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 2024年10月3日(木)17:00~19:00  自然エネルギー財団主催のセミナー『エネルギー基本計画の論点 脱炭素の道を示せるのか』に参加した。本セミナーでは現在国によって進められている「新たなエネルギー基本計画と温室効果ガス削減目標(NDC)の策定」が気候危機回避に必要な速度で排出削減をできるかが議論されているが実現できるか、また、脱炭素とともに日本の産業と社会を支えるための必要なエネルギーを安価かつ安定的に確保できるかという2つの論点に焦点が当てられている。
 今回のセミナーでは、国際大学学長の橘川武郎氏、東京大学未来ビジョン研究センターの高村ゆかり氏を迎え、エネルギー政策の方向について基調講演があった。それに続く「パネルデスカッション」では日本経済新聞編集委員安藤淳氏をモデレーターとし、橘川、高村氏に、自然エネルギー財団の大野輝之常務理事が加わり、目指すべきエネルギー基本計画の在り方について率直の意見交換が行われた。現在行われている国の会議では、委員の大半が原発推進派であり、議論が偏っており、あたかも「日本の常識は世界の非常識」そのものであるような状況らしい。正しい議論を行うためには、委員の変更が必要だが既に議論が進行しており、委員の変更は難しい。そのような中で、国民レベルでそれに対抗するためには、今回の様な意見表明の場を多く作ったり、多くの国民がパブコメで意見表明するなど、国民が意見表明の一層の努力が必要なようだ。繰り返す。エネルギー基本計画の現在の様相は『日本の常識は世界の非常識』であることを忘れないことだ。そのための活動が必要だということだ。
 
2024年10月3日(木)10:00~12:30 特定非営利活動法人「 環境エネルギー政策研究所(ISEP)」主催のオンラインZoomウェビナー(衆議院第一議員会館第5会議室)『再エネ100%社会のリアル~オーストアリア視察報告と第7次エネ基への提言』に参加した。
 再エネ0%から17年で74%を越え、3年後には100%達成を公約する南オーストリアア州を中心に、オーストラリアの再エネの実態や電力市場・政策・コミュニティなどを今年9月に研究者チームで視察した結果をもとに開催されたものである。
 開会の挨拶が、オーストラリア大使館代表、南オーストラリア州駐日代表、衆議院議員 但馬 要氏よりあった。引き続き、ISEP 飯田哲也所長より報告全体の説明があり、その後、所長からの紹介と各登壇者から視察報告と提言があった。明日香 壽川氏(東北大学東北アジア研究センター教授)、歌川 学氏(産総研持続可能システム主任研究員)、大島 堅一氏(龍谷大学政策学部教授)、佐々木 寛氏(新潟国際情報学部教授)、高橋 洋氏(法政大学社会学部教授)、古屋 将太氏(ISEP研究員)であった。各氏とも、南オーストラリア州の急速な太陽光発電・風力発電と蓄電池の組み合わせによる成果であることに、驚きを感じたようだ。発端は、2度のブラックアウトによる州の電力危機感と、地域住民に対する十分な説明にあったようだ。当初は草の根運動として始まったようだが州側も科学的根拠に基づいて住民に丁寧に説明を続けたようだ。住民も自ら学び積極的に応じたようだ。これらの発電所が「コミュニティエネルギー」と呼ばれる所以である。これまでの実績として、太陽光発電のみ23件。太陽光発電+蓄電池(144件)、蓄電池のみ(320件)と蓄電池が重要な役割を果たしているのが驚きだった。日本では蓄電池は高い(科学的根拠なし)という誤った一言でストップするのが関の山。しかし実際には、太陽光発電と蓄電池を設置した住民は多くの収入も得ているようだ。これが好循環に貢献しているようだ。
 世界初の系統用蓄電池を2,017年に導入して世界の系統蓄電池の爆発的な成長の起点となり、また屋根置き太陽光と分散型電池によるVPP(仮想発電所)の実用化でも世界最先端に立つ同州の視察報告とともに、日本で議論されている第7次エネルギー基本計画への提言も行われた。
 石炭にも天然ガスにもウランにも恵まれているオーストラリアがこれらを開発輸出することに注目することなく、住民が収入を受けることで、喜んで太陽光「発電+蓄電池システム」を導入する姿が目に見えるようだ。住民がこのシステムを理解し、積極的に関与することは、素晴らしい経験である。日本でも、十分検討し、見習う必要があるだろう。国家レベルのエネルギー基本計画も見習う必要がある。
 毎日新聞2024年9月19日付朝刊は『まだ猛暑日』と報じている。日本列島は18日、関東から九州にかけての広い範囲が高気圧に覆われて気温が上昇し、東京都心と名古屋市で最も遅い猛暑日(最高気温35℃以上)となった。これまで最も遅かったのは東京都心が1942年9月12日、名古屋市は2023年9月16日だった。
 気象庁によると、東京都心の最高気温は35.1℃、名古屋市が36.4℃だった。最も暑かったのは京都府舞鶴市の37.9℃で、全国914地点中132地点(14.4%)が猛暑日となった。
 東京都内は午後も厳しい暑さとなり、渋谷区のスクランブル交差点前では、午後1時半ごろ、日傘やサングラスで日差しを遮ろうとする人たちの姿が見られた。
 なお、当研究所のある埼玉県狭山市ではミカンの木の木陰の地上1.5mで、12時37分,35.7℃、最寄りの気象庁観測地点所沢でのこの日の最高気温は36.5℃、日平均1m深地温は25.9℃で、地下1m深の方が約10℃低かった。
 
 
 2024年9月17日(火)15:30~17:35 エンジニアリング協会主催の「2024年度 第3回 地熱発電・熱水活用研究会」にオンライン参加した。
 講演は2題あり、第1部 貯留層トレーサー試験の基礎(地熱エンジニアリング(株)探査部 福田大輔氏),第2部 新エネルギー財団と地熱推進の提言(一財 新エネルギー財団 地熱部長 伏見隆夫氏)。第一部では専門分野外の人にもわかりやすい説明であった。第二部では、普段はわかりにくい財団の幅広い活動が紹介されるとともに、地熱関係者が積極的に「新エネ大賞」に応募することが重要と感じた。
 毎日新聞2024年9月16日付朝刊は『19日にかけて気温高い状態 東日本と西日本』と報じている。気象庁は15日、東日本と西日本では19日にかけて気温が高い状態が続くとして、熱中症など健康管理に注意するよう呼びかけたという。
 高気圧に覆われて晴れる日や暖かい空気が流れ込む日があり、最高気温が35℃以上の猛暑日になるところがあるとしている。日本列島は3連休の中日となる15日も残暑が続いた。
 各地の最高気温は、福岡県朝倉市で38.2℃となった他、埼玉県鳩山町で36.9℃など、全国914の観測地点のうち70地点で猛暑日を観測。27地点で9月の最高気温を記録した。東京都心は34.4℃で12日連続の真夏日となった。
 気象庁による天気予報も近年は当たるようになってきているが、それも4日以内の予想に限られていたようだが、19日は、ちょうど4日後にあたるが、果たして多くの地域で猛暑日が観測されるか? 残暑に苦しむ心情としては、秋が早く感じられることを期待したいところだ。
 毎日新聞2024年9月15日付朝刊は『残暑 各地で猛暑日』と報じた。
 日本列島は14日、関東から九州の広い範囲で高気圧に覆われて気温が上昇し、厳しい残暑が続いた。
 気象庁によると、午後4時時点で14日の気温で全国で最も高かったのは、長崎県南島原市で37.8℃を記録。このほか佐賀県嬉野市で37.3℃、兵庫県豊岡市で37.0℃、福岡県太宰府市で36.9℃を観測するなど各地で猛暑日となった  。
   全国で914地点ある観測点のうち、30℃以上を観測したのは542地点(59.3%)に上がった。なお、当研究所(埼玉県狭山市)の最寄りの気象庁観測点所沢では34.7℃であった。
 東京都内では練馬区35.2℃、府中市で34.8℃まで気温が上がったほか、都心(千代田区)も34.5℃となった。都心で15日以降に35℃以上を観測すれば、史上で最も遅い猛暑日になる。現時点で最も遅い観測日は、1942年(9月12日)となっている。
 毎日新聞2024年9月3日付朝刊はこう報じている。『2年連続 最も暑い夏 気象庁「温暖化が底上げ」 猛暑日 最多8821地点』
 気象庁は2日、今夏(6~8月)の全国平均気温が平年より1.76℃高く、1898年の統計開始以来最高だった2023年と並び、1位タイとなったと発表した。
 気象庁異常気象分析検討会会長の中村尚・東京大教授は同日の記者会見で「昨年の高温を上回る地域もあった。今年の暑さも異常気象と呼んで差し支えない」と述べた。特に7月の高温は地球温暖化がなければほぼ起こり得なかったと推定されるという。
2024年8月6日、13:30~16:50、GERD主催の2024年第1回地熱研究会にオンライン参加した。講演は以下の3題であった。①「地熱開発技術の動向および地熱井掘削における自主保安指針改定の経緯」JOGMEC再生可能エネルギー事業本部 地熱事業部長 長江 晋氏,②「九重地域超臨界地熱資源評価」九州大学工学研究院地球工学部門 地球工学講座 准教授 西島 潤氏、③「安比地熱発電所の開発経緯」三菱マテリアル(株)再生可能エネルギー事業部 事業部長補佐 有木和春氏。
 
 毎日新聞2024年8月4日付朝刊は『「温暖化がなければ (パリ・オリンピック)会場周辺の気温は今より3℃も低かった」 国際研究チーム分析』と報じた。地球温暖化がなければ、会場周辺の気温は今より3℃程度も低かった。フランスを含む地中海沿岸地域の7月の気温は、人間活動が原因の温暖化で2.5~3.3℃引き上げられていたとの分析結果を、国際研究チーム「ワールド・ウェザー・アトリビューション」が発表した。7月はアフリカ北部や欧州各地が記録的熱波に襲われ、モロッコで48℃超を観測した地域もあった。チームは観測データや個々の気象現象と温暖化の関係を定量的に分析した過去の研究成果を活用し、地中海沿岸地域の熱波と温暖化の関係を分析。7月の様な熱波は温暖化がなければ起こり得なかったと結論づけた。現在の気候では10年で1度程度発生するようになったと予測され、温暖化が深刻化すればその頻度はさらに高くなるという。五輪開幕後、パリでは最高気温が35℃に達する日もあり、熱中症の症状を訴える選手も出ていた。チームのインペリアル・カレッジ・ロンドンのフリーデリケ・オットー上級講師は、「大気中の温室効果ガスが増えすぎていなければ、スポーツをするにももっと安全な環境だったろう」としている。⇒大規模高性能コンピュータを使った「アトリビューション手法」導入により、現在の温暖化は人為的であることが明確になり、日本でも20年前には、「人為的ではない」と少なくない研究者が声高に学会でも叫んでいたが、今では完全に払しょくされ、そのような反論の出る幕は完全になくなったようだ。
 2024年7月30日付朝刊はこう報じている。『栃木・佐野41.0℃』。関東から九州にかけて高気圧に覆われた29日、全国各地で気温が上昇した。栃木県佐野市では午後2時に、同地点の観測史上の最高となる41.0℃を記録。今年の全国最高気温で、国内の観測史上最高気温(41.1℃、熊谷市2018年)に迫った。このほか、浜松市天竜区と群馬県館林市では40.2℃を記録した。
 毎日新聞2024年7月30日付朝刊はこう報じている。『熊谷で40℃ 県内で94人搬送』 県内は29日、熊谷市で40.0℃を観測するなど、気象庁の8観測点すべてで最高気温が37℃以上を記録する猛烈な暑さに見舞われた。県消防課によると、午後4時時点で県内では94人が熱中症で救急搬送され、重症は3人、中等症が31人だった。この日、県内では、鳩山町39.9℃、寄居町39.6℃、越谷市39.4℃、久喜市39.1℃、さいたま市38.7℃、秩父市38.5℃、所沢市37.3℃を観測。所沢市を除き今年最高だった(なお所沢市の今年の最高気温は7月8日の37.4℃。熊谷では2018年41.1℃を観測)。
 2024年7月29日18:30-21.30 九州大学地熱関係者の集い「九大地熱フォーラム」が東京駅近くの飲食店で開催された。参加者総数は32名でこれまでの最高と思われた。乾杯の後は、活発な談論となり、店天井の上を走るJR線の車両のごとごとという騒音に負けないにぎやかさだった。新たに社長となった人も複数おり、多くの人がより上位に昇進していた。卒業生の活躍は誠に頼もしい。
 2024年7月24日14:30~16:30 日本地熱協会 令和6年度 第2回情報連絡会(会場参加またはTeams によるオンライン参加ハイブリッド方式)に会場参加(千代田区内神田 ワイム会議室Room7A)した。プログラムは以下の通り。
(1)会員会社によるJOGMEC助成金利用地熱探査事業の紹介
   出光興産(株)栗駒南麓地域  資源部地熱事業室 事業推進課課長平井誠氏                              
 
(2)地熱保険に関する取り組み 東京海上日動火災(株)本店営業第二部 中川礼次郎氏
 
(3)新規会員自社紹介
①(株)東京エネシス グリーンエネルギー事業本部 グリーン企画・営業部 グリーン企画グループ グループマネジャー 前原和彦氏
 
②(株)冨士ボーリング 代表取締役社長 満田信一氏
 
(4)運営委員会・専門部会報告 日本地熱協会 副運営委員長 上村宏之 事務局長 正面順久氏
(5)特別講演 「地熱をブレイクスルーために」 小説家 真山 仁氏  真山氏は日本の地熱が停滞している理由を、種々の実例をあげて、明確に述べた。たとえば、本来面白く、日本にとって非常に有用な「地熱発電」を若い人が自らSNS等を通じて自由にに楽しく、日本の社会に訴えていくことから、始めるのが良いのではとの提案があった。政治家或いは官僚ともかなり深く交わって議論されており、表には出さないが問題の核心をよく知っているようだ。なお、質疑の一環として、本研究所代表の江原が、関連して意見を表明した。日本の地熱発電の停滞の原因は環境省にあり、今の経産省と環境省のままの関係が続く限り、日本の地熱発電の停滞は続かざるを得ない。このまま何もしないと、やがて、日本の地熱発電事業は将来消滅しかねない。そうならないように、口だけの環境省も自らが現地で実際に汗をかき、(1000kW未満の中小規模発電所対象)、自らが望む、環境に最大限配慮した自然公園内の地熱発電所を建設することに取り組むか、それができなければ、環境省内の地熱発電に関する部分を分離し、新たな「資源・エネルギー・環境」省を作り、大規模(1000kW以上)を旧エネ庁関連部門が担当し、中小規模(1000kW未満)を旧環境省関連部門が担当し、新省のもとで国を挙げて、(大中小)新地熱発電所建設に邁進する体制とする。少なくともこの程度の省庁改革を行い日本政府の地熱関係者が一丸となり地熱開発を行う体制を整備するべきではないかとした。真山氏講演終了後、新たに1冊追加購入し、知人で地熱に関心のある関西在住の眼科医寄贈用と合わせて、サインしてもらった。一方、真山氏にとって、「マグマ」、「ブレイク」に続く「第三の地熱関連小説」執筆の動機になることも期待して)研究所代表の江原が書いた未来科学小説「九重火山2100年噴火予測と噴火回避」を真山氏に寄贈して読んでもらうことにした。どのような反応(ー∞~+∞)があるか楽しみだ。
 
 毎日新聞2024年7月24日付夕刊は『厳しい残暑の見通し』と報じた。気象庁は23日、8~10月の3カ月予報を発表した。「ラニーニャ現象」が発生する可能性が高いことなどから、9,10月も気温は平年より高いと見込まれ、厳しい残暑となりそうだという。気象庁によると、南米ペルー沖の海面水温が下がるラニーニャの発生時や近い状態では、太平洋高気圧が日本の南東で強くなり、高気圧の周縁部を回る南からの暖かく湿った空気が日本に入りやすくなる。このため、気温が上昇するだけでなく、太平洋側や沖縄・奄美では量も増える。
 毎日新聞2024年7月24日付夕刊は、『世界平均気温 最高に 21日観測 今後も記録更新」』と報じた。今年の7月21日の世界平均気温が1940年以降の観測史上最高を示した。EUの気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」が23日に速報値として発表した。発表によると,21日の世界平均気温は17.09℃で、これまで最高だった2023年7月6日の17.08℃をわずかに上回った(⇒わずか0.1℃だが、地球の全表面がすべて前日より0.1℃上昇したわけだから、決して小さくはない)。人類の活動による気候変動とエルニーニョ現象の影響で、月単位での世界平均気温は今年6月まで13か月連続で最高を更新し続けている。同機関のブオンテンポ所長は「過去13カ月の気温とそれまでの気温との差の大きさは驚異的だ。地球温暖化に伴って、今後の数カ月、数年間で新たな記録が更新されることだろう」と推測されている。
 毎日新聞7月23日付朝刊は『昨年 北日本猛暑は海洋熱波 高温続き今夏にも影響も』と報じている。気象庁と東京大などは2023年に北日本で過去最も暑い夏となったのは、海面水温が異常に高くなる「海洋熱波」が三陸沖など北日本近海で発生したことが大きく影響したとみられると発表した。海面水温が高い状態は今も続いており、酷暑が予想される今夏の気候に影響する可能性があるという。三陸沖などでは通常、水温の低い海水と温かく湿った空気によって、夏には上空2㌔以下で「下層雲」ができやすい。しかし、昨夏は暖流の黒潮が平年より大きく北に流れ込んだ。その結果、下層雲がが作られにくく、北日本の日射量が増えた。10年に一度レベルの高い海面水温が5日以上連続した場合、一般的に海洋熱波と呼ばれる。北海道太平洋沖や三陸沖などでは昨年2月から8月ごろまで、海洋熱波の状態が続いていたという。海洋熱波で大気が加熱されたことや、大気中の水蒸気が増えて温室効果が強まったことも、昨夏に北日本の陸地が高温になった一因としている。分析に当たった東京大の中村尚教授は「23年の猛暑は海洋熱波が猛暑を助長した明確な事例。黒潮が極端に北上した原因はこれから解明したい」と話した。気象庁大気海洋部の佐藤大卓予報官は「温暖化が進む中で、異常高温のリスクが高まっている。海洋熱波がが地上に与える影響について理解を含め、季節予報などに役立てたい」と述べたという。
 毎日新聞7月23日付朝刊は『猛暑日 今年最多 287地点 山梨・甲州 39.6℃』と報じている。日本列島は22日、太平洋高気圧に覆われて広い範囲で晴れ、連日の猛烈な暑さに見舞われた。全国914地点の287地点(31.4%)で最高気温35℃以上の猛暑日になった。最高気温が30℃以上の真夏日は、猛暑日の場所を含めて775地点(84.8%)だった。23日以降も厳しい暑さが続く見通しで、熱中症に厳重な注意が必要だ。気象庁によると、太平洋高気圧が強まって日本列島を覆い、21日は近畿と中国、22日は九州北部で相次いで梅雨明け。高気圧の周辺部を回る暖かく湿った空気が流れ込み、強い日射でさらに気温が上昇した。最高気温は山梨県甲州市で39.6℃、甲府市で39.4℃、栃木県佐野市で39.1℃、群馬県伊勢崎市で38.9℃など。多くの観測点で今年の最も高い気温を記録した。環境省と気象庁は「熱中症警戒アラート」を今年最多の39都道府県で41地域に発表。昨年の最多だった8月5日と同数で、担当者は「酷暑と言われた昨年より速いペースだ」として、熱中症対策の継続を呼びかけたという。
 2024年7月16日15:30-17:35  (火)ENAA主催 2024年度 地熱発電・熱水活用研究会(オンライン)に参加した。講演は2題あり、第1部  鬼首地熱発電所のリプレースについて(電源開発(株)再生可能エネルギー事業戦略部長代理 赤坂千寿氏)、第2部 地熱貯留層評価のためのアドバンス坑井検層の有効性について(シュルンベルジュ(株)前原祐樹氏)。
 
 静岡39.3℃(7月4日、今夏日本列島で最高)、都内初の猛暑日 毎日新聞7月5日付朝刊はこう報じた。東日本から西日本にかけて高気圧に覆われた4日、全国各地で気温が上昇した。静岡市駿河区では、同地点の観測史上最高となる39.3℃を記録。東京都内も今年初めて、最高気温が35℃以上の猛暑日となった。気象庁によると、4日は全国64地点で猛暑日に。和歌山県新宮市では37.6℃、静岡県三島市では36.9℃を観測した。なお、EUの気象機関によると、世界の本年6月の平均気温も史上最高であることが報告されている。沸騰化している地球では、これがやがて通常になるのか。
 2024年6月21日(金)15:00ー17:30  自然エネルギー財団主催の『脱炭素へのエネルギー転換シナリオを考える:エネルギー基本計画は何を目指すべきか』(ハイブリッド)にオンラインに参加した。なお、コンテ ンツを紹介しておきたい。
 
開会あいあつ 大野輝之 自然エネルギー財団理事 常務理事 
 
特別講演「自然エネルギー3倍化を目指す世界」
 パオロ・フランクル 国際エネルギー機関 再生可能エネルギー部門                               
  責任者
報告「脱炭素への2035年エネルギー転換シナリオ」
 高瀬香絵 自然エネルギー財団 シニアマネージャー
 
討論1「自然エネルギー3倍化の意義と可能性」
 パオロ・フランクル 国際エネルギー機関 再生可能エネルギー部門
  責任者
 木村誠一郎 自然エネルギー財団 主席研究員
 「モデレーター」トーマス・コーべリエル 自然エネルギー財団 理          
   事長
 
討論2 「ビジネスは自然エネルギーを求める」
 磯野久美子 自然電力 取締役
 豊田祐介 デジタルグリッド 代表取締役社長
 高瀬香絵 自然エネルギー財団 シニアマネージャー
 
閉会あいさつ 大林ミカ 自然エネルギー財団 事業局長
 2024年6月20日13:00-17:00『第50回新産業技術促進検討会シンポジウム サンシャイン計画50周年記念シンポジウム』(主催:ものづくり日本会議・NEDO等)にオンライン参加した。再生可能エネルギー発電(太陽光・風力・地熱・バイオマスを中心に)の世界の動向が紹介されるとともに、NEDOによるサンシャイン計画での過去50年の歴史的経験・現状・将来がそれぞれの専門家によって1部と2部に分けて紹介された。まず1部では、それぞれの発電方式の現況・将来展望が紹介された。1部では、まず太陽光発電が紹介された。今後の中心はペロブスカイトを用いた発電が中心となり、やがては発電効率30%を目指すようであり、世界的に見ると、太陽光の普遍性(広大な設置可能面積)と高い発電効率からみて、今後も再生可能エネルギー発電の首座を占めること、次いで洋上風力発電が期待されるとした。以下、サンシャイン計画におけるわが国の太陽光発電の歴史的展開を、日本の太陽光発電の先駆者桑野氏(サンヨー)が熱弁を振るわれた。開発段階では一時、日本の太陽光発電量は世界トップに立ったが、やがて、優れた技術の産業化に後れを取り、その後低迷したこと、現在は中国が圧倒的なシェアを誇っているが、ペロブスカイト発電を成功させ、スムーズな産業化に繋げられれば、再び日本が世界のトップに立てることを語った。なお、世界の砂漠面積の4%に高効率太陽光パネルを設置すれば、人類が必要とする電気が得られるという野心的な計画も紹介された。風力発電では、牛山 泉氏(足利工大、風力発電協会)がNEDO風力発電事業における技術開発の経緯が紹介された。技術的には高いレベルに達したが産業化が必ずしもうまくいかず、一時、日本の風力発電企業は撤退となったが、近年復活中で、世界6位を誇る広大な海域EEZゾーンに新たな洋上浮体式発電システムを開発・建設し、大きなシェアを作り出す計画が動いている。次に紹介されたのが地熱発電で、長く産総研で地熱資源量評価を続けてきた村岡氏が火山国日本での地熱発電開発の優位性(世界第3位の発電ポテンシャルの存在、高い技術レベルの地熱資源探査、世界を席巻する地熱発電システム)から見て、日本は世界一の地熱発電国になることができるとの夢を語った。そして、天然蒸気を使う、従来的発電だけではなく、将来的に、大規模発電(1発電所で100MW以上)が期待される次世代地熱発電方式「超臨界地熱発電」の研究開発が進んでおり、脱炭素化に大きな貢献ができるとの見通しを述べた。
 第2部として、これからの再生可能エネルギーとして、太陽光発電、洋上風力発電、地熱発電、バイオマス発電が第一線の研究者・技術者から紹介された。
  初めに、地熱発電が、有木和春氏(三菱マテリアル 元日本地熱協会会長)から紹介された。日本の地熱発電は、戦後の電力不足に対応して国によって始められた。その後,1966年、岩手県で日本最初の商業用の松川地熱発電所(当初9500kW、その後徐々に拡大し最終的に23500kWに増設。2024年現在も発電継続中)、翌年1967年、大分県で日本で二番目の大岳地熱発電所(当初12500kWその後,リニューアルされて、現在継続運転中)が建設された。その後の進展はわずかであったが、1970年代の2度のオイルショックを経験し、国は安定電力供給のため地熱発電に力を入れ始めた。国は、サンシャイン計画を立案する中で「通産省ーNEDOー事業者」という国主導の開発スキームのもとで年間100億円超規模の支援を行い、日本列島全体の地熱資源量調査を始めた。その結果、発電所の建設も進み、1990年には約50万kWの設備容量を持つ世界5位の地熱発電国にまで成長した。しかし残念ながら、その後、国は地熱発電への関心失い、大きな発電所は建設されず、2011年(東北大震災発生)には世界で10番目まで下がってしまっていた(後に地熱発電冬の時代と言われた)。そこで2012年、国はエネルギー政策を転換し、国産の安定電源として、地熱発電を見直し、年間150億円規模の支援を再開した。開発のスキームは経産省ーJOGMEC(一部NEDO)ー事業者とJOGMECが主管となった。地熱発電での調査から発電所建設まで一貫して支援する方式が確立された。現在、「2030年に150万kW達成」に向かって、産官学が一致協力した目標達成に邁進している。国際的には、パリ協定の脱炭素化目標を実現するために、再エネ発電を2030年には現在より3倍増化の目標が立てられている。最近の地熱発電所建設のペースから言うと、実現はやや難しいが、次世代超臨界発電の研究開発も進んでおり、超臨界地熱発電所が建設されるようになれば、日本の地熱発電も脱炭素化に貢献することができる。
 最後にバイオマス(日揮 西村氏)であるが、現在、SAF(Sustainable Aviation Fuel  持続可能な航空燃料)に世界の注目が集まっており、わが国では新規参入の総合エンジニアリング企業(日揮)を中心にして廃油の改質に世界を相手に研究開発にしのぎを削っている。
 シンポジウムの最後はモデレータ NEDO理事鈴村亜希子氏のもとで、5人のパネリストの参加で行われた。
 
 
 『福島 6月なのに35.2℃今季 全国初の猛暑日』 毎日新聞2024年6月13日(木)の朝刊はこう報じている。日本列島は12日、全国的によく晴れて気温が上がり、福島県伊達市梁川では最高気温が35.2℃に達した。35℃以上の猛暑日は今年、全国初。東京都心(千代田区)でも30.1℃を観測し、今年度初めて30℃以上の真夏日となった。気象庁によると、真夏日になったのは全国で326地点で全国914地点中35.7%で1/3超。ほかに気温が高かったのは、山梨県甲州市34.1℃、京都府福知山市33.9℃など。なお、当研究所(埼玉県狭山市)では,2012年5月8日以降、所内で1m深地温の継続観測を行っているが、今季最高の18.9℃、最寄りの気象庁観測点所沢での日最高気温は29.5℃で今季最高であった。
 24年6月5日(水)15:00~17:00  NGO 気候変動イニシアティブ(JCI)主催のオンライン(Zoom ウェビナー)『1.5℃目標を実現するエネルギーシナリオ』に参加した。プログラムは
1.開会あいさつ、JCIメッセージ賛同の呼びかけ JCI共同代表 末吉竹二郎氏 加藤茂夫氏
2.解説
(1)1.5度目標を実現するエネルギーシナリオとは
「IGES 1.5度ロードマップ」
田村 堅太郎氏 IGES気候変動とエネルギー領域 プログラムディレクター
「自然エネルギー財団2035シナリオ」
高瀬 香絵 自然エネルギー財団 シニアコーディネーター
「WWFジャパン 脱炭素社会に向けた2050年ゼロシナリオ2024年版(仮)」
小西 雅子氏 WWF ジャパン 専門ディレクター(環境・エネルギー)
 
(2)日本と海外のエネルギー政策アドボカシーのギャップ、声を高めることの重要性」
長嶋 モニカ氏 InfluenceMap 東アジアジア・ディレクター
 
3.議論・質疑応答へのコメント
 
喫緊の課題になっている脱炭素化で、日本の対応が世界から遅れていることが明確に指摘された。それと同時に、非政府セクターからの「エネルギー政策アドボカシーを強めることの重要性が日本と海外のギャップの観点からも指摘された。
 
日本政府の脱炭素化計画は世界の潮流から全くはずれ、ガラパゴス化している。多様な手法で、多くの国民が政府への声を高める必要がある。なお、本地熱情報研究所は国へのJCIメッセージにすでに賛同している。また、本年まとめられる国のエネルギー基本政策改定に関するパブリックコメントでも意見を提出する予定である。
 24年5月23日 JAPAN CLIMATE INITIATIVE(JCI)は 【賛同募集I6/30(日)締切】2035年66%以上のGHG削減目標を日本に求める! を開始した。地熱情報研究所(江原幸雄代表)は5月25日賛同募集に応じた。
2024年5月24日(金)14:00~16:00  市民グループ「頼れる大人の会」主催のZoomミーティング「地熱エネルギー利用:日本と世界の動向」(講師  JOGMEC  安川香澄氏)にオンライン参加した。市民の方々は活発な質疑を行い、地熱に関する理解を深めたようだ。このような市民グループが地熱発電の応援団になっていただければまことにありがたい。
 『G7、石炭火力30年代前半廃止合意』 毎日新聞4月30日付夕刊一面のニュース フラッシュ欄はこう報じている。イタリア北部トリノで開催中の主要7か国(G7)気候・エネルギー・環境相会合は29日、二酸化炭素(CO2)排出削減対策が講じられていない石炭火力発電について、2030年代前半に段階的に廃止することで原則合意した。英国の高官が伊メディアに語った。 G7の共同声明に石炭火力の廃止年限が明記されれば初めて。ただし、国内のエネルーギー政策で石炭火力の廃止時期を定めていない日本などに配慮し、例外も併記する方向で調整が進むという。日本としては、まことに苦しく、恥ずかしいことだ。日本(経産省)は石炭火力に関し、これまで国内および世界から非難を受け続けているが、今年はエネルギー基本政策を改定することになっている。そこで、今回は石炭火力廃止を明示しなければならない。そうでないと、連続で不名誉な「化石賞」受賞国となり、世界の笑いものになり続けることになる。これまでの恥の上塗り続けるわけにはいかない。「世界的に見て、恥ずかしくない、説得力のある目標」を掲げ、今年こそは、温暖化対策先進国となり、化石賞受賞を卒業すべきだ。今のままでは日本はG7のお荷物国になり下がざるをえない。実に恥ずべきことで、温暖化対策4等国以下にならざるを得ないだろう。ここは、経産大臣の決断を心から期待したい。
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