2022年6月14日10:00~12:00 自然エネルギー財団(REI)主催の公開イベント「エネルギー危機と自然エネルギーの役割」のハイブリッド開催(会場・オンライン)にオンラインで参加した。ロシアによるウクライナ侵攻が世界のエネルギー価格の高騰を加速する中で、脱炭素化とエネルギー安全保障に関する議論が活発になっています。多くの国で自然エネルギー導入促進策が強化される一方、原子力発電の再生を提唱する声もあります。自然エネルギー財団は、トーマス・コーベリエル理事長の2年3か月ぶりの来日の機会に、欧州、日本を中心に危機を克服するエネルギー政策の在り方を考えるハイブリッド形式のイベントを開催したものです。プログラムは以下のようです。司会は大久保ゆり REI 上級研究員。講演が2題あり引き続いて、パネルディスカッションがあった。講演1は「エネルギー危機を欧州はどう克服するのか」(トーマス・コーベリエルREI理事長)、講演2は「エネルギー危機への日本の対応を問う」。講演1では再生可能エネルギー発電は世界的に進展しており、欧州では、近年風力発電が急激に伸び、2000年~20005年以降急激に拡大しており、現在では太陽光発電と風力発電は同レベルになっている(⇒世界的に見て)。進展に伴い発電コストも急激に大幅に下がってきている。残念ながら、日本は1970~1990年ごろは他国とそん色があまりなかったが、その後のエネルギー政策が、原発・化石燃料発電を維持し、再生可能エネルギーを重要視してこなかったため、現在では大きな差がついてしまった。日本における再生可能エネルギー発電のシェアは20%程度にとどまっており、欧米の40~50%以上と比べ、大きな差が出ている。コーベリエル氏によると、日本には資源も技術もあり、政策の後進性に問題があるとみられている。また、日本は欧州と協力できる環境が揃っている。世界は変わっているのに、日本は変わらなかった。日本の再生可能エネルギー発電の政策は変わっていくべきだ。エネルギー自給率増加を目指す中で、エネルギー転換を目指すのがよいだろう。世界的に見て、気候変動問題への対応の重点は、再生可能エネルギーの導入および省エネルギーであり、特に脱炭素化・脱化石化がポイントである。日本はエネルギー政策を転換しないと、その代償は長期期にわたるだろう。講演2では世界の動向に比べての、日本の遅れが種々指摘された。国の審議会の委員の思考が過去の経産省の政策に染まっており、保守的で、国の政策もなかなか変わらないようだ。高橋氏のスライドには、日本の再生可能発電で将来期待の持てるものとして、地熱発電が挙げられていた。従来型地熱発電だけではなく、現在研究開発が進められている超臨界地熱発電も想定されているのであろう。パネルディスカッションではトーマス・コーベリエル氏、高橋 洋氏、さらに、REI常務理事大野輝之氏、同事業部長大林ミカ氏が参加された。