2021年3月11日 15:30~17:30 エンジニアリング協会主催の 2020年度 第6回地熱発電・熱水活用研究会にオンラインで参加した。2つの講演があり以下のような題目であった。1)「容積法による広域地熱資源量評価」(産業技術総合研究所 地熱調査総合センター研究戦略部 イノベーションコーディネータ 阪口圭一氏)、2)「地域活性とクリーンエネルギーの融合」(株式会社町おこしエネルギー 代表取締役社長 沼田昭二氏)。最初の講演は国レベルの地熱資源量評価(発電量)法としての容積法の基礎からはじめ、わが国でなされた3つの比較(地調の1990年評価、村岡ほかによる2008評価、環境省による2018評価)から、それぞれの課題の抽出・検討の話であった。かなりラフな評価であるがいずれも日本全体として、2000万~2400万kWとよく似た数値になっている。この種の議論をさらに深めるのは難しく、今後は、容積法を国レベルの広域評価に使うよりも、開発が進んだ発電所地域においては、開発当初に比べて格段とデータが整備されているので、精密な評価を行い、3次元数値シミュレーション法で評価した値、実際の発電量との比較により、容積法・シュミレーション法の長短を実際の発電量と比較から、各手法の意義を明確にしていくのが良いのではないか。同時に持続可能な方法の追及に使えるのではないか。2番目の講演は、もともと地熱発電関係の企業ではなかった企業(神戸物産)が、地域おこしを目指して異業種地熱への展開を図りつつあるものである。発想が特異であり、町おこしの有力事業として地熱利用を考えており、大規模発電は困難としても、中小規模発電や熱水利用から、地域を巻き込みながら、フランチャイズ方式で、産業を興し、食料とエネルギーの国産化を目指す、さらに掘削技術者の専門学校を作り、地熱業界にも貢献するという意気込み高しの講演であった。地熱を取り込み、地域活性化に活かすという発想からの挑戦も、従来型の紋切り型発想よりも興味深い点がある。