2021年11月17日 11:00~12:00 IGA(国際地熱協会)アジア・西太平洋地域支部(AWPRB)のWebinarに参加した(NZがHost)。本日の講演者はJOGMEC の安川香澄氏。講演タイトルは「Importance of government policy on geotherrmal developmet」。 世界の地熱発電国の設備出力増減の盛衰は、国の力の入れ方に大きく依存している。近年のKenya,Turkey,Indonesia等の地熱発電設備量の急増のグラフは国の支援の効果を如実に示している。わが国の場合も同様で、オイルショック(1970年代)以降の国の支援が、1995年以降の急増に対応している。その後、国の支援が停滞したのに対応して、約20年間の停滞を引き起こした。2012年の原発事故以降、国の支援が急増するに応じて、最近やっと大型発電所ができ始めた。しかし、まだわずかなもので、近年運開した発電所あるいは運開が予定されている発電所はいずれもNEDO時代の基礎データが基になっており、純粋な新規地域がほとんどない。このような状況はNZによく似ている。NZでは地熱開発初期(1950年代~70年代)に国による調査・掘削がほぼ全地熱地域で行われ、初期に多くの地熱発電所ができた以降、長い低迷期間があったが、地熱資源管理法ができたことと、地球環境問題・国内エネルギー不足が課題になる中で、国として、近年急激に地熱発電を増加させてきた。日本の場合、進展が停滞しているのは、NZとはやや異なり、自然公園内開発の規制および地域との合意の難しさである。世界のいずれの地熱国も、近年国による開発が強化されたKenya,Turkey,Indonesiaを除けば、世界各国の地熱発電の進展は単調増ではなく、山あり谷ありで、いずれも各国ごとによる国の力(支援)の入れ方によっている。すなわち地熱開発は国による支援に大きく依存する。わが国の場合、自然公園内での開発、温泉事業者への働きかけ、いずれも国がもっと真剣になる必要があろう。2030年度の国の目標(+100万kW)を達成するためには、国は本腰を入れる必要がある。根本的には、地熱法の制定が必要である。地熱法ができることによる国の地熱開発の長期的な開発見通しが確実なものとなれば、開発企業も安心して新規地点開発にもっと前向きになるだろう。世界の中で日本の地熱発電を見る視点が、大事である。もちろん日本固有の問題もあるが。