地熱情報研究所

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2021年1月24日当研究所(埼玉県狭山市:関東平野南部)で継続観測中の1m深地温であるが5日ほど低下傾向が続いていたが、昨日23日より0.18℃高い10.32℃に上昇した。折から、数日前から出ていた降雪予報(1~5㌢)が出ていたが、雨は降ったが雪は降らず、気温もそう低くはなかったようだ。庭には氷は張らず、水道管にも何の影響も出ていない。地温は年最低地温を脱したか? 例年より少し早いようだが。今後の観測が楽しみだ。
2021年1月23日 当研究所で継続観測中の1m深地温であるが、本日1月23日、前日より(1月22日10.17℃)わずかに下がって10.14℃であった。昨日22日の最寄りの気象庁観測点の日平均気温は6.4℃は、18日2.2℃、19日1.8℃、20日2.0℃、21日2.0℃より急激に上昇した。また、本日の狭山観測点の地下5㌢地温(当日の気温に近い6.7℃であった。これはここ数日の5㌢地温より5~6℃高い)。すなわち、地温が上昇する条件がそろっている。しかし、実際は前日より若干下がっている。このことは、狭山地点の1m深地温は長期的な低下モードにある中で、一時的な地温上昇にあったと言える。地温はやがて長期的な地温低下のモードから上昇に転じるだろう。なお、狭山地点での年最低地温は以下のようになっている。2020年2月12日9.98℃、19年2月17日9.43℃、2018年1月31日7.64℃、17年1月28日10.73℃、16年1月28日9.39℃、15年2月8日8.55℃、14年2月20日7.05℃、13年1月22日8.63℃となっている。ここ8年程度の年最低地温は1月下旬から2月中旬に記録している。本年2021年は果たしていつ最低地温を示すのか、興味深い。1週間程度で実現するのではないか。
2021年1月22日 当研究所で継続観測中の1m深地温は本日も低下を続け10.17℃(昨日21日10.24℃)となった。庭の小皿にやや厚い氷が張った。地温はまだ上昇モードには復帰しないようだ。
2021年1月21日 当研究所で継続観測中の1m深地温であるが、冬季の低下モードにあったが、一時的に上昇に向かった。またここ数日低下傾向に戻った。1月17日10.30℃、18日10.46℃、19日10.44℃、20日10.36℃、そして本日21日10.24℃。今朝も庭では薄氷が張った。地温上昇モードに至るのはいつのことだろうか。
2021年1月20日 当研究所で継続観測中の1m深地温は、2日続けて低下した。1月18日10.46℃、19日10.44℃、本日20日10.36℃。24節季の大寒に相応しいともいえよう。明後日以降回復、その後上昇モードに転じるか。興味あるところだ。地温も春に向かうだろう。
2019年1月19日 本欄は「地熱エネルギー」を中心として、議論等を紹介しているが、本日は「風力発電 難しいアセス迅速化 詰め寄られる環境省」という毎日新聞1月19日付朝刊の風力発電に関する記事を紹介する。実は、地熱発電は現在、風力発電と同様、環境省による「環境アセス」が進展の大きな障害になっている。これを紹介することによって、地熱事業関係者に一考を期待したい。新聞記事は以下のように紹介している。・・・・・2050年までに国内の温室効果ガス排出量を実質ゼロとする目標の達成に向け、再生可能エネルギーの大量導入に向けた議論が加速している。政府は再エネの主力となる風力発電施設の設置基準の緩和を目指すが、課題は少なくない。・・・「このスピード感では所管官庁を変えざるを得ない」 20年12月1日に初会合が開かれた、再エネ規制制度を総点検する内閣府の有識者会議。風力発電の環境影響評価(環境アセスメント)の設置基準見直しの議論を巡り、河野太郎行政改革担当相がアセスを担当する環境省幹部に強い言葉で詰め寄ったという。この日の会合で河野氏は、風力発電で環境アセスを実施する基準を、現行の1施設当たり定格出力1万キロワット以上から、風力が進む英国など主要先進国並みの5万キロワット以上にするよう環境省に要求した。「関係者らとの協議が必要」として明確な回答をためらった環境省側の姿勢に、怒りを爆発させた格好だ。「スピード感を持ってできるかどうかが問われている。今年度内にそこはしっかり対応してください。菅内閣では言い訳は通用しない」。河野氏がそう畳みかけると、環境省幹部は「わかりました」と消え入りそうな声で答えるのがやっとだったという。環境省の試算では、国内の陸上で風力発電を設置できる可能性が高い地域の発電量は118ギガワット。だが、20年6月時点の導入量は約4ギガワットで、太陽光など再エネ全体の約7%に過ぎない。政府は12月25日、「50年ゼロ」の達成に向けた「グリーン成長戦略」とその実行計画を発表。安定した風が吹くため陸上よりも効率的な洋上風力発電を重点分野の一つに位置付け、40年までに最大45ギガワットとする目標を掲げた。洋上風力は国が促進地域として指定した秋田、千葉、長崎3県の5地域で事業化に向けた取り組みが進むも、漁業者との調整などが必要になるため、主力電源化には時間がかかる。このため、当面は陸上風力の導入が最優先の課題と言えるという状況にある。⇒地熱発電でも環境アセス・温泉事業者とのかかわりで、同様の問題が立ちはだかっている。形式的には改善がなされた文章が作られつつあるが、環境省本省の怠慢によって実効性がほとんどない。風力発電の場合と同様である。環境省本省は、再生可能エネルギーを進めるとは口にするが、現場の規制は強く、また環境省は本来、規制官庁であり、規制緩和には伝統的に慎重であり、なかなか変われないようである。規制と推進が話がつかなければ、当初の大臣の「所管官庁を変えざるを得ない」という言葉も出てきかねない。地熱発電事業者も、風力発電の手法を学ぶことあるいは風力発電と共同戦線をとることも意義があろう。そのような中で、河野大臣を地熱にも振り向かせる戦略が必要ではないか。あるいは、資源エネルギー庁所管と環境省所管を合体させ、資源・環境省を新設することもあろう。再エネ先進国ではその例がある。守旧派の抵抗が強い場合には抜本的な改革が必要かもしれない。わが国で太陽光発電が進んだ要因の一つには、同一省(農林水産省)の中に太陽光発電推進派と農地維持派が、対立していたが、そこは同一省内のことで、最終的に合意ができ、太陽光発電が進展した例は国内にある。
2021年1月19日 当研究所で継続観測中の1m深地温は、長い低下モードが続いている中、最近5日間ほど上昇モードにあったが本日19日は若干下がった。15日10.07℃、16日10.19℃、17日10.30℃、18日10.46℃、そして本日19日10.44℃。なお、5㎝深地温は0.3℃。庭ではやや厚い氷が張った。
2021年1月18日 当研究所で継続観測中の1m深地温であるが、依然と上昇中である。1月16日10.19℃、17日10.30℃、そして本日18日10.46℃。予報によればまだ寒い日がありそうであるが、地温はどう変化するであろうか。このまま上昇を続けると、最近9年間で、最速の年最低地温(1月14日10.05℃)を記録することになる。
2021年1月17日 当研究所で継続観測中の1m深地温は昨日から明瞭に上昇した。1月14日10.05℃、15日10.07℃、16日10.19℃、そして本日17日10.30℃。今日は庭に置いている小鳥の水飲み用の小皿の水も凍っていなかった。昨日までは毎日凍っていた。今日の最低気温は氷点下にならなかったようだ。入射する日射量が増加し、浅層地中へ熱がより多く流入するようになった。また、ここ数日水道の水の出が悪かったが、地温上昇と時を同じくするかのように、水の出は改善されつつあるようだ
2021年1月16日 当研究所で継続観測中の1m深地温であるが、昨日に続き地温は上昇し10.19℃となった。1月13日10.19℃、14日10.05℃、15日10.07℃、そして本日16日10.19℃。上昇モードに転じたか注目して行こう。
2021年1月15日 当研究所(埼玉県狭山市)で2012年5月8日から継続観測中の1m深地温であるが、今期も秋~冬に入って低下モードにあったが、本日1月15日今季初めて上昇した。1月9日11.00℃、10日10.84℃、11日10.63℃、12日10.40℃、13日10.19℃、14日10.05℃、そして本日15日10.07℃となった。ここ数日気温が高くなっており(最寄りの気象庁観測点所沢の日平均気温は1月11日0.2℃、12日1.9℃、13日3.9℃、14日6.3℃と上昇、日最高気温も同様な傾向)一時的な上昇か、15日が今期の最低気温になったかが注目される。これまでの観測結果からみるとやや早い気がするが。 2013年以降の年最低地温を記録した日を調べてみると、2013年1月22日、8.63℃、2014年2月20日7.05℃、2015年2月12日8.55℃、2016年1月28日9.39℃、2017年1月28日8.82℃、2018年1月31日7.64℃。、2019年2月17日9.43℃、2020年2月12日9.98℃である。数日後には結果が出るだろう。楽しみだ。
2021年1月14日(木)15:30~17:30 ENAA主催の2020年度 第5回 地熱発電・熱水活用研究会(オンライン)に参加した。講演は以下の3つがあった。 1番目は高橋賢一氏((株)IHI 産業システム・汎用機械システム事業領域 事業推進部 バイナリーグループ 主査)による「(株)IHI のバイナリー発電装置のご紹介」。  出力125kW級のバイナリープラントの紹介であった。特に目新しい話ではなかったが、実証試験を終え、市販されるようだ。 2番目は山田広平氏(経産省資源エネルギー庁 資源燃料部政策課 係長(地熱資源開発))による「経済産業省の地熱開発の取り組み」。  前年の話と大きな違いはなかったが、今後の地熱発電は1000 kWあるいは2000kWを境界として別分類となり、それ以下は地域電源(FIT適用)として、それ以上は競争電源(FIP適用)となるようだ。また、2030年度目標の+100万kW目標は難しそうであるが、次年度も一定の国の支援は出るようだ。電力ネットワークについては地熱を含む再可能エネルギー発電が進むような解決法を期待したいものだ。また、地熱開発の最大のネック解消のためには、「地熱基本法」の整備を是非ともお願いしたいものだ。 3番目は森田誠也氏(日鉄鉱業(株)鹿児島事業所長、日本地熱協会副会長)による「地熱発電の現況と課題」  2030年度目標達成は現状では達成されそうにないこと、開発を進展させるために、国への要望が示されたが、少しインパクトに欠けたようだ。エネ庁山田氏に大事な項目を直接強く注文しても良かった。
2021年1月13日 16:30~17:30 JOGMEC主催の沸騰地熱塾 第4回オンライン参加した。伊藤香苗氏(東京大学大学院法学政治学研究科)の松川地熱発電所建設の経緯を歴史的に明らかにした講演があった。丹念に歴史資料を収集分析、建設当時を知る人々にもインタビューしたようで、研究の最終結果ではないが、興味深いものであった。現在、地熱発電開発は温泉関係者を含めた地元関係者とのやりとりが難しい局面が多いが、日本最初の地熱発電所として、松川地熱発電所建設では種々苦労があったと思われるが、地元(住民)、事業者と地元(自治体)三者の関係が非常にスムーズで、三者の関係は理想的ともいえる関係が形つくられ、相互にメリットのある形で、発電所からの熱水利用を含めて、三者は対立関係ではなく、まさにWin-Winの関係にあったようだ。地域が大きなメリットを感じる、地域のための地熱エネルギーの開発利用であったことが大きな要素であった。もちろん各団体に情熱を持ち続けた人々がいたことも重要な要素であったが。日本の地熱黎明期に、ほぼ理想的な形で地熱発電所が作られたことに改めて感銘を受けた。最近は「地元理解」という言葉がよく使われるが、その言葉がなくても「地元との共生」が実現していたようだ。なお、技術的な特徴を考えると、松川地熱発電所は長きにわたって安定発電を続けてきたが、掘削蒸気の増加に応じた、段階的開発を進めたことが功を奏したと理解できるだろう。
2021年1月10日 当研究所で継続観測中の1m深地温であるが、冬季の中心に向かって、概略低下傾向にある中で、5日間程度ごとに同じ傾き(地温の時間変化率一定)の線分で以下のように線形近似されるようだ。すなわち、12月28日ごろから1月1日ごろ(やや上昇傾向)、1月1日ごろから5日ごろ(やや低下傾向)、5日ごろから10日ごろ(やや低下傾向)となっている。いずれも5日間程度の群になっている。これは72候のそれぞれの間隔(365日/72候=5.07日/候)にほぼ等しく、72候の一つ一つの気候は、その間は温度一定というより、温度の変化率が一定に相当しているようである。おそらく人間の季節感覚(72候)は、温度一定ではなく、温度変化率一定で規定されているようである。今回示したのは、冬期間の3例だが、これまで春~夏期間の100日間程度で同様な性質を確認しており、72候で季節変化を感じていく(=分類する)ことは人間にとって合理性があると思われる。
2021年1月4日 当研究所(埼玉県狭山市)で継続観測中の1m深地温であるが、昨年末は低下モードではなく、変動するがほぼ一定の状態であったが、新年に入り低下モードに戻ったようだ。最近の1m深地温は、2020年12月31日12.02℃、2021年1月1日11.93℃、2日11.77℃、3日11.57℃、そして本日4日11.43℃と低下モードとなっている。
2020年12月31日 当研究所(埼玉県狭山市)では2012年5月8日以降、所内で1m深地温の観測を継続してきた。今年も冬に向かい地温低下モードに入っていたが、12月28日以降、やや停滞あるいは増加傾向もみられ、低下モードから外れているように見える。それに対応する最寄の気象庁観測点所沢の日平均気温(以下気温と表示)とともに1m深地温の変化を示す。1m深地温12月26日12.05℃(気温4.5℃)、27日11.99℃(気温5.4℃)、28日11.96℃(気温7.2℃)、29日11.99℃(気温6.0℃)、30日12.04℃(気温5.7℃)、そして本日31日12.02℃(気温未公表)となっている。気温も変動しており、詳細な検討が必要だろう。
2020年12月24日 当研究所(埼玉県狭山市)で継続観測中の1m深地温であるが、ここ数日、日平均気温(最寄りの気象庁観測点所沢)はやや上昇傾向にあるが(12月20日3.3℃、21日3.5℃、22日4.3℃、23日5.7℃)、1m深地温は真冬に向かって低下モードとなっている(19日12.96℃、20日12.75℃、21日12.53℃、22日12.36℃、23日12.23℃、24日12.14℃)。
2020年12月21日 今日は冬至 当研究所で継続観測中の1m深地温は12月16日以降急激に低下している。12月16日13.82℃、17日13.48℃、18日13.26℃、19日12.96℃、20日12.75℃、本日21日12.53℃。1日当たり0.2~0.3℃の急激な低下である.
2020年12月19日 当研究所(埼玉県狭山市)で継続観測中の1m深地温であるが、大局的には低下モードにあるが、12月15日以降急激に低下している。15日13.96℃、16日13.82℃、17日13.48℃、18日13.26℃、そして本日19日12.96℃。地中の熱がどんどんた大気中に放出されている。さらに低下が続くだろう。
2020年12月18日 自然エネルギー財団(REI)主催の Webinar 「2030年エネルギーミックスはどうあるべきか 2050年実質排出ゼロを展望して」(10:00~12:00)にオンライン(Zoom)参加をした。趣旨は以下のようなものであった。「菅総理の2050年脱炭素社会実現(カーボン・ニュートラル)」の宣言を受けて、2030年エネルギーミックスを再検討するエネルギー基本計画改正への関心が高まっています。自然エネルギー財団では、本年8月に2030年に自然エネルギー電力で45%を供給するエネルギーミックスを提案しています。また、経済同友会、全国知事会などからも、40%以上の自然エネルギー目標が提案されています。   今回のウェビナーでは、2030年における自然エネルギー、石炭火力、原子力発電のあり方、2050年への展望について財団の提言を紹介するとともに、基本計画改正を議論する基本政策分科会の委員である橘川武郎教授、高村ゆかり教授、さらにブルームバーグNEFの黒崎美穂氏をお招きし、議論を行います。奮ってご参加ください(開会に先立ち、オンライン参加者は900人を超えたという)。 プログラムは以下のようであった。報告1:2030年エネルギーミックスへの提案 木村啓二(REI上級研究員)・分山達也(九州大学エネルギー研究教育機構 准教授・REI上級研究員)。   報告2:2050年脱炭素社会のエネル:ギーミックスの姿 西田裕子 NEI シニアマネージャー。    パネルディスカッション:2030年エネルギーミックスはどうあるべきか モデレーター:高橋 洋 都留文科大学教授、パネラー:橘川武郎 国際大学大学院国際経営学研究科教授、高村ゆかり 東京大学未来ビジョン研究センター教授、黒崎美穂 ブルームバーグNEF 日本・韓国分析部門長、大野輝之 REI常務理事。報告1では財団(および九州大学)の若手研究者による数値モデル(ゾーンモデル)に基づいた、国の2030年エネルギーミックスの実現可能性に関する検討であった。結果は、原発ゼロ、石炭火力フェーズアウトのもとで、実現可能であるが再生可能エネルギーの大量導入(45%)が必要であるというもの。 報告2では、再生可能エネルギーの導入45%は厳しく、可能なのは34%程度で、不足分はエネルギー利用の効率化・水素利用等が必要であろうとの見解。パネルディスカッションでは、2050年カーボンニュートラル実現前提の下で、如何に達成するかが議論のポイント。論者によって多少異なるが、再生可能エネルギーの大量導入は必須(電力は100%再生可能エネルギー+熱利用が必要)で、不十分な場合は、ガス利用、あるいは水素利用(半分は輸入想定)・E燃料、等が挙げられていた。有効な政策が必要で、炭素税などによるのプライシングを考えるべきだとの提案もあった。パネル参加者は再生可能エネルギーへの理解がある方々であるが、立場によって、若干異なる考えのようであったが、2050年カーボンニュートラルの宣言によって、日本のエネルギー情勢は大きく転換し、日本も温暖化対策に貢献する現実的議論が活発になっていくであろうし、そうしなくてはならない状況だ。そんな中で、今回のイベントはタイムリーで有用なものであった。
2020年12月16日(水)14:30~16:50 日本地熱協会 令和2年第3回情報連絡会のTeams によるWEB会議に出席した。 プログラム1:JOGMEC助成事業「地熱発電の資源量調査」の現況報告。7地点:京極北部、ルスツ、妙高山東麓、高日向山、栗駒南麓、ニセコ、フスプリ山、むつ市燧岳、大松倉山の9地域。 プログラム2:掘削技術専門学校設立状況について プログラム3:地熱発電と温泉地の共生に向けて プログラム4:運営委員会及び専門部会報告。
2020年12月11日 月刊誌「電気計算」89巻1号(2021年1月12日発行)の特集「地熱エネルギーの動向」 に 「地熱エネルギーの利用の現状と展望」(当地熱情報研究所代表 江原幸雄著、① (20-25ページ)が掲載された。この特集号では、地熱関係ではこのほか以下の2件が掲載されている。②「超臨界地熱発電研究開発の動向(26-30ページ)」(国立研究法人産業技術総合研究所 再生可能エネルギー研究センター 浅沼 宏氏)及び ③「地中熱ヒートポンプの動向」(31-36ページ)(山梨大学 武田哲明氏)。
2020年12月10日 10:00~11:50 2020年度第2回地熱研究会講演会(完全ウェビナー)に参加した(92名の参加があったとのこと)。以下の2講演があった。①「地熱発電所の環境アセスメントの現状と展望」(東北緑化環境保全株式会社 事業本部 環境調査部 環境計画グループ 担当課長 岡田 真秀氏)および②「地熱発電の非化石証書を活用した環境価値の訴求について」(みずほ情報総研株式会社 環境エネルギー第2部 環境エネルギー政策チーム チーフコンサルタント 杉村 麻衣子氏)。①の岡田氏は、地熱発電所建設に関わる環境アセスメントの実務経験が深く、環境アセスの現状とともに、時間を長くかけずに、効果的な環境アセスを行う必要性を述べた(リードタイムを短縮するために、事業化判断を適切に早める必要性を強調した。ただこれは、調査の進行が一定の段階になって初めて、発電所設置位置がきまり、出力が決まる地熱発電の特性上、そう簡単ではないとの指摘があった)。また、環境アセスを地元の人々に分かってもらえるために、エコロジカル・ランドスケイプ(EL)法を積極的に取り入れることの必要性も参加者から指摘があった。EL法はNEDO事業で良いものができているがまだ適用例がなく、NEDOも今後適用例が増えるように検討をしているとのことだった。いずれにしても、地熱発電所建設にあたっては地元の理解が不可欠で、誠心誠意説明を尽くすとともに、説明が分かりやすいものになるような諸工夫が必要だろう。②は技術的というより、世界的な協定「パリ協定」が作られている環境を十分認識し、地熱発電事業者も発電所を作るだけでなく、地熱発電の環境価値をよく認識し、「非FIT・非化石証書」などの導入による、新たなビジネスモデルを構築することの重要性を指摘した。再生可能エネルギーの中で、太陽光・風力などの変動型電源に負けない、地熱発電の特性を生かした「新たなビジネスモデル」を構築することの必要性が強調された。地熱発電事業者にとっては発電所を建設することに力点が置かれがちだが、地球温暖化環境における地熱独自の環境価値を取り入れた「新しいビジネスモデル」を構築していくことの必要性を感じた。なお、②の講演は「地熱技術」誌、45巻、No.3&4、43-49、2020に掲載されており、関心のある方は原著をご覧ください(講演後の10日午後、当研究所に地熱技術誌が届きました)。
2020年12月9日 当研究所で継続観測中の1m新地温であるが、12月3日(15.40℃)以降も変動しながらも、順調に低下を続けている。12月4日15.18℃、5日14.97℃、6日14.77℃、7日14.43℃、8日14.31℃、そして本日9日、14.18℃である。1日当たりの低下率は0.12℃~0.33℃。平均0.2℃程度である。地温に比べ気温は大きく変動しながら低下傾向にある。日平均気温の変化は以下の通り。12月3日7.1℃、4日8.1℃、5日5.4℃、6日6.7℃、7日8.3℃、8日10.0℃となっている。
2020年12月7日、【第15回再生可能エネルギー世界展示会&フォーラム】で、オンラインフォーラムが開催された。分科会9の地熱・地中熱のうち、地熱(地熱発電)に関しては、9:40~12:40に開催された。地熱(地熱発電)では以下のテーマ「地熱開発技術の持続的維持に向けた人材育成」のもとで、4件の講演が発表された。 ①「企業における人材の確保と育成」(赤塚貴史氏:地熱エンジニアリング(株)) ②「日本地熱学会 若手ネットワーク専門部会の活動」(岡 大輔氏:専門部会長、(地独)北海道総合研究機構 エネルギー・環境・地質研究所) ③「JICA地熱資源エンジニアリング研修コースの状況」(糸井龍一 九州大学名誉教授) ④「SATREPS国際共同研究プロジェクトを通じた人材育成」(土屋範芳 東北大学大学院環境科学研究科 研究科長) ①は現在活発な地熱開発事業を実施中の、地熱専門企業の中堅技術者による講演であった。2030年度に我が国の地熱発電を、これまでの50万kWから3倍の150万kWに引き上げるという国の大きな目標に向かって各企業が鋭意尽力中である。このような大きな目標に向かう中、地熱技術者の確保・育成は各社とも急務になっている。講演者の属する企業では、入社希望者を対象に現場見学を行い、若手社員との懇談を実施し、地熱を理解してもらっているという。特に、人材育成では現場OJTで技術力・安全感性・マネジメント力を向上させ、技術継承を図っている。各社とも国の大きな目標を達成する中で、若手技術者の確保・育成に懸命である。 ②は今後の我が国の地熱に関する学術・技術の次代を担う若手研究者・技術者の日本地熱学会内の若手グループ専門部会の部会長による講演であった。我が国の地熱発電開発は1990年以降2010年ころまで停滞期にあり、中堅技術者の層が薄くなっている。このような中、国から大きな目標が提示され、若手研究者や技術者も近年増え始める中で、若手の横の交流をもっと広げるべきとの考えから、結成されたグループである。現在、専門部会独自の講演会・勉強会や現地見学会などを活発に実施するとともに、地熱学会開催時に、専門部会固有の集会を持ち、活動を広げている。次世代の地熱に関する学術・技術の担い手であり、企業・研究所・大学等の枠を超えて、若手が互いに切磋琢磨し、日本の新しい地熱時代を切り開いてもらいたいものである。大いなるエールを送りたい。 ③は九州大学で長く地熱に関する教育および研究を続けてきて、同大が中心になって運営してきたJICA国際地熱研修コース(海外の若手研究者および技術者を同大に集め、総合的な地熱教育を行う6か月程度のコース)の指導的役割を担ってきた方による講演であった。このコースでは、毎年10名から20名程度(定員は18名)の研修員を世界各国から募集する、JICAが実施する課題別研修コースのひとつで長年九州大学が運営を担ってきている。本年11月、コースの実施主体である九州大学地球資源システム工学部門はJICA理事長賞を受賞している。研修希望者も多く、毎年多くの研修生を各国に送り出している本コースであるが、運営資金の担保や宿舎の確保など、教育・研究指導以外の課題も少なくないという。運営経費を維持するためには、最低12名の研修員が必要であり、運営担当者には、通常の教育研究に加えて、本業務をこなす必要があり、このようなコースを長年維持するためには国の理解(資金・人員の支援)が是非とも必要だと思われる。なお、今年度はコロナ禍で研修員が来日できず、残念ながら開店休業状態となった。来年度からの再開を期待したい。 ④は「地熱開発技術の持続性維持に向けた人材育成」に関する国際共同プロジェクトを通じた人材育成プログラム(JST)のリーダー東北大学大学院環境科学研究科長土屋範芳教授による講演であった。このプロジェクトの研究テーマは「熱発光地熱探査法による地熱探査と地熱貯留層の統合評価システム」というものであり、目的は、熱発光現象を利用した地熱資源探査やその他の探査データと組み合わせて、統合的に地熱資源量を評価するシステムを構築、同国の地熱資源探査に資することであり、それらの技術の基礎から応用まで展開できる人材を育成することを目指している。九州大学のコースと比べ、特定の国・特定の研究課題を通じて人材育成を集中的に行うコースである。リーダーの土屋範芳教授は第一線の研究者であり、大学の研究教育の管理者でもある、超多忙の身と思われるが、熱血あふれる情熱の持ち主であり、大きな成果が期待される。 以上4講演とも刺激的なものであった。地球環境時代の中、再生可能エネルギーの一つである地熱エネルギー利用は、国内だけではなく、世界で求められている。若手が地熱に関する学術・技術を継承・発展させてほしいものである。そのためには人材育成が重要である。
2020年12月3日(16:00~18:00)JOGMEC主催の「八幡平沸騰塾第3回」(ウェビナー)に参加した。講演は土井宣夫氏(岩手大学客員教授)による「八幡平の火山・地質」(八幡平火山群の100万年前と1万年前と言われる噴火の様子に加え、最近の火山活動の様子(八幡平地熱発電所の貯留層と火山活動の関係を含めて)に関する講演であった。開始時刻ごろ、急用が入り、後半だけ参加した。それでも、話の内容は大略理解した。小生が総括的に研究してきた九重火山および八丁原地熱発電所との関係をイメージしながら、講演を聞いた。共通部分も多かったがもちろん異なる部分もあった。火山~地熱系を総合的に理解をするためには、研究が進んだ火山~地熱系の詳細な比較研究が必要と感じた。なお、最近、超臨界地熱資源開発に向かう中で、北海道・東北・九州の代表的火山~地熱系で、広域・深部の構造を明らかにする研究が進展しているが、相互の異動を詳細に検討する中で、広域的観点からの地質構造・地球化学データ・深部地球物理学的構造データを統括することによって、広域・深部の火山~地熱系の一般的モデルを観測データに基づいて構築できる可能性があり、大いに期待したいと感じた。
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